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体の間の環射ι: kKを体拡大(field extension)と呼ぶ.このιは必然的に単射であ る(それゆえ埋入(embedding)とも呼ぶ).しばしばιを包含と見て,この記号を書か ない.

(Ti)iI を変数の族とするとき,多項式環k[(Ti)iI]は整域.その商体をk((Ti)iI)と記 す.これはkの体拡大である.

Kk-ベクトル空間としての次元を[K : k]と記し,体拡大kKの次数(degree) とも呼ぶ.kKの部分拡大(subextension)とはKk-部分代数で体であるものを 指す.部分体の族の共通部分はまた部分体である.(ai)iIKの元の族とするとき,

k((ai)iI)によりすべてのaiを含む最小の部分体を表す.

定義88 体拡大ι: kK

(1) 有限(次) (finite): ιが有限(定義11).

(2) 代数(的) (algebraic): ιが整(定義51). 元aKk上代数的とはそれがk 上整.

(3) 超越(的) (transcendental): 代数的でない.

(4) 純超越(的) (purely transcendental): k上代数的独立な元tiKの族(ti)iI が 存在してK=k((ti)iI); 同値にKk((Ti)iI).ここに(Ti)iIは変数の族. (5) 有 限 生 成 (finitely generated): 有 限 個 の 元a1, . . . ,anK が 存 在 し てK =

k(a1, . . . ,an).

(6) 分離(的) (separated): 勝手な体拡大kLに対しKkLが被約.

注意89

(1) kKKLを体拡大とする.合成kLが有限/代数的/有限生成 ⇔

kKおよびKLが当該性質を持つ.

(2) 体拡大が有限 ⇔ 代数的かつ有限生成.

(3) 純超越拡大は分離的.

定義90k

(1) 代数閉(algebraically closed): kの非自明な代数拡大が存在しない.

(2) 分離閉(separably closed): kの非自明な分離代数拡大が存在しない.

(3) 完 全 (perfect): kの 体 拡 大 が す べ て 分 離 的; 同 値 に char(k) = 0,ま た は char(k)=p>0かつFrobenius射kk, x7→ xpが全射.

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体が代数閉 ⇔ 完全かつ分離閉.

kを体とする.kの代数閉包(algebraic closure)/分離閉包(separable closure)/完全閉 包(perfect closure)とは,Kが代数閉/分離閉/完全なる体拡大kKであって,当 該性質をもつ体拡大kLに対しk-代数射KLが存在するものをいう.

命題91kの代数閉包/分離閉包/完全閉包は必ず存在し,k上代数的/分離代数 的/純非分離的である.kの代数閉包/分離閉包はk-代数同型を除き一意的.kの完 全閉包は一意的に決まるk-代数同型を除き一意的である.

k→Ωを代数閉/分離閉なる拡大体とすると,勝手な代数拡大/分離代数拡大kK に対しk-代数射K→Ωが存在する.

命題/定義92 kKを体拡大とする.

(1) k上代数的独立な元tiKからなる族(ti)iI が存在してKk((ti)iI)上代数 的になる.この族を体拡大kKの超越基底(transcendental basis)と呼ぶ.

(2) kKのどの2つの超越基底も同じ濃度をもつ.この濃度を超越次数

(tran-scendental degree)と呼びtrdegkKで表す.

(3) KLを第2の体拡大とするとtrdegkL=trdegkK+trdegKL.

(4) kK が 有 限 生 成 で あ れ ば ,有 限 超 越 基 底 (t1, . . . ,tn) が 存 在 し て K

k(t1, . . . ,tn)上有限になる.

従って,体拡大kKが代数的 ⇔ trdegkK=0.

分離拡大の特徴づけに必要な次を想起しよう.Aを環,Mを A-加群とするとき,Z-線形射d : AMであって,d(aa)=ad(a)+ad(a)a, aAを満たすものを導分 (derivaion)という.

命題93 体拡大kKに対し次が互いに同値になる.

(i) kKが分離拡大.

(ii) kの任意の有限純非分離拡大体Lに対しKkLが被約.

(iii) kの完全拡大体kが存在してKkkが被約.

