第7章 考察とインプリケーション
第2節 先天的観光資源と後天的観光資源
第1項 観光資源による地域の分類と課題
観光地域は、自然、歴史・文化などの先天的な観光資源を有する地域と先天的な観光資 源をあまり有していない地域に分かれるものと考えられる。先天的な観光資源に恵まれた 地域は先天的に存在している資源を、観光客を惹きつけるためのアトラクションとして“資 源化”することが課題である。他方先天的な観光資源を有しない観光地域は、後天的に観
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光資源を開発することが課題である。第2項 アトラクションとしての観光“資源化”
一般に、先天的な観光資源を有しない地域は観光客を惹きつける観光資源を持ち合わせ ていないわけであるから、観光目的地としての競争において、不利な立場にあると考えら れる。しかしながら、本稿の分析によって、先天的な観光資源を有していないことが必ず しも不利な立場におかれているわけではないことが明らかとなった。
観光資源のうち、歴史・文化に属する観光資源が豊富な地域は観光消費と結びついてい ることは明らかになった。しかし、自然、温泉・健康などの観光資源は、観光消費に結び ついていない。むしろ、スポーツ・レクリエーションなどの後天的な観光資源が観光消費 に結びついている。このことは、観光資源そのものの存在が重要なのではなく、観光客を 惹きつけるためのアトラクションとして演出することの重要性を示唆しているものと考え られる。スポーツ・レクリエーションはもとより、アトラクション性を企図して開発され るものであるし、地域の歴史・文化についても、観光客の観光目的に合致し、それ自体が 観光地域のアトラクションとして機能している。一方、自然そのものについては、その特 性上、鉄道、道路、宿泊施設、飲食店などの観光上のインフラストラクチャーが整備され ていないことや自然に対する観光動機が未熟であることから、観光地域のアトラクション として未だ機能していないものと考えられる。なお、近年、世界自然遺産に登録された屋 久島などに代表されるように、自然を観光資源化するエコツーリズムに代表される観光開 発は、今後、自然資源を有する地域にとっては参考の価値があるものと考えられる。
観光地域のアトラクションとして観光資源が機能することが重要であるとすれば、先天 的な観光資源を有していない地域にも新たな視座が与えられる。
つまり、観光地域のアトラクションとして、後天的に観光資源を開発することである。
テーマパークなどはその典型ではあるものの、施設開発、運営に多大な投資が必要である ことから、必ずしもすべてが成功しているわけではない。むしろ注目されるべきは、エコ ツーリズム、産業ツーリズム、フードツーリズム、コンテンツツーリズムなどに代表され るニュー・ツーリズムではないかと考えられる。
必ずしもこれまで観光資源として認識されてこなかった観光地域の特徴を、アトラクシ ョンとして観光資源化していく取り組みは、特に、先天的な観光資源を有していない地域 にとって有望な取り組みといえる。
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第3項 観光資源化の戦略地域が有する観光資源の多尐、観光アトラクションとしての資源化程度の高低で観光地 域を分けたとき、
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つの象限に分類される。そして、各象限に属する観光地域がとるべき戦略は以下の通りとなる。
観光資源が多く、資源化程度も高い観光地域は既にアトラクションとしての観光資源化 は十分である。観光インフラストラクチャーの充実や観光プロモーションの強化によって 観光消費を拡大していくことが有効と考えられる。
観光資源が多いものの、資源化程度が低い観光地域は、観光資源は十分存在するが、ア トラクションとしての資源化は不十分な状態にある。観光客の観光目的を創造する、観光 アトラクションとしての資源化が必要と考えられる。
観光資源は尐ないものの、資源化程度が高い観光地域は、アトラクションとしての観光 資源化がなされている。後天的な観光資源の拡充や、観光インフラストラクチャーの充実・
観光プロモーションの強化によって観光消費をより拡大していくことが望ましい。
最後に、観光資源が尐なく、資源化程度も低い観光地域は、観光目的地としてのアトラ クション性が不十分である。後天的な観光資源を拡充することや、限られた観光資源を観 光アトラクション化するために、ニュー・ツーリズムを志向することで観光消費を拡大す べきである。
図表 35 観光資源化の戦略
観光資源量 資
源化 程度
(尐) (多)
後天的な 観光資源の拡充、
限られた観光資源の 観光“資源化”
観光客の観光目的を 創造するため 観光アトラクション
として“資源化”
( 低)
後天的観光資源の 拡充や観光インフラ
ストラクチャー・
観光プロモーションの強化
観光インフラ ストラクチャーの充実や 観光プロモーションの強化
( 高)