2000年東海豪雨災害における
1.はじめに
2000 年 9 月 11 日 夜 から 12 日 に か け て 、愛 知 県 、三重県 、岐 阜 県 などの東海地方 に、観測 史上最大 の集 中 豪 雨が 発生 した 。と り わ け、 名古屋市 を中 心とする 愛 知 県の 降 雨 量は 大き く、愛 知 県 東 海 市 で 、1 時間雨量 114 ミ リ を 観 測 し た ほ か 、 名 古 屋 市 で も 、 11 日 の 1 日 だ け で 降 水 量 428 ミ リ を 観 測 し た 。 こ れ は 、 こ れ ま で の 最 高 記 録の 約 2 倍 に 相 当 し 、年間降水量 の3 分の 1 以上 がわずか 1 日で 降っ た計 算に なる 。 この 猛烈 な雨 によって 、庄内川 から 毎秒 お よ そ270トン の水 が名古屋市北区の 洗堰 (あ らいぜき )を 越え て新 川に 流入 し 、9月12日午 前3時30分頃 、名古屋市西区あ し原 町の 支流 と交 わる 地点 の左 側 堤 防が 長さ100mにわたって決 壊し た。そしてこ のため、同区 と隣 接す る愛 知 県 西 枇 杷 島 町な ど、庄 内 川 流 域 全 体 で1万8,000棟が浸 水し てしまった。こ れ以 外に も、 各地 で被 害が 続出 し、 総 務 省( 当時 :自治省 )消防庁 の資 料に よ れ ば、 茨 城 県か ら沖 縄県 におよぶ 被害総計 は、死 者10名 、負 傷 者 98名、全 壊 27棟 、半 壊 77棟 、床 上 浸 水 27,180棟 、 床 下 浸 水44,111棟 に の ぼ っ て い る ( 表 1.1.1. ) 。 ま た 、都 市 部 を 直 撃し た 豪 雨 災 害で も あ り 、 被 害 額 も 膨 大 で、建 設 省( 現国土交通省 )の 発表 によれば 、そ の総 額は 約8,500億円 。損害保険協会の 調べでは 、今 回の 豪雨災害 に係 る損 害 保 険の 支払 い額 (見 込み 額を 含む )は 、約1,000億円で 、風水害 による支 払い 保険 金と し て は史 上4番目 になる。 なお 、今 回の 特徴 は自動車保険 の支 払いがきわめて多 かっ たことで 、支 払い 総額 の5割以上が 自動車保険によるものであり、 県別 に見 ると 、愛知県 が全 体の9割以上 を占 めていたという。 東海豪雨災害 が、 大都市名古屋 を は じ め と す る人 口 密 集 地 域を 直撃 したこともあって 、 避難勧告 や避 難 指 示の 対象人口 も き わ め て多 数に のぼっ た 。前 記の 消 防 庁 資 料か ら そ の状 況を み る と、早 いところでは 、9 月 11 日午後 5 時 20 分、 三重県四日市市富田地区全域に て4,234 世帯 、11,130 人に対 して 避難勧告 。午 後 6 時、 三重県飯高町波瀬地区に て 2 世 帯、8 人に 対し て避 難 勧 告。午 後 7 時 15 分、愛知県春日井市の 1,703 世帯に 対し て避難勧 告。遅い と こ ろ で は、9 月 12 日午後6 時 25 分、愛知県名古屋市西区 297 世帯に 対し て避 難 勧 告。 午後 7 時、 愛知県西枇杷島町 606 世帯に 対し て避 難 勧 告。 午後 7 時 30 分、愛 知 県東浦町の 264 世帯に 対し て避 難 勧 告、 と 24 時間以上にわたって 各地 で避 難 勧 告が 出さ れている 。 結局 、今 回の 豪雨災害 では 、合 計して222,651 世帯 、579,451 人に 対し て避 難の 勧告 な いし 指示 が行 わ れ た。 県別 に見 ると 、愛知県 が圧倒的 に多 く、 対 象 世 帯 数も 人員 も 9 割以 上を 占め て い る(表 1.1.2 )。1 主な 被 害 状 況 (概 数) (消 防 庁 :平 成 12 年 10 月 2 日 現 在 ) 人 的 被 害 住 家 被 害 非 住 家 被 害 災 対 本 部 負 傷 者 死 者 行方 不明 重傷 軽傷 全 壊 半 壊 一部 損壊 床上 浸水 床下 浸水 公共 施設 その 他 人 人 人 人 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 都道 府県 市 町 村 茨 城 県 1 24 3 栃 木 県 40 群 馬 県 3 35 埼 玉 県 33 106 神 奈 川 県 8 39 福 井 県 1 山 梨 県 1 4 4 101 549 9 62 1 長 野 県 1 1 1 56 148 3 岐 阜 県 1 1 10 13 5 108 375 17 1 20 静 岡 県 1 1 33 愛 知 県 7 7 81 16 56 167 26,531 38,879 45 814 1 85 三 重 県 1 1 2 283 2,806 1 1 62 和 歌 山 県 3 31 45 992 1 1 大 阪 府 12 兵 庫 県 16 徳 島 県 1 3 28 1 愛 媛 県 1 沖 縄 県 3 1 7 28 1 計 10 9 89 27 77 208 27,180 44,111 55 899 4 172 ※災 害 対 策 本 部はピーク時の数
(表1.1.2.)避難勧告指示の 状況 (消防庁資料 より ) 愛 知 県 213,989 世帯 554,402 人 長 野 県 262 世帯 674 人 岐 阜 県 4,164 世帯 13,237 人 三 重 県 4,236 世帯 11,138 人 合計 222,651 世帯 579,451 人 し か し も ち ろ ん 、今 回の 災害 において 避難勧告指示 を出 した 市 町 村だけが 危険 だったわ け で は な い。た と え ば、愛知県 の資 料(平 成 12 年 12 月 18 日)に よ れ ば、11 日夜 から 12 日朝 にかけて 、避 難 勧 告 指 示を 出し た の は 県内 23 市町村 であるが 、避難人口 は 46 市町村 にお いて63,673 人が 避難 した とあり、ま た市町村災害対策本部 を設 置し た の は 80 市町村 となっている 。以 下の 各章 で述 べ る よ う に、 避難勧告指示 を早 期に 発令 した 市 町 村もあっ たが 、一 方、 災害対策本部 を設 置し 災害 に備 えながら 、市 民に 向け て避 難 勧 告 指 示を 出さ なかった 市 町 村、 出す タ イ ミ ン グを 失し て結局出 せ な か っ た市町村 も少 なくなかったので ある 。 避難勧告指示 を発 令す る の は市 町 村 長の 仕事 であるが 、す べ て の市 町 村 長が 風 水 害に 知 悉し て い る わ け で は な く、 この 未 曾 有と もいえ る 災害 に突 然 遭 遇し て、 避難勧告指示 を出 す べ き か ど う か、 出す と し た ら い つ ど の よ う なタ イミン グ で出 し、 ど の よ う に し て市 民に 周知 す る か、 お そ ら く ほ と ん ど の市 町 村 長が 迷ったに 違いない 。だ れ で も い つ で も逡 巡し な い で発 令できる 「避 難 勧 告 指 示の 客 観 的 基 準」 が必 要である 。津 波の 常襲地域 とい える 三 陸 沿 岸 市 町 村の な かに は 、気象庁 から 津波警報 が発 令さ れ る と直 ちに 住民 に避 難の 勧告 指示 を行 うことを 決め て い る と こ ろ が少 な く な い が、 豪雨災害 に お い て も、 こ の よ う な客 観的基準 の設 定が 望まれる 。筆 者が 災害 の調 査 研 究を は じめ て20 年以上経過 しているが、 災害発生 と い う緊急時 に市 町 村 長が 不在 だったという ケ ー スは 決し て少 なくない 。そのよ うな 場合 は助 役が 、助 役が い な け れ ば収入役 が避 難の 勧告指示 を出 す こ とに な って い るも のの 、場 合に よ っ て は 空振 りし 住民 に余 計な 迷惑 を か け る の で は な い か と い う懸 念か ら、 しばしば 躊躇 す る こ と に な る。 もし 、避 難 勧 告 指 示の 客 観 的 基 準が 存在 し、 そ れ が市 民に 周知 されていれば 、こ のよう な 躊躇 も少 な くなる に ちが い な い 。 今回 の東 海 豪 雨 災 害に お い て、 改め て問 題に し な け れ ば な ら な い の は、 水 害 時の 避難 が 危険 を伴 う と い う こ と で あ る。 早期避難 ならともかく 、ひ ざ ま で、 あるいは 腰ま で、 場合 に よ っ て は胸 まで 水に 浸か り な が ら の避 難は 、老 人や 幼児 には 困難 であるし 、仮 に可 能で あっても 、避 難の 途中 で多 くの 困難 に遭 遇す る。 東海豪雨災害 の死 者は 10 名だ っ た が、 そのうち 9 名の 死因 について、 かつてある報道関係者 に調 べてもらったことがある。 その
