代謝に関与する酵素(CYP450等)の分子種
(2)
クエチアピン 1)
ヒト肝ミクロソーム及びCYP3A4発現系による14C標識クエチアピンin vitro代謝生成物を検討したとこ ろ、ヒトにおけるクエチアピンのM4への代謝にはCYP3A4が関与すると考えられた。また、M10への 代謝には非ミクロソーム酵素が関与すると推察された。代謝物(M5)ノルクエチアピンは主にCYP3A4に より生成された47)。
ヒトにおけるクエチアピン代謝に関与すると推定される酵素47)
代謝物M5(ノルクエチアピン)31)
2)
ヒト肝ミクロソーム、ヒトCYP及びフラビンモノオキシゲナーゼ(FMO)発現系並びに抗CYP2B6モノク ローナル抗体を用いて M5 の代謝に関与する代謝酵素を検討したところ、M5 の代謝には CYP3A4、 CYP1A2、CYP2B6、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A5、FMO1及びFMO3が関与することが示唆された。
<参考> CYP阻害作用について
①クエチアピン及び代謝物47)
ヒトP450アイソフォームに対する未変化体及び代謝物のin vitro阻害能を検討したところ、CYP1A2、 CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4活性に対して弱い阻害能を示した。
クエチアピン及び代謝物のin vitro代謝阻害能 代謝阻害率(%) P450
(基質)
CYP1A2 (フェナセチン)
CYP2C9 (トルブタミド)
CYP2C19a) (S-メフェニトイン)
CYP2D6 (デキストロメトルファン)
CYP3A4 (ニフェジピン) 化合物濃度 30μM 150μM 30μM 150μM 30μM 150μM 30μM 150μM 30μM 150μM
化 合 物
クエチアピン -b) 17 - 47 - 40 30 62 - 40
M1 33 51 30 63 52 68 50 61 16 89
M2 - 37 - 50 47 68 43 57 - 9
M4 - 14 - 47 - - 18 59 33 56
M5 - 43 - 37 - 50 37 76 52 87
M6 - 21 - 38 - - 41 65 8 53
M7 - 20 - 40 - - 37 53 - 31
M8 - 20 - 42 - 24 - 49 - 13
M9 - 37 35 72 54 76 - 50 - 11
M10 - 12 - 47 - 3 - 6 - 19
a)M4、M6及びM7とS-メフェニトイン代謝物との分離が不十分であったため、これらの代謝物の阻害率は求められなかった。
b)150μMにおける阻害率が50%以下であったので、試験しなかった。
②代謝物M5(ノルクエチアピン)31)
ヒトのCYP分子種代謝活性に及ぼすM5の阻害作用をヒト肝ミクロソームを用いて検討した。M5(添加 濃度0.14~100μmol/L)は、CYP2C19(IC50値:21.1μmol/L)、CYP2D6(IC50値:41.3μmol/L)及びCYP3A4(IC50
値:6.5~18.9μmol/L)に対して阻害作用を示したが、CYP1A2及びCYP2C9に対しては阻害作用をほと んど示さなかった(IC50値:>100μmol/L)。また、M5はCYP2D6及びCYP3A4に対して時間依存的な阻 害作用を示さなかった。
ヒトCYP分子種の代謝活性に対するM5の阻害作用
CYP分子種(基質) IC50(μmol/L)
CYP1A2 (20μmol/Lフェナセチン) >100
CYP2C9 (5μmol/Lジクロフェナク) >100
CYP2C19 (20μmol/L S-メフェニトイン) 21.1
CYP2D6 (5μmol/Lデキストロメトルファン) 41.3
CYP3A4 (3μmol/Lミダゾラム) 9.4
CYP3A4 (15μmol/Lニフェジピン) 18.9
CYP3A4 (30μmol/Lテストステロン) 6.5
以上のように、in vitro 試験において、クエチアピン及びノルクエチアピンを含む代謝物は CYP1A2、
CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4活性に対して弱い阻害作用を示したが、臨床用量のヒトでの
血漿中濃度の約15倍以上の濃度でみられる作用であり、薬物相互作用の惹起を示唆するものではないと 考えられた。
初回通過効果の有無及びその割合
(3)
該当資料なし
代謝物の活性の有無及び比率
(4)
クエチアピンの主要代謝物の薬理作用を、受容体親和性及びドパミン受容体拮抗作用等について検討した ところ、ヒト血漿中の主要代謝物であるM4及びM10はいずれにおいても作用を示さなかった。一方、
M1及びM2は、いずれもクエチアピンに比しドパミンD1、D2及びセロトニン5HT2受容体に対して高い 親和性を示し、M2はドパミン受容体拮抗作用においてもクエチアピンに比し強い作用を示した。しかし、
M1 及び M2 は動物血漿中の主要代謝物であり、ヒト血漿中では検出限界以下あるいはそれと同程度で あった47)。一方、代謝物M5はD2受容体及び5-HT2A受容体並びにその他のセロトニン、ドパミン、ヒス タミン、ムスカリン及びアドレナリン受容体サブタイプに親和性があり、D2受容体に比して5-HT2A受容 体に対して高い親和性を示した。M5は NET に対して高い親和性を示したが、セロトニントランスポー ター、ドパミントランスポーター及びモノアミントランスポーターに対する親和性は低かった 23)。 (「1.(3)2)①第Ⅰ相試験[CL-0009]」の項参照)
活性代謝物の速度論的パラメータ
(5)
「1.(3)2)①第Ⅰ相試験[CL-0009]」の項参照