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第 3 章 Kirkwall の Ba’ゲームの民族誌

第 1 節 Kirkwall の概 要 …

3. 人口と産業

Kirkwall(burgh)の人口推移は、表16 47 をみてわかるように、1800年代初頭の1715 人から世紀末にはその2倍以上に増加する。しかし、1900年代に入ると、その人口は第二 世 界 大 戦 後 ま で 微 減 な が ら 減 少 し 、 そ の 後 1951 年 に は 再 び 増 加 し て い る 。 そ し て 、 Kirkwallの郊外の St Olaを含めた教区では、1961年には1800年代初頭の2.5倍の人口 になった。他のメインランドの村や町も Kirkwall 同様に、19世紀末までは人口は増加し 続けていたが、そのほとんどが 1881 年をピークに、二つの世界大戦を挟んで、減少ある

46 1973年の地方行政法によって廃止されるまで、スコットランド及び北イングランドに存在 した自治都市のこと。公益事業や生活資源の管理などを自分たちで管理することが認められ た。

47 Mackintoshの著書に掲載の表[Mackintosh 1965:14-15]を筆者が作成しなおしたもの 。

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いは半減するところまで見られる。つまり、戦後、人口が増加しているのはKirkwallだけ であり、それも都市部だけではなく、郊外のセント・オーラ地区の人口も都市部と同じよう に増加している。この変化の背景については後述するが、オークニー諸島の産業や経済の 中心地として Kirkwall が位置づき、そこに雇用が発生し、他の島々やメイ ンランドの他 の町村から人口が流入したといわれ、農業改革により生産物の転換が図られたことも手伝 って、「人」、」「もの」、「金」がKirkwallに集まり、町として発展していくことになるので ある。

表16 オークニー諸島メインランドの町の人口推移

1 7 5 5 1 7 9 0 1 8 0 1 1 8 1 1 1 8 2 1 1 8 3 1 1 8 4 1 1 8 5 1 1 8 6 1 MAINLAND PARISHES 13,462 13,169 13,929 12,906 15,062 15,787 16,000 16,532 17,211

Kirkwall an d St Ola 1,989 2,550 2,621 2,283 3,246 3,721 3,581 3,870 4,407 Bu rgh ? 2,000 ? 1,715 2,590 3,065 3,041 3,331 3,525

Ru ral are a ? 550 ? 568 656 656 540 539 882

Birsay ? 1,350 1,451 1,432 1,526 1,652 1,634 1,749 1,774

Sandwick ? 873 970 922 930 973 1,033 1,107 1,225

Stromness ? 2,139 2,223 2,297 2,944 2,832 2,785 2,754 2,527 Town or Burgh ? 1,344 ? ? 2,236 2,182 2,057 2,039 1,807

Rural area ? 795 ? ? 708 650 728 715 720

Harray ? 663 725 691 719 735 772 750 819

Stenness ? ? 640 566 596 640 583 635 709

Evie ? ? 812 677 811 839 907 857 818

Rendall ? ? 603 550 518 542 540 548 547

Firth ? ? 632 496 545 560 584 692 784

Orphir 855 807 864 845 906 996 1,041 1,133 1,101

Holm 1,185 702 871 747 773 747 854 736 828

St Andrews ? 675 857 780 857 889 922 926 868

Deerness ? 660 660 620 691 661 764 775 804

1 8 7 1 1 8 8 1 1 8 9 1 1 9 0 1 1 9 1 1 1 9 2 1 1 9 3 1 1 9 5 1 1 9 6 1 MAINLAND PARISHES 16,533 17,120 16,419 15,484 14,647 13,959 13,313 14,142 13,413

Kirkwall an d St Ola 4,261 4,786 4,729 4,470 4,586 4,496 4,387 5,480 5,672 Bu rgh 3,436 3,925 3,900 3,667 3,809 3,692 3,506 4,312 4,293 Ru ral are a 825 861 829 803 777 804 881 1,168 1,379 Birsay 1,597 1,581 1,524 1,329 1,164 1,091 1,024 967 839

Sandwick 1,153 1,198 1,109 1,071 985 882 901 915 832

Stromness 2,389 2,410 2,284 2,477 2,295 2,170 2,078 2,044 1,930 Town or Burgh 1,626 1,705 1,649 1,750 1,603 1,635 1,560 1,482 1,414 Rural area 763 705 635 727 692 535 518 562 516

Harray 727 745 735 675 608 594 584 623 560

Stenness 645 649 594 570 517 503 469 441 392

Evie 818 804 706 594 500 469 399 435 430

Rendall 488 510 487 457 421 403 352 342 301

Firth 789 713 730 700 693 641 609 579 513

Orphir 1,018 992 988 860 781 719 670 654 507

Holm 928 1,042 942 812 763 763 710 690 578

St Andrews 870 828 756 737 698 649 612 515 464

Deerness 850 862 835 732 636 579 518 457 395

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Kirkwallの産業は、漁業、農業が中心であり、また、オークニー諸島の中心として、物

