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 約4ヶ月間、問題行動生徒(A・B)及びその母親に対するサポートチーム援助を 実施した。各援助会議の主な論点*30は以下の通りである。

・経過報告

  生徒・母親やサポートチームの状態はどうなっているか。

・改善事項

  サポートチームの実践で改善・工夫するべき点はないのか。

・援助方針

  現状のサポートチーム援助目標を継続するのか、あるいは新しい援助目標を設   定して展開するのか。

 第5回援助会議においては総括的評価を行い、A・B及び母親、ならびにサポート チーム援助に関する評価を実施した。

 その結果、4ヶ月という短期間のサポートチーム援助ではあったが、学習面、心理・

社会面、進路面、健康面の4領域における生徒の変容が確認されたとともに、母親 の生活スタイルの改善や意識の変容も確認されている。

 本章では、Σ検査結果・各援助会議や援助活動での評価・出席状況の変化・A及 びBへの面接の内容・母親面接の内容等を総合して、地域自立支援サポートチーム の援助効果の検証と考察を行う。

4.1 サポートチーム援助における効果の検証

 Aに対してのサポートチーム援助では、学習面においては、主として学校が援助 者になり「学習の必要性や努力することの大切さを自覚させること。」を課題として 援助を実施した。

 また、心理社会面では、 「何事にも責任感を持って生活させることにより、生活 態度の改善を図ること。」と「人間不信状態の解消」を課題として援助を実施した。

 進路面においては、ほとんど進学の意思がなく、短絡的な発想で「とりあえずテ キ屋にでも就職しよう。」という考え方であったので、「将来に向けての具体的な目 標を持ち、その達成に向けて努力するという気持ちを持たせること。」また、心理社 会面とも関係をしてくるが、「働くことを尊び、人のためになることを優先させる

という考え方・行動がとれるようになること。」も課題として援助した。

 健康面においては、具体的な悩みをいくつか持っているが,深夜俳徊や外泊など の不規則な生活が原因であると考えられるので「基本的生活習慣の確立」を課題に し、母親への協力を求めた。

*30八並光俊(2004)、前掲書*27

 Bに対してのサポートチーム援助では、学習面においては、Aと同様に主として 学校が援助者になり、個別指導により「基礎的なことを身にっけさせ学習意欲を高 めること。」を課題として援助を行った。これは、入学時より不登校状態であるこ とに起因しての、基礎学力の定着が図れていないという状況を改善することにより、

学習意欲を向上させることを目的としているが、同時に進路面の、将来の不安の改 善にもつながるものと考えられる。

 心理社会面では、Bは万引き・喫煙・夜間俳徊などの問題行動を起こしはじめた が、これはAや問題行動生徒と、行動をともにする機会が多くなったためと考えら れる。そのため、「自分の判断で、正しいことは実行し悪いことは断るという意思 決定能力をつけさせること。」を課題とした。

 また、Bは進んで相談にくるなど、人との交わりを積極的に取ろうとするので、

「周囲の人の立場を尊重し、共に生きて行こうとする態度を育成すること。」も課題 として取り組んだ。

 健康面では、Aと同様に「基本的生活習慣の確立」を課題にし、母親への協力を

求めた。

 一方、母に対しては、民生委員・社会福祉協議会・ケースワーカーなどが中心と なした援助が行われたが、A及びBの問題行動の主となる原因は家庭環境、特に母 親の養育能力の低さにあるということから、母親の就職先の紹介・家の清掃・金銭 問題の解決や子育てなど生活全般についてのアドバイスなど、母親の社会的自立を 主課題に設定した。

 これらの課題解決に向けてサポートチーム援助を実施し、Σポイントの変化や行 動変容、発言内容等から総合的に検証を行った結果、地域自立支援サポートチーム の援助効果が認められた。各領域別の援助効果は以下に示す通りである。

4.1.1 Aの学習面での援助効果

 学習面では、学習の必要性や努力することの大切さを自覚させることが中心課題 であった。これは、小学校中学年から始まった、家庭環境の悪化に起因しての、非 行行動及び怠学傾向の不登校により、基礎学力の定着が進まず、結果として学習意 欲が乏しくなったものと考えれる。また、これらのことがrしっかりと勉強をやっ ていきたいと思ってもないし、実際にやれる自信も全くない。」、r自分から進んで 勉強をしようとも思わないし、実際にもほとんどしていない。」などの発言からも見

られるように、自己認識の甘さを生み出す大きな要因にもなっていた。

 現実問題、家庭の経済状況及びAの学力ならびに希望、時期等を考えると、進学 よりも就職自立という方向になると考えられるが「生きていくために必要な基礎学 力の定着や意識の変化を目指し、学習の必要性や努力することの大切さを自覚させ ること。」を援助課題とした。具体的には、時間を限定し別室登校をさせ、その際に 個別指導により基礎学力の定着を図るという方法が取られた。また、徐々に在校時