結果 を表 1.1.3.に示 しておく 。9 名中 3 名は自宅内 で死 亡しているが 、残り 6 名 は屋 外で 亡く な っ て い る。 このうち 避 難 中だった 人が ど の く ら い い た か は不 明だ が、 後にこの 報 表 1.1.3. 東 海 豪 雨 に よ る 人 的 被 害( N H K 提 供 資 料 ) 場 所 被 害 者 発 見 現 場 状 況 1 愛 知 県 犬 山 市 男 性 77 歳 自 宅 自 宅 の裏 山 が 崩 れ 全壊 し た 自 宅 内で 発 見 2 愛 知 県 犬 山 市 女 性 72 歳 自 宅 自 宅 の裏 山 が 崩 れ 全壊 し た 自 宅 内で 発 見 3 愛 知 県 豊 田 市 主 婦 48 歳 田 ん ぼ 冠 水 した 道 路 を 車で U タ ー ン し よ う と し て 田 ん ぼ に 転 落 4 名 古 屋 市 天 白 区 消 防 団 員 5 3 歳 用 水 路 パ ト ロ ー ル 後 帰 宅 途 中 で 、コ ン ク リ ー ト 製 の 蓋 が外 れ た 用 水 路 に転 落 し た と 見ら れ る 5 名 古 屋 市 天 白 区 女 性 77 歳 自 宅 家 族 が旅 行 で 留 守 番 中 の 老 女 。1階 が 事 務 所 の自 宅 で 、水 が 引 いた 後 1 階 で 遺体 で 発 見 。 死因 は 心 不 全 と の こ と で 、 水 没 し て い た と き に溺 れ た か ど う か は 不 明 。 6 名 古 屋 市 緑 区 男 性 49 歳 道 路 歩 い て帰 宅 途 中 、 道 路 脇 の 崖 が 5メ ー ト ル に わ た り 崩 れ 、 巻 き 込ま れ た 7 名 古 屋 市 西 区 男 性 17 歳 庄 内 川 沿 い 公 園 行 方 不 明 だ っ た が 1 7 日 後 に 遺 体 で 発 見 。 午 前 0 時 半 頃 「 川 が増 水 し て 流 さ れ そ う 」 と の電 話 が 最 後 8 三 重 県 四 日 市 市 男 性 60 歳 四 日 市 港 道 路 を横 断 し て い る際 、誤 っ て 農 業 用 水 に 転 落 。二 日 後 に 港 で 発見 。 9 岐 阜 県 上 矢 作 町 男 性 85 歳 矢 作 川? ア マ ゴ の 養 殖 場 の 様 子 を 見 回 り に 出 か け て 増 水 し た 川 に 流 さ れ た 模 様
告で 紹介 す る よ う に、 ア ン ケ ー ト対象者 の う ち、3 割 が危 険を 感じ な が ら避 難し て お り、 またひざ 、腰 、胸 く ら い ま で浸 か っ て避 難し た人 も多 く、 避 難 所ま で たど り 着く ま でか な り時 間を 要し て い る。 水害 の危 険が あ る と き は早 期 避 難が 一 番 望ま し い が、 ま さ か自 分の 身に 深刻 な危 険が 及ぶ と は な か な か 想像 できないこと 、雨 の中 を避難所 まで 避難 するのが 面倒 な こ と な ど か ら、 避難 が遅 れがちになり 、やっと 危険 に気 づきはじめてから 避難 する ため 、このよ うな 事態 に な る。 まるで 川の ようになった 路上 を歩 いて 避難 するとき 、側 溝に 落ちたり 、開 いた マンホー ルの 中に 落ちたり 、田 ん ぼには ま ったり す る ケ ー スは 決し て少 なくない 。水 害 多 発 地 域で は、 探り 棒な ど と い わ れ る 杖をもち 、前 を確 認し な が ら移 動す る と か、 電柱 な ど にロープ を張 りそれを 伝っ て移 動す るなど の 生活 の知 恵が あ る が、 水害 の経 験の ほ と ん ど な い 都市 住民 にそのような 知恵 を期 待す る の は無 理と い う も の で あ ろ う 。 一 方、今 回の 災害 は都市部 を直 撃し た か ら、 居 住 用の 高層建物 も多 く、ビ ルの 2 階以上 に住 んでいた 人は ま った く 被害 を受 けなかったし 、豪雨時 にも 危険 を感 じて い な い。 まし て、 避難 の必 要も 感じ なかっ た 。そこで 、提 案である 。土 砂 災 害の 危険 の あ る地 域は 除い て、 平坦 な都市部 では 、水害時 に住 民を 避 難 所( しばしば 地 震 時の そ れ を転 用し た) に避 難さ せ る の で な く 、むしろ 鉄筋鉄骨 のビ ルの 2 階あ る い は 3 階以上に 避難 させるほうが 、 人的被害 の軽 減に 寄与 するのではないか 。津 波の 危険地域 では 、遠い 高台 に避 難す る よ り、 近く のビ ルの 高所 に避 難さ せ る ほ う が合理的 であるとして 、漁 協や ホ テ ルに 依頼 し、 いざ というときに ビル の高 所を 提供 し て も ら う よ う協 定を 結ん で あ る と こ ろ が あ る が 、そ の水 害版 で あ る。 今後 、ま す ま す高 齢 社 会が 加速 し、 災 害 時 要 援 護 者が 増加 す る と予 想される 現在 、水害時 の避 難 計 画を 再考 する 時期 に来 て い る の で は な い だ ろ う か 。
2 2000 年東海豪雨災害の 概要
2.1 気 象 概 況 2.1.1 天 気 図か ら見 た日 本 付 近の 状況 図 2.1.1.1 は 9 月 11 日 09 時 の天気図 で あ る。 南大東島 の南 には 大型 で非 常に 強い 台風 第 14 号があって 、ゆっくりと 北西 に進 んでいる 。一 方、 東北地方 から 北陸地方 を通 って 九州北部 には 前線 が停 滞し て い る。 この 前線 は、6 日から 7 日 にかけて 大陸方面 から 日本 海を 南下 し て き た も の で、いったん 活動 は弱 まったが 、豪 雨のあった 11 日か ら 12 日にか け て も引 き続 き日 本 付 近に 停滞 していた 。 また、 太平洋高気圧 は 8 日こ ろ ま で東日本 から 西 日 本を 広く 覆っていたが 、徐 々に 勢力 を弱 めて 10 日に か け て一時的 に関 東の 南東海上 まで 後退 した 。しかし 、11 日に 入ってか ら再 び勢 力を 増し 、12 日には 関東 の南海上 まで 勢力 を伸 ば し て き た。 この 間、 台 風 第 14 号は 発達 しながら 日本 の南海上 を北 西に 進ん で お り、豪雨 のあった 11 日から 12 日にかけ ては 、台風第 14 号に 加え て一 時 勢 力が 衰え た太平洋 の高気圧 が再 び勢 力を 盛り 返す 時期 にあたり 、台 風の 東側 を北 上す る暖 かく 湿っ た南 寄り の風 が高気圧 の西 側を 回る 流れによ っ て さ ら に強 化さ れ て い た も の と み ら れ る。 図 2.1.1.1 9 月 11 日 09 時の 天 気 図 図 2.1.1.2 に 11 日 09 時の 850hPa の天 気 図を 示す 。陰影域 は周 囲よ り湿 った 領域 で、 停滞 している 前線 に沿 って 、北日本 から 西 日 本に か け て下 層で は ほ ぼ全国的 に湿 っている 。 また 、台風第 14 号と 日本 の東 に あ る太平洋 の高気圧 の間 に当 たる 日本 の南海上 では 南か ら南 東の 風が 強ま り、 東 日 本か ら西日本 の南 岸に 向か っ てい る 。このよ うに 、日 本の 南 海 上の 台風 、日 本 付 近に 停滞 する 前線 に加 えて 東 海 上の 太平洋高 気圧 の影 響に よ っ て も た ら さ れ る豪 雨は 、日 本で 発生 する 豪雨 の ひ と つ の典 型であり 、前 線や 台風 の位 置は 異な るもの の 1998(平 成 10)年 8 月 下 旬の 栃 木 県 北 部か ら福島県南部 に か け て の豪 雨も 同様 の例 としてあげられる 。 図 2.1. 1.2 9 月 11 日 09 時の 850hPa 天気図(陰 影 域 は湿 潤 域 ) 2.1.2 気象衛星 、レ ー ダ ーの 状況 台 風 第 14 号は、 気象衛星 「ひ ま わ り」 の雲画像 で見 ると 、日 本の 南 海 上を 北 西 進し て いた 10 日から 12 日にかけては 、台風 の外 側に 広が る降雨帯 を含 め て も 、台 風 本 体の 雲の 大きさは 半径 500km 程 度で あ っ た。 豪雨 のあった 東海地方 か ら は最 も 近づいた 時点 でも 1000km 以 上 離れ て お り、 豪雨 をもたらした 雨雲 は台 風 本 体の 雲と は異 なるものであるこ と が わ か る。 豪 雨 前 日の 10 日 09 時の 気象衛星 の画 像で は、北 日 本か ら日本海南部 にかけて 前線 に対 応す る雲 域がある 。新潟県 から 石 川 県に かけて の 北陸地方 に や や発 達し た雲 が見 られるも のの 、北日本 から 日 本 海 南 部に か け て大 雨を も た ら す よ う な発 達し た対流雲 は ほ と ん ど含 まれていない 。 一方 、日 本の 南 海 上に は台風第 14 号があり 北西 に進 ん で い る が、 この 時刻 には 東 日 本 から 西 日 本の 太平洋側 に か け て は、 前線 と台 風の 間に 雲のない 領域 が あ り、 四国 から 紀伊 半 島 沖に か け て も ま だ 発達 した 雲は 観測 されていない 。レ ー ダ ー観 測で も、 ま と ま っ たエ コー は見 られなかった 。 そ の後、10 日の 昼こ ろ か ら台 風と 前線 の間 で そ れ ま で発 達し た雲 が ほ と ん ど な か っ た四 国か ら紀 伊 半 島の 南 海 上で 対 流 性の 雲が 発達 を始 めた 。
