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本研究の成果を踏まえて、問題行動生徒への地域自立支援システムとしてのサポー トチーム援助の今後の課題について述べる。

5.1 コーディネーターのマネージメント能力

 地域のサポートチームにおけるコーディネーターは、学校内外の複数の援助資源 を組み合わせ、調整していくと同時に援助サービスの活動や方針の調整、チーム援 助を支えるシステムの調整を行う楓。

 「学校と関係機関との行動連携に関する研究会」*35(2004)は地域支援システム としてのサポートチームのコーディネーターについて「同じ方向性を持った指導・

支援を行うためには、各機関等の活動を調整するコーディネーターの役割が重要で ある。」と強調した上で、以下の2点を具体的に述べている。

1.コーディネーターの役割

●サポートチームは,個々の児童生徒について関係機関等が各々の権限等  に基づいて対応を行うものであることから,それらを有機的に結びつけ  て調整していくコーディネーターが必要である。

・コーディネーターは,個々のサポートチームにおいて中心的な役割を果  たす。コーディネーターは,具体的な連絡・調整,個々の事例の検討会議  の運営,個別指導計画の策定等を行う際に中心的な役割を果たすことが  期待される。

2.コーディネーターの資質の向上を図る。

●適切な連絡・調整や会議運営を行う上で,コーディネーターの役割は大  きく,チームとして目標を達成できるか否かはコーディネーターの力量  による部分も多い。

 本研究の地域自立支援サポートチームは、様々な職責・権限や活動をしている関係 機関及び関係団体が連携して対応するチームであった。そして、地域教育センター として大学を位置づけ、大学連携型のサポートチームを展開したために、有効かつ 効率的に機能させることができた。

 しかし、すべての地域において今回のようなシステムを取り入れることは困難で あると考える。

*34石隈利紀(1999〉,前掲書*16

‡35学校と関係機関との行動連携に関する研究会(2004),前掲*5

 学校心理学に関するコーディネーションの研究には、石隈(2001)の小学校を対 象とした研究*36や瀬戸・石隈(2002)の高校を対象にした研究*37や中学校を対象に した研究*38があるが地域を対象にした研究は皆無である。また、八並(2004)*39は ネットワーク型のコーディネーション行動についてつぎのように述べている。

ネットワーク型のコーディネーションでは、学校と諸関係機関をつなぐ 専門的知識・スキルや経験がコーディネーターに要求される。

よって今後、地域においてサポートチームを展開する際の、コーディネーションの あり方やマネージメント等についての研究の蓄積が望まれる。

5.2 市町村ネットワーク構築の必要性

 文部科学省は、現在の多様化・広域化する問題行動への具体的な対応として「学 校と関係機関との行動連携に関する研究会報告」*40の中で、行動連携に当たっての 基本的な考え方を以下のように示している。

 卒業生が在校生へ関わることにより,問題行動等を起こす児童生徒の 行動範囲が広がる場合や,非行が深化する場合があることが指摘されて いるほか,最近では,携帯電話の普及等による問題行動等の広域化・多 様化が進むなど,学校単独での取組が困難な事例も多く,関係機関等と 連携した対応が一層必要な状況となっている。しかしながら,非行行為 が進行してしまった場合や,立ち直り支援としてより多様な対応が必要 な場合,また,保護者によっては身近な人の訪問を敬遠するため,対応 に苦慮する場合もある。こうしたときは,学校は,「校区内ネットワーク」

において地域の身近な関係機関と連携するほか,教育委員会等を通じて,

より専門性の高い機関に協力を求めることが適切である。

 学校は関係機関等に協力を求める際には,各地域において,関係機関 等からなる「市町村ネットワーク」の枠組を利用するのが効率的である。

地域の子どもの健全育成に関する取組等を推進する「市町村ネットワー ク」が機能していれば,日ごろからのネットワークを通じた相互の人間

*36石隈利紀(2000)「不登校児やLD(学習障害児のための援助チームに関する研究」,安田生命社  会事業団36,ppl8−28

率37瀬戸美奈子 石隈利紀(2002)「高校におけるチーム援助に関するコーディネーション行動とそ  の基盤となる能力および権限の研究一スクールカウンセラー配置校を対象として 」  『教育  心理学研究』,第50巻第2号,pp,204−214,日本教育心理学会

*38瀬戸美奈子 石隈利紀(2003)「中学校におけるチーム援助に関するコーディネーション行動と  その基盤となる能力および権限の研究一スクールカウンセラー配置校を対象として一」 r教  育心理学研究』,第51巻第4号,pp,378−389,日本教育心理学会

