(1)本研修は「配偶者からの暴力被害者支援」にテーマを絞った学習内容であり、この意味で大変画期 的であった。参加者の中には「このような研修ができるのを待ち望んでいた…」という者もおり、短期 間での広報にもかかわらず定員を大幅に上回る参加者が得られた。また、参加対象者である相談経験3 年以上に満たない相談員の参加もあり、これらの点からも学習ニーズの高さが感じられる。今後は、全 国の配偶者から暴力被害者支援に携わるより多くの相談員の方々に研修参加を促すことが必要である。
(2)研修の日程が1泊2日と短期間であることから、それぞれのプログラムの十分な時間設定が難しい 面もあるが、内容を精選して、じっくりと学習できる時間配分の工夫が必要である。また、「応用セミナー」
としてより専門的で深い内容の学習を位置づけること、そして、学習形態に関しても、参加者の実務経 験を十分に活かし、自身の取り組みについてお互いに話し合う場や、講義についても質疑する時間を十 分に設定していくこと、そして、相談の事例検討やスーパビジョン等の実務的な内容を取り入れていく こと等が課題として挙げられるので、今後の企画に活かしていきたい。
配偶者からの暴力被害者支援管理職セミナー
1 趣 旨
全国の配偶者暴力相談支援センターや男女共同参画センター等で配偶者等からの暴力に関する相談事業 を統括する立場にある者を対象に、配偶者からの暴力についての基本的な理解とともに、各関係機関との 連携について理解を深めるための管理職研修を行う。
2 主 催
内閣府男女共同参画局、独立行政法人国立女性教育会館
3 開催期日
平成 18 年 2 月 23 日(木)〜 24 日(金)
4 会 場
独立行政法人国立女性教育会館
5 参 加 者
(1)定員 50 名、応募者数 43 名、参加者数 42 名
(2)性別・年代別 人
年代 女性 男性 計 年代 女性 男性 計
20 〜 29 歳 − − − 50 〜 59 歳 24 3 27
30 〜 39 歳 2 − 2 60 〜 69 歳 2 1 3
40 〜 49 歳 7 3 10 計 35 7 42
(3)都道府県別 人
都道府県名 女性 男性 計 都道府県名 女性 男性 計 都道府県名 女性 男性 計
北海道 − − − 富山県 − − − 島根県 − − −
札幌市 − − − 石川県 − − − 岡山県 2 − 2
青森県 − − − 福井県 1 − 1 広島県 1 1 2
岩手県 − 1 1 山梨県 − − − 広島市 − − −
宮城県 1 1 2 長野県 1 − 1 山口県 − − −
仙台市 (1) − (1) 岐阜県 1 − 1 徳島県 − 1 1
秋田県 1 − 1 静岡県 2 − 2 香川県 − − −
山形県 − − − 静岡市 − − − 愛媛県 − − −
福島県 − − − 愛知県 1 − 1 高知県 − − −
茨城県 − − − 名古屋市 − − − 福岡県 2 − 2
栃木県 2 − 2 三重県 4 − 4 北九州市 (1) − (1)
群馬県 1 − 1 滋賀県 1 − 1 福岡市 − − −
埼玉県 3 − 3 京都府 − − − 佐賀県 1 − 1
さいたま市 (1) − (1) 京都市 − − − 長崎県 1 − 1
千葉県 1 − 1 大阪府 2 1 3 熊本県 1 − 1
千葉市 − − − 大阪市 (1) − (1) 大分県 − − −
東京都 − 1 1 兵庫県 − − − 宮崎県 2 − 2
神奈川県 1 − 1 神戸市 − − − 鹿児島県 1 − 1
川崎市 − − − 奈良県 − − − 沖縄県 − − −
横浜市 (1) − (1) 和歌山県 − − − 合 計 35 7 42
新潟県 − − − 鳥取県 1 1 2
※( )は都道府県の内数 (人)、27 都府県・5政令指定都市より参加
6 日 程
月日 時 間 内 容
(木)2/23
14:00 〜 14:25 (1)開会
14:30 〜 15:30 (2)講義「配偶者等からの暴力とは」
講師 お茶の水女子大学教授 戒能 民江 15:45 〜 17:45 (3)講義「配偶者等からの暴力の被害者支援の現状と方向性」
講師 警察庁生活安全局生活安全企画課課付 畠山 千穂 講師 厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援室女性保護専門官 藥師寺順子 講師 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策専門職 土井 真知 18:30 〜 20:00 (4)情報交換会
20:00 〜 21:00 (5)自由交流
(金)2/24
9:00 〜 11:00 (6)分科会「関係機関との連携」
① A「子どもに関する相談についての連携」
講師 小児精神神経科医師 山崎 知克 ② B「広域相談についての連携」
講師 大阪府女性総合センター企画推進グループコーディネーター 川喜田好恵 ③ C「警察との連携」
講師 名古屋市男女平等参画推進センター主査 景山ゆみ子 11:15 〜 12:30 (7) 全体会「関係機関との連携」
14:00 〜 16:45 (8)シンポジウム「管理職の責任と相談機関のマネージメント」
コーディネーター 大阪府女性総合センター企画推進グループコーディネーター 川喜田好恵 講師 兵庫県こころのケアセンター主任研究員 大澤 智子 講師 男女共同参画センター横浜館長 納米恵美子 講師 内閣府男女共同参画局推進課暴力対策専門職 土井 真知 16:50 〜 17:15 (9)まとめ
17:15 〜 17:20 (10)閉会
7 プログラムの概要
(1) 講義「配偶者等からの暴力とは」