資・資源の流通の中心地となってきた。海に囲まれて豊富な海産資源を有し、また 、大麦 をはじめとする穀物、そして牛や豚、羊といった牧畜による農産物の生産により第一次産 業を中心に栄えてきた。かつては、オークニーの島々でも人々は生活をしていたが、産業 革命、世界恐慌などを経て、メインランドの、特に中心であるKirkwallに職や生活の安定 を求めて人口の移動があり、Kirkwallの人口だけが増加してきた。そして、それまで減少 していたオークニー諸島の人口を増加させ、そして 、Kirkwallの人口をさらに増加させた のが、北海油田の開発であった。1976年に初めて北海油田で掘りあてられたオイルがパイ プラインによってメインランドに届けられた。さらに近年は、オークニーはヨーロッパ海 洋エネルギーセンター(European Marine Energy Centre : EMEC)のホストになり、再 生可能エネルギー産業のための世界規模の研究施設が建設されるようになった。その成果 により、Kirkwall、Stromness、Lynessの 3か所は EMECから高額の投資を得ることに なる。Kirkwall では、ハッツトン・プロジェクト(Hatston Project)が展開され、再生 エネルギーの開発者に適した施設が供給されている。そこでは 6ユニット、35の作業を行 うことができ、それによる雇用が生まれているという。今後もオークニーには、再生可能 エネルギー産業を展開する施設を海岸に建設するシステムやその供給ラインの構築が大い に期待されている。その拠点ともいえるKirkwallの人口が2018年には1万人を超え、さ らに人口増加が見込まれているのは、以上のような新たな産業が持ち込まれたことが関係 している。

Kirkwallでは18 世紀後半に、大きな商業施設が建設された。それはオークニーの島々

の豊かな農産物を海路によって大陸、主にオランダに輸出する貿易が拡大し、そのマーケ ットの重要な拠点となったからであった。そして 19 世紀には、土地を囲い込む古い農業 システムから化学肥料や飼料を用い、新しい管理システムが導入されたことで、農業生産 の増大も図られるようになった。その貿易のために桟橋が建設され、その後貿易の拡大に よって桟橋もより大きなものが建設されるようになる。そして、20世紀初頭には、オーク ニー諸島のほとんどの農産物は、Kirkwall から輸出されるようになる。さらに、1952 年 に造船会社が設立され、33,000トンの船が島々を往来するようになった。18世紀、19世 紀は穀物、食肉や水産物が中心であったが、第一次世界大戦後は、牛乳やチーズといった 乳製品、そして卵の生産、出荷が拡大し、また海藻を用いた産業が重要な役割を担うよう になった。このように、牛乳、チーズ、卵といった酪農農産物は現在も重要な収入源とな

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る産業とされ、その雇用も一定確保されているが、後述するように、漁業や農業の従事者 の人口はやや減少傾向にある。その一方で、近年フィッシングやクルージングに訪れる観 光客が増加し、その客をターゲットにするショップが人気を得、宿泊客も増加しており、

新たな観光産業も生まれてきている。また、Kirkwallの近郊のSt. Olaには二つの著名な ウィスキー蒸留所がある。ウィスキー愛好家には大変有名であるハイランドパークという ウィスキーが製造されているハイランドパーク蒸留所(Highland Park Distillery)は180 年を超える歴史をもつオークニーで最も古く規模の大きい蒸留所で、そこで製造されるウ ィスキーは英国内のみならず、海外にも輸出されている 。これらの蒸留所によるウィスキ ー製造もKirkwallにおいては重要な産業となっている [Hewison 1985:77-81]。

以上のような産業の特徴を支える Kirkwall の雇用の状況について、入手した資料をも とに示してみたい。(図 20~22 ‘Kirkwall Profile, May 2014’, by Highland and islands Enterpriseより引用)

図 20 は、16 歳から 74 歳までの経済的活動が可能な人口の中での労働条件を示したも のである。Kirkwallでは、北の離島でありながら、「正規雇用(FT Employee)」の割合が 高く、「職をもたない(Unemployed)」人も少ない。オークニー諸島全体と比べると、「正 規雇用」が多い分、「自営業」(Self-Employed)が少なく、また「学校に通う生徒(FT Student)」

が多いことから、都市型の傾向にあるように思われる。

図20 BREAKDOWN OF ECONOMICALLY ACTIVE 16 TO 74 POPULATION (%), 2011

図21 は、産業別の人口を示したものであるが、「建設(Construction)」、「卸売&小売・

車修理(Wholesale & retail trade motor repairs)」、「輸送・倉庫(Transport & storage)」、

そして「健康・ソーシャルワーク(Health & social work)」でハイランドやスコットラン ド全体に比べて高い割合を示している。それらからは、都市に必要とされる建築、人が集

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まるところに必要な商業や流通にかかわる仕事が多いことがわかり、一方で、健康や医療 そして福祉にかかわる分野の仕事が求めら れるのも都市的な町の姿であると受け止められ る。

図21 EMPLOYMENT BY INDUSTRY (%), 2011

図22は、職種を示したものである。ここでまず目につくのが「熟練工(Skilled Trades)」

図22 EMPLOYMENT BY OCCUPATION (%), 2011

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そして「単純労働者(Elementary)」48 の割合が多いことである。一定の技術を有し熟練 工として働く人たちが多くいる一方で、同じ作業を繰り返す単純作業に従事する人たちも 多くいることが特徴的である。その詳細は不明であるが、単純労働者に関しては、オイル やガス、再生可能エネルギー産業にかかわる作業労働者の雇用が拡大していると考えられ、

それが Kirkwall の人口増加につながっているとも受け止められる。前図で確認できた商

業、健康・ソーシャルワークの従事者の割合が多いことが、本図で「介護・レジャー(Caring, Leisure and Other Services)」や「販売・カスタマーサービス(Sales & Customer Services)」

の割合の多さと重なり、Kirkwallの町の産業構造の姿が見えてくる。

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