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第二種特定化学物質に関する規制

第四章 第二種特定化学物質に関する規制等

第三節 第二種特定化学物質に関する規制

本節においては、長期毒性(人又は生活環境動植物)を有する化学物質のうち、相当広範な地域の 環境中に相当程度残留等するために、人の健康又は生活環境動植物の生息・生育に係る被害を生じる おそれがあると認められる化学物質である第二種特定化学物質について、製造予定数量の届出(第二 十六条 、技術上の指針の公表等(第二十七条 、表示等(第二十八条)の規定を定めている。) )

第二種特定化学物質は、長期毒性を有するものの 「難分解性かつ高蓄積性」ではないがゆえに当、 該化学物質が相当量製造、使用され、大量に環境中に排出されない限り、人の健康又は生活環境動 植物の生息、生育に係る被害を生ずるおそれはない。このような性格を有する化学物質による環境 汚染を防止する方法としては、大きく分けて、①排出量を制限する方法と、②供給量を制限する方 法の二つが考えられる。これらの2つの方法はそれぞれに特徴があり、どちらの方法(あるいは2 つの方法の組み合わせ)を採用するかはケースバイケースで判断すべきものであるが、化学物質の 使用者が非常に多く、また、当該物質の環境中への排出が排水、排気、廃棄等様々な形態でなされ る場合には、排出面の規制により全国レベルで排出量を一定量以下に抑制しようとすると、対策に 要するコストや規制の実行性及び公平性を担保するための行政コストが相当なものとなることが予 想され、確実性、効率性の点で必ずしも最良のものとならない場合がある。一方、供給面での規制 は、規制対象となる製造事業者及び輸入事業者の数が少なく規制の公平性及び実効性を担保するこ とが容易であり、また、当該物質の環境排出量の程度に応じて供給量のしぼり込みの程度を調整す ることによって、全国レベルでの環境汚染の程度を抑制することが可能であることから、全国レベ ルでのリスク管理の観点からは、規制の確実性、効率性の点でより有効な場合があるということが できる(逆に、特定の環境媒体の汚染や局所的な汚染への対応が求められる場合、排出源が分散型 でなく点源である場合等には、排出量を制限する方法がより適する場合もある。また、非意図的生 成物による環境汚染については、供給面では規制できず、排出面の規制が必要となる 。)

上記の考え方に基づき、昭和六十一年の法改正では、本法における第二種特定化学物質に対する 規制措置としては、供給面での規制、換言すれば製造量及び輸入量の抑制に重点を置き、環境汚染 防止措置に関する技術上の指針の公表や表示等の排出面の規制を補完的な措置として導入すること とした。

供給面での規制、すなわち、製造量及び輸入量を一定量以下に制限する法的手段としては、①許

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可制 ②承認制 ③届出制−変更命令の三種類の形態が考えられる 許可制の場合には 更に ⅰ 業としての許可をし、許可の基準として製造能力を一定量以下に制限する方法 (ⅱ)製造量及び輸、 入量自体を許可に係らしめる方法等いくつかの選択肢が考えられるが、いずれにせよ、立法上 「許、 可」は、原則禁止を解除する場合に適用される手段であり、第二種特定化学物質のように環境中へ の放出の程度がある一定値以下であれば自由に製造、輸入することができ、定量的な目標値を超え た場合においてその超えた分だけ製造量又は輸入量を制限すべきものに対する規制の手段としては 法制的になじみにくいということができる。同様に承認制の場合も、承認は申請のあった製造量又 は輸入量の全体についてなされるものであり、申請分の例えば八割分だけ承認するということは形 式上できないため、余分な分だけ低減すればよい第二種特定化学物質の場合の規制手段として必ず しも適切なものとは言い難い。したがって、第二種特定化学物質の製造及び輸入に対する規制とし

、 、 、

ては 製造予定数量及び輸入予定数量を届け出させ 予定どおり製造又は輸入が行われる場合には 問題となる程度以上に当該化学物質による環境の汚染が生じると見込まれるときに限って製造予定 数量又は輸入予定数量の変更を命ずることとする第三の方法が最も実態にかなっているということ ができる。すなわち、ある化学物質の環境中における濃度の程度が許容される程度を超え、第二種 特定化学物質に指定されると、その指定自体が社会に対する注意喚起となり、従前以上に需要が増 大するケースは少ないであろうと考えられるとともに、後述する表示制度、技術上の指針の公表等 により環境放出を抑制するための措置が講じられることとなっている。したがって、製造予定数量 又は輸入予定数量の届出はそのまま受理される場合がほとんどであり、変更命令を行う事態が頻発

。 、 、

するとは予想し難い 届出−必要な場合に変更命令という方法で十分規制の目的が達せられ また 実態にもかなった方法であるということができる。

なお、届出制にすると届出があった場合は、国は、必ずそれを受理しなければならないこととな るが、第二種特定化学物質の場合は、環境中への排出を厳しく制限する必要がある第一種特定化学 物質とは異なることから、一事業者がいわゆる欠格条項に該当しないか否かをチェックしたり、事 業者に一定の技術基準の遵守を義務付けたりする必要はないと考えられる。

もちろん、供給面での規制である製造予定数量又は輸入予定数量の変更命令は、命令を発しない で済むにこしたことはなく、また、変更命令を発する場合であっても変更すべき量が少なければ少 ない程社会的な混乱の度合いも小さくて済むため 本法においても排出面の措置を講ずることによっ、

