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件、次いで「研究協力/推進課(部門、グループ)等で対応」が 10 件となった。

大学(組織)としての利益相反マネジメントの整備状況については、まず、大学(組織)

としての利益相反ポリシー等の制定について質問したところ、全体で

67

%が「制定してい ない」という回答であった(図

2-3-59

)。大学別にみても、過半数は制定していない(図

2-3-60

2-3-62

)。また、大学(組織)としての利益相反ポリシーや規則・規程等を「制定してい

る」と回答した大学に対して、制定年月日の記載を求めた。この結果、全体では

2006

年と

2009

年の制定が並んで最も多く

20

%となった(図

2-3-63

)。大学種別でみると、国立大学

2004

年が最も多く

27

%、次いで

2005

年(

23%

)となっているが、公立大学では多い順

2009

年(

33

%)、

2006

年(

22

%) 、私立大学は

2009

年と

2011

年が

33

%で並んだ。な

お、大学(組織)としての利益相反ポリシーや規則・規程等を「制定している」と回答し た大学に対して、具体的な記載を求めたところ、ほとんどが「ポリシーを制定している」

といった回答であった。また、同様に、大学(組織)としての利益相反ポリシーや規則・

規程等を「制定している」と回答した大学全

41

件(国立大学

23

件、公立大学

9

件、私立 大学

9

件)の利益相反関連の規則・規程等の内容を筆者が確認したところ、

1

大学(国立大 学)を除き、ポリシー・規程等に「大学(組織)としての利益相反」の定義が入っている のみで、役員の自己申告はあるが、大学自体のシステムはない、という状況であった。つ まり、大学(組織)としての利益相反ポリシーや規則・規程等を「制定している」と回答 したほとんどの大学では、ポリシーや規則等、何らかの定めに文部科学省の

WG

報告書が 取りまとめた「大学(組織)としての利益相反」という言葉の定義を掲載しているのみで あって、それが生じた場合の対応や未然に防止する手続きは具体的に定められていない。

また、基本的に、役員の利益相反マネジメントが行われているだけで、それは個人として の利益相反マネジメントと同様の扱い(個人的利益の自己申告書の提出など)である。し たがって、これらについては、 「個人としての利益相反ポリシー等」のみ定めている大学の 状況とほとんど変わりがない。 「個人としての利益相反ポリシー等」を定めている大学では、

職員のみならず役員の自己申告を要請しているのが通常であるからである。また、 「大学自 体」が株式等を取得していることなどについても具体的に定めている大学はほぼない。つ まり、 「大学(組織)としての利益相反」という言葉の定義はポリシー等に掲げている大学 はあっても、ほとんどの大学でマネジメントとしては個人としての利益相反の場合との区 別は明確にされておらず、実態としては「個人としての利益相反マネジメント」と同様の マネジメントを行っているということである。

なお、

1

国立大学と

2

私立大学(

1

学校法人)のみ、大学(組織)としての利益相反への 対応を定めた規定を設けていた。国立大学については、利益相反マネジメント要項に「大 学としての利益相反の対応に係る手続等」という項目を定めており、職員等が大学として の利益相反問題を予見した場合、随時利益相反アドバイザーに問題提起をすることができ ることが定められている。また、私立大学(学校法人)の方では、学校法人の利益相反マ ネジメント規程に「大学としての利益相反への対応」という項目を定めており、やはり、

教職員等において各大学等が大学としての利益相反の状況にあると思われた場合には、随 時問題提起をすることができると定められている。また、別の

3

つの国立大学の利益相反 マネジメント規則や規程には、「職員(役職員、教職員等)の責務」として、職員は、利益 相反の発生が懸念される場合や該当する場合は、利益相反委員会(利益相反アドバイザー、

利益相反相談室)に相談する等、利益相反の回避に自ら努めること等が定められているも のがあったが、特に組織としての利益相反について具体的な対処を示した記載はなく、個 人、組織両者の利益相反問題に関する抽象的な規定となっている。

一方、大学(組織)としての利益相反に関して、ポリシーや規則・規程等を「制定して

いない」と回答した大学に対して、現在の状況について回答を求めた結果、全体では「現

在のところ組織としての利益相反ポリシーや規則・規程等を策定する予定はない」とした 回答が最も多く

55

%、次いで「今後組織としての利益相反ポリシーや規則・規程等を策定 するかどうかを検討中である」が

33

%となり、回答はこの

2

種類のみとなった(図

2-3-65

2-3-68

)。なお、公立大学では「検討中」が

70

%で、 「策定予定はない」の

30

%を上回っ た。また、 「現在のところ組織としての利益相反ポリシーや規則・規程等を策定する予定は ない」と回答した大学の理由としては、 「該当事例がないから」とする回答が最も多く

6

件、

「役員の自己申告もさせているから」、 「個人としての利益相反規則等を制定したばかり(制 定途中)だから」各

5

件と続いた(表

2-3-14

)。

大学(組織)としての利益相反ポリシーや規則・規程等を「制定している」と回答した 大学に対しては、さらにそれらの内容について問を設けた。

まず、大学(組織)としての利益相反ポリシーや規則・規程等について、意思決定権限 のある者の個人的利益の申告義務についてたずねたところ、 「一般職員と同様の申告義務を 課している」との回答が全体で

