• 検索結果がありません。

第三種監視化学物質に関する措置

第四章 第二種特定化学物質に関する規制等

第二節 第三種監視化学物質に関する措置

動植物の生息又は生育に支障を生じるおそれ( 生態毒性 )を有する化学物質

本節においては、 「 」

(第一種特定化学物質及び第二種特定化学物質を除く )として経済産業大臣及び環境大臣が指定す。 第三種監視化学物質に関して、第二種監視化学物質と同様に、製造(実績)数量等の届出(第二 る

十五条の二 、有害性の調査(第二十五条の三 、指定の取り消し(第二十五条の四)に関する規定) ) が設けられている。

第三種監視化学物質に関する規定ぶりは、昭和六十一年改正法の指定化学物質(現行の第二種監視 化学物質)に関する規定にならったものであり、それらの大部分については、第二種監視化学物質に 関する規定中「人の健康を損なうおそれ」又は「人の健康に係る被害」とあるところを「動植物の生 息又は生育に支障を生ずるおそれ 「生活環境動植物の生息又は生育に係る被害」と読み替えたもの」 と言いうる。生活環境動植物への長期毒性を有していないことが明らかになった場合に、製造数量等 の届出が不要となるものの第三種監視化学物質としての指定は取り消されない点が、第二種監視化学 物質に関する規定とは構造が異なっている。

第三種監視化学物質を第二種監視化学物質とは同一の規制区分とせず、敢えて別に分けて規定した のは、以下の四点を踏まえたものである。

第一に、有害性調査指示の対象となる毒性が異なることである。すなわち、第二種監視化学物質に ついては、人の健康への長期毒性についてのみ指示するが、第三種監視化学物質については、生活環 境動植物への長期毒性についてのみ指示することとなる( 生態毒性」のみを有する化学物質につい「 て、人の健康への長期毒性について調査を指示すること(又は、その逆)はない )。

第二に、指定取消しの場面が異なることである。第二種監視化学物質は、人の健康への長期毒性を 有することから第二種特定化学物質に指定された場合には、第二種監視化学物質としての指定を取り 消すこととされているが、第三種監視化学物質は、人の健康への長期毒性を有することから第二種特 定化学物質に指定された場合には、引き続き生活環境動植物への長期毒性に関する有害性調査指示を 行う可能性があることから、第三種監視化学物質としての指定は取り消さない(生活環境動植物への

、 。)。

長期毒性を有することから第二種特定化学物質に指定された場合にも 上記とは逆のことが言える 第三に、製造数量等の規制の対象となりうる有害性を有していないことが判明した場合の対応が異 なることである。すなわち、第二種監視化学物質は、人の健康への長期毒性がないと判明した場合は 指定が解除されるのに対して、第三種監視物質については、仮に生活環境動植物への長期毒性がない と判明しても、動植物一般に対して何らかの影響の可能性が示唆されることに変わりがないため、指 定は取り消されない。

第四に、主務大臣が異なることである。すなわち、第二種監視化学物質は三大臣だが、第三種監視 化学物質は二大臣である。

なお、本節以外においても、第三種監視化学物質の定義等に関する規定は第二条に、第三種監視化 学物質を製造・使用等する者に対する主務大臣の指導・助言に関する規定は第三十条に規定されてい る。

○第二十五条の二(製造数量等の届出)

(製造数量等の届出)

第二十五条の二 第三種監視化学物質(第二十五条の四第二項の規定により経済産業大臣及び環(1) (2)

境大臣が公示したものを除く。以下この条及び次条において同じ )を製造し、又は輸入した。 者は、経済産業省令で定めるところにより、第三種監視化学物質ごとに、毎年度、前年度の製(3)

造数量又は輸入数量その他経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならな(4)

い。ただし、試験研究のため第三種監視化学物質を製造し、又は輸入したときは、この限りで ない。

2 経済産業大臣は、第三種監視化学物質ごとに、毎年度、前項の届出に係る前年度の製造数量(5)

及び輸入数量を合計した数量を公表しなければならない。ただし、一の第三種監視化学物質に(6)

つきその製造数量及び輸入数量を合計した数量が経済産業省令で定める数量に満たないとき は、この限りでない。

(平十五:本条追加)