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て 供給面の規制を必要最小限のものとすることが重要である 排出面の措置を行おうとした場合 その内容によっては、前述したように確実性、効率性の点で必ずしも最良のものとならない場合が ある。本法においては、最終的には、供給をしぼり込むことにより当該第二種特定化学物質が環境 汚染を通じて人の健康や生活環境動植物の生息・生育に係る被害を引き起こすという事態を回避す ることが可能となっていることから、本法における排出を抑制するための措置としては、罰則担保 による強制である必要はなく、事業者に対し排出量を減少させるためにとるべき規範を示し、特に 必要と認める場合には勧告を行うことによりその遵守を求めるという制度が適当と考えられる。具 体的には、表示を義務付けることにより、当該第二種特定化学物質が不注意により又は不適切な使 用方法により環境中に排出されることがないよう使用者の注意を喚起する措置を講ずるとともに、

取扱いに際しての技術上の指針を公表し、それを遵守させることにより当該第二種特定化学物質の 取扱い過程での環境中への排出量を減ずることとした。技術上の指針及び表示については、それぞ れ第二十七条、第二十八条の解説のところで詳述する。

なお、本節以外においても、第二種特定化学物質に関して、定義等について第二条、第二種特定化 学物質に該当すると疑うに足りる理由があるものについての勧告は第二十九条、第二種特定化学物質 に関する指導・助言については第三十条、第二種特定化学物質に関する有害性情報の報告については 第三十一条の二、第二種特定化学物質等の取扱いの状況に関する報告については第三十一条の三、主 務大臣による報告徴収及び立入検査等については第三十二条及び第三十三条に規定されている。

○第二十六条(製造予定数量の届出等)

(製造予定数量の届出等)

第二十六条 第二種特定化学物質を製造し、若しくは輸入する者又は政令で定める製品で第二種(1) (2)

特定化学物質が使用されているもの(以下「第二種特定化学物質使用製品」という )を輸入。 する者は、経済産業省令で定めるところにより、第二種特定化学物質又は第二種特定化学物質(3)

使用製品ごとに、毎年度、当該第二種特定化学物質の製造予定数量若しくは輸入予定数量又は 当該第二種特定化学物質使用製品の輸入予定数量その他経済産業省令で定める事項を経済産業(4)

大臣に届け出なければならない。ただし、試験研究のため、第二種特定化学物質を製造し、若 しくは輸入するとき、又は第二種特定化学物質使用製品を輸入するときは、この限りでない。

、 、 、

2 前項の規定による届出をした者は 同項の届出に係る事項に変更があつたときは 遅滞なく(5)

その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る製造予定数量又は輸入予定数量(前項 の規定による変更の届出があつたときは、変更後のもの)を超えて製造し、又は輸入してはな らない。

4 厚生労働大臣、経済産業大臣及び環境大臣は、第二種特定化学物質及び第二種特定化学物質(6)

使用製品の製造、輸入及び使用の状況、第二種特定化学物質に対する次条及び第二十八条の規( 7 ) 定による措置の実施の効果等に照らし、当該第二種特定化学物質による環境の汚染により人の 健康に係る被害又は生活環境動植物の生息若しくは生育に係る被害が生じることを防止するた めには、当該第二種特定化学物質の製造若しくは輸入又は第二種特定化学物質使用製品の輸入 を制限することが必要である事態が生じたときは、厚生労働省令、経済産業省令、環境省令で(8)

定めるところにより、その旨の認定をするものとする。

5 経済産業大臣は、前項の認定があつたときは、第一項の規定による届出をした者に対し、そ

( 、

の届出に係る製造予定数量又は輸入予定数量 第二項の規定による変更の届出があつたときは 変更後のもの)を変更すべきことを命ずることができる。この場合においては、第三項の規定(9)

を準用する。

6 第一項の規定による届出をした者は、経済産業省令で定めるところにより、第二種特定化学 物質又は第二種特定化学物質使用製品ごとに、毎年度、前年度の製造数量又は輸入数量その他 経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。

7 第十三条第二項の規定は、第一項の政令について準用する。

(昭六一:本条追加、平十五:本条改正)

【趣 旨】

本条は、①第二種特定化学物質として政令指定された化学物質を製造・輸入する者又は政令で定 める製品で当該第二種特定化学物質が使用されているもの(以下「第二種特定化学物質使用製品」と いう )を輸入する者に対し、毎年度、当該第二種特定化学物質の製造予定数量若しくは輸入予定数。 量又は当該第二種特定化学物質使用製品の輸入予定数量の届出をさせること、②届出のとおり製造 又は輸入が行われた場合には、当該第二種特定化学物質が環境汚染を通じて人の健康又は生活環境 動植物の生息若しくは生育に係る被害を生ずるおそれがあると認められるときには、三大臣がその 旨を認定し、届出をした者に対して製造予定数量又は輸入予定数量の変更を命ずることができるこ ととする等を規定している。

【改正経緯】

昭和六十一年改正により第二種特定化学物質の制度が導入されたことに伴い、本条が追加された。

平成十五年改正により、環境中の動植物への影響に着目した一連の制度が導入されたことの一環と して 「人の健康に係る被害」のみならず 「生活環境動植物の生息又は生育に係る被害」の防止の、 、 観点から第二種特定化学物質の要件が追加され、所用の文言が追加された。