第4章 湾会考察
第2節 今後の課田
本研究では、就労する知的障害者の余暇支援において、今後さらに、地域において あらゆる面での環境整備や制度面の充実が必要であることが明らかにされた。
高橋(大南,2006)は、「社会生活の中で、就労は大きな比重をしめるが、就労のみの 支援は一面的なものであり、『完全な社会参加』とはならない」と述べている。やはり、
知的障害者の就労と余暇活動をそれぞれ断片的に捉えるのではなく、両方を関連させ て捉えながら、地域に知的障害者本人自身の生活基盤を作っていくことが重要である。
そうすることで、知的障害者本人の活動の幅も広がり、充実した余暇活動や地域生活 が送れることであろう。
しかしその一方で、活動の幅が広がるにつれて、金銭管理の問題や消費者トラブル 等、様々な問題が起こりうるものと考えられる。中里(大南,2006)は、そういった被害 を最小限に抑えるためには早期発見が第一であること、またそのためには見守りが必 要で、生活を支えている身近な支援者が、本人の生活パターンに「変調」があること を見逃さないことの重要性を述べていることから、やはり身近な地域や人々の存在や 支援体制の充実がより一層求められる。
障害者の余暇活動を保障することは、障害者自身の生活の質向上に結びつくぱかり ではなく、一般社会における障害者観の変化や社会環境の整備につながる(柴山・蛯 谷,2004)。現代社会において、知的障害者のみに留まらず、まだまだ「障害」に対し
て悲観的で、障害者の持っ様々な能力に対して非常に限定した見方や考え方を持って いる人も少なくないが、決してそうではなく、たとえ障害があっても一人ひとりがた くさんの可能性を秘めていることを忘れてはならない。
今回の研究において、支援者へのインタビュー調査から就労する知的障害者の余暇 活動について様々な知見を得ることができた。しかし、対象となったのが障害者就業・
生活支援センター、地域自立支援協議会(就労部会)という「障害者の就労」を主にした 福祉関係機関であったこと、また対象者が4名と少数であることから非常に限定した 部分から得られた結果であった。さらに、どの事例においても余暇支援についての取
り組みが始動して目が浅いということと関連し、あらゆる面でまだまだ手探り状態で 活動していることも感じられる。そういった意味でも、全体を通して見ると今回の調 査はほんの一部にしか過ぎない。他の福祉関係施設や公共施設、また政令指定都市を 含むような大都市や逆に人口の少ない過疎地等、対象とする範囲を拡大していくとま た違った知見が得られたであろうと考えられるところには、本研究自体の課題が残っ ている。しかし、たとえ一部分の結果であったとしても、今回、就労する知的障害者 の余暇活動に関する現状や課題について調査したことは非常に意義深いことであった。
地域における障害者への支援は、全国各地を見てもその設置主体や、事業内容、行 政の援助内容等、本当に様々であることを手塚(2000)は明らかにしている。また、そ の中でも成果をあげているところに共通しているのは、関係機関の協力と連携、そし て強力なネットワーク作りであると述べており、さらにネットワーク作りに最も大切 なことは、誰が、どこが最初に提案し、中心になって労をとっていくかであるとして いる。各地域の実態や就労する知的障害者の実態に応じた余暇支援のあり方が求めら れるため、今後、それぞれの地域において、さらにもっと広い視野で就労する知的障 害者の余暇を捉えていくと共に、知的障害者本人の二一ズや希望も交えながら、より
良い地域生活が送れるような支援を充実させていくことが必要である。
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