*39福沢周亮 石隈利紀 小野瀬雅人編(2004)『学校心理学ハンドブック』PP124−125,教育出版株

 式会社

・40学校と関係機関との行動連携に関する研究会(20(叫),前掲*5

関係に基づき,電話連絡等によって協力を求めることができる。同時に,

協力を求められた関係機関等においても,共通理解の下,速やかな対応 がなされることが期待される。

 今回の研究のターゲットとなったA・Bの家庭は、様々な理由により2005年の4 月に転居となり、その後については、ケースワーカーとコーディネーターが継続的 に関わるといったフォローアップ体制をとったのみになった。その結果、転居後にお いては、十分にサポートチームが機能したとは言い難い。また、転居地区の中学校 に対して行った情報提供に関しても、個人情報保護への配慮から十分に行えず、同 じ問題意識を持った援助ができたとは言えない。

 事実としてチーム援助フォローアップ期(3.7.8参照)に行われた、第6回援助会 議の会議内容に示しているように、B及び母親を含めた家庭環境においての新たな 問題点が現れている。

 本研究で実践した地域自立支援サポートチームは「校区内ネットワーク」を基盤 としたサポートチームである。しかしながら,本研究のように多様な対応が必要な 場合、学校と関係機関との行動連携に関する研究会が提言するように、各地域にお いて関係機関等からなる「市町村ネットワーク」の枠組を利用するのが有効である と考える。これは校区を越えて同一市町村内や,場合によっては複数の市町村にま たがって学校間のみならず、地域・関係機関がそれぞれの役割を果たしながら、横 の連携を図り協働して問題行動生徒に対応していく 「校区内ネットワーク」の基盤 となる連携の概念である。

 しかし、ネットワークづくりを推進していく場合においても、各地域の実情に応 じて問題行動等に対して組織的かつ、効果的に対応できるネットワークである必要 があり、推進には創意工夫を発揮することが重要であると考える。

 よって教育委員会等が中心となり、関係部局や関係機関等とも協力しつつ、地域 の機関・人材を生かした組織的なネットワークを整備する必要がある。

 また、児童生徒の問題行動等の実態やその対応としての活動事例を、多面的・多 角的に分析・検討し、問題行動等への予防や解決と児童生徒の健全育成に向けた、

より実践的なネットワーク型地域支援システムの構築に取り組むことが重要である

と考える。

引用・参考文献一覧

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(2)相澤仁 2001 「これからの児童自立支援施設に期待するもの 一継承すべきもの   と改革すべきもの一」 『非行問題2001』,pp.87401

(3)青木孝頼・真仁田昭 1986 r体罰を考える」 r別冊指導と評価1』 図書文化社

(4)愛媛県立えひめ学園退園生丁君 「やればできる」 『非行問題2004』,pp.149−150

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(6)遠藤浩 2002b 「愛着関係が形成されなかった子どもたちへの自立支援」  『非行   問題2002』,PP.53−70

(7)藤井聡美 2001 「非行の背景にあるもの・虐待」  『非行問題2001』,pp.60−72

(8)藤井貢 2003 「非行少年の立ち直りへの援助 一少年相談員の窓口から一」 『警   察時報』,第58巻8号,pp.57−64 警察時報社

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  r臨床教育学研究』,pp.H4 武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科

(10)藤原正範 2004 r児童自立支援施設一その歴史から考える一」  r児童自立支援   施設の可能性』,pp.14−75 ミネルヴァ書房

(11)藤原 正範 1998 「岡山孤児院感化部の失敗」  『非行問題1998』,pp.113−l l9

(12)渕上克義 1992『学校組織の人間関係』 ナカニシヤ出版

(13)府川満晴 2000rチームづくりから始まるPR活動」  r月刊学校教育相談』,4月

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(14)福沢周亮 石隈利紀 小野瀬雅人編 2004 『学校心理学ハンドブック』 教育出   版株式会社

(15)川畑 勉 2004 「学園への思い」 『非行問題2004』,PP.151−152

(16)古館ユキ 2004 「児童自立支援の意義一児童福祉法改正後を検証し今後のあり方   を考える一」 『非行問題2004』,pp.96−103

(17)学校と関係機関等との行動連携に関する研究会 2005 『学校と関係機関等との行   動連携を一層推進するために』

(18)群馬県総合教育センター 1995 「登校拒否の子供を抱える親を対象としたグルー   プ相談の研究一グループ相談に交流分析の学習を取り入れて一」,pp.171−179

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