レーダー の観 測で は、10 日の 夜に 入っ て 、紀 伊 半 島の 南 海 上で 急速 に発 達し な が ら北 上 する エ コ ーが 捉え ら れ て い る。 この エ コ ーは さ ら に北 上し て潮 岬か ら三 重 県南 部 の尾鷲付 近に か か り、10 日 23 時ま で の 1 時間 に尾 鷲で 63 ミリの 激し い雨 を観 測し た。 また 、四 国沖 から 徳 島 県 付 近に かけて も 対 流 性の 雲が 発達 を始 め、1 時間 に 40 ミリ前 後の 激し い雨 を観 測し た所 があった 。こ う し た対流雲 の発 達、 北上 は南 か ら の下 層へ の暖 かく 湿っ た空 気の 流れ 込み が次 第に 強ま り つ つ あ ることを 示唆 している 。 四国 から 紀 伊 半 島 沖で は、 このあとも 11 日の早 朝に か け て対 流 活 動が 活発 で、 次々 に 発生 して 北上 する 対 流 雲に よ っ て三重県、 愛 知 県、静岡県 の沿岸部 を中 心に 所々 で 1 時間 に 40 から 50 ミリ の激 しい 雨が 観測 されたが 、こ れ ら の雲 域は 北上 しながら 次第 に衰 弱し 、 11 日の朝 には 紀伊半島付近 での 対流活動 は一時的 に弱 まった 。 し か し、11 日の昼 こ ろ か ら は対 流 活 動が 再び 活発 と な り、紀伊半島 の沿 岸か ら志 摩 半 島 の南海上 で対流雲 が急 速に 発達 しながら 北上 を始 めた。11 日 昼 過ぎには 強 雨 域は 三重県北 部や 伊 勢 湾 付 近にまで 広が り、レ ー ダ ー・ア メ ダ ス解 析 雨 量(以 下「解 析 雨 量」)*によれ ば 15 時までの 1 時 間に 三 重 県 北 部で 110 ミ リの 激し い雨 が記 録された 。 こ の対 流 雲 域は さ ら に ゆ っ く り と 北上 を続 け、11 日夕方 から 深夜 にかけて 特に 愛知県西 部を 中心に 1 時 間 100 ミリ 前後 の激 しい 雨を 降らせた 。 東海市 で 114 ミリ、 名古屋市 で 93 ミリ の記録的 な豪 雨が 降る 直前 の 11 日 18 時の 気象 衛星 に よ る観 測で は、 愛 知 県 西 部と 紀伊半島 の南 部に 非常 に発 達し た雲 域が 見ら れ、 これ らの 雲頂高度は 14,000 メ ー ト ル前 後に 達し て い た。 名 古 屋 地 方 気 象 台の 調査(200 2)でも 、豪雨時 に名古屋 レーダー で観 測された 最も 高い エ コ ー頂高度は 14,000m付近 で あ っ た こ と が報 告されている 。 レ ー ダ ーの 観測 では 、こ の こ ろ か ら三 重県中 部 から 愛 知 県 西 部に か け て ほ ぼ南 北に 伸び る線 状の エ コ ーが 急速 に発 達し 、名 古 屋 市な ど愛 知県西 部 の記録的 な豪 雨が 始まった 。 今 回の 豪雨 を気 象 衛 星の 画像 やレ ー ダ ーか ら見 ると 、台風第 14 号が 日本 の南海上 を北 西進 した 10 日夜 から 12 日朝 にかけて 四 国 沖か ら紀 伊 半 島 付 近で 次々 に対流雲 が発 生し 、 発達 しながら 北上 、東 進し た。 これらの 発達 した 対 流 雲はほぼ 順調 に北北東 から 北東 に毎 時 30 から 40km の速 さで 移動 しており 、同 じ場 所に 長 時 間 停 滞することはなかったもの の、 レーダー 観測 によれば 、三 重県中 部 から 愛 知 県 西 部に か け て次 々と 同じ よ う な場 所に 強 雨 域が 線状 に形 成されて 持続 し、 激し い豪 雨が 数 時 間に わ たっ て 続い た。 2.1.3 降水 の状 況 図 2.1.3.1 は名 古 屋と 紀伊半島 の南東部 に あ る尾 鷲の 10 日 21 時から 12 日 09 時までの 1 時間降水量 の時 系 列 図である 。尾 鷲で は紀 伊 半 島 付 近で 次々 に発 生、 発達 する 対 流 雲の 通過 によって、10 日夜 から 7 時 間 程 度の 間隔 で繰 り返 し激 しい 雨が 観測 さ れ て い る。特に
10 日 23 時ま で の 1 時間 に 63 ミリ、12 日 03 時までの 1 時 間に 66.5 ミリを 観測 し、3 時 間の 降 水 量で は 12 日 04 時までの 3 時 間 に 151.5 ミリで あ っ た。 一方 、名古屋 では 11 日 早朝 の強 雨のあと 、昼 過ぎ ま で い っ た ん 小降 りになったが 、下 層へ の暖 かく 湿っ た空 気の 流れ 込み が強 まり 、発 達し た対流雲 が次 々に 通過 し た 11 日 夕 方か ら深 夜に か け て激 しい 雨が 集中 した 。11 日 19 時までの 1 時 間に 93 ミリ 、21 時までの 3 時 間に 214 ミリ と な り、 この 期間 の降水量 の合 計は 尾鷲 より 少な かった が 、短時間 の降水量 は い ず れ も尾 鷲の 値を 大き く上 回っ た。 図 2.1.3.1 名 古 屋と 尾鷲 の 1 時 間 降 水 量の 時系列図 (9 月 10 日 21 時から 12 日 09 時までの 36 時 間) 1 時間降水量 では 、表 2.1.3.1 に示 すとおり 名 古 屋を 含め て愛 知 県 内の アメダス 観 測 点 7 か所 で極 値が 更新 さ れ た。特 に東海市 では 、11 日 19 時までの 1 時間 に 114 ミリ もの 豪雨 と な り、1979 年 1 月の観 測 開 始 以 来の 記録 69 ミリ を大 幅に 上回 った 。 名 古 屋 0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 2 1 時 1 1 日 0 3 時 0 9 時 1 5 時 2 1 時 1 2 日 0 3 時 0 9 時 日 時 降 水 量 ︵ ミ リ ︶ 尾 鷲 0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 2 1 時 1 1 日 0 3 時 0 9 時 1 5 時 2 1 時 1 2 日 0 3 時 0 9 時 日 時 降 水 量 ︵ ミ リ ︶
表 2.1.3.1 1 時 間 降 水 量の 極値 を更 新し た愛 知 県 内の アメダス 観 測 所 観 測 所 降 水 量( ミリ ): 時間 過去 の極 値( ミリ ) 東 海 114:9 月 11 日 18 時∼19 時 69:1994 年 9 月 17 日 名 古 屋 93:9 月 11 日 18 時∼19 時 68:1987 年 9 月 25 日 蟹 江 78:9 月 11 日 17 時∼18 時 76:1992 年 8 月 11 日 稲 武 70:9 月 12 日 02 時∼03 時 51:1999 年 9 月 24 日 豊 田 61:9 月 11 日 22 時∼23 時 58:1983 年 9 月 28 日 出 来 山 60:9 月 12 日 02 時∼03 時 51:1997 年 8 月 14 日 岡 崎 55:9 月 12 日 00 時∼01 時 53:1983 年 6 月 24 日 統 計 開 始 は 1979 年 1 月 (出 来 山 は 1979 年 4 月 ) 次 に解 析 雨 量か ら豪 雨の 様子 を見 ると 、図 2.1.3.2 は三 重 県、 愛 知 県、 岐 阜 県の 3 県で 解析雨量が 1 時 間に 80 ミリ 以上 を記 録し た格 子の 数である 。 図 2.1.3.2 解析雨量 で 1 時間 80 ミリ 以上 の格子数 (三重県 、愛知県 、岐阜県 :9 月 11 日 12 時から 12 日 03 時) 今 回の 豪雨 では 、11 日 12 時の 三 重 県で の 1 格 子に 始ま り、 愛 知 県 西 部の 豪雨 をはさん で 12 日 03 時 まで 実 に 12 時間以上 にもわたって 、1 時 間 80 ミリ 以上 が記 録されている 。 中で も、 愛 知 県で は 11 日夕方 から 21 時 ころにかけて 集中 し、18 時に は 7 格子 、19 時に は 16 格子、21 時に は 6 格 子でそれぞれ 80 ミリ 以上 が記 録された 。さらに 、19 時の 16 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 11日12時 15時 18時 21時 24時 03時 日 時 格 子 数 三重県 愛知県 岐阜県
格子 のうち 9 格 子で 100 ミリを 超え 、名古屋 や東海市 を含 めてその 周 辺 部で も記録的豪雨 であっ たこと がわ かる 。 9 月 11 日 00 時か ら 12 日 24 時 ま で の 48 時間 の愛知県 を中 心とした 東海地方 の降水量 分 布 図が図 2.1.3.3 である 。愛知県 では 静岡県境 に近 い東 部や 渥美半島 など 沿 岸 部を 除い て 300 ミリを 超え て い る ほ か 、三重県 から 伊 勢 湾を 通っ て愛知県西部 に か け て は 400 ミリ を超 える 地域 が帯 状に 連な ってい る。特に 名古屋市周辺 や三 重 県中 部 では 500 ミリを 超え て い る。 図 2.1.3.3 降水量分布図 (名 古 屋 地 方 気 象 台(2002 年)) (9 月 11 日 00 時から 12 日 24 時までの 48 時 間) この 2 日 間の 名 古 屋の 降 水 量は 567 ミリ 、名 古 屋 市のすぐ 南に 位置 する 東 海 市で は 589 ミリ を観 測し た。 表 2.1.3.2 は今 回の 豪雨 で名 古 屋 地 方 気 象 台が 観測 した 降 水 量の 極値更新 の記 録で ある 。 表 2.1.3.2 降 水 量の 極値更新 の記 録(名古屋地方気象台) 要 素 今回 の記 録(ミリ) 過去 の極 値 統 計 開 始 年 日最大 1 時間降水量 97.0 9/11 18:06 - 19:06 92.0 1994/7/18 1891 年 日 降 水 量 428.0 9/11 240.1 1896/9/ 9 1891 年 最大 24 時間降水量 534.5 9/11 05h - 9/12 05h 277.5 1971/8/30 1971 年 名古屋 の 11 日の 日 降 水 量 428.0 ミリは 1891 年 1 月 に名 古 屋 地 方 気 象 台で 統計 を開 始し
