第一部 第十六改正日本薬局方原案の作成に関する細則
3. 医薬品各条
3.16 乾燥減量,水分又は強熱減量
乾燥減量を設定する場合は,乾燥条件下で試料が分解しないことを確認する(乾燥した試料をほかの 試験に用いることができる乾燥条件を設定する).また,乾燥したものの吸湿性が著しい場合は,各試 験操作の中で吸湿を避ける等の記載を行う.
乾燥条件で医薬品が分解する場合は,水分を設定する.
水和物の場合は,原則として水分を設定する.
用量が微量な医薬品の場合にあっては,試料量の少ない試験方法の設定を検討する.また,品質評価 の上で支障のない場合には,設定を省略しても差し支えない.
解説/留意事項 設定にあたって
9 乾燥減量,水分いずれを設定してもよい.
9 水和物は化合物の構造体の一部であり,要領にあるとおり水分を規定し,正確に測定する 必要がある.ただし,水分測定試液と化合物が反応し,水分が正確に測定できない等の理 由により水分が設定できない場合は,乾燥減量を設定することもできる.
3.16.2 乾燥減量 3.16.2.1 乾燥減量試験
乾燥減量試験は,乾燥することによって失われる医薬品中の水分,結晶水の全部又は一部及び揮発性 物質などの量を測定するものであり,乾燥減量試験法又は熱分析法の第2法により試験を行う.ただし,
生薬については,生薬試験法の乾燥減量により試験を行う.
3.16.2.2 乾燥減量試験法による場合の記載
乾燥減量試験法により規定する場合は,次のように記載する.乾燥減量の規格値の記載は付表(乾燥 減量及び強熱残分の % 記載法)による.
[例] 乾燥減量〈2.41〉 0.5 % 以下(1 g,105℃,3時間).
これは「本品約1 gを精密に量り,乾燥器に入れ,105℃で,3時間乾燥するとき,その減
量は0.5 % 以下である」を意味する.
[例] 乾燥減量〈2.41〉 4.0 % 以下(0.5 g,減圧,酸化リン(V),110℃,4時間). これは「本品約0.5 gを精密に量り,酸化リン(V)を乾燥剤とした乾燥器に入れ,2.0 kPa 以下の減圧で,110℃,4時間乾燥するとき,その減量は4.0 % 以下である」を意味する.
3.16.2.3 熱分析法第 2 法による場合の記載
熱分析法第2法により規定する場合は,次のように記載する.
[例]乾燥減量 本品約○ mg につき,次の操作条件で熱分析法〈2.52〉の第2 法により試験を 行うとき,△ % 以下である.
操作条件
加熱速度:毎分5℃
測定温度範囲:室温 ~ 200℃
雰囲気ガス:乾燥窒素
雰囲気ガスの流量:毎分40 mL なお,規格値は小数第1位まで規定する.
解説/留意事項
(1)設定にあたって
9 新規設定の場合,TLCやHPLCにより分解していないことを説明する.
9 承認規格をそのまま提案する場合を除き,乾燥条件の妥当性を説明する.例えばTG曲線,
水分値との相関等.
9 恒量規定(通則33項)に留意して規格値を設定する.
9 試料秤取量と規格値の桁数の関係について,必ず付表を確認する.
(2)提出資料
9 3ロット各1回の実測値を提出する.
9 熱分析法で設定する場合は測定機器,測定条件を必ず記載する.
3.16.3 水分 3.16.3.1 水分測定
水分測定は,医薬品中に含まれる水分の量を測定するものであり,水分測定法(カールフィッシャー 法)により行う.容量滴定法に比較して,電量滴定法の定量限界がより小さいことから,試料の量に制 約がある場合,電量滴定法の採用を検討する.
3.16.3.2 水分の記載
水分は,次のように記載し,容量滴定法(直接滴定,逆滴定)又は電量滴定法のいずれの測定法によ るかを記載する.
[例]水分〈2.48〉 4.0 ~ 5.5 %(0.2 g,容量滴定法,直接滴定).
これは「本品約 0.2 g を精密に量り,容量滴定法の直接滴定により測定するとき,水分は 4.0 ~ 5.5 % である」を意味する.
なお,水分を簡略記載した場合には,試料を溶かすのに用いた溶媒に対する溶解性について,性状の 項に記載する.
解説/留意事項
(1)設定にあたって
9 使用している試薬・試液は薬局方の規定に適合していることを確認する.未収載の試薬・
試液を使用している場合,使用することが妥当である旨を説明し,試薬・試液の項に新規 試液として設定する.
9 試薬・試液に注釈が必要な場合は,本文中に記載する.
[例] アストロマイシン硫酸塩
8.0 % 以下(0.2 g,容量滴定法,逆滴定.ただし,水分測定用メタノールの代わ
りに水分測定用メタノール/水分測定用イミダゾール混液(1:1)を用いる).
9 水和物の規格値は幅規定とする.
9 容量滴定法の場合,水分 5~30 mg を含むような量の試料を採取する(一般試験法).実 測値が低値である又は規格値案が小さいにもかかわらず試料量が少ない事例が見受けら れるので,このような場合は電量滴定法の設定を検討する.
9 電量滴定法の場合,水分0.2~5 mgを含むような量の試料を採取する(一般試験法).
(2) 提出資料
9 3ロット各1回の実測値を提出する.
9 新規設定の場合,規格値付近における添加回収実験(n=3)を行う.
9 試料を溶解するのに用いた溶媒の溶解性が性状の項に規定されていることを確認する.
3.16.4 強熱減量 3.16.4.1 強熱減量試験
強熱減量試験は,強熱することによって,その構成成分の一部又は混在物を失う無機薬品において,
強熱した場合の減量を測定するものであり,強熱減量試験法により行う.
3.16.4.2 強熱減量の記載
強熱減量は,次のように記載する.
[例]強熱減量〈2.43〉 12.0 % 以下(1 g,850 ~ 900℃,恒量).
これは「本品約1 gを精密に量り,850 ~ 900℃で恒量になるまで強熱するとき,その減
量は12.0 % 以下である」を意味する.
解説/留意事項 提出資料
9 3ロット各1回の実測値を提出する.
9 承認規格の強熱条件等を変更する場合,変更が妥当であることを示すデータを提出する.
3.16.5 製剤の乾燥減量,水分又は強熱減量の設定
製剤の乾燥減量,水分又は強熱減量は,特に必要のある場合,例えば,製剤の水分含量がその製剤の 品質に影響を及ぼす場合に原薬に準じて設定する.