5.1 名 古 屋 市の 取り 組み
名古屋市 では 、東 海 豪 雨と い う未曾有 の災 害を 受け 、ハ ー ド部分及 びソフト 部分 の 施策 の二 つを 平行 し て進 め る と い う形 で 、水 害 対 策の 仕事 を 進め て い る。 特に 、 ハー ド対 策に つ い て は 、 名古屋市 、河 川 管 理 者である 国 土 交 通 省 、および 愛 知 県の 災害復 旧 事 業なども 合わ せ、 防災 対策 の推 進を 図っ て い る。
5.1.1
主な ハ ー ド対 策1) 緊急雨水整備計画 の実 施
まず 、名 古 屋 市 独 自の 対策 として 「緊 急 雨 水 整 備 計 画」 を 推進 している 。こ の計 画 は庄内川 、新 川な らびに 天 白 川の 河 川 激 甚 災 害 対 策 特 別 緊 急 事 業 に合 わ せ て、 主 に内 水 部 分の 排除形態 の 高 度 化、 およ び貯 留 管の 設置 を推 進し よ う と す る も の で、 対象個 所は 東海豪雨 で特 に 被害 が集 中し た地 区 と、 北区 、西 区、 天白区 など 都市機能 が 集中 している 地区 を先 行し て実 施し て い る。
ま た下 水 対 策と し て は、こ れ ま で1 時間
50
ミリ の降 雨に 対処 で き る浸 水 対 策であっ たが 、今 後は1
時間60
ミ リを 目標 と し て、 おおむね5
年 間で 概成 する 計画 となって いる。具 体 的な 実施事業 と し ては、市内 に内 水排除 用 のポンプ 場を10
箇所 増強 し、併 せて 雨水貯留施設 の整 備を23
箇所で 行う 予定 で あ る。
5.1.2 ソ フ ト対 策
名 古 屋 市は、災 害 後の
2000
年12
月に 学 識 経 験 者に よ っ て構 成された「 防 災 情 報 収 集 伝 達シ ス テ ム調 査 検 討 委 員 会 」を設 置し 、2000
年東海豪雨 の多 くの 教訓 を基 に新 た なソフト 対策 の と り ま と め を行 っている 。主な 整備事業 は以 下の 通り で あ る。
① 定 点観 測シ ス テ ムの 構築
② 避難勧告基準 な ど の策 定
③ 災害対策支援 ネ ットワ ー クシス テ ム の高度化 ④ 洪 水ハ ザ ー ド マ ッ プ の作 成
⑤ 防災情報伝達 システム (同 報無 線) の整 備
1) 定点観測 シス テム
名古屋市 は、 災 害 後、 名 古 屋 市 内 の被 災 状 況を 面的 に い ち早 く把 握 する 目的 で、 市 民や コンビ ニエ ンス スト ア・ガ ソ リ ン ス タ ン ドな ど事業所 の協 力を 得て 、
fax
を 活用 し た被 災 情 報 収 集シ ス テ ムの 整備 を行 った 。現 在694
名の 市民 に よ る監 視モ ニ タ ーを 導 入し て い る。 下図 は 、そ の広 報パ ン フ レ ッ ト の一 部を 採録 し た もの で 、共 通の 入 力 様 式に 記入 したものをfax
によって 送付 し、 市 役 所にある 専用 のパ ソ コ ンで 処理 し、 定 点を 面に 置き 換え て 表示 す る も の で あ る。 な お得 ら れ た面 的 集 計 情 報 は、 イ ン タ ー ネ ット で市 民に 配信 するとともに 災害対策活動 の情 報に 活用 する 計画 で あ る。この 定点観測 システム は、
2002
年6
月よ り稼 動 して おり、いま 実証試験段階 と聞 い て い る。図 ― 定点観測 システム の広 報リ ー フ レ ッ ト( 名古屋市提供 )
2) 避難勧告基準 な ど の策 定
前 述の よ う に、 東海豪雨 の際 、名 古 屋 市は 避難勧告 を発 令し て い る。 実際 は、 そ れぞれの 区長 が地 域ごとに 発令 した が、 当時 は発 令 時 期やその 判断 が様 々で あ っ た ことから 、平成
13
年度 から 統一 の基 準を 定め た。名古屋市 における 新た な避 難 勧 告 情 報の 基準