て以 来 最 大の も の で、そ れ ま で の記 録は 100 年 以 上 前の 1896 年 9 月 9 日に観 測した 240.1 ミリ で あ る。 今回 の豪 雨で は、 従来 の極 値を 2 倍近 くも 更新 している 。 また、最大 24 時 間 降 水 量を 見る と、11 日、12 日の 2 日 間に 降っ た 567 ミリ の大部分 は 11 日 05 時からの 24 時間 で降 っ た も の で あ る。 名 古 屋の 年降水量 の平年値 (1971 年から 2000 年の 平均) は 1564.6 ミリ で、年降水量 の ほ ぼ 3 分の 1 が正 味 24 時間で 降っ た こと に なり 、こ の降 水の 記録 か ら も今 回の 豪雨 がいかに 記 録 的で あ っ た か が わ かる 。 な お、11 日、12 日 の 2 日 間 に 500 ミリ以 上の 降 水 量が あ っ た地 域のうち 、愛知県西部 の名 古 屋 市や 東 海 市を 中心 と し た地 域の 広さ は約 700 平方 キロメートル におよび 、これは 東京 23 区を合 わ せ た面 積( 約 620 平方 キロメートル )を 上回 る広 さである 。 * 解 析 雨 量は アメダス などのように 実況 の降水量 を 得る こ と が で き な い所 に お い て も、周 辺の 実 況 値と レーダー の観 測 結 果を 組み 合わせて 、5km 四 方の 格子 ご と に降水量 を推 定 す る も の で、 実況 を補 完す る資 料として 利用 で き る。 参考文献: 名古屋地方気象台(2002):2000.9.11-12 東 海 豪 雨(CD-ROM 版) 2.2 河 川 災 害の 概要 日 本 海を ゆ っ く り と南 下し て い た秋 雨 前 線は ,台 風 14 号の 影響 で活 動が 活発 と な り ,東 海 地 方か ら四 国 地 方に か け て大 雨を も た ら し た。特に 名古屋市 では 11 日一日 で 428mm の降 水量 を記 録。 こ れ は こ の地 域の 年 間 降 水 量の 3 分の 1 以上 がわずか 1日 で降 った 計算 にな る。 また ,12 日午後 5 時 ま で の 24 時 間 降 水 量では 534.5mm,1 時間の 最 大 降 水 量は 93mm と, いずれも 明治 24 年からの 観測史上最大 の値 を記 録し て い る。 この 猛烈 な雨 によって 新川 が破 堤し た の は、9 月 12 日 の未 明の こ と だ っ た 。新 川は 前日 か ら の雨 で計 画 高 水 位 を超 える 危険状態 が数 時 間 続い て いた が ,午 前 3 時 30 分頃 になって 名古屋市西区 あし 原町 の支 流と 交わ る地 点の 左側堤防 が長さ 100m に わ た っ て決 壊し た 。内 水 氾 濫の 影響 もあって ,西 区のほか 西 枇 杷 島 町,新 川 町などで 約 1 万 8000 戸の浸 水 被 害を 出し た。 ほぼ 同 時 刻の 午前 4 時 頃, 今度 は新 川と 並行 して 流れ る庄内川 が中川区 の一色大 橋 下 流 右 岸で 溢水 。床上 4 戸を 含む約 190 戸 が浸 水 被 害を 受け た。 一方 ,大 雨の ピ ー ク時 にあたる 前日 の夜 には 天 白 川が 越水 しており ,さらに 愛 知 県 南 知多 町と 名古屋市緑区 では 竜巻 も発 生し て い る。 この 豪雨 によって 東海 3 県で 合わせて 18 万 世 帯に 避難勧告 が出 され ,被 害は 死者 10 人, 浸水家屋 7 万 戸 以 上に 及ぶなど ,昭和 34 年 の伊 勢 湾 台 風 以 来 の惨 禍と な っ た。
表 ― 東 海 豪 雨による 災害概要 被 災 種 別 内 容 1 . 死者 ・ 行 方 不 明 者 10 人 2 . 負 傷 者 98 人 3 . 家 屋 全 半 壊 104 棟 4 . 家 屋 一 部 損 壊 208 棟 5 . 床 上 浸 水 2 万 7180 棟 6 . 床 下 浸 水 4 万 4111 棟 7 . その 他 の 被 害 非 住 家( 公 共 施 設 ・文 教 施 設 ) 55 棟 非 住 家( 公 共 建 物 以 外 ) 899 棟 病 院 ― 道 路 等 107 ヵ 所 道 路 冠 水 1623 ヵ 所 道 路 通 行 止 め 16 ヵ 所 橋 梁 ― 堤 防 (破 堤 ) 123 ヵ 所 砂 防 施 設 ― 崖 崩 れ・ 土 砂 崩 れ 88 ヵ 所 土 砂 流 出 等 12 ヵ 所 港 湾 施 設 ― 林 地 ・林 業 施 設 ― 断 水 ― 停 電 9858 ヵ 所 ガ ス ― 電 話 ―
※ 資料提供 国 土 交通 省 写真 新 川の 破堤
3. 防災関係機関の対 応
3.1 名古屋地方気象台 の対 応 3.1.1 はじめに 東海豪雨 の際 、大 雨に 関連 して 気 象 庁や 名古屋地方気象台 が発 表 した 防災気象情報 は、 大雨警報、大 雨 注 意 報、洪水警報 、洪 水 注 意 報 等の ほ か に表 3.1.1.1 の よ う な も の が あ る。 このうち 、愛 知 県 気 象 情 報 、東 海 地 方 気 象 情 報、 全般気象情報 に は「 大雨 に関 する 」の よ う に現 象を 表す 文言 を冠 し、「大 雨に 関す る東 海 地 方 気 象 情 報 」などの タイトル で発 表し た。 また 、注意報 、警 報は 愛 知 県 全 体を 対象 に す る場 合と 、県 内を い く つ か の予報区 に区 切り 、それぞ れの 予 報 区ごとに 発表 する 場合 が あ る。 表 3.1.1.1 大雨 に関 連し て発 表す る防 災 気象 情 報の 種類 種 類 内 容 発表官署 東 海 地 方 気 象 情 報 東 海 地 方 ( 愛 知 県 、 岐 阜 県 、 三 重 県 、 静 岡 県 ) に お け る 大 雨 の 可 能 性 、 状 況 や 今 後 の 見 通 し の ほ か 災 害 に 対 す る 注 意 や 警 戒 な ど を 呼 び か け る 。 名 古 屋 地 方 気 象 台 愛 知 県 気 象 情 報 愛 知 県 に お け る 詳 細 な 雨 の 状 況 や 今 後 の 見 通 し の ほ か 、 災 害 に 対 す る 注 意 や 警 戒 な ど を 呼 び か け る 。 文 章 に よ る 情 報 の ほ か 、 き め 細 か な 状 況 や 見 通 し に つ い て 画 像 を 利 用 し て 発 表 す る 。 同 上 記 録 的 短 時 間 大 雨 情 報 大 雨 警 報 を 発 表 し て 警 戒 を 呼 び か け て い る 最 中 に 、 数 年 に 一 度 位 し か 現 れ な い よ う な 1 時 間 雨 量 が 観 測 さ れ た と き に 「 あ る 地 域 で 記 録 的 な 大 雨 が 降 っ て い る 」 と い う 主 旨 で 発 表 す る 。 同 上 全 般 気 象 情 報 日 本 国 内 の 広 い 範 囲 で 大 雨 と な る 可 能 性 が 高 い 場 合 に 、そ の 旨 を 予 告 す る 目 的 で 発 表 す る 情 報 。 ま た 、 広 い 範 囲 で 既 に 大 雨 と な っ て い る と き に も 、 そ の 状 況 と 今 後 の 概 括 的 な 見 通 し を 発 表 す る 。 気 象 庁 予 報 部 表 3.1.1.2 は、 これらの 防災気象情報 の発 表状況 等 について 、名 古 屋 地 方 気 象 台の 対応 を中 心に 時間 を追 っ て ま と め た も の で あ る。表 3.1.1.2 名古屋地方気象台 の防 災 気 象 情 報 発 表 状 況 日 時刻 注 意 報・ 警報 府 県 情 報 地 方 情 報 記 録 的 短 時 間 大 雨 情 報 指 定 河 川 洪 水 予 報 全 般 情 報 備 考 (鍵 か っ こ内 は情 報の 主 な内 容) 06 時 15 分 1 号 1 0 16 時 35 分 2 号 01 時 45 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」 大雨 、 洪水 東 三 河 南 部」 大雨 、 洪水 05 時 29 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」 大雨 、 洪水 東 三 河 南 部」 大雨 、 洪水 「昼 前 まで 1 時間 に 50 ㎜の と こ ろ あ り」 05 時 35 分 3 号 06 時 40 分 1 号 08 時 10 分 2 号 11 時 00 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」 大雨 、 洪水 東 三 河 南 部」 大雨 、 洪水 「昼 す ぎ ま で 1 時間 に 50 ㎜の と こ ろ あ り」 1 1 11 時 30 分 4 号
12 時 30 分 3 号 14 時 30 分 予 報 打 ち合 わ せ会 。 大雨 ポ テ ン シ ャ ル は高 い が長 続き は し な い 。1 名 増、2 名 自 宅 待 機 の 臨 時 編 成と する 。 15 時 10 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」 大雨 、 洪水 東 三 河 南 部」 大雨 、 洪水 宵の う ち に か け て 1 時間 に 50 ㎜ の と こ ろ あ り 。 15 時 30 分 4 号 15 時、三 重 県 四 日 市 市 付 近で 1 時間 に約 110 ㎜の 降水 を観 測。 16 時 30 分 5 号 7 号 「三 重 県 四 日 市 市 付 近で 激し い 雨。 明 日ま で 土砂 災 害 浸 水 害に 警戒 を。」 断 続 的 だ っ た 現象 が 持続 的に 変化 し始 める 。 17 時 30 分 気 象 台 付 近 豪 雨。 雨 が滝 の よ う。 17 時 35 分 5 号 18 時 00 分 帰 宅 前の 職員 を残 す。 18 時 15 分 1 号 「名 古 屋 市 付 近、 飛 鳥 村 付近 で約 90 ㎜の 降 水を 観測 」