(iv) Kの代数閉拡大体Ωとk上線形独立な元a1, . . . ,anKが勝手に与えられた

とき,Ωのk-自己同型σ1, . . . , σnでdet(

σi(aj))

i,j,0を満たすものが選べる.

(v) K-ベクトル空間Vと導分d : kV (VkKを通しk-ベクトル空間と見 なす)が勝手に与えられたとき,dがある導分D : kVに延長できる.

kKが代数拡大の場合,(i)–(v)は次と同値.

(vi) 各元aKk上分離的(すなわちak上最小多項式が,kのある/勝手な

代数閉拡大体において,重根をもたない).

kKが有限生成の場合,(i)–(v)は次と同値.

(vii) kKの超越基底(t1, . . . ,tn)が存在してk(t1, . . . ,tn)→Kが有限分離拡大に なる.

命題94 (原始元定理) 有限分離拡大は一元で生成される.

kKを体拡大とする.集合

kalg:={aK : ak上代数的}

ksep:={aK : ak上分離かつ代数的}

はいずれもKの部分体.それぞれ, kのKにおける代数閉包,分離閉包と呼ぶ.kが Kにおいて代数閉,分離閉であるとは,それぞれk=kalg, k=ksepが成り立つ場合に いう.

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定義95 代数体拡大kK

(1) 非分離(的) (inseparable): 分離的でない.

(2) 純非分離(的) (purely inseparable): kKにおいて分離閉.

(3) 正規(normal): 代数閉なる拡大体k→Ωとk-代数射σ: K→Ωが勝手に与 えられたとき,σ(K)⊂K (すると必然的にσ(K)=K)が成り立つ.

(4) Galois: 正規かつ分離.

kKを代数体拡大とする.ksepKは純非分離になる.

(16.1) [K : k]sep=[ksep: k], [K : k]insep=[K : ksep]

とおき,それぞれkKの分離次数(separability degree),非分離次数(inseparability degree)と呼ぶ.

注意96 kKを代数体拡大とする.

(1) 定義から直ちに

[K : k]=[K : k]sep[K : k]insep.

(2) Ωをkの代数閉拡大体とする.[K : k]sepが有限であるためには,k-埋入K→Ω からなる集合Homk-alg(K,Ω)が有限であることが必要十分であって,その場合

[K : k]sep=# Homk-alg(K,Ω).

(3) KLを第2の代数拡大とするとき,(1), (2)から

[L : k]sep=[L : K]sep[K : k]sep, [L : k]insep=[L : K]insep[K : k]insep.

補題97 2つの体拡大kK, kLに対し

dim(KkL)=min{trdegkK, trdegkL}.

(trdegkK, trdegkLがともに無限濃度の場合,dim(KkL)=∞を意味する.)

証明 trdegkK ≤ trdegkL としてよい.T = (Ti)iIKk上超越基底とすると,

k(T )kLKkLは整拡大ゆえ同一次元(定理54 (3)).よってK=k(T )としてよい.

するとKkLL[T ]の局所化.∴trdegkK=#I<∞ならばdim(KkL)#I.

冒頭の不等号からk-埋入KLが,従ってL-代数全射φ: KkLLが存在.その 核m⊂KkLは極大イデアル.m∩L[T ]Ti−φ(Ti), iIで生成されるから

dim(KkL)≥ht(m)=ht(m∩L[T ])#I (Iが無限の場合#I :=∞)

Iが無限の場合これから,有限の場合には前段の結果と合わせて,補題が従う.

命題98 体拡大kKに対し次が互いに同値になる.

(i) kKにおいて分離閉.

(ii) 各体拡大kLに対しKkLがただ1つの極小素イデアルをもつ(同値に, ベキ零根基

√0が素イデアル).

(iii) 各有限分離体拡大kLに対しKkLがただ1つの極小素イデアルをもつ.

(iv) ある分離閉なる拡大体k→Ωに対しKkΩがただ1つの極小素イデアルを もつ.

証明 一般に,2つの閉真部分集合の和で表せないような位相空間を 既約 とい う.