基 準の 策定 に あ た っ て は、 地 域 防 災 計 画の 策定 マ ニ ュ ア ル を参 考に し てお り 、 対象 災害 は、 河川 の洪 水 ・内 水 氾 濫で ある 。 庄 内 川と 新川 に つ いて は 国 土 交 通 省と 愛知県 がポンプ の運 転 調 整 に つ い て の取 り交 わ し が な さ れ た の で 、 そ れ に対 して 避 難 勧 告あ る い は避 難 勧 告 準 備 の情 報をどう 連動 さ せ る か、 とい う こ と も視 野に 入れ て基 準 作り を行 っている 。
情報 の種 類として 、新 たに 避 難 勧 告 準 備 情 報という 概念 を 入れ て い る と こ ろ が、 東 海 豪 雨の 教訓 を考 慮し た点 といえる 。避 難 勧 告 準 備は 、「 避難 は し な く て も い い が 、も う じ き避 難 勧 告が 出 る か も し れ な い の で 知っ て お い て く だ さ い」 と い う意 味と 、 行政 としては 避 難 所 開 設 など の準 備に 入っ て い る こ と を知 ら せ る 意味 を持 つ情 報と い う こ と で あ っ た。
庄 内 川と 新川 に関 する 避難勧告 、あるいは 避難勧告準備 の基 準は 以下 のようである 。 洪水情報 に つ い て は 、出 動 水 位に 達し た 段階 で避 難 勧 告 準 備 情 報 を出 し、 計 画 高水 位
① 対象災害 ア 河 川 洪 水
イ 内 水 氾 濫( ポ ン プ運 転 調 整に 伴う 内水氾濫 の想定時 を含 む)
ウ 土 砂 災 害
② 情報 の種 類
ア 避 難 勧 告 準 備 情 報
市民 が余 裕を も っ て適 切な 避難行動 ができるよう、 現 時 点で は「 避難勧告 」 の 発令 には 至ら な い が、 今後 この 気象状況 が継 続すると 、避 難を 要す る状 況 になる 可 能 性が あ る と判 断される 場合発表 する 情報 。
イ 避 難 勧 告
災害 の発 生が 予想 さ れ る場合又 は災 害が 発生 した 場合 において 、人 の生 命 又 は身 体を 災害 から 保護 し、 その 他 災 害の 拡大 を防 止す る ため に 特に 必要 が あると 認め る場 合に 発令 する .
に達 した 段階 で避 難 勧 告を 出す ケ ー ス、 情報 を出 す段 階で 向こう
1
時 間に30
ミリ以 上の 雨が 継続 して 降 る予 報がある 場合 に 準備情報 あるいは 避 難 勧 告を 出す ケ ー ス があ り、 それぞれ 水位 と雨 量の 状況 を勘 案し て発 令す る こ と に な っ て い るようである 。また 内水氾濫 に つ い て は、2 時間で
100
ミリ 以上 の雨 が降 った 場合 、か つ今 後さ ら に1
時間 に50
ミリ 以上 の雨 が 降るかも しれないといった 予報 が あ る時 に、 避難勧告 準備 を出 すという ことであ る。市の 治水目標 が時 間50
ミリであり 、その 降雨 が一定時 間 継 続し 、今 後さ ら に継 続す る場 合、 排 水シ ス テ ムに 限界 が 来て い る と判 断し て 、内 水被 害の お そ れ が あ る と い う情 報を 全 市 的に 出す わ け で あ る。3) 災害対策支援 ネ ットワ ー クシス テ ム の高度化
雨 量 情 報、 避難勧告 に適 用す る気 象 情 報、 定点観測情報 、被 害 情 報、 避難所情 報な ど、 災害 に関 する 情報 を一元的 に管 理し 、意 思の 決定 ・情 報の 共 有 化などを 促進 させ る目 的で 、災 害 対 策 支 援シ ス テ ムの 高 度 化を 推進 している 。
4) 洪水 ハ ザ ー ド マ ッ プの 作成
名 古 屋 市で は、2001 年6 月に 「庄 内川洪 水 ハ ザ ー ド マ ッ プ検 討 委員 会 」を 設 置 し 、 洪水 ハ ザ ー ド マ ッ プを 作成 している 。
こ の特 徴は 、① 庄 内 川と 新川 という
2
つ の河 川の 洪水情報 を同 じ図 面に 標記 して い る、 ②水 深の 表記 を実 際の 地形 に近 づ け て作 成し た、 ③区 別の マ ッ プを 作成 し、 自宅 の状 況を わ か り や す く し た 、④ 破堤点別 の洪 水情 報を 記載 した 、⑤ 地 下 鉄、 地下 街の 情報 を記 載し たこ と な どであり 、す で に2002