配偶者等からの暴力の特徴や実態、被害者や子どもへの影響、加害者の問題や二次被害・二次加害等の 問題点について説明があり、被害者支援には、諸機関の連携による継続的な自立支援・生活再建支援が求 められること、連携のポイントなどが指摘された。被害者支援のキーパーソンは管理職であり、被害者の 生命・人権を最優先に、どんな場合でも暴力を許さないという明確な姿勢をもつことが求められた。
(2)講義「配偶者等からの暴力の被害者支援の現状と方向性」
今後の配偶者等からの暴力の被害者支援体制と支援のあり方について、各施設での取り組みの方向性を 考えるため内閣府・警察庁・厚生労働省からそれぞれ実施されている取り組みの情報を得た。
参加者より事前に提出のあった各府省庁への質問を講義内に織り込んでの説明であったが、特に警察と の連携に関して参加者から多くの質問があった。
(内閣府)
各都道府県における配偶者等からの暴力被害者支援に関する基本計画の策定状況、DV 支援センターに おける相談件数や保護命令の発令状況等の概説の後、内閣府による広報・啓発、アドバイザー派遣、調査 研究、プログラム開発等の取り組みについての説明があった。
(警察庁)
配偶者等からの暴力被害者支援に関わる警察及び警察庁の役割が説明され、関連してストーカー規制法 の説明を加えながら、支援のための法的手続き、警察と暴力被害者支援センターとの連携と役割分担につ いて情報が提供された。
(厚生労働省)
婦人相談所に寄せられる配偶者等からの暴力に関する相談の件数、一時保護の状況と同伴児童の多い状 況、そこにある問題点、都道府県の暴力被害者支援に係る事業の実施状況、厚生労働省が実施する被害者 にもたらされる影響調査、自立支援に関する研究、都道府県等の関連行政機関の役割と取り組み、支援の 際の留意事項等について説明があった。
(3)自由交流
「男女共同参画センターの配暴センターはどうあるべきか」など、4つのグループが各施設や地域での 連携の状況に関して、翌日の講師も交えて情報・意見交換を行った。
(4)分科会「関係機関との連携」
① A「子どもに関する相談についての連携」
参加者は 12 名(女性 8 名、男性 4 名)であった。
子ども虐待と虐待死の現状やケースの発見・見極めに必要な視 点、ケースワークの流れや連携組織・連携先等について説明があっ た後、構成事例をもとにどのように診断し援助方針を策定するか、
他機関とどのように連携するかについて、グループ協議を行った。
協議内容に関して、親が子育てする力の見極めの視点、リスク評 価や子どもの心理や虐待の連鎖に配慮したケアのあり方、二次被 害やバーンアウトの予防について講師より助言があった。
② B「広域相談についての連携」
参加者は 12 名(女性 11 名、男性 1 名)であった。
構成事例を通して、行政区割りや設置趣旨の異なる機関を越えた連携についてグループ協議を行った。
父子の分離や医療・健康保険・一時保護・生活保護等の法的措置、手続きに関して事例の持つ問題点や取 り組み上の課題となる点を話し合った。県・ブロック、職域を越えた連携により、対応ケースを蓄積しルー ルをつくることで、課題へ対応していく必要性が確認された。
③ C「警察との連携」
参加者は 18 名(女性 16 名、男性 2 名)であった。
被害者と相談員の安心・安全を確保するとともに被害者のエンパワーメントにまでつないでいくため、
相談の最初の窓口となる機関と法的な対応を行う警察が相互に理解を深めることが大切であると指摘され た後、各機関での連携の事例と課題についてグループで協議した。被害者・加害者の情報や加害者からの 捜索願の取り扱い、警察本部との連携、地域暑の対応、相談員・機関・関連の民間施設の連携・安全上の 課題、ストーカー防止法の活用等について、その具体的方策が話し合われた。
(5)全体会「関係機関との連携」
各分科会の講師から協議内容の報告を行った後、質疑を行った。女性センターに暴力相談センターがあ る場合の連携上のメリット、安全上のデメリットとその対応について発言があった。最後に講師より、連 携を推進する上で管理職に期待されることについて発言があり、他の機関の取り組みを知ることや顔の見 える連携、上司と担当者の情報の共有ができる仕組みづくり、例外としてではなく工夫して対応を考える ことの必要性、管理職自身のエンパワーメントが必要であることなどの提言があった。
(6)シンポジウム「管理職の責任と相談機関のマネージメント」
前半は、被害者支援(相談)機関の組織内での役割とそこにある課 題について、講師らから、二次受傷発生の背景とそのケア、リスク マネージメントに配慮した相談システム、加害者更正プログラムの 現状等について話があった。共感的に支援・相談に対応することで、
いつでも誰でも二次受傷を受け得ることを前提として対策をとる こと、ケースカンファレンスや相談員の研修、医師・弁護士等専門 家と連携した相談等、組織で相談を受けるシステムづくり、被害者 の安全確保を前提とした加害者更正のシステムづくり等について アドバイスがあった。フロアとの協議では男性からの相談受付の方 針やその方法、男性の被害者への対応が話題となった。
後半は、組織内の連携上必要と考えられるポイント、リスクマネージメントのあり方について、特に管 理職として配慮すべきことを協議内容とした。講師からは、2 次受傷の具体的な対策として、相談者と相談 員のマッチング、支援体制の構築、相談員のワーク(ライフを含め)バランス、ストレスの状況、時間・場所 等の相談環境の整備、効果測定やスーパービジョンのシステム整備、部下のモチベーションの維持、サービ スの質と量の設計、危機管理システムの整備が、相談員の研修への派遣と予算面への配慮などが提案された。
(7)まとめ
セミナーを通して気づいたこと、管理職またマネージメントを担当する者として、この成果をどのよう に組織内外で活かしていくかについて考えをまとめた。
分科会A
シンポジウム