非対称なアーク現象の解明のために,3次元電磁熱流体シミュレーションによる解析は行わ
れてきた(64, 65, 66, 67)。G. Xu氏らは,外部磁界が印加されている状況下でのガスシールドアー
ク溶接を模擬した解析を行った。図28に,外部磁束密度0.7 mTを印加した時のアーク温度と 流速分布を示す(67)。ここで,外部磁束密度は,紙面奥から手前方向に印加されている。外部磁 束密度とアークの電流密度によって生じる電磁力が働く方向に,アークの最大温度と流速がシ フトしていることが示されている。また,外部磁束密度が増加するに伴い,電磁力が働く方向 に陽極近傍の温度のピークがシフトすると共に,値が減少することが報告されている。
また,Gonzalez氏らは,外部磁界や横風などの外乱をアークに与えた場合の数値解析を行っ
てきた(68, 69)。図29 に,外部磁界印加と横風吹き付け時のアーク偏向距離を示す(68)。黒いプ
ロットは,外部磁界によって生じるアーク偏向距離,白いプロットは,横風によって生じるアー ク偏向距離を示す。外部磁界によって生じるアーク偏向距離を定量化し,実験との比較から数値 解析の妥当性の検証が行われた。しかし,これらの解析は,3次元の数値解析の妥当性の確認が 主となっており,アーク偏向に及ぼす具体的な要因が未解明であることが問題となる。横風や外 部電磁力によって変化したアーク内部の流速の定量化が行われていないため,横風の吹付けと 外部磁界の印加を模擬したアーク内部の流速とアーク内の熱輸送を解明する必要がある。また,
溶融池形状を改善するために、縦磁界を印加したアークの数値解析が報告されている(70, 71, 72)。 図30,31に,縦磁束密度20 mTを印加した時のアーク温度分布,縦磁束密度20 mTを印加し た時のアーク温度と流線分布を示す(72)。Lei 氏らは,縦磁界の電磁力がアークに働くことによ りアークの流速が回転することで,陽極側の温度分布の拡大を明らかにした。更に,陰極近傍 ではアーク温度が収縮し,電流密度が増加することを報告した。
以上より,外部磁界を印加した複数の研究例はあるが,横磁界印加による陽極近傍のアーク 温度のシフトや,縦磁界による温度分布の広がりの検討にとどまっている。このように,横風 下で,外部磁界を印加した際のアークジェットの大小に関して議論がされていないことが現状 である。
このため,横風下における横磁界と縦磁界のそれぞれをアーク姿態に印加したときの検証を 行う。ここで,外部磁界によりアーク偏向を抑制した際のアーク偏向距離の目標値は,0.6 mm の半分以下の値にすることとした。これは,横風下におけるアーク偏向距離が0.6 mmの場合 で,入熱量が14 %低下し,風下方向へ熱の損失が生じてしまうことが報告されているためであ る(73)。更に,この半分の0.3 mm以下にアーク偏向を抑えれば,この範囲内の熱流束は,ピー ク値とほぼ変わらないことが示されていることから(74),熱流束分布の風上と風下で偏りが生
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じず,溶接端部の溶接欠陥が生じないためである。
このような横風下のアーク偏向現象の解析のために,今までに3次元電磁熱流体シミュレー ションの開発を行ってきた(75, 76)。横風下のアーク偏向現象で生じる溶接欠陥を防止するため,
外部磁界によるアーク偏向抑制のメカニズムに関して,仮説を立て,モデルを考案し,3次元 電磁熱流体シミュレーションを用いて検証を行う。
(a)Temperature (b)Flow velocity
図 28 外部磁束密度0.7 mTを印加した時のアーク温度と流速分布(67)
Fig.28 Arc temperature and flow velocity distribution at 0.7 mT of external magnetic flux density(67).
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図 29 外部磁界印加と横風吹き付け時のアーク偏向距離(68)
Fig.29 Arc deflection length with external magnetic field and lateral gas(68).
図 30 縦磁束密度20 mTを印加した時のアーク温度分布(72)
Fig.30 Temperature field in the arc and eletrodes of GTAW and with EAMF(Extra axial magnetic field):(a) GTAW, (b) EAMF(72).
図 31 縦磁束密度20 mTを印加した時のアーク温度と流線分布(72) Fig.31 Arc plasma stream lines with EAMF (B = 0.02 T)(72).
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