年7
月 から 対 象 区の 全 家 庭に 配布 した 。5) 防 災 情 報 伝 達シ ス テ ム( デジタル 同報無線 )の 整備
市 民に 対し て、 避難勧告 な ど の緊 急 情 報を デジタル 防災無線 の「 屋外拡声子局 」に より サイレン 、ま たは 音声 で伝 達す るシ ス テ ム で平成
15
年度 をめどに 実施 していく 予 定で 市内 全体に169
箇所の 屋外型拡声器 を整 備す る予 定である 。このうち ス ピ ー カ ー は主 に広 域 避 難 場 所、 過去 に大 きな 水害被害 をうけた 場所 な ど に設 置す る予 定のよう で あ る。
東 海 豪 雨 以後 の河 川 管理 者 の取 り組 み 5.2.1 はじめに
東海豪雨以後、国で は庄内川・新 川( 及び 天 白 川)に対 して 、「 河 川 激甚 災 害対 策 特別 緊急事業(激 特)」を採 択す る こ と と し た 。国 土交通 省( 中 部 地 方 整 備 局)と愛知県 では 、 平成
12
年度か ら5
ヶ年計画(概 ね)、総額610
億円( 内、庄内川対策事業費320
億円 ) をかけて 、庄内川 と新 川を 一体 と し て考 えた 治水工事 を実 施し て い く こ と と し た 。この 激特事業 の う ち、 庄 内 川に 限れ ば、 ハ ー ド面 での 対策 と し て、 河道掘削 に よ る水 位 低下・ 築堤( 嵩上 げ )、堤 防の 強化 、洗 堰の 改築、遊水地越流堤 の改 築、水防拠点 の整 備を 計画 し、 工事 が現在進 められている 。
※中 部 地 方 整 備 局 ホ ー ム ペ ー ジ よ り 図
5.2.1.1
ハード 事業 (激 特 事 業) 実 施による 効果 (被 災 実 績の 前後比較 )一方 、河 川 改 修や 遊水地整備等 のハード 事業 を補 うソフト 対策 の実 施も 計画 して おり 、 こちらも 現在 進 行 中である 。こ れ に は、 ①防 災 情 報シ ス テ ム、 ②ハ ザ ー ド マ ッ プ の作成支 援な どが あげ ら れ て い る。 以下 、国 の実 施す るソフト 対策 の概 要と 、地 域 防 災の あ るべ き 方 向 性に つ い て述 べて 行きたい 。
前 後
5.2.2 国の ソ フ ト対 策( 防災情報 シ ス テム ・ハ ザ ー ド マ ッ プ 作成支援 )概 要
先述 のとおり 、現 在、 国で は、 激特事業 に よ る各 種ハード 対策 を支 援す る ため の 、ソ フ ト対 策 事 業に つ い て も 着手 している 。特 に、 近年 の水 防 法改 正 に伴 い、 洪水予報河川制度 が拡 充さ れ、 浸水想定区域 が新 設さ れ る こ と と な っ た 。そ の主 な改正点 とポ イ ン トについ て、以 下の 表に 示し た。こ の表
3
−6
からは、 ①防 災 情 報 の伝 達 手 法の 確立 と、② 住民 が災 害 環 境を 把握 で き る資 料( ハ ザ ー ド マ ッ プ) の作 成・ 活用 に力 点が 置か れ て い る こ と が読 み取 れる (要 点を 下線 で示 す。)。
表
5.2.2.1 水防法の改 正によるソフ ト対策のポイント
大 項 目 中 項 目 水防法改正による対策のポイント
1
洪水予報河川制度(拡充)
洪水予報河川の拡充
1.
国土交通大臣に加え、新たに都道府県知事 が洪水による相当被害の恐れのある地域を 洪水予報河川に指定する。2.
都道府県知事が、指定した河川について、気象庁長官と共同して洪水予報を行う。
浸水想定区域の公表
1.
国土交通大臣または都道府県知事 は、洪水 予報指定河川が氾濫した場合に、浸水予想 される区域を浸水想定区域として指定。想 定される浸水を公表し、関係市町村に通知 する。2
浸水想定区域 制度(創設)円 滑 か つ 迅 速 な 避 難 の 確 保 を 図 る た め の 措置
1.
市町村防災会議は、地域防災計画 において 浸水想定区域ごとに①洪水予報伝達方法、②円滑かつ迅速な避難確保、のための必要 事項を定める。