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第4節 今後の課題と展開
球民謡を学習する際の意欲の向上に繋がる。また、体育科でエイサーを本格的に取り組む ことが可能になり、生徒の発表の場も増え、学校全体の取り組みへと広げることができる
だろう。
今回の指導案は全6時間扱いで作成しているが、年間指導計画において伝統音楽指導に時 数をあてることが困難な場合は、毎時の学習の導入として20分程度三線の演唱を取り入れ
ることも考えられる。一か月に1曲、もしくは二か月に1曲といったぺ一スであっても、
毎時間演唱することにより琉球民謡に触れることができ、演唱する感覚を忘れずに着実に 身につけていくことができるだろう。
次に他教科との関連について述べる。音楽科の授業で琉球民謡を取り扱うにあたり、他教 科との関連が重要となってくる。まず美術科では「表現及び鑑賞の幅広い活動を通して、
美術の創造活動の喜びを味わい、美術を愛好する心情を育てるとともに、感性を豊かにし、
美術の基礎的な能力を伸ばし、美術の文化についての理解を深め、豊かな情操を養う」2と なっており、音楽科の豊かな情操の育成と関係していると考えられる。具体的な活動案と
しては、琉球民謡を鑑賞し、つかんだイメ∵ジを言葉だけでなく絵を描いて表現し、グル ープ発表やクラス発表をする。言葉だけでなく絵にすることで曲に対するイメージがより 具体的になり、曲に対する理解度や生徒同士の伝えあう活動がより深まるであろう。
また、特別活動の時間との関連も考えられる。特別活動では「文化や芸術に親しむ」こと がねらいに挙げられているため、音楽科との関連が重要であると考えられる。特別活動に おいての具体的な活動案としては、学級活動でカンカラ三線をつくり、それを使って音楽 科の授業で琉球民謡を学ぶことが挙げられる。さらに音楽科で琉球民謡を学んだ後に、学 習発表会などで発表の場を設けるなど、学校行事とも関連付けられるとよいだろう。しか し、カンカラ三線を取り扱うには注意が必要である。まず、本物の三線を弾けるようにな ってからカンカラ三線に触れる方がよいということである。というのは、カンカラ三線は 樟が本来の三線に比べ短いため、絃を押さえる指の感覚が狭くなってしまうからだ。この 2文部科学省『中学校学習指導要領』東京書籍 2008
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感覚に慣れてしまうと、本物の三線を弾く際に絃を押さえる指の感覚がつかみにくくなる 恐れがある。本来の三線も安価な物であれば1〜2万で手に入るので、出来るだけ本来の三 線で取り組めることが望ましい。
さらに、国語科においては「国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う 力を高めるとともに、思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし、国語に対する認識を深
め国語を尊重する態度を育てる」3とされており、伝え合う力や想像力の育成という観点は 音楽科と関連が深いといえるだろう。具体的な活動案としては、音楽科で扱う琉球民謡の 歌詞を国語科で深く学習することが挙げられる。琉球民謡の歌詞は琉球方言で書かれたも のが多いので、国語科において琉歌の学習をする際に取りあげることが可能である。また、
沖縄県の伝統芸能である組踊は国語科で取り扱われるため、組踊の学習に合わせて、音楽 科においても組踊で使われる琉球民謡を取り上げ、琉球方言を学習することができればよ り伝統音楽に対する理解が深まるだろう。琉球民謡を歌う上で歌詞である琉球方言の意味 を知ることはもちろん、琉球方言のイントネーションや言葉のリズムなどは大変重要であ るので時間をかけて学び、琉球民謡に慣れるようにしたい。教員が琉球方蓄を話せない、
又は詳しくない場合は地域の伝承者を招き、その地域に受け継がれてきた琉球方言を生徒 が学ぶごとができるとよいだろう。
