第 6 章 光相関システムの応用Ⅱ:クロスドメイン検索システム 93
6.3 光相関に基づくスケッチベース画像検索システムの実験実証
第6章 光相関システムの応用Ⅱ:
クロスドメイン検索システム
6.3光相関に基づくスケッチベース画像検索システムの実験実証
6.3(a)).光相関演算時の入力用ページデータはスケッチデータから特徴量抽出し,光 相関用変換モジュールによって光相関用に変換した情報光パターンである(図6.3(b)).
(a) (b)
図6.3: 実験で用いたパターン例(a)記録用,(b)再生用.
また,データベースの記録密度と光相関演算精度に影響するため,ホワイトレイト のデータ間差が小さいことが望ましく,その分散は0であることが望ましい.図6.4は 抽出された特徴量に対して提案光相関用変換モジュールなしにバイナリ化した場合と 提案光相関用変換モジュールによってバイナリ化した場合のホワイトレイト存在割合 を示したグラフである.光相関用変換モジュールなしでは標準偏差1.9 %となってし まっていたのに対し,光相関用変換モジュールによって分散0の均一なホワイトレイ トを持つ情報光パターンへの変換が可能であることが確かめられた.本実験では,光 相関用変換モジュール内のautoencoderでの近似時に,情報光のホワイトレイトが20
%で均一となるように式(2)のオフセット値cを設定してしる.ここで,情報光パター
ンと参照光パターンエネルギー比は2:1であり,記録時のエネルギーは2.8 µJであっ た.その後,データベース記録を行ったディスク上のデータベースをスキャンし,相 関信号を取得した.ここで,再生時のエネルギーは4.5 µWであった.
6.3.2 実験結果
図6.5は光相関システムでの照合結果例である.光相関出力として得られた光強度の 大小関係によって,類似形状を持つデータベース画像を判定した.例えば,図6.5 (a)
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0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
19 20 21 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55
(%)
(%)
without conversion module with conversion module
図6.4: 実験で用いたパターンのホワイトレイトの存在割合.
れているデータベース画像は入力スケッチデータとよく類似している結果が得られた.
このように,入力データと類似した画像を検出するあいまい検索を光相関器を用いて 実現した.次に,精度について評価した結果を述べる.本研究では,97枚のスケッチ をそれぞれ入力した際に,そのスケッチと対応する商品が上位10枚以内に現れた確 率を精度とした.学習済みのCNN特徴量抽出器で特徴量抽出を行った結果実数値の
状態で97.94 %の精度となるデータに対して,光相関用変換モジュールを用いて光相
関用のバイナリに変換後デジタルシミュレーションによって同様の精度を検証した結 果,97.94 %となった.このことから,光相関用変換モジュールを導入してバイナリ 特徴量を生成する過程において,バイナリ化時の情報量低下の照合精度への影響を最 小限に抑えられていることが確認できた.また,光相関器を用いてデータ変換したと きの精度は91.75 %となった.
表6.1:スケッチベース画像検索システムの精度 (a)学習済みのCNN特徴量抽出器で特徴量
抽出を行った実数値の特徴量
97.94 %
(b) (a)の特徴量を光相関用変換モジュール
で変換したバイナリ特徴量
97.94 %
(c) (b)の特徴量を用いた光相関演算実験 91.75 %
これは,ホログラムのシフト多重によるノイズの増大や,光電子増倍管などの本実 100
6.3光相関に基づくスケッチベース画像検索システムの実験実証
20 40 60 80
DATABASE NUMBER
00.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
I N T EN S I T Y [ A. U . ]
(a-2) (a-1)
(b-2)
20 40 60 80
DATABASE NUMBER
00.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
I N T E N S I T Y [ A . U . ]
Database No.
20 40 60 80
0.3 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 0
(a.u.)
20 40 60 80
0.3 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 0
(a.u.)
(b-1)
(b-2)
図6.5: 光相関器を用いた類似画像検索の結果.(a)入力クエリとして用いたスケッチ 画像,(b)(a)を入力した時の光相関器の出力と高い相関値が得られているデータベー ス画像上位3つの商品画像.
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験で用いたデバイスにおける電気ノイズの影響が出たと考えられる.本精度の低下に 関しては,ホログラフィックディスクに記録時のデータ配置の順番の工夫などにより,
今後改善が期待される.また,本研究におけるあいまい検索での相関出力が,類似の 高いものでも完全自己相関を1として規格化したときに0.3程度と低いことも,本実 験において精度の低下を招いた要因であることが考えられるため,今後,類似した画 像との一致率がより高くなるような特徴量変換器を構築することも有効であると考え られる.