第 6 章
6.3 データフィッティング
100 101 102
106 107
N(x)
x
[0.85,1]
[0.9,1]
[0.92,1]
[0.95,1]
[0.99,1]
図 6.2 誘引度ω の範囲と分布幅の関係 ω の範囲についてそれぞれ(○)
=[0.85,1],(+)=[0.9,1],(□)=[0.92,1],(×)=[0.95,1],(△)=[0.99,1]を表している.
手順を示している.
dminを探索する手順は,以下の通りである.
Step1. 初期値としてdminに小さい値①を最小値として設定し,シミュレーション結果の
裾野部分の近似線を計算する.実データとシミュレーション結果の平均二乗 誤差を計算する.平均二乗誤差の和は,以下のような式で与えられる.
)2
∑
( −= real sim
e y y
S (6.2)
ここで,yrealとysimは,実データとシミュレーション結果の近似線上の順位に相 当する.
Step2. dminに大きい値②を最大値として設定し,Step1 と同様に平均二乗誤差を計
算する.
Step3. ①と②の中間の値を③として選択し,Step1と同様の計算をする.
Step4. ①と②の誤差を比較し,もし,①のほうが小さければ,①と③の中間点を④とし
て選択し,Step1と同様の計算をする.
Step5. ①と③の誤差を比較し,もし,③の方が小さければ,③と④の中間点を⑤とし
て選択し,Step1と同様の計算をする.・・・
Step6. dminの移動量が0.01より小さくなったとき,このプロセスを終了する.このときの
dminが,誘引度ωの最適な下限値である.
図 6.3 最適な誘引度の下限 dminの探索手順 dminが最適な値に近づくにつれて誤 差は小さくなっていく.
6.3.2 シミュレーション結果と実データのフィッティング
ボール 1個が 10000 人に対応する場合と 1000人に対応する場合の,2パターン
についてフィティングを行った.実データと比較するときには,ボールと人口の比率に よってそれぞれの結果に対して1000倍,10000倍したものを用いた.図6.4,6.5は実 データとシミュレーション結果の人口のサイズ分布である.
ボール1個が10000人に対応するとき,誘引度の範囲が[0.9,1]で,実データと最も
よいフィッティングになる.また,ボール1個が1000人に対応するとき,誘引度の範囲
が[0.92,1]で,実データと最もよいフィッティングになる.ボール1個が 1000人に対応
する場合のほうが精度は高いが,どちらの場合でも,誘引度の範囲が0.1 程度である.
これを実際の県に当てはめてみると,人をひきつける力について,最も大きい東京が 最も小さい鳥取の 1.1倍であるということに対応する.この数値の差は,大きいのか小 さいのか一概に決めつけることはできないが,たくさんの人を引きつける東京の誘引
① ④ ⑤ ③ ②
dmin
sum of the MSE
度が鳥取のわずか1.1倍というのは,直感からは大きく外れる結果であるといえる.
図6.4 実データとモデルのフィッティング結果(ボール1個=10000人)
図6.5 実データとモデルのフィッティング結果(ボール1個=1000人)
100 101 102
106 107
N(x)
x
real data 1000,[0.92,1]
100 101 102
106 107
N(x)
x
real data 10000,[0.9,1]
つまり,すべての県同士がつながっていて,
・自由に人の移動ができる状況が整い,
・優先的な選択(人の多い県に引きつけられやすい)という移動メカニズムが働く
場合,人を引きつける力にわずかな差があるだけで,格差がどんどん広がっていき,
現在のようなサイズ分布が再現できるものと考えられる.