また、教育現場の教師にとって、教材研究を深める時間をつくることや他教科との連携を 図ることは容易ではないことは今までにも述べてきて明らかである。そのため、教員自身 が琉球民謡を演唱することが困難な場合は、クラスのなかで三線を弾くことができる生徒 に三線を弾いてもらい教師が歌うという方法で指導する二とも考えられる。そうすること で三線が得意な生徒の活躍の場をつくることにも繋がる。しかし、琉球民謡の学習を進め るなかで生徒の手本となるように、最終的には教員自身が琉球民謡を演唱できるようにな ることが望ましい。佐野靖は「和楽器実技や作曲が得意ではない教師でも、教材研究を深 めることによってねらいを焦点化し、生徒側に立った学び方を提示することができるので 3文部科学省『中学校学習指導要額』東京書籍 2008
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ある。」4と述べているように、教師自身が初心者として経験することが伝統音楽指導で大切 である。まず教員自身が琉球民謡に興味を持ち、教材研究に取り組むことで深い学びとな
り、今後の伝統音楽指導へ繋がっていくのではないだろうか。もちろん、伝統音楽の技能 の向上は一朝一夕で達成されることはない。だからこそ地域に伝わる伝統音楽や伝統芸能 の学習には地域の人々の協力が必要となる。指導者自ら地元の伝承者から学び、あるいは 伝承者をゲストティーチャーとして招くなど、地域社会と学校との連携により、初めてよ り深い学習を展開していくことができる。第2章第4節で述べた南城市立大里中学校の事 例のように地域の伝承者が指導にあたり、各支部での取り組みを学校で発表するという方 法であれば地域の人々との連携が取りやすく、各地域の伝統芸能の伝承に繋がるだろう。
琉球民謡の学習の導入においては生徒や教員が取り組み易いように簡易なものであったと しても、最終的には今日まで伝承されてきた本物の琉球民謡を知り、到達することが重要 であると考える。音楽科は沖縄独自の優れた音楽文化を保存・継承していく義務や使命を 背負っているのではないだろうか。
今後、豊かな伝統音楽指導が学校教育現場において活発に行われ、地域の教育カの活性化 や生涯学習の進展、琉球伝統音楽保存に繋っていくことが望まれる。
4堀内久美雄『最新 中等科音楽教育法』音楽之友社2009p.113 163
おわりに
本研究は、沖縄県の音楽科教育において沖縄伝統芸能を指導する意義やその方法につい て考察し、沖縄県の音楽科教育での指導を周的とした、琉球民謡を用いた学習指導案を提 案するものである。
第1章第1節では、沖縄の歴史や地理、人々の信仰、伝統芸能の種類や使用されている 楽器についての概要をまとめ、『沖縄伝統英樹とはどのようなものであるかを確認した。
そして、第2節では、第4章で提案する学習指導案の教材として扱う、琉球民謡と三線に ついての概要をまとめた。
第2章第1節では、音楽科の中学校学習指導要領において、これまでに日本の伝統音率 指導がどのように扱われてきたのかをまとめた。その結果、平成20年度告示のものでは、
日本の伝統音楽と郷土の伝統音楽が共に、それまでよりも重視されていることがわかった。
第2節では、全国の学校教育において行われた沖縄伝統音楽指導についての実践例を挙 げ、取り組みの特徴をまとめた。沖縄県外の学校教育現場において、沖縄県の伝統芸能で ある琉球民謡や三線、エイサーなどに魅力を感じ、熱心に取り組んでいる学校があること が明らかになった。沖縄県内においても、郷土の伝統芸能を保存・伝承するために、学校、
地域、教育委員会、教育事務所が一丸となって取り組んでいる事例があることがわかった。
第3節では、沖縄県の音楽科において琉球伝統芸能指導は実際にどのように行われてい るのかを知るために、アンケート調査を行った。その結果、回答を寄せたすべての学校が、
琉球民謡を取り扱っていると答えるなど、関心の高さがうかがえた。しかし、全学年を通 して体系的に取り扱っている学校は少なく、時数や設備・備品の不足により指導の現場で は、三線を用いた琉球民謡の指導を行うことは簡単なことではないということが明らかと なった。学校教育において地域の伝統芸能にどう取り組んでいくか、今後どのような指導 体制を確立していくかということが課題として挙げられた。
第4節では、沖縄県南城市立大里中学校の「ふるさと伝統芸能まつり」の事例を挙げ、
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