A に 対 し ,Spec(A) の 既 約 閉 集 合 は 一 意 に 決 ま る p ∈ Spec(A) を 以 てV(p) = {pを含む素イデアル}で与えられる.従って,Aがただ1つの極小素イデアルをもつ

Spec(A)が既約.この場合にAが既約と言おう.既約な位相空間の連続写像によ

うる像は既約ゆえ次が成り立つ.

(事実) 環の射ABに付随するSpec(B)Spec(A)が全射(例えばABが忠実 平坦)の場合,Bが既約ならばAもそう.

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(ii)⇒(iv). 自明. (iv)⇒(iii). 各有限分離体拡大kLは勝手なΩにk-埋入できる (命題91あと)から,上の(事実)より従う. (iii)⇒(i). (i)が成り立たない,すなわ ちkKが非自明な有限分離部分拡大kLを含むとすると,L⊗kLは非自明なベ キ等元を含む.同値にSpec(A)は非連結.とくにAは可約になり,(事実)より(iii)が 成り立たない.

(i)⇒(ii). kの拡大体Lを有限生成部分拡大体の有向和集合L=∪

αLαとして表すと,

KkL (=

αKkLα)のベキ零根基

√0はKkLαのそれらの和集合.従って,(i)か ら(ii)を示すのにLk上有限生成としてよい.kLが純超越拡大であればKkLL上多項式環の局所化ゆえUFD.このKkLにおいて,L上分離かつ代数的な元 はL (=kkL)の元に限ることに注意しよう37.

kLが分離拡大の場合, K⊗kLは整域である.実際L=ℓ[T ]/(p(T )).ここにk→ℓ は有限生成純超越拡大,p(T )はℓ上分離的モニック既約多項式.前段で見たように R=KkℓはUFD.R[T ]においてp(T )を割るモニック既約多項式q(T )を勝手に選 ぶ.q(T )の最高次よりほかの係数は,p(T )の(Frac(R)を含む体における)根の積和 ゆえℓ上分離かつ代数的.前段の注意からq(T )∈ℓ[T ].従ってq(T )はℓ上既約とな り p(T )に一致.こうしてp(T )R[T ]の素元.KkL=R[T ]/(p(T ))は整域.

一般の場合.char(k) = p > 0 としてよい.ある有限生成分離拡大 k → ℓ を以て,

L=ℓ[T1]/(T1pe1a1)⊗· · · ⊗ℓ[Tr]/(Trperar), ei≥0の形.前段の結果からR=Kkℓ は整域.rに関する帰納法により,既約なℓ-代数Rと純非分離単拡大ℓ→ℓ[T ]/(Tpea) とのテンソル積S =R[T ]/(Tpea)がまた既約であることを示せばよい.RR/

0 に替えて整域としてよい.θ=T mod(Tpea)Frac(R)上の最小多項式はTpdapd−e, 0≤deの形だが,上と同じ(事実)からapd−eR.R[T ]/(Tpdapd−e)は整域となる が,これはS/√

0に一致する.

99 体拡大kKに対し次が互いに同値になる.

(i) kKが純非分離(とくに代数的).

(ii) 各体拡大kLに対しk-埋入KLは高々1つしか存在しない.

(iii) 各体拡大kLに対しKkLはただ1つの素イデアルをもつ.

証明 (i)⇒(iii). 補題97よりdim(KkL)=0.(i)のもと,命題98よりKkLは ただ1つの極小素イデアルをもつから(iii)が従う.

(iii)⇒(ii). Homk-alg(K,L)=HomL-alg(KkL,L)Spec(KkL)より(最後の包含は L-代数射φにその核Ker(φ)を対応させる).

(ii)⇒(i). (ii)においてLとしてkの代数閉包を選べ.

References

[Atiyah–MacDonald] M. F. Atiyah, I. G. MacDonald, Introduction to commutative algebra, Addison-Wesley, 1969.

[Bourbaki] N. Bourbaki, Commutative algebra, Herman, 1972.

[松村] 松村英之「可換環論」共立出版, 1980.

[Waterhouse] W. C. Waterhouse, Introduction to affine group schemes, Springer, Graduate Texts in Mathematics Vol. 66, 1979.