間を長くして行き、実技教科は参加させるということも行われた。

 学習面におけるΣポイントの変化から見られた、学習面の援助効果は以下に示す とおりである。

 ポイント 10

9 8

6 4 3 2 1

0 pre post

F量g.4.1 学習の充実感変化

 ポイント 10

9 8

6

4 3 2 1

0 P「e post

Fig.4.2 学習意欲変化

 r学習の充実感」 (Fig.4.1)が1ポイント上昇し、r学習意欲」

イント上昇している。

(Fig4。2) 力書2ポ

       ヤ

 さらに、これらの変化にともない、次に示す「学習に対する自信」 (Fig。4.3)が 2ポイント上昇、r学校での学習の態度」 (Fig.4.4)が1ポイント上昇、r家庭での 学習の態度」 (Fig.4.5)が2ポイント上昇している。

 ポイント 10

9 8 7 6

4 3 2 1

0 1》re nost

Fig.4.3 学習に対する自信変化

 ポイント 10

9 8

6

4 3 2 1

0 P「e post

Fig.4.4 学校での学習の態度変化

 ポイント 10

9 8

6

4 3 2 1

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Fig.4.5 家庭での学習の態度変化

 また、援助を開始するまでは、Aからの学習面についての発言はほとんどなかっ たが、個別指導時や面接時にr勉強もやればなかなか面白い」、「理科の実験が面白 い」など、学習に対する興味が増したことを意味する発言や、「(勉強は)やれば結 構簡単だった。」と自己効力感を味わえることができたという旨の発言をしている。

 さらに、「わかりにくい科目がある。」、「家では、いろいろな理由で勉強に集中で きない。jなど、学習に対する悩みを口にすることも見られた。

 これらのことは、学習に対する意欲が少しずつではあるが湧いてきたということ を意味しているものと考えられる。

 このように、Σポイント変化の結果及びAの発言内容から、学習面の変容は明ら かであり援助効果は認められたといえる。

4.1.2 Aの心理・社会面での援助効果

 心理・社会面では、Aは学校生活に不満足感が強く、学級にとけこめず背を向け ている状態であり、母親の養育の能力の低さや、実父の家庭内暴力などから家庭へ の親しみ感も全くないなど、疎外感が非常に強く心を閉ざしている状況である。

 また、「問題に打ち勝つ力」も弱く、「人々の中で生きる」の低さから後退するおそ れが強く出ているが、半面、学習面や生活環境・対人関係に問題や不満を抱えてい るのに、「自己を見つめる」では中程度となっている。これは、辛いことから逃げた いという気持ちのあらわれと取れる。このような状態が非合法集団や問題行動生徒 との関わりを深めていき、様々な問題行動を起こす要因になったものと考えられる。

 以上の課題を解決するために援助課題を「何事にも責任感を持って生活させるこ

とにより生活態度の改善を図る。」として援助を実施した。また、多くの大人と関わ ることによりr人間不信状態の解消」も目標とした。

 心理・社会面におけるΣポイントの変化から見られた心理・社会面の援助効果は 以下に示すとおりである。

 ポイント 10

9 8

6

4 3

1

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Fig.4.6 自己を見つめる ゆきずまり感変化

 ポイント 10

9 8

6

4 3

1

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Fig.4.7 問題に打ち勝つ力変化

 r自己をみつめる」のポイントが上昇するにともない、rゆきずまり感」(Fig.4。6)

が4ポイント減少している。また、「問題に打ち勝つ力」 (Fig.4.7)も1ポイントで あるが上昇している。

 これらのことは「少年相談員の指導に素直に従った。」「非合法集団友び問題生徒 との関係を断ち切った。」等の行動変容としてもあられている。

 ポイント 10

9 8 7 6

4 3 2 1

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Fig.4.8 家庭への親しみ感変化

 ポイント 10

9 8 7 6

4 3 2 1

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Fig.4.9 学校生活充実感変化

 ポイント 10

9 8

6

4 3

1

0 P「e post

Fig.4.10 学級生活親しみ感変化

 次に、Aの問題行動を起こす大きな原因として考えられる「家庭への親しみ感」

(Fig.4.8)が3ポイント上昇し、「学校生活の充実感」 (Fig.4.9)が5ポイントと大幅 な上昇、r学級生活親しみ感」が2ポイント上昇(Fig.4.10)となっている。

 これは、サポートチーム援助の大きな課題の一つとして取り組んできた母親の社 会的自立支援、具体的には、母親の就職先の紹介,家の清掃,金銭問題の解決や子 育てなど、生活全般についての相談や示唆などの援助を行ってきた結果、Aの母親

に対する、内面的な理解が深まっていったと同時に、経済的な安定を含め、母親の 心の安定を図ることができたことが、親子関係の改善につながり、結果として子ど

もたちの心にも安心感を持たせることができたのではないかと考えられる。

 また、家庭環境の改善によって、 「生活態度の改善→学校生活の改善→学校生活 の充実」といった好循環を生み出していると考えることができる。以上のことは、

次に示すAの発言の内容からも伺うことができる。

●母親の頑張り(仕事面や家事)には驚いているし、感心している。

●母親に負けないように自分も頑張って生活する。

●家族との会話が増えた。

●釣れたワカサギを母親へ早く食べさせたい。

・給料が出たら家にも仕送りをする。

●意外と学校は楽しい。卒業式には絶対に参加する。

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