18 時 30 分 15 名 で の 臨 時 編 成 + 残 った 職 員に よ る対 応 始ま る( 通常 の夜 勤は 3 名 )。 愛 知 県 、名 古 屋 市 担 当 者 へ電 話 で実 況 と予 測 の解 説を 行う 。 18 時 35 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」 大雨 、 洪水 東 三 河 南 部」 大雨 、 洪水 「過 去 数 年 で 最も 土 砂 災 害の 危 険 性が 高い 」 県 消 防 防 災 課 主 幹 へ 状況 説明 を 試み る が錯 綜 して 繋が ら な い 。 直 接 赴 こう と す る も 浸 水 冠 水 広 が り、 交 通 手 段 なく 断念 。 19 時 08 分 名 古 屋の 日 最 大 1 時 間 降 水量 97 ㎜を 観測 。 19 時 15 分 雨で 視界 ゼロ 。 竜巻 あ り と の 情 報 入 手 。 19 時 20 分 2 号 「東 海で 114 ㎜ 、名 古 屋 で 93 ㎜ 」 19 時 30 分 県へ 被 害の 問 い合 わ せ と 地 下 空 間へ 一 挙に 水 が押 し寄 せ る危 険 が高 い 旨連 絡す る。 浸 水 害 の広 が り と と も に 部外 か ら の電 話が 減る 。 19 時 45 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」 大雨 、 洪水 東 三 河 南 部」 大雨 、 洪水 「過 去 数 年 で 最も 土 砂 災 害の 危 険 性 が 高い 。 名古 屋 市 周 辺で 浸 水 害 発 生。 厳 重 警 戒 。」 20 時 00 分 6 号 記 者 数 名 気 象 台に は り つ き取 材 開 始。
20 時 05 分 8 号 「東 海 地 方 で 激し い 雨。 大き な 災害 の 恐れ あ り。 厳 重 警 戒 。」 20 時 15 分 3 号 「 尾 張 旭 市 付 近 で 約 90 ㎜」 20 時 25 分 7 号 「住 宅 ・地 下 街へ の 浸水 等や 河 川の は ん濫 に 厳重 に警 戒」 20 時 40 分 6 号 庄 内 川 注 意 報 20 時 45 分 8 号 「名 古 屋 で日 雨 量 300 ㎜ を越 え る豪 雨 。さ ら に浸 水 拡 大の 恐れ 。」 21 時 00 分 気 象 庁 本 庁 か ら地 方 官 署 へ臨 時 の指 示 。各 地 で監 視 強 化し 万全 の対 応を 。 21 時 15 分 4 号 長 良 川 注 意 報 「大 府 市 付 近 で約 90 ㎜」 21 時 30 分 9 号 気 象 庁 本 庁か ら指 示 21 時 40 分 竜 巻 に 関 す る 速 報 を 作 成。 22 時 00 分 庄 内 川 警 報 9 号 気 象 庁 本 庁 で 記 者 発 表。 名 古 屋 を中 心 に大 雨 とな っ て い る 。NHK で放 送。 22 時 04 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」大 雨 、 洪水 東 三 河 南 部」大 雨 、 洪水 「愛 知 県 全 域 で土 砂 災 害 浸 水 害に 厳 重 警 戒 。」 22 時 20 分 竜巻 の速 報を 発表 22 時 25 分 10 号
22 時 30 分 7 号 「名 古 屋 市で は,11 日 22 時ま で に 観 測 史 上 第 1 位 の 日 降 水 量 336 ㎜ を 観 測。」 22 時 55 分 揖 斐 川 注 意 報 23 時 15 分 5 号 「大 府 市 付 近 で約 90 ㎜」 23 時 30 分 11 号 23 時 40 分 庄 内 川 情 報 「最 大 水 位を 更新 」 00 時 30 分 8 号 10 号 00 時 40 分 木 曽 川 注 意 報 00 時 35 分 12 号 「 名 古 屋 の 日 雨 量 428 ㎜。 平年 の 9 月 の月 降 水 量の 1.8 倍。」 01 時 00 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」大 雨 、 洪水 東 三 河 南 部」大 雨 、 洪水 「西 部 と東 三 河 北 部 では 過 去 数 年で 最 も土 砂 災 害 の危 険 性 が高 い。」 01 時 20 分 庄 内 川 情 報 「枇 杷 島 大 橋 及び 一 色 大 橋 の 水 位 は 桁 下 す れ す れ」 01 時 25 分 13 号 01 時 50 分 矢 作 川 注 意 報 庄 内 川 情 報 1 2 02 時 15 分 6 号 「 額 田 町 付 近 で 約 100 ㎜」
02 時 30 分 9 号 庄 内 川 情 報 02 時 35 分 14 号 「東 部 の額 田 町・ 下 山 村 付近 で 80∼100 ㎜の 猛烈 な雨 」 02 時 45 分 長 良 川 情 報 03 時 00 分 揖 斐 川情 報 03 時 05 分 木 曽 川 情 報 03 時 20 分 矢 作 川 情 報 03 時 25 分 15 号 03 時 30 分 庄 内 川 情 報 04 時 35 分 16 号 庄 内 川 情 報 04 時 45 分 矢 作 川 情 報 04 時 50 分 11 号 04 時 55 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」大 雨 、 洪水 東 三 河 南 部」大 雨 、 洪水 「県 内 で浸 水 害・ 土 砂 災 害 発 生 。昼 前 まで 激 しい 雨。 き わ め て 危険 な 状態 続く 。厳 重 警 戒。」 05 時 25 分 17 号 「名 古 屋で は 降り 始 めか らの 降 水 量が 555 ㎜ に。 年 間 降 水 量 の 1/3 に 相 当。」
05 時 30 分 10 号 「東 海 地 方 で は、 記 録 的 な大 雨 。特 に 、愛 知 県や 岐 阜 県 では 過 去 数 年 間で 最も 土 砂 災 害 の危 険 が高 く な っ て い る 。」 05 時 45 分 庄 内 川 情 報 豊 川 注 意 報 06 時 30 分 日 勤 者 が出 勤 困 難 に 。夜 勤者 の 継続 な ど に よ り体 制を 確保 。 06 時 45 分 18 号 庄 内 川 情 報 「枇 杷 島 付 近 の水 位 は今 後も 高 い水 位 で継 続 する と予 想」 06 時 50 分 12 号 「愛 知 県、 静 岡県 、 長野 県 南 部 で激 し い雨 。 東海 地 方 を 中 心 に 河 川 の 氾 濫、 土 砂 災 害 発 生 。 大雨 続く た め災 害 さ れ に 拡大 の お そ れ 。厳 重 警 戒。」 06 時 55 分 矢 作 川 警 報 「 危 険 水 位 を 越 え て い る」 07 時 00 分 長 良 川 情 報 名 古 屋 で は 小 降 り に な り、ピ ー ク を過 ぎた 実感 。 07 時 35 分 19 号 07 時 40 分 庄 内 川 情 報 「危 険 水 位 以 上の 水 位が 続く 見込 み」 07 時 45 分 揖 斐 川 情 報 07 時 55 分 木 曽 川 情 報
08 時 00 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河北 部」大 雨 、 洪水 東 三 河 南 部」大 雨 、 洪水 「 記 録 的 な 大 雨 で 浸 水 害・ 土 砂 災 害 発 生 。 昼前 まで 激 しい 雨 。き わ め て 危険 な 状 態 続 く。 厳 重 警 戒。」 08 時 30 分 11 号 出 勤 途 中で の 足止 め 者続 出。 08 時 35 分 20 号 「激 し い雨 は 小 康 状 態。 こ れ ま で の 記 録 的 な 大雨 に よ る 非常 に 危険 な 状態 は継 続。」 08 時 45 分 本庁 で 記者 レ ク用 資 料 作 成。 名 古 屋 で は交 通 途 絶 の た め 地台 に 記者 を 集め ら れ ず レ ク 開 催 で き な い。 08 時 50 分 庄 内 川 情 報 09 時 10 分 矢 作 川 情 報 「危 険 水 位 ・ 危 険 流 量 以 上の 水 位・ 流 量が 続 く見 込み 」 09 時 25 分 21 号 09 時 50 分 庄 内 川 情 報 10 時 00 分 揖 斐 川 解 除 13 号 「東 海 地 方 を 中心 に 記録 的な 大雨 。」 10 時 05 分 豊 川 情 報 10 時 10 分 長 良 川 解 除
10 時 20 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」大 雨 、 洪水 東 三 河 南 部」大 雨 、 洪水 「 記 録 的 な 大 雨 で 浸 水 害・ 土 砂 災 害 発 生 。 夕方 まで 激 しい 雨 。き わ め て 危険 な 状 態 続 く。 厳 重 警 戒。」 10 時 30 分 22 号 10 時 40 分 庄 内 川 情 報 11 時 20 分 23 号 11 時 30 分 12 号 11 時 35 分 木 曽 川 情 報 11 時 45 分 庄 内 川 情 報 12 時 05 分 矢 作 川 情 報 12 時 25 分 24 号 12 時 35 分 木 曽 川 解 除 12 時 45 分 庄 内 川 情 報 13 時 00 分 夜 勤 明 けの 予 報 官 テ レ ビ 取材 13 時 35 分 25 号 13 時 45 分 庄 内 川 注 意 報 14 時 00 分 NHK 取材
14 時 35 分 13 号 14 時 40 分 26 号 15 時 30 分 県、 市 の災 対 本 部 へ 。今 後の 見通 し解 説。 15 時 55 分 27 号 16 時 05 分 矢 作 川 情 報 16 時 25 分 28 号 14 号 16 時 30 分 豊 川 解 除 16 時 55 分 14 号 17 時 30 分 庄 内 川 解 除 17 時 50 分 矢 作 川 注 意 報 17 時 55 分 西部 」大 雨、 洪水 東 三 河 北 部」洪 水 、 大雨 東 三 河 南 部」洪 水 、 大雨 「こ れ ま で の 記 録 的 な大 雨で 県 内で は 浸 水 害 が発 生。 明 日 朝 の 内ま で 極め て危 険 な状 態 が続 く 。厳 重に 警戒 。」 18 時 30 分 通 常 体 制 へ 18 時 35 分 29 号 「大 雨 の峠 は 越え た が、 浸 水 害 に は 引 き 続 き 警 戒。」