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一般に,体k上の有限生成代数Rにおいて,有限次元分離部分代数(kの有限分離拡大 体の有限直積と同型であるような部分代数)のうち最大のものπ0(R)が存在し,これは係数 体の拡大kLで保たれる[Waterhouse, Section 6.5].いまの場合,L上分離かつ代数的な元 x=∑

iaibiKkLに対し, RKaiたちが生成する部分代数とすれば,x∈π0(RkL)= π0(R)kL=L.

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演習題

頭の番号で関連する節(例えば演習題7.1, 7.2は第7節)を表す.

断りがなければAは(可換)環を表す.

1.1 k[T ]を体k上の1変数多項式環とする.元 fk[T ]kに対し,次が互いに同 値であることを示せ.

(i) fkの代数閉包において重根をもたない.

(ii) k[T ]/( f )k-代数として,有限個のk上有限次分離拡大体の直積に同型.

(iii) 勝手な体拡大kLに対しL[T ]/( f )が被約.

1.2 A, Bを体k上の局所代数とするとき次を示せ.

(1) kB/mBが代数拡大であれば,k-代数射ABは必ず局所的である.

(2) Bが有限生成k-代数の極大イデアルにおける局所化であれば,k-代数射AB

は必ず局所的である.

(3) 一般にk-代数射ABが局所的とは限らない(例証せよ).

4.1 Pを加群に関する,次のいずれかの性質とする.有限生成,有限表示をもつ,平 坦,忠実平坦,有限生成射影的.忠実平坦射ABによる係数拡大が性質Pを反射 (reflect)すること,すなわちA-加群Mに対しB-加群BAMが性質Pをもてば,M 自身も同じ性質をもつことを示せ.

5.1 A-加群Mの台(support)を

Supp(M)={p∈Spec A : Mp ,0}

により定義する(命題57 (4)). M, Nを有限生成A-加群とするとき Supp(MAN)=Supp(M)Supp(N) を示せ.

6.1 X :=Spec AをZariski位相をもつ位相空間(脚注17)と見て,次を示せ.

(1) 有限生成A-加群Mの台Supp(M)は閉集合.実際Supp(M)=V(Ann(M)) A-加群Mが有限生成でなくてもSupp(M)V(Ann(M))が成り立つ.

(2) 有限生成射影的A-加群Mに対し,p7→ rkAp(Mp) (=dimκ(p)(κ(p)⊗A M))が与 える写像X→N={0,1,2, . . .}(離散位相空間)は連続である.

(3) 有限生成射影的A-加群Mが与えられたとき,Xの各連結成分Xα の基本開 集合による有限被覆Xα =∪rα

i=1D( fi)をうまく選んで,各1 ≤irαに対し MfiAfi 上自由であるようにできる.

X=Spec AZariski位相とは,すべての

V(a)={p∈X :p⊃a}, a⊂Aイデアル を閉集合とするもの.等しく,すべての

D( f )={p∈X : f <p}, fA を開集合基とするものである.

7.1 素数pに対し,Zの素イデアル(p)における局所化をZ(p)とする.QのZ(p)に よる剰余Z-加群Q/Z(p)において,各非負整数nに対しpn modZ(p)の生成する部分 Z-加群をGnとかく.次を示せ.

(1) GnがQ/Z(p)の真部分加群のすべてを与え,0=G0(G1(G2(. . . . (2) Z-加群Q/Z(p)はArtinであるがNoetherでない.

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7.2 脚注10にある準素分解に関する事実の証明を与えよ.

7.3 次を示せ.代数閉体k上の有限次元代数A,0は,

k[T1, . . . ,Tr]/(T1n1, . . . ,Trnr), ni>0, r≥0 の形をしたk-代数の有限直積に同型である.

8.1 N={0,1,2, . . .}を添え字集合にもつA-加群の射影系の短完全列 0→ {Ln}−→ {{fn} Mn}−→ {{gn} Nn} →0

(すなわち各0→Ln fn

−→Mn gn

−→Nn →0がA-加群の短完全列で,{fn},{gn}がともに 射影系をなす射と両立する)が与えられたとき,次を示せ.

