第 7 章
7.2 今後の研究課題
民をどの程度受け入れなければならないのか,といった問題を考える目安になる.
付録
付録1 コーホート要因法
コーホート要因法(cohort-component method)は,ある時点の性・年齢別人口を基 準人口とし,年齢が5歳階級別の移動率,生存率,出生率を与えて5年先の性・年齢 別人口を推計し,そのプロセスを繰り返すことによって,どこまでも将来の人口を推計 することが可能な方法である.移動率は,純移動率を用いる場合がほとんどであるが,
転入率と転出率に分けて設定することも可能である.純移動率を設定する場合には,
センサス人口と生命表の静止人口を用いて過去の動向を把握し,その傾向を勘案し て推計のパラメータとして与えるのが一般的である.
ある地域iにおけるt年の年齢階級a(たとえば15~19 歳)の男子または女子の人 口が,t+5年に年齢階級a+5(上記の例では 20~24 歳)に移行するときの純移動 率i
m
taは,以下のようになる.S P P
m
ta i ta i ta i tai =( ++55/ )− (A1.1)
ここで,i
P
taは地域iにおけるt年の年齢aの男子または女子の人口であり,t+5年 の年齢階級a+5の人口iP
ta++55で割った値をコーホート変化率と呼ぶ.コーホート変 化率は,移動と死亡による変化の両方を含んだ率である.第2項のiS
taは地域iにおけるt年の年齢aの男子または女子の人口が,t+5年に年齢階級a+5に移行すると きの生存率で,通常,生命表58の関数である静止人口を用いてt年とt+5年それぞ れの生存率を求め,この平均値を用いる.このように,純移動率はコーホート変化率 から生存率を引いた値である.その値が0より大きければ転入超過,小さければ転出 超過を意味する.
推計に用いる純移動率は,過去の純移動率を踏まえて設定される.ある時点の人 口から5年先の人口を推計する際,(A1.1)を変形して,
58 生命表は,ある時期における死亡状況(年齢別死亡率)が今後も変わらないとした とき,各年齢に達したものが平均してあと何年生きられるかを,死亡率,生存数,平均 余命等の生命関数によって表現したものである.
)
5 (
5
P m S
P
ta i ta i ta i tai ++= + (A1.2)
となる.t年からt+5年の間の出生数i
B
taは,P f P
B
i taa
t a F
i t a F
i t
i
∑
=
+ +
= 45
15
5) )(
2 / 5
( (A.1.3)
となる.ここで,Fi
P
taはi地域におけるt年の年齢階級a(a~a+4歳)の女子人口である.i
f
taはi地域におけるt~a+5年の年齢階級aの女子の出生率であり,実績 値はt~t+5年の年齢階級aの女子の出生率の平均値を用いることが一般的であ る.以上で述べたように,コーホート要因法による地域の将来人口推計を実施するた めには,当該地域における過去の性・年齢別人口,生命表,母親の年齢5 歳階級別 出生数などの資料が必要になる.日本の場合,都道府県より小さい地域では,人口 動態統計に基づくこれらのデータが入手困難なことから,コーホート要因法を用いる ことは容易ではない.なお,コーホート要因法による推計を行った場合,推計結果とし て,将来の性・年齢別人口以外に,期間ごとの出生数,死亡数,純移動数を得ること ができる.