18 時 50 分 西部 」洪 水 、大雨 東 三 河 北 部」洪 水 、 大雨 東 三 河 南 部」洪 水 、 大雨 20 時 00 分 30 号 「大 雨 の恐 れ は な く な っ たが 浸 水 害 に は引 き 続き 警戒 。」 20 時 20 分 15 号 22 時 15 分 矢 作 川 解 除 22 時 35 分 16 号 04 時 50 分 全域 」洪 水 1 3 10 時 20 分 解除 注: 斜字 は警 報 表中 、注意報 と警 報の 発表状況 は、 名古屋地方気象台 が発 表し た 注 意 報、 警報 の中 から 大雨 に関 係す る も のだ けを 記述 した 。“ 西部 」大 雨 、洪 水”は愛 知 県 西 部 地 方 に大 雨 注意 報 と洪水注 意報 (斜 字の 場合 は大 雨 警 報と 洪水警報 )を 発表 し た こ と を表 す。 また 、府 県 情 報は 「大 雨に 関す る愛 知 県 府 県 気 象 情 報 」を 、地 方 情 報 は「 大雨 に関 する 東海地方気象情報 」を 表す 。府 県 気 象 情 報は 、防 災 情 報 提 供 装 置により 全て 画像 を利 用し た形 式で 発表 した (図 3.1.1.1 参照 )。
図 3.1.1.1 大雨 に関 する 愛 知 県 気 象 情 報 第 6 号 指定河川洪水予報 は、 気 象 庁と 建 設 省( 当時 )が 河川 を指 定し て 共同 で行 う洪 水 予 報で あり 、“ 庄内川注意報 ”と は庄 内 川 洪 水 注 意 報の 発表 を表 す。 全般情報 は、 気象庁予報部 が発 表し た「 大雨 に関 する 全般気象情報 」である 。 備 考 欄に は、 そ れ ぞ れ の情 報の 主な 内容 や、 当時 の状 況などを 記し た。 表 3.1.1.2 を見 ると 、名 古 屋で 雨が 激し く な り始 めた 11 日夕方 から 12 日夜 ま で の 30 時 間あ ま り の間 に多 くの 情報 を頻 繁に 発表 し ていた こ とが わ か る 。以 下、 これらの 対応 につ い て い く つ か の項 目に 分け て整 理す る。 3.1.2 激し い現 象を 事前 に ど の程 度 予 測で き て い た か 2.1 で述べ た よ う に 、11 日は 東海地方 では 早朝 から 大雨 ポテンシャル が高 い状 況だった 。 名古屋市 を含 む愛 知 県 西 部 地 方 に大 雨 警 報と 洪水警報(以 下、大雨・洪 水 警 報と 記す 。)を 発表 したのは 11 日 05 時 29 分で あ る。 この 警報 では 、局地的 な短時間 の強 い雨 への 警戒 を呼 びかけた 。そ の後 も、 大雨 ・洪 水 警 報の 切替 え、 警報 を補 完す る内 容で の府 県 情 報や 地方情報 の発 表などを 行っ て い る。 これらのうち 、名古屋 で雨 が激 しくなる 2 時間 ほど 前、15 時 10 分に 切替 えた 大雨 ・洪 水 警 報の 見出 しは 、 西部 では 宵の 内にかけ 1 時間に 50 ミリ の激 しい 雨。 土砂災害 や低 地の 浸 水 等 に厳 重に 警戒 。 で あ る。 また 、16 時 30 分に 発表 した 地方情報第 5 号 では 、15 時に 三 重 県 四 日 市 市 付 近で 猛烈 な
雨を 観測 したことなどから 、 15 時、解析雨量 では 、三 重 県 四 日 市 市 付 近 で約 110 ミリの 激し い雨 と な っ て い ます 。三 重・ 岐 阜 県で は過 去 数 年 間で 最も 土砂災害 の 危 険 性が 高く な る お そ れ が あ り ま す 。東 海 地 方で は明 日ま で土 砂 災 害や 浸 水 害に 厳重 に警 戒し て下 さい 。 と い う見 出し を用 いた 。さらに 本 文 中で は、 短 時 間 に 50∼70 ㎜の非 常に 激し い雨 の降 る ところがあること 、すでに 愛知県内 の多 いところで 160 ㎜あ ま り の雨 量を 観測 しており 、 愛 知 県の 総 雨 量(10 日 19 時か ら 12 日夕方 ま で の合 計) は 250 から 300 ㎜と予 想してい る こ と、 な ど を述 べている 。 し た が っ て、こ の時 点で は、東 海 地 方で はどこ で 雨が 降っ て も お か し く な い 状況 で あ り、 し か も そ の雨 は警 報クラス の大 雨になる 可 能 性が 大き い こと は 予想 していた 。しかし 、そ の後 のように 、大 雨が 継続 し、 し か も愛知県 を中 心とした 地域 に長 時 間停 滞 す る こ と は予 測し て い な か っ た 。 3.1.3 予測 を大 幅に 上回 る現 象に 直面 した 段階 での 対応 東海豪雨 は結 果として 、予 測が 困難 な現 象であり 、激 しく 推移 す る実 況の 変化 を迅 速に 伝えるこ とに 重点 を注 ぐ対 応と な っ た。そ れ は 、「尋 常で は な い現 象に 直面 したとき 、予報 官が 抱い て い る危機感 をいかにして 伝えるか 。」と い う 、予 報の 現場 にとって 古く て新 しい 課題 に真正面 から 向き 合う こ と で も あ っ た。 3.1.3.1 記録的 短 時 間 大 雨 情 報と キー ・ワード を用 いた 大雨警報 の切 替え 18 時 15 分、愛 知 県 記 録 的 短 時 間 大 雨 情 報 第 1 号を 発表 した 。記 録 的 短 時 間 大 雨 情 報と は表 3.1.1.1 に あ る よ う に 、「数 年に 一 度 位し か現 れないような 1 時 間 雨 量が 観測 されたと き」 に発 表す る も の で あ る 。 愛 知 県 記 録 的 短 時 間 大 雨 情 報 第 1 号 平成 12 年 9 月 11 日 18 時 15 分 名 古 屋 地 方 気 象 台 発 表 18 時 愛 知 県で 記 録 的 短 時 間 大 雨 名古屋市付近 で約 90 ミリ 飛 島 村 付 近で約 90 ミリ ここでいう 1 時 間に 90 ㎜の 雨と は ど の よ う な も の な の か。平 成 12 年に気象庁 が作 成し
た「 雨の 強さ と降 り方 」によれば 、1 時 間に 80 ㎜を 超えたところから「 息苦 しくなるよう な圧迫感 が あ る。 恐怖 を感 ずる 。」「 雨による 大 規 模な 災害 の発 生す る お そ れ が強 く、 厳重 な警 戒が 必要 」とある 。 このとき 観測 した 1 時間 に 約 90 ㎜の 雨は 、そ の時 点で の予 測を 上回 る も の で あ っ た。 さ ら に、 この 1 時間後 には アメダス 観 測 点の 東海で 114 ㎜、 名古屋地方気象台 で 93 ㎜を 観測 し、愛 知 県 記 録 的 短 時 間 大 雨 情 報 第 2 号を発 表す る な ど、 それまで 散 発 的に 降ってい た激 しい 雨が 名古屋市付近 に停 滞す る よ う に な っ た。 こ れ に よ り、18 時 35 分、19 時 45 分と 相次 いで 警報 を切 替え た。 この 警報切替 えの ポイント はキ ー ワー ド を用 いていること で あ る。 例えば 18 時 35 分に発 表し た警 報の 見出 しは 、 名 古 屋 市 と そ の 周 辺 で は 、 過 去 数 年 間 で 最 も 土 砂 災 害 の 危 険 性 が 高 ま っ て い る 。 で あ る。 こ こ で使 用し て い る「 過 去 数 年 間で 最も 土砂災害 の危険性 が高 ま っ て い る」 とい うキーワ ード は、 気 象 庁が 開発 した 土壌雨量指数 をもとに 、大 雨により 土砂災害 の危険性 が高 まっていると 認め ら れ る場 合、 大雨警報切替 えの 見出 しに 使用 す る も の で あ る。 この 年の 7 月か ら運 用が 始ま り、 名古屋地方気象台 としては 初め ての 発表 だ っ た。18 時 35 分 の大 雨 警 報 切 替え 後、NHK テ レ ビの ローカル 放送 では 音声 によりのこの キ ー ワ ー ドが 放送 さ れ た。 3.1.3.2 府 県 情 報、 地方情報 で何 を伝 え る か 現象 が最盛期 になった 20 時台に は、3 つ の府 県 気 象 情 報を 相次 いで 発表 した 。 まず、20 時 00 分に発 表し た愛 知 県 気 象 情 報 第 6 号(図 3.1.1.1 )で は、19 時 45 分の警 報切 り替 えを 受け て、 名古屋市周辺 と知 多 半 島に お い て、 過去数年 で最 も土 砂 災 害の 危険 が高 く な っ て い る こ と を記 述し た。 し か し、 大雨 となっている 地域 は土 砂 災 害よ り むし ろ 浸水 に よ る被 害を 受け や す い地 域で あ る こ と か ら 、20 時 25 分、第 7 号(図 3.1.3.1)と して 、住 宅・ 地 下 街へ の浸 水や 河川 の氾 濫へ の警 戒を 呼び か け た。
図 3.1.3.1 大雨 に関 する 愛 知 県 気 象 情 報 第 7 号 情報 を作 成し た担当者 によると 、平成 11 年 福 岡で 発生 した 地 下 街へ の浸 水による 死亡 事故 が、 このとき 脳裏 を よ ぎ っ た と の こ と で あ る 。さらに 、20 時 45 分に は第 8 号 (図 3.1.3.2 )を 発表 し、名 古 屋で は日 降 水 量が 300 ㎜を超 える 豪雨 と な っ て い る こ と を伝 えた 。 図 3.1.3.2 大雨 に関 する 愛 知 県 気 象 情 報 第 8 号 こ の よ う に短 い間 隔で 情報 を発 表す る結 果に な っ た こ と は 、そ れ だ け 現象 が激 しかった こ と を示 してもいるが 、それは 情報 の作 り手 に と っ て は「 今どんな 表現 を用 い れ ば こ の状 況を 効 果 的に 伝え ら れ る の か」 に絶 えず 苦心 す る こ と で も あ っ た。