83

%を占めた(図

2-3-69

)。一方、「特別の申告義務を課し ている」との回答は国立大学にのみ

13

%(

3

件)あった(図

2-3-70

3-3-72

)。また、「特 別の申告義務を課している」との回答者に具体的な記載を求めたところ、「学長、役員、部 局長についてはすべて申告させている」、「役員の兼業を役員会に報告している」、「臨床研 究を実施してなくても申告を義務づけている。申告内容は臨床研究実施者と同じ」との回 答が得られた。一般の教職員よりも役員等の申告内容の基準を厳しいものとしたり、報告 の場が相違していたりするとの回答となった。

次に、大学(組織)そのものの利益相反に関する禁止事項についての設問に対しては、

「特に禁止事項を設けていない」との回答が全体で

90

%を占めた(図

2-3-73

)。一方、「大 学(組織)と共同研究・受託研究、製品・サービスの納入、工事の請負等の契約関係にあ る企業について、大学(組織)や大学と関連する財団などが寄付金を受けることを禁止し ている」との回答は国立大学にのみ

5

%(

1

件)あった(図

2-3-74

3-3-76

)。なお、回答 の選択肢の一つである「大学(組織)が相当程度の株式(未公開株式等を含む)を保有す る企業について、大学(組織)が共同研究・受託研究(治験等の臨床研究を含む)を行う ことを禁止している」との回答はなかった。また、「その他」を選択した大学が国立大学と 公立大学に各

1

件あった。これらの大学に対して「具体的に記入してください。 」と記載を 求めたところ、「禁止事項を設けるのではなく、大学としての利益相反の対応に係る手続き 等を定めている」(国立大学)、「法人としての大学がその社会的責任を果たしていないと客 観的に見られ(組織としての利益相反)ないこと」(公立大学)というような抽象的な回答 であった。

さらに、大学(組織)としての利益相反を審議するための委員会の設置についての設問

に対しては、 「特別の委員会を設置せず、個人としての利益相反委員会で併せて審議してい

る」との回答が全体で

88

%を占めた(図

2-3-77

)。一方、「設置している」との回答は公立

大学に

11

%(

1

件)あった(図

2-3-78

3-3-80

)。この「設置している」との回答者に対し

て具体的な記載を求めたところ、「キャンパス毎に委員会を設定」との回答があった。わか れたキャンパスごとにそれぞれ委員会を設置し、大学としてまとめて別に委員会を設置し ているとのことである。その他、大学(組織)としての利益相反マネジメントに関する特 別な仕組みについては、該当する記載はなかった。

さて、実際に生じた個人としての利益相反事例についての設問には、全体で

88

%が「生 じたことがない」という回答であった(図

2-3-81

)。「生じたことがある」との回答は国立 大学に

14

%(

10

件)、私立大学に

9

%(

6

件)の回答があった(図

2-3-82

2-3-84

)。

また、個人としての利益相反事例について「生じたことがある」と回答した大学に対し て具体的内容の記載を求めたところ、 「臨床研究・厚労科研関連企業からの寄付金や個人的 利益」、「代表・役員を務める企業から物品購入」、「共同研究・寄付金受領企業が自社広告 に大学の名称・写真を利用したがる」などがそれぞれ

2

件となった(表

2-3-15

)。生じた問 題の対応については、 「注意」にとどまる場合や「役員辞任」など、大学やケースに応じて 異なっていたり、そもそも営利企業の兼業と共同研究を禁止したりしている大学などもみ られた。

実際に生じた組織としての利益相反事例についての設問には、全体で

95

%が「生じたこ とがない」という回答であった(図

2-3-85

)。「生じたことがある」との回答は国立大学と 私立大学にあり、ともに各

1

%(各

1

件)であった(図

2-3-86

2-3-88

)。また、組織とし ての利益相反事例について「生じたことがある」と回答した大学に対して具体的内容の記 載を求めたところ、国立大学

1

件、私立大学

1

件、計

2

件の回答があった。国立大学では、

大学が特許権を有して大学発ベンチャーで製作している機器を国の大型研究費で大学が購 入しなければならないといった事例の記載があった。また、私立大学では、「一般論として 利益相反は避けられない」との記載であった。

最後に大学における利益相反に関する自由意見の記載を求めたところ、国立大学

4

件、

公立大学

2

件、私立大学

10

件、計

16

件の記載があった。内容をまとめると、上位を占め たのは、 「マネジメントが困難、ノウハウがない、専門家がいない」 (

4

件)、 「利益相反マネ ジメントの重要性の認識が薄い」(

3

件)など、利益相反マネジメントの運営に苦慮してい る記載であった(表

2-3-16

)。また、それに続き、 「他大学を参考にしている(したい)」 (

3

件)、「明確な指針がない、より具体的な国のガイドラインがほしい」 (

2

件)といった対応 面での記載もみられた。

共同研究等の産学連携活動を少しでも行っている大学においては、個人としての利益相

反マネジメントシステムがその対応の濃淡の差はあれ、

75

%が導入されていた。特に国立

大学での導入率は

9

割を超える状態で、公私立大学の約

6

割という状態と比較すると、先

導的な役割を果たしてきた。システムの概要はほぼ同様であるが、毎年の自己申告の金額