【趣 旨】

本条は、①第三種監視化学物質を製造・輸入した者は、毎年度、経済産業大臣あてに、製造・輸入 実績数量等の届出を行わなければならないこと、②経済産業大臣は、届出に係る前年度の製造・輸入 数量の合計数量(一定数量未満の場合を除く )を公表することを定めている。。

ただし、第二十五条の四第二項の規定により、有害性調査の結果、生活環境動植物への長期毒性が ないことが明らかとなり、経済産業大臣及び環境大臣が公示した化学物質については、こうした数量 の届出や公表の対象とはならない。

【改正経緯】

本条は、平成十五年改正により追加されたものである。

【用語解説】

(1 「第三種監視化学物質……を製造し、又は輸入した者」)

「製造し、又は輸入した」と過去形の表現となっているとおり、届け出るべき「製造数量又 は輸入数量」は、予定数量ではなく、実績数量である。また、届出義務者は、特に輸入に関し て、事業者以外の者が一回限りで大量に輸入するという事態も十分考えられることから 「事業、 者」に限定されていない。

(2 「 第二十五条の四第二項の規定により経済産業大臣及び環境大臣が公示したものを除く 」)( 。 有害性調査指示を行った結果や事業者による有害性情報の報告等により生活環境動植物への 長期毒性がないことが判明した第三種監視化学物質であっても、動植物(一般)に対する何ら かの影響の可能性が示唆される化学物質であることには変りはないものであることから、①引 き続き関係者に周知して適正管理を求めることが適当であること、②法第三十条に基づく指導 助言を行う可能性があること、③あえて指定を取り消した場合には、あたかも当該化学物質が 何ら懸念がない化学物質であると誤解を与えるおそれがあることなどを踏まえ、第三種監視化 学物質としての指定は取り消さないこととされたものである。

ただし、生活環境動植物への長期毒性がないと判明した場合には、①以後、有害性調査指示 を行う可能性がなくなること、②第二種特定化学物質に指定して製造予定数量等の制限を行う 可能性がなくなることから、定量的な数量把握の必要性がない。このため、第二十五条の二第 一項に基づく製造・輸入実績数量の届出は不要とし、その旨を公示して明らかにすることとし ている (第二十五条の四第二項の規定による物質名称の公示の規定を参照のこと )。 。

(3 「経済産業省令で定めるところにより」)

届出に係る手続に関する事項について経済産業省令に委任する旨を規定したものである。

(4 「その他経済産業省令で定める事項」)

第三種監視化学物質が環境中にどれだけの量が排出されているかを推定するために必要な事 項(具体的には、用途、出荷数量等)について経済産業省令に委任する旨を規定したものであ る。

(5 「経済産業大臣は……公表しなければならない 」) 。

第三種監視化学物質は、その製造、輸入、使用等の状況によっては、有害性調査の指示が行 われたり、その結果として第二種特定化学物質に指定されて厳しい規制が講じられる可能性が あるものであることから、こうした第三種監視化学物質の適正管理の観点から、第二種監視化 我が国全体での製造、輸入の状況について情報提供を行うこととし 学物質の規定にならって、

たものである。

こうした観点からは、製造・輸入事業者の名称と製造・輸入数量が個別に対照できるような 形で公表することは必要ではなく、一方、事業者の名称を併せて公表することにより営業秘密 など競争上の地位を損なうおそれがあることから、合計数量のみを公表することとしている。

(6 「ただし、一の第三種監視化学物質につき……この限りではない 」) 。

第三種監視化学物質は、製造又は輸入の数量が相当程度の規模に達するまでは、環境汚染を 通じて生活環境動植物の生息・生育に係る被害を生ずるおそれはないと考えられる。一方、製 造、輸入の合計数量が極めて少量のときは、一社のみが製造又は輸入しているような場合が多 いと考えられることから、環境汚染を生じて生活環境動植物の生息又は生育への影響がないに もかかわらず、すべての場合に合計数量を公表することは、企業秘密の保護の観点から問題が 環境汚染を通じて生活環 あると考えられる。そのため 「経済産業省令で定める数量」として、、

境動植物の生息又は生育への被害が生じるおそれがあるとは考えられない程度の数量であり、

企業秘密の保護等にも配慮して公表の必要性がないと考えられるものとして経済産業省令で百 トンが定められている。

【罰 則】

本条第一項の届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、三十万円以下の罰金に処せられる(第四 十五条第二号 。)