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偏芯真鍮モデルの概要

3.4 偏芯真鍮モデルの同定実験

3.4.1 偏芯真鍮モデルの概要

3.3節より、偏芯モデルにおいて板バネのばね定数が振動特性に大きく影響していること がわかった。その結果を踏まえ、本節では板バネの素材をアルミニウムから真鍮に変更し た真鍮モデルに対する同定実験を行う。真鍮はアルミニウムと比較し、ばね性が高く、塑 性変形しづらいため、板ばねの厚さを薄くでき、ばね定数を低く設定できるからである。

ばね定数を低く設計し、ねじれ振動が増幅されるか検証する。

真鍮モデルでは、アルミニウムのみで作成された偏芯モデルを基本とし、板バネのみを 真鍮に変更した。変更した板バネを図3.20に、アルミニウムで作成した偏芯Alモデルと、

板バネを真鍮に変更した偏芯Brモデルを図3.21に示す。

図3.20 アルミニウムと真鍮の板バネ

図3.21 偏芯Alモデルと偏芯Brモデル

- 35 - 3.4.2 偏芯真鍮モデルの同定実験

ばね定数の高い偏芯Alモデルと、ばね定数の低い偏芯Brモデルに対して、特性比較の ためシステム同定実験を行った。各偏芯モデルのパラメータを表3.9に示す。実験条件は表 と同一である。システム同定結果を図3.22に示す。図より、偏芯Brモデルにおいて、ばね 定数の低下により共振周波数が低くなっていることが確認できる。また、ねじれ振動が強 く発生する二次モードと三次モードにおいて、加速度が大きくなっていることがわかる。

このことから、偏芯モデルにおいて、ばね定数を低く設定することによりねじれ振動をよ り増幅できることがわかった。

表3.9 各偏芯モデルのパラメータ

パラメータ 偏芯Alモデル 偏芯Brモデル 板ばねの長さ 0.08[m] 0.08[m]

板ばねの幅 0.02 [m] 0.02[m]

板ばねの厚さ 0.001 [m] 0.0005[m]

ばね定数 560[N/m] 103[N/m]

錘の重さ 38×10-3 [kg] 38×10-3[kg]

図3.22 加速度特性のシステム同定結果 (左)偏芯Brモデル (右)偏芯Alモデル

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次に、偏芯Brモデルの各加振方向に対する振動特性の検証を行う。自動車振動は、Z軸 方向だけでなく、X方向、Y方向を含めた三軸振動であるため、偏芯Brモデルのそれぞれ の加振軸に対しての振動特性の解析を目的とする。Z軸加振、Y軸加振、X軸加振それぞ れの実験図を図3.23に示す。各軸の加振に対し、自由端の加速度を三軸で計測する。実験 条件を表3.10に示す。

(a)Z軸加振 (b)Y軸加振

(c)X軸加振

図3.23 各軸加振の実験図

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表3.10 三軸方向加振の実験条件

実験条件

加振軸 鉛直方向(Z軸)、左右方向(Y軸) 前後方向(X軸)

入力信号 M系列信号(周期255) 入力振幅 0.2 [V]

加振時間 2.04 [s](1020サンプル:4周期分) サンプリング時間 2 [ms]

同定条件

同定モデル ARXモデル 次数決定法 クロスバリデーション 同定入力信号1 ベースZ軸加速度uz [m/s2] 同定入力信号2 ベースY軸加速度uy[m/s2] 同定入力信号3 ベースX軸加速度ux[m/s2] 同定出力信号1 1層Z軸加速度 u1z[m/s2] 同定出力信号2 1層Y軸加速度 u1y[m/s2] 同定出力信号3 1層X軸加速度 u1x[m/s2] 同定出力信号4 2層Z軸加速度 u2z [m/s2] 同定出力信号5 2層Z軸加速度 u2y [m/s2] 同定出力信号6 2層X軸加速度 u2x[m/s2]

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3.4.3 Z軸加振

Z軸加振時の同定結果を図3.24に示す。図より、Z軸加振時、一次モードではZ軸方向 の加速度が最大となっていることがわかる。また、Z軸方向の加速度が、Y軸加速度、X 軸加速度と比較し非常に大きいことから、一次モードでは縦振動(鉛直方向)が支配的である ことがわかる。続いて、二次モードであるが、最も加速度が大きくなったのはY軸となり、

二次モードではねじれ振動が最大となることがわかる。また、Z軸加速度、X軸加速度も 大きいことから、二次モードではねじれ振動が最大となるが、三軸全ての振動成分を含ん だ振動となっていることがわかる。三次モードでは、三軸全ての加速度にほぼ差が無いこ とがわかる。

図3.24 Z軸加振時の2層の加速度特性

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3.4.4 Y軸加振

Y軸加振時の同定結果を図3.25に示す。図より、Y軸加振時、一次モードではY軸方向 の加速度が最大となっており、ねじれ振動、縦振動の順で振動が大きく発生していること がわかる。二次モードでは、Y軸加速度が非常に大きく、ねじれ振動が支配的であること がわかる。三次モードでは、Z軸加振時と同様に、三軸全ての加速度にほぼ差が無いこと から、三方向の振動が同程度で発生することがわかる。

図3.25 Y軸加振時の2層の加速度特性

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3.4.5 X軸加振

X軸加振時のシステム同定結果を図3.26に示す。図より、X軸加振時、一次モードでは Z軸方向の加速度が最大となっており、縦振動、横振動の順で振動が大きく発生している ことがわかる。Z軸加振、Y軸加振時の一次モードは、それぞれ加振方向の加速度が最大 となっており、X軸加振とは異なる結果となった。二次モードでは、X軸加速度が大きく、

横振動、縦振動の順となった。三次モードでも同様に、横振動が主で、次いで縦振動が強 く発生する結果となった。

図3.26 X軸加振時の2層の加速度特性

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3.5 3 章まとめ

本章では、多モードデバイスを作成し、加振実験を行った。多モードデバイスの特性と して、多モードの共振が出現すること、その共振周波数でPZT出力電圧も高くなることを 確認した。多モードデバイスは、錘の大きさの影響でねじれモードが出現し、そのねじれ モードは錘を対角に設置した偏芯構造にすることで、増幅できることがわかった。ねじれ 振動には、ばね定数が大きく影響しており、ばね定数が低い板バネで多モードデバイスを 設計することにより、ねじれ振動を更に増幅することが可能である。板バネの素材を真鍮 にし、薄くすることでばね定数を低く設計した偏芯Brモデルに対して行った、三軸方向の 同定実験のまとめを表3.11に示す。表より、一次モードは縦振動が支配的であり、一次モ ードは曲げが強く出現しているといえる。二次モードはねじれ振動が強く現れ、ねじれ振 動が強く出現し、縦振動、横振動も含んだ振動特性である。三次モードは、縦振動、ねじ れ振動、横振動全てが同程度出現する振動特性であることがわかる。自動車振動は、本実 験のような一軸振動ではなく、鉛直、左右、前後と三軸振動である。そのため、鉛直方向 の共振の大きさだけでなく、ねじれ振動や横振動を増幅するデバイス構造を用いることで、

全振動成分を効率よく利用することが可能となる。

表3.11 三方向加振実験のまとめ

一次モード 二次モード 三次モード

Z軸加振 縦振動 ねじれ振動が主の

全ての振動成分 全ての振動成分 Y軸加振 ねじれ振動、縦振動 ねじれ振動 全ての振動成分 X軸加振 縦振動 横振動、縦振動 横振動、縦振動

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