例として 3 つの 地方情報 の見 出し を取 り上 げる 。 ○12 日 00 時 30 分に 発表 した 第 8 号では 、 名古屋市 では11日の 日降水量 が、 観 測 史 上 第1位の428ミリを 観測 。 東海地方 では 今日 の朝 まで 、河 川の 氾濫 、土 砂 災 害や 浸 水 害に 厳重 に警 戒。 ○02時30分に 発表 した 第9号で は、 東海地方 では 、河 川の 氾 濫・ 決壊 、土 砂 災 害や 浸 水 害 等に 今 日 朝の 内ま で一 層の 厳重 な警 戒。 ○05時30分に 発表 した 第10号では 、 東海地方 では 、記録的 な 大雨 。特 に、 愛 知 県や 岐 阜 県 では 過 去 数 年 間で 最も 土砂災害 の危 険が 高く な っ て い る 。今 日 昼 過ぎ ま で は 、土 砂 災 害、 河川 の氾 濫・ 決壊 や浸 水 害 等の 重大 な災 害に 一層厳重 な警 戒。 となっている 。 記 録 的な 大雨 と な っ て い る こ と を表 現し た第 8 号 、「河 川の 氾濫 」を「 河川 の氾 濫・決壊 」 に、ま た「厳 重な 警戒 」で は な く「一 層の 厳重 な警 戒」へと 表現 を強 めた 第 9 号、「重 大な 災害 に一 層 厳 重な 警戒 」とした第 10 号 な ど に苦 心の 跡が う か が え る。 このほかにも 、市 町 村 名を 特定 した 見出 し文 、指 定 河 川 洪 水 予 報 と連 動させた 内容 での 呼びかけ 、過 去の 事例 と比 較し た表 現や 年降水量 や月 降 水 量と 比較 を用 いることなど 、「尋 常で は な い現 象が 起こ ってい る 」ことを 伝え る工 夫を 行っ た。 東海豪雨 から 半年 ほ ど た っ た平 成 13 年 の 3 月 に気象庁 と NHK 社会部 で行 った 勉 強 会で も、 こうした 言葉 の問 題が 取り 上げ ら れ た。 東海豪雨当時 の気象台 の担当者 によれば 、防 災 気 象 情 報の 見出 しに 「未曾有 の大 雨と な っ て い る」 とい う表 現を 使お う と し た が、 実況 が ど ん ど ん激 しくなる 中、 今「 未 曾 有」 を使 ってしまって 次の 時間 にもっと 激し く なっ て い た ら こ れ以 上どんな 言葉 を用 い れ ば い い の か、 と迷 い結 局「 未 曾 有」 は使 えなかったと の こ と で あ っ た。 防災機関 、報 道 機 関、 一般 の住 民と もイ メ ー ジを 共有 できるような 表現 の工 夫が 必要 であろう。12 日 05 時 25 分に発 表し た府県情報第 17 号の「名古屋 では 降り 始め か ら の降水量 が、年 間降水 量の 1/3 に相当 する 。」と い う表 現が 、その 後の 放送 で「年 間降水量の 1/3 に相当 す る雨 が降 った」と繰 り返 し使 われたことなどはその 良い 例である 。
3.1.3.4 愛知県 や名 古 屋 市と の連 携 名 古 屋で 猛烈 な雨 となった 直後の 18 時 30 分ごろ、名古屋地方気象台 では 、愛知県 およ び名 古 屋 市の 防 災 担 当 者へ 電話 を か け、 現在 の状 況と 今後 の見 通し に つ い て の解 説を 行っ た。 その 後、19 時に名 古 屋 市 付 近の 6 市 町に 相当 する 地域で 1 時 間に お よ そ 100 ㎜を 超え る降 水を 観測 した 。これを 受け て、 再び 愛 知 県の 担 当 者に 電話 を か け、 尋常 ではない 現象 が お こ っ て い る こ と、地下空間 に一 挙に 水が 押し 寄せ る危険性 が高 いことなどを 連絡 した 。 これをきっかけに、以後、愛 知 県からは 被害 の状 況な どが 適 宜 気 象 台に FAX で 送られて くるようになった 。愛知県 から 得られた 被害 の情 報は 、そ の後 の府 県 情 報や 地方情報 でも 有効 に活 用す る こ と が で き 、気象台 で被 害 状 況を 把握 す る こ と の重要性 を実 感し た。 3.1.3.5 気象庁 での 対応 気象庁予報部 は、 東京 で気 象 状 況の 全国監視 を行 っている 。広 い 範囲 で大 雨の お それ が あ る よ う な場 合に は、 表 3.1.1.1 に あ る よ う に全 般 気 象 情 報を 発表 し注 意や 警戒 を呼 びか ける 。全 般 気 象 情 報は 、テレビ ・ラジオ の放 送 時 間や 新聞 の締 め切 り時 間を 考慮 し、 原則 1 日 2 回か ら 4 回 発 表し て い る。 東海豪雨 に際 し て は、 現象 が非 常に 激し く甚 大な 被害 が発 生し て い る こ と な ど か ら 、通 常よ り時 間 間 隔を せ ば め、11 日 20 時 05 分から 翌朝 まで 、ほ ぼ 2 時間 お き に全般気象情 報を 発表 した 。東 海 地 方で 激し い雨 が降 っており 、浸 水や 山崩 れなどの 災害 が発 生してい る こ と、 こ れ ま で の記 録を 上回 るような 実 況 値や 今後 の予 測などを 述べ 、報 道 機 関を 通じ て警 戒を 呼び か け た。 また 、11 日 22 時ごろには 気 象 庁で 1 回目 の記 者 発 表を 行っ た。 地震 や台 風 以 外の 事例 で夜 間に こ の よ う な記 者 発 表を 行う こ と は あ ま り 例がなく 、そ の様 子は NHK テレビ で放 送さ れ全 国に 伝え ら れ た。 3.1.4 災害復旧段階 での 対応 3.1.4.1 県 や市 への 情報提供 12 日 午 後、 気 象 台で は愛 知 県 災 害 対 策 本 部 と名 古 屋 市 災 害 対 策 本 部からの 要請 に よ り 、 そ れ ぞ れ の本会議 に出 席し た。12 日夜 から 13 日 に か け て の雨量予測等 を解 説し 、災害復 旧対策時 にも 気象情報 に留 意す る よ う知 事 他 本 部 役 員 へ提 言を 行っ た。 また 、気象庁 では 災害規模 が大 きく 、広範囲 に わ た っ て発 生し た 大 雨 等の 現象 について は、 災 害 時 自 然 現 象 報 告を 発行 するよう 指針 が定 められている 。記録的 な東 海 豪 雨を 体験 した 現地官署 と し て、 名古屋地方気象台 では 災 害 時 自 然現 象 報 告 2000 年 号 外「 災害時気
象 速 報− 平成 12 年 台 風 第 14 号及 び前 線に よ る 9 月 11 日か ら 12 日 に か け て の愛知県地方 の大 雨」 を、 大雨終了 10 日後 に発 行し た。 この 資料 は、 多く の防 災 機 関で の災害復旧関 連 業 務 施 策の 検証資料 と し て用 いられた 。 3.1.4.2 報 道 機 関へ の対 応 報道機関 か ら は、 リアルタイム での 取材 や問 い合 わ せ だ け で な く、 その 後も 相 当 数の 取 材が あ っ た。 一 夜 明け た 12 日午後 の民 間テレビ 局の 取材 では 、当 直あけの 予 報 官が 対応 し説得力 があると 取 材 陣からは 好評 を博 し た と の こ と で あ る。 一ヶ 月後 の 10 月 10 日に は「 東海豪雨 の緊 急 報 告 」と 称し た気象報道説明会 を開 催し た。 名 古 屋に 駐在 す る ほ と ん ど の報 道 機 関が 参加 した 。気象台 か ら は気 象 概 況、 観測記録 、防 災 気 象 情 報の 運用 、豪 雨の 予測 の可能性 、現 地 調 査 報 告などを 解説 し、 報道機関 か ら は東 海 豪 雨 発 生の メ カ ニ ズ ム、 防災気象情報 の内容等 について 積 極 的な 問題提起 がされた 。 3.1.4.3 市 町 村 等へ の聞 き取 り調 査 東海豪雨 は、少な く と も不意打 ち で は な か っ た が、予測 を大 幅に 上回 る状 況の 中 で、「 何 を発 表すれば 効 果 的か 」を 模索 し な が ら の対 応で あ っ た。 こ れ に対 して 、市 町 村 等の ユー ザー 側で はど の よ う に 受け と め ら れ て い た の か、 事後 に聞 き取 り調 査を 行っ た。 調査 は、 比 較 的 被 害 規 模が 大きかった 11 市町の 防 災 担 当 者、 建 設 省( 当時 )機 関、 警 察庁機関 、JR 東海 な ど を対 象と し、 意見交換 も行 った 。 これらの 聞き 取り 調査 や意 見 交 換か ら、 画像 を用 いた 図 形 式の 府県情報 は、 見や す さ の 点で 理解 は得 られていたが 、ま だ ま だ改 善すべき 事項 が多 くあることが 明ら か と な っ た。 気 象 台で は多 くの 情報 を発 表し 警戒 を呼 び か け た が、 自 治 体の 防災対応 の最前線 では 行政 情報 と気 象 情 報と が入 り交 じり 混乱 をき たし た場 面が あ っ た と の指 摘も あ っ た。 その 他、 市町村名 の明 記、 警報 に切 替わ る可能性 、解 除の 見通 しなどが 防災 対策 に効果的 であるな どの 意見 が出 さ れ た。 こ の よ う に、 防災対策 の担当者 と直 接 意 見 交 換を 行う こ と は、 自 分たちが 発表 した 情報 がどのように 受け 止め ら れ て い る の か を 肌で 感じ る こ と が で き 、次 へ活 かす 原 動 力ともな り、 非常 に重 要な こ と で あ る。 【参 考 文 献】 東 海 豪 雨 時の 対応 と危 機 管 理に つ い て,名 古 屋 地 方 気 象 台 予 報 課,東管技術 ニュース №140 , 2001 ,東 京 管 区 気 象 台 2000.9.11 −12 東海豪雨 ,2002 ,名 古 屋 地 方 気 象 台
