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仮説 2 の検証

ドキュメント内 修 士 論 文 (ページ 42-49)

第 4 章 仮説検証

3 仮説 2 の検証

サンプル全体像を把握するために、表 11で記述統計量を計算した。MVは企業が減価償 却方針を変更する年度の期末から3カ月経った時点の市場価値、BVは企業のその決算期期 末の帳簿価値、FAは決算期期末の固定資産純額、DE Ratioは企業決算期期末の負債比率(負 債/純資産)、SBは利益平準化度(規模で調整していない数値)、∆Depは減価償却方針変更が 当期の税引前当期純利益に対する影響額(利益を増加させる場合はプラス)、Income は当該 年度の税引前当期純利益で、salesは当該年度の売上高である。(金額はすべて100万円単位 で、DE Ratioの単位は%である)

本研究で使われている変数の定義、単位及び入手方法は、表12でまとめている。

表11 仮説2の変数の記述統計量

記述統計量

最小値 最大値 平均値 標準偏差

MV 4554 10341641 444644 1020838

BV 3567 6558928 327305 739077

FA 2766 10564500 386198 1190682

DE Ratio 10 887 118 109

SB -105370 16067 -1953 9862

∆Dep 23 105370 2970 9650

Income -170 949563 41501 110748

Sales 8033 12506091 619715 1395384

36 表12 本研究で使われる変数の定義

変数名 定義 単位 入手方法

Sales 売上高 百万円 日経ニーズFQで収集した。

Income 当期税引前純利益

MV 決算日から三ヵ月 時点の市場価値 BV 決算日における簿

FA 固定資産純額

DE Ratio 負債/純資産 日経ニーズFQで収集した負債と純資

産の比率を計算した。

∆Dep 減価償却方針変更

が当期税引前利益 に対する影響額

百万円 EOLデータベースで、財務諸表注記か ら収集した影響額。

stock 決算日から三ヵ月

時点の株数

百万株 日経ニーズFQで収集した。

上の表11を見てみると、∆Dep/Incomeの平均値は7.16%であることから、減価償却方針 の変更は、当該年度の利益に相当な影響を与えていることが分かった。これによって、減価 償却方針の変更の意思決定は、企業にとって、重要であることが分かり、経営者がこれを使 い利益操作を行う動機を持つ可能性があると判断できる。また、サンプル企業の規模をみる と、ばらつきが大きく、MV、BV、Salesそれぞれ標準偏差が平均値の二倍以上になっている。

37 表13 仮説2におけるSB符号別平均値

D 度数 平均値

MV 1 63 321122

0 140 500229

BV 1 63 222478

0 140 374477

FA 1 63 174319

0 140 481543

DE Ratio 1 63 90.7

0 140 130.0

SB 1 63 1451

0 140 -3484

∆Dep 1 63 1643

0 140 3567

Income 1 63 24161

0 140 49304

sales 1 63 381419

0 140 726949

なお、上の表13のように、全サンプルを、利益平準化しているグループと、そうでないグ ループに分けて、上述の記述統計量をみると、それぞれ以下の特徴がみられている。

1.企業規模とかかわっている全ての統計量について、利益平準化をしている企業より、

そうでない企業のほうが、平均値が高い。なお、独立サンプルのT検定で検証した結果、

これらの平均値の差は、MVを除き、すべて5%の有意水準で有意している。すなわち、サ ンプル企業の中で、規模が比較的に小さい企業のほうが利益平準化行動を取る傾向がみら れている。

2.規模と直接にかかわっていない変数であるDE Ratioの平均値については、利益平準化 をしている企業は、そうでない企業に比べて、比較的に高い数値がみられている。これも 5%の有意水準で有意になっている。これは、サンプル企業の中で、財務状況が悪い、負

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債比率が高い企業は、負債比率が低い企業に比べて、利益平準化を行う傾向があることを 示唆している。

上述の記述統計からみると、企業規模は利益平準化行動を行うか否かの意思決定に関連 があることが見られたが、これからは、株数を企業規模の代理変数として設定し、コントロ ールした上で、利益平準化のグループとそうでないグループの特徴を見てみる。

表14 仮説2におけるSB符号別平均値(規模をコントロールした結果)

D 度数 平均値

∆Dep/BV 1 63 .0101

0 140 .0449

FA/BV 1 63 .8621

0 140 1.1887

Income/BV 1 63 .1081

0 140 .1305

MV/BV 1 63 1.4608

0 140 1.5340

上の表14で示しているのは、∆Dep、FA、Income、MVの四つの変数が、それぞれBVで 割った結果の平均値の記述統計である。平均値の差が小さくなり、独立サンプル T 検定の

ほうも、FA/BV以外は5%水準で有意な差が見られていない。FA/BVでは利益平準化をして

いないグループのほうが、平均値が有意に高い。すなわち、利益率及び減価償却方針変更の 影響額などの指標では、二つのグループの間に有意な差異が見られていないが、固定資産が 簿価に占めている割合が低い場合、減価償却方針の変更を用いて、利益平準化をする傾向が あることを示唆している。