(1) 0→lim

←−Ln lim←−fn

−→lim

←− Mn lim←−gn

−→ lim

←−Nnは完全.

(2) 射影系

({Ln}n, {unm}mn)

Mittag-Leffler条件を満たす,すなわち∀nn0n : Im(unn0+k)がk≥0によらず一定(例えばun+1n がすべて全射であれば,こ れは満たされる)とすると,lim

←−gn: lim

←− Mn→lim

←−Nnは全射.

(3) 一般には(2)の結論は成り立たない(例証せよ).

8.2 系41からとくに,局所Noether環Aにおいて

n≥0

mnA=0.

これから次を導け.

(1) Noether環Aにおいて

m極大イデアル

n0

mn=0.

(2) Noether整域Aにおいて勝手な真のイデアルb(Aに対し

n0

bn=0.

注意 これら一連の等式はKrull交叉定理と呼ばれる.

8.3 kを実数体Rまたは複素数体Cとするとき次を示せ.1変数形式ベキ級数環 k[[T ]]において,正の収束半径をもつもの全体k{T}は部分局所環をなし,その(極 大イデアルによる)完備化はk[[T ]]に一致する.

またこれを多変数の場合に一般化せよ.

9.1 Aを局所Noether環,(a1, . . . ,ar)をA-正則列(定義58)とする.Aが体kを部 分体として含むとき,a1, . . . ,ark-上代数的独立であって,Ak[a1, . . . ,ar]上平坦 である.下を順に示してこれを導け.

(1) φ(Ti)=ai(1≤ir)が与えるk-代数射φ: k[T1, . . . ,Tr]→Aが平坦であるこ とさえ示せば,その単射性が従い,残りの代数的独立性を得る.

(2) その平坦性を示すには,定理48を環k[T ]=k[T1, . . . ,Tr]とイデアル(T1, . . . ,Tr), k[T ]-加群Aに適用することにより

Tork[T ]1 (k,A)=0

さえ示せばよい(定理の証明にある条件(iii)を用いる).

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(3) 上記Torを計算するために,kk[T ]-自由分解として,k[T ]/(Ti)のk[T ]-自 由分解

· · · →0→0→k[T ]−→Ti k[T ]k[T ]/(Ti)→0

を 1 ≤ ir に わ たってk[T ] 上 テ ン ソ ル し た も の( 境 界 作 用 素 の 符 号 を 適 宜 変 え る )が 選 べ る .こ れ を Fk → 0 と か く と ,A⊗k[T ] を 施 し た Ak[T ]FA/(a1, . . . ,ar)→0は完全となり,従って

Tork[T ]n (k,A)=



A/(a1, . . . ,ar) n=0,

0 n>0.

注意 Ak[T ]FKoszul複体と呼ばれる.

10.1 Aを整域,K=Frac(A)をその商体とするとき次を示せ.

(1) Aが整閉整域の場合,Kを含む代数拡大体の元bA上整であれば,bK

上最小多項式はすべての係数をAにもち,B=A[b]Aの整拡大でA-加群 として有限生成自由,Frac(B)=KABとなる.

(2) Aが整閉整域でない場合,上が成り立つとは限らない.

10.2 AをUFDとする.B=A[√f]

Aを含む整域であって,square-freeな(=ど んな素元の2乗でも割れない)Aの元f の2乗根

fA上生成されているとする.

次を示せ.

(1) 2∈A×であればBは整閉整域になる.

(2) Aが体k上の多項式環k[T1, . . . ,Tn]の場合,char(k),2であればBは整閉整 域になる.char(k)=2の場合,f が仮定「すべてのTiに関し偶数次であるよ うな単項式を含まない」を満たせば,同じ結論が成り立つ.

10.3 Aを整閉整域,Lを商体K =Frac(A)の正規拡大体,BALにおける整 閉包とする.G = Aut(L/K)LK-自己同型群とする.GLへの作用はB

(A-代数)自己同型に制限されるから,Spec(B)上の置換を引き起こす.Spec(B)/Gに

よりSpec(B)におけるG-軌道全体の集合を表すとき,包含φ: A ֒→ Bに付随する

aφ: Spec(B)Spec(A)が全単射

Spec(B)/G−→ Spec(A) を引き起こすことを示せ.