3.2 行政機関 (名 古 屋 市) の対 応 3.2.1 名古屋市 の災 害 対 応の 概要 名古屋地方気象台 が発 令し た大 雨・ 洪水 警報 を受 けて 名古屋市 で は、 11 日5 時2 9分 に災 害 警 戒 本 部を 設置 し、 併せ て第 一 非 常 配 備 指 令を 発令 している 。こ の後 、1 5時 40 分に 災害対策本部 を設 置し 、第 二 非 常 配 備 発 令を 実施 した 。ま た1 9時 には 、第 三 非常 配 備 発 令を 行い 、以 降 段 階 的に 第四非常配備発令 まで 実施 している 。災 害 規 模が 大きくな る に つ れ て、 23 時4 5分 には 愛 知 県に 対し て自 衛 隊 派 遣 要 請 を依 頼し て い る。 この 間 実際 の災 害 対 応に あ た る各 区 役 所で は、 市民 か ら の問 い 合わせや 連絡対応 を図 ると 同時 に浸 水に よ っ て避 難 困 難な 市民 に対 して 救助活動 を行 っている 。 表 3.2.1.1 は 、9 月1 1日朝方 から 9月 14 日に 至る ま で の名 古 屋 市の 主な 災害対応 を と り ま と め た も の で あ る。
表 3.2.1.1 名古屋市の主な災害対応の記録 日 時 気象・水防状況等 避難勧告 災害対策本部の対応(概要) 災害対策本部(各局)の対応(概要) 11 日 5:29 大雨、洪水警報・雷、波浪注意報 災害警戒本部設置、第 1 非常配備発令 15:40 災害対策本部設置、第 2 非常配備発令 17:30 八田川(春日井)水防警報出勤 18:30 新川(久地野)水防警報出勤 19:00 第 3 非常配備発令 19:09 天白川(天白)水防警報出動 19:20 日光川(古瀬)水防警報出動 20:32 庄内川(瀬古)水防警報出動 21:05 庄内川(枇杷島)水防警報出動 21:10 緑区 8884 世帯 第 1 回本部員会議開催 22:19 西区 4909 世帯 23:00 北区大我麻町において 地蔵川右岸 破堤 北区 1019 世帯 23:15 第 2 回本部員会議開催 23:25 南区 19393 世帯 23:45 県に対し自衛隊派遣要請依頼 • 北区、西区、天白区等で浸水家屋等から逃れ遅れた者を 舟艇等により救出 • 庄内川、天白川、新川、香流川、新地蔵川等で発生した 漏水、のり面崩壊に対する水防工法を用いた応急措置の 実施 • 河川巡視及び警戒 • 都市高速道路閉鎖及び速度規制 • 庄内川アンダーパス閉鎖 • 避難勧告発令の広報 • 地下鉄鶴舞線及び一部区間運休 12 日 0:00 第 4 非常配備発令 0:25 北区 272 世帯 0:55 中村区 24553 世帯 1:00 北区 2549 世帯 中村区 41353 世帯 1:10 北区 485 世帯 西区 12728 世帯 1:20 北区 692 世帯 1:50 西区 3744 世帯 2:00 北区 425 世帯 第 3 回本部員会議開催 2:20 名東区 4 世帯 2:30 災害救助法の適用決定(県からの報告あり) 3:30 頃 西区あし原町新川左岸堤防破堤 3:40 名東区 1 世帯 3:45 西区 17149 世帯 3:50 守山区 116 世帯 4:00 北区 1142 世帯 4:10 港区 5000 世帯 7:30 西区 6954 世帯 7:45 第 4.回本部員会議開催 9:25 庄内川(瀬古)水防警報解除 9:40 天白川(天白) 水防警報解除 10:08 八田川(春日井) 水防警報解除 11:00 庄内川(志段味) 水防警報解除 12:00 第 5 回本部員会議開催 16:20 庄内川(枇杷島) 水防警報解除 16:30 第 6 回本部員会議開催 17:15 第 3 非常配備発令 18:50 大雨洪水警報解除 洪水警報・大雨、雷、波浪注意報に切替 21:50 日光川(古瀬) 水防警報解除 • 自衛隊 1251 人による救助活動、救援物資の搬送、越水防 止活動、状況調査等の実施 • 各区本部へ応援職員派遣 • 愛知県トラック協会から借上げ及び配車(延べ 44 両) • 市税の減免制度について市ホームページへ掲載 • 災害義捐金郵便局受入口座開設 • 舟艇の借上げ(62 隻) • 避難所への緊急物資搬送(トラック、地下鉄、ボート、ヘリによる 搬送) • 備蓄食糧等の払出し(11 日 23 時∼12 日深夜 乾パン 51968 食、飯・おかゆ缶 17400 食、毛布 17220 枚) • 業者発注による食事供給(12 日分 37845 食) • 保健所による薬剤配布実施 • 避難所開設に伴う医療救護班の編成 • 避難所現地調査、在宅一人暮らし高齢者等の民生委員に よる把握依頼 • 教職員及び生徒による清掃作業を始めとする復旧作業 • 被災者への住宅提供(市営住宅 270 戸・県、公団等の公的 住宅 580 戸) • 避難所等への水缶配布、ポリタンク配布、タンク車によ る応急給水、仮設給水栓の設置 • 市民相談室に相談窓口の開設(相談件数 13 日∼30 日で 2,639 件) 避難勧告対象 151372 世帯、380533 人 避難所開設数最大値 196 箇所、32076 人 13 日 4:50 洪水警報解除 洪水注意報に切替 • 災害復旧資金融資の実施(13 日∼30 日申込件数 123 件、 実績 42 件) 9:00 第 7 回本部員会議開催 10:20 注意報全て解除 19:00 第 2 非常配備発令 • 義捐金の受入 • 生活用品供給 • 薬剤散布車 6 台による薬剤散布 • 区役所へ本庁より医師、保健婦派遣 • 避難所における災害時要援護者の実態把握 • 堤防仮締切り完了 10:40 • 新川左岸堤防破堤箇所における浸水地区の排水完了 15:30 避難所開設数 150 箇所、3609 人 14 日 10:15 第 8 回本部員会議開催 • 市ホームページへ国税、県税照会先掲載 • 罹災証明、市税減免申請受付、相談事務 • 災害復旧に関する補正予算の専決処分(手続き) • 市水害ボランティアセンターの開設 • 食中毒及び感染病予防指導 • 市バス全系統運行再開 19:00 避難所開設数 21 箇所、517 人 出典;第一回 名古屋市防災情報収集伝達システム整備調査専門委員会より
3.2.2 防 災 関 係 者へ の聞 き取 り調 査か ら得 ら れ た課 題 東海豪雨 の対 応に 関し て特 に情報面 の課 題を 明ら か に す る た め に 、主 な防 災 機 関へ 聞き 取り を実 施し た。 調査項目 は、 以下 に示 す通 りである 。 また 調査機関 は、 以下 の機 関を 対象 と し た。 【 調査機関 】 ● 名古屋市 (消防局 、交通局 など ) ● 天 白 区、 北区 以下 、調 査 結 果を 前述 した 項 目 毎に 整理 し、 機 関 毎に 示す も の と す る。 1. 災害対応 について 2. 災害情報 の収 集 伝 達に つ い て 3. 避難対策 について 4. 地 下 街 対 策に つ い て 5. 平時 か ら の取 り組 み に つ い て
名古屋市消防部局 への 聞き 取り 結果 ① 災害対応 について ● 交 通 規 制による 車 両 移 動 がス ム ー ズ に い か な か っ た( 渋 滞・ 放 置 車両 等 )。災 害 復 旧に 入る 車両 が通 れないような 事態 も発 生し た( 警察 との 連携 が必 要)。 ● 消防団員 が蓋 か け の外 れた 側溝 に引 き込 まれ 、下 流に て発 見された (死 亡し た)。 ● 西区 では 、変電所 が浸 水し て避難所 が停 電 被 害を 受け 、孤 立し た。 ● ポ ン プ運 用に 関しては 、上 流市町 村 との 連携 が重 要である 。 ● 住民 か ら の問 い合 わ せ の半 分は 苦情 だ っ た。 ● 名 古 屋 市 内にいた 地 域 外( 仙台 )の 住民 か ら の問 い合 わせもあった 。 ● 災害弱者 に関 する 情報 は、 防 災 活 動 上 把 握し ていな い 。 ● 家族 や知人等 から 安否 に関 する 問合 せが 多かった 。 ● ポ ン プ場 や下水道 の状 況を 把握 す る こ と は、 今後 の課 題と 考え て い る。 避難対策 について ● 今回 の東 海 豪 雨で 「避 難しない 住民 」は 存在 していた 。11 月 15・16 日 にかけて 新 川の 下 流 部で 堤防 が若干崩 れた 際に 市で は避 難 勧 告を 出したが 、若 者が 悠然 と窓 か ら覗 いている 状況 が見 ら れ た。 ● 避難施設 に関 し て は、主に 地震 を想 定し て い る( 避難施設 は水 災 害 用・ 地 震 用と 分 けられて 設定 されていない )。 ● 避 難 所の 位置 に関 し て は、 年に 1 回マップ を配 全 戸 布し 、周 知を 図っ て い る( 区 単位 )。 ● 避難勧告 は広報車・町 内 会 長・ 災害対策委員・消 防 団 等に よ っ て各 戸へ 伝達 さ れ た が道路冠 水等 の影 響もあり 、ス ム ー ズで は な か っ た。 ● 避難 の判 断 基 準を 明確 に す る た め、水位・雨 量に 関す る予 測 情 報、及び 数 値 的 基 準 が必 要である (リ ア ル タ イ ムな 情報 は収 集で きてい る )。 ● 西区 では 、1 階に あ っ た避難所 の備蓄物 が浸 水し た。 避 難 所へ 車で 近づ け な い の で スムーズ に対 応( 物 資 搬 入 等) で き ず、 住民 から 批判 を受 けた 。