39 表15 仮設2 相関表(デフレートする前) 相関係数表

sales Income FA DE Ratio MV BV ∆Dep

Sales 1 .839** .890** .227** .705** .883** .431**

Income .839** 1 .806** .035 .935** .972** .684**

FA .890** .806** 1 .231** .693** .868** .460**

DE Ratio .227** .035 .231** 1 -.027 .058 -.025

MV .705** .935** .693** -.027 1 .922** .729**

BV .883** .972** .868** .058 .922** 1 .664**

∆Dep .431** .684** .460** -.025 .729** .664** 1

**. 相関係数は1%水準で有意 (両側) です。

上の表15は、各変数が規模でデフレートされる前の相関係数表である。見てみると、総 じて変数の間に高い相関がみられている。特にBV、MVとIncomeの間に高い相関があるこ とが分かった。これは、企業規模でコントロールしていない数値を使っているからである。

では企業規模でデフレートした各変数の相関表を見る。

表16 仮説2 相関表(株数でデフレートした) 相関係数表

MV BV ∆Dep Income

MV 1 .746** .032 .782**

BV .746** 1 .005 .859**

∆Dep .032 .005 1 .006

Income .782** .859** .006 1

**. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。

上の表16はMV、BV、∆Dep、Incomeをそれぞれ流通株数で割ってデフレートした結果

の相関表である、BV、MVとIncomeの間に依然とした有意に高い相関が見られている。こ れから、回帰モデルで仮説2を検証するときに、多重共線性が発生する可能性がある。仮説

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2の部分で、多重共線性が発生するかをVIFの数値を算出して、検証したうえで、回帰モデ ルで仮説を検証する。

𝑀𝑉𝑖𝑡= 𝛽0+ 𝛽1(𝑁𝐼𝑖𝑡− ∆Dep𝑖𝑡) + 𝛽2𝐵𝑉𝑖𝑡+ 𝛽3∆Dep𝑖𝑡+ 𝛽4𝐷𝑖𝑡+ 𝛽5∆Dep𝑖𝑡𝐷𝑖𝑡+ 𝜀𝑖𝑡 (5)

仮説2を検証するために、范(2009)を参考にして、式5の回帰モデルを立てた。本研究 でNIitをNIit− ∆Depitと∆Dep𝑖𝑡の二つの部分に分けることによって、∆Dep𝑖𝑡の部分の価値関 連性を検証する。なお、経営者が公表している∆Dep𝑖𝑡の情報に対して、利益平準化と利益平 準化でないと判断される場合、投資家はいかに捉え方が違うという仮説 2 を検証する。数 式で見ると、ダミー変数D及びDと∆Dep𝑖𝑡の交差項の係数に一番関心を持っている。前述 のように各変数を計算したうえで検証する。なお、D以外のすべての変数に対して、株数で デフレートした数値を使う。

表17 年度ダミー付いていない回帰モデル

モデル

非標準化係数

t 有意確率

共線性の統計量

B 標準誤差 許容度 VIF

(定数) 184.535 150.620 1.225 .222

BV/stock .405 .127 3.199 .002 .253 3.950

D*∆Dep/stock 3.847 10.095 .381 .704 .628 1.591

∆Dep/stock 6.719 1.070 6.282 .000 .109 9.147

(Income - ∆Dep)/stock 6.494 1.009 6.435 .000 .084 11.946

D 51.770 237.324 .218 .828 .645 1.550

a. 従属変数 COMPUTE MVstock=MV/stock

結果は上の表 17 に示されている。係数及び有意確率を見ると、変数 BV/stock、∆Dep/

stock及び(Income-∆Dep)/stockの係数は1%有意水準で有意にゼロより大きい。ということ

は、簿価及び税引前利益数値は、価値関連性を持っている。なお、税引前利益数値を減価償 却方針変更の影響額とそれ以外の部分に分けてみてもそれぞれ価値関連性があることが明 らかになった。これは理論及び先行研究と一致している。

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しかし、本研究で一番関心を持っている𝛽5については、推定値が 0 より大きいことは理 論及び本研究の仮説と一致しているが、有意確率が遥かに0.05 を上回っている。ゆえに、

このサンプルから見ては、仮説2の帰無仮説を否定することができない。すなわち、サンプ ルの中では、利益平準化をする場合は、そうでない場合に比べて、減価償却方針変更の影響 額の価値関連性が高い証拠を得られなかった。

なお、本研究のもう一つの問題点は、上述のように、BV、MVとIncomeの間に高い相関 係数が見られたことによって、多重共線性がある可能性が高い。故に、多重共線性に関する 統計量も表15であらわした。(Income-∆Dep)/stockのVIF統計量が10以上であることが分 った。これは多重共線性があることを示している。本来モデルから外すか、主成分分析をす る必要があるが、価値関連性のモデルを使っている以上、重要な変数である

(Income-∆Dep)/stockをモデルから外すことができない。故に、本研究ではこの問題を放置して、こ

のまま分析する。多重共線性が発生するから、モデルによって、係数に対する推定値が安定 していない可能性が大きくなる。

一番関心を持っている𝛽5ではプラスになったものの、有意な結果になっていない。これは 仮説を支持していない証拠である。

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ドキュメント内 修 士 論 文 (ページ 42-49)

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