10.4 kを体とする.次を示せ.

(1) A,0を有限生成k-代数とし,定理56 (Noether正規化定理)にいうk-代数単 射φ: k[T1, . . . ,Td]→Aを包含と見る.AT1, . . . ,Tdが生成するイデアル による剰余環A/(T1, . . . ,Td)は,非零有限次元k-代数である.これより,A の極大イデアルmで有限余次元なる(A/mがk上有限次元である)ものが 少なくとも1つ存在する.

(2) (Hilbert零点定理)有限生成k-代数A,0の極大イデアルはすべて有限余次

元である.またAのJacobson根基r(A)とベキ零根基

√0は一致する.

(3) kが代数閉体であれば,多項式環k[T1, . . . ,Td]の極大イデアルは (T1a1, . . . ,Tdad), (ai)∈kd

の形に1通りに表される.こうして全単射

kd −→ { k[T1, . . . ,Td]の極大イデアル} が得られる.

49

12.1 Noether環A,0上の1変数多項式環A[T ]について dim A[T ]=dim A+1

が成り立つ(dim A=∞の場合dim A[T ] =∞と了解する)ことを,次を順に示して 導け.

(1) 包含φ: AA[T ]は忠実平坦ゆえ,付随するaφ: Spec BSpec Aは全射 である.これより,勝手なp∈Spec Aと,その上にある素イデアルのうち極 大なq∈Spec Bに対し

htq=htp+1 を示せばよい.

(2) 命題65を平坦射ApBqに適用して,上の等式は ht(q/pB)=1

に同値である.

(3) qBp/pBpは体k=Ap/pAp上の1変数多項式環k[T ]の0と異なる素イデアル であり,これより(2)の等式が従う.

12.2 kを体とするとき次を示せ.

(1) 多項式環k[T1, . . . ,Td]の次元はdに等しく,従って素イデアル鎖(0)⊂(T1)⊂

(T1,T2)⊂ · · · ⊂(T1, . . . ,Td)は最長である.

(2) k上の有限生成代数Aが既約(命題98証明; √

0が素イデアル)であれば,す べての極大イデアルmに対し高さht(m)は一定でdim Aに等しい.

12.3k上の3変数形式ベキ級数環k[[T1,T2,T3]]のイデアルa=(T1)∩(T2,T3)に よる剰余環をA=k[[T1,T2,T3]]/aとし,TiAにおける自然な像をtiとかく.この とき次を示せ.

(1) Aは2次元局所Noether環で,極小素イデアルは(t1)と(t2,t3)から成る.

(2) t2, t1+t3Aの巴系を成すが,t2は極小素イデアルに含まれるからht(t2)=0. とくに(t2, t1+t3)は定昇列(補題61 c)ではない.

13.1 命題66 (iii)⇒(i)の証明を与えよ.

13.2 (1)有理数体Qの付値環とその完備化をすべて求めよ.

(2)実数体R上の1変数有理関数体R(T )の付値環のうち,R[T ]を含むものすべてを 求めよ.またそれらの完備化を同型によって分類せよ.

13.3 命題69 (1)の証明を与えよ.

13.4 命題69 (3)の証明に引用した,次の事実を証明せよ.有限次体拡大L/KL

の付値vに対し,付値群の指数(分岐指数)e(L/K) =[v(L×) : v(K×)] は拡大次数 [L : K]を超えない.

14.1 命題70 (1)の証明にある(事実)を証明せよ.

14.2 命題73 (iii)⇒(ii)の証明にある(事実)を証明せよ.

14.3k上の既約な(演習題12.2)有限生成代数が A=k[T1, . . . ,Tn]/( f1, . . . ,fr), r>0

の形に表されているとする.点 a = (a1, . . . ,an) ∈ kn がすべての1 ≤ ir に対し fi(a)=0を満たすとする.すると

m:=ma =(T1a1, . . . ,Tnan)/( f1, . . . ,fr) がAの極大イデアルになる.次が互いに同値であることを示せ.

(i) 局所化Amが正則局所環である;

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