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中長期的なROE経営

ドキュメント内 統合報告書2015 (ページ 56-60)

 日本政府の「日本再興戦略」の一つとして、2014年2月に「日本版ステュワードシップ・コード」が公表され、また2015年6月より 東京証券取引所の上場規程にコーポレートガバナンス・コードが適用されました。両原則は、日本経済の中長期的な成長の観点か ら機関投資家、企業双方が果たすべき責務を諸原則として記したものであり、しばしば「車の両輪」として例えられます。その両輪 をつなぐ車軸が2014年8月に経済産業省より公表された持続的な価値創造をめざす「伊藤レポート」であり、当レポートでは両原 則に共通する指標としてROEが示され、中長期的なROE経営こそが企業価値創造において重要であると示唆しています。

 エーザイの「中長期的ROE経営」では、売上収益利益率(マージン)、財務レバレッジ、総資産回転率(ターンオーバー)を改善する ことにより、中長期的にグローバル水準のROEおよびエクイティ・スプレッドをめざしています。

 マージンの向上については、グローバルブランド「レンビマ」、「ハラヴェン」、「BELVIQ」、「Fycompa」の拡大、中国・アジアにおける 高い成長性の維持、ストラテジックマーケット(カナダ、メキシコ、ブラジル、ロシア、オーストラリア)の早期採算化の実現により利益 の確保をめざすと同時に、引き続き費用効率化を推進します。

 財務レバレッジの利用については、財務の健全性を確保しつつ最適資本構成を追究します。一方、ターンオーバーの改善としては、

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)管理による運転資本のコントロールに加えて、土地や有価証券などの資産売却、棚卸資産 の圧縮などの資産の効率化を積極的に行います。

 2015年度は、売上収益および営業利益は前年対比で増収増益となる一方、当期利益は減益となることから、ROEは低下する見込み です。しかし、中長期的には認知症フランチャイズとオンコロジー(がん)フランチャイズを構築することによりROEを向上し、持続的 な株主価値の向上を実現したいと考えています。

 株主価値の評価指標の一つとして、PBR(株価純資産倍率)が挙げられます。PBRは、株価を企業の資産面から評価する指標であり、PER

(株価収益倍率)とROEの積に分解できます。

 エーザイでは2000年代初頭から「ROE経営」に取り組んでいるため、PBRは日本の標準レベルである1倍を大きく上回っています。

 つまり、会計上の純資産(簿価)を上回る市場評価(時価総額)となっており、その差額である市場付加価値を中長期的に創出しています。

中長期的なROE経営

日本の標準レベルを大きく上回るPBR

■ROEの分解要素

■PBRの年次別推移 (2004年度末〜2014年度末)

■ROEの年次別推移 [2004年度〜2014年度]

■PBRの分解要素

IRにより資本コスト低減とPER

成長ストーリー浸透を めざす

マージンの向上ROE

レバレッジの活用 ターンオーバーの改善

PBR ×

0 50 100

0 5 10 15 20

5,987 4,195

68% 69% 69% 70%

40% 37% 38%

39%

0.38 0.26 0.14

0.06 54% 57%

0.64 0.63 0.62 0.49

41% 48%

7.6 14.3 11.4

16.4

10.9 9.6 13.2 12.6 13.0

4,596

5,192 5,525 4,489

2,889 2,696 2,564 1,982 1,571 1,259

719 342 4,280 4,159 4,042 4,168

4,841 5,263 5,987

2004年 年度

2004 2005 2006 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014(年度)

(%)

(億円)

(%)

0.06

7.7

342

過去10年の平均ROE*1(11.7%)

株主資本コスト(8%)

マージン オペレーション効率的な

利益率の改善による

レバレッジ 財務健全性のため Net DER0.3以下に中期目標 コントロールしつつ 財務レバレッジを活用

ターンオーバー 運転資本管理や

固定資産の 現金化による 資産効率の向上

ROE × ×

0 1 2 3 4 5

2004年度末 2014年度末

(倍)

2004年度末 2014年度末

(倍)

0 1 2 3 4 5

純資産(会計上の薄価)

市場付加価値

知的資本 人的資本 製造資本 社会・関係資本

自然資本

財務資本

0 1 2 3 4 5

純資産(会計上の薄価)

市場付加価値

知的資本 製造資本 人的資本 社会・関係資本 自然資本

財務資本 エクイティ・スプレッドとは

エクイティ・スプレッド=ROE−株主資本コスト(CoE)

※ROEと並んで、株主価値創造の重要指標の一つ

過去5年 : 平均ROE11.5%−CoE8%=エクイティ・スプレッド3.5%

過去10年 : 平均ROE11.7%−CoE8%=エクイティ・スプレッド3.7%

*株主資本コストを8%と仮定しています (リスクフリーレート2%+リスクプレミアム6%)

* 2007年度の実績は、特殊要因(MGIファーマ社買収)

の影響があり、参考数値として適切な数値ではない ため削除

** 2011年度実績までは日本基準(J-GAAP)、2012年 度、2013年度および 2014年度実績は国際会計基 準(IFRS)

*1 2007年度の実績は含まれておりません。

財務資本

 エーザイでは、資本効率(ROEおよびエクイティ・スプレッド)と持続可能性(非財務資本の重要性)に鑑み、IIRC(国際統合報告評 議会)のフレームワーク公表前から『財務資本』と『非財務資本』の価値関連性についてのモデルを提唱しており、その関連性を追究 して企業価値向上をめざしています。

 Intrinsic Valueモデル    では、市場付加価値(MVA)=「組織の価値」「人の価値」「顧客の価値」「ESG/CSR*4の価値(資本 コスト低減効果)」と定義しています。

 一方、エーザイのPBRモデル    では、株主価値=長期的な時価総額=「株主資本簿価(BV)」+「市場付加価値(MVA)」の前 提で、株主資本簿価(BV)は『財務資本』、そして市場付加価値(MVA)は「知的資本」「人的資本」「製造資本」「社会・関係資本」「自 然資本」といった『非財務資本』と関連づけてIIRC(国際統合報告評議会)の6つの資本の価値関連性を説明しています。

 また、オールソンモデル    は、市場付加価値(MVA)はエクイティ・スプレッドの現在価値の総和に収斂するとしています。

エクイティ・スプレッドによる価値創造は、ESGをはじめとする『非財務資本』の価値と市場付加価値(MVA)創造を経由して 長期的には整合的で相互に矛盾しません。

   のモデルは、『非財務資本』を市場付加価値(MVA)と関連づけたIntrinsic Valueモデル、エーザイのPBRモデル、そし て市場付加価値(MVA)とエクイティ・スプレッドの関連性を示唆するオールソンモデルの3者が市場付加価値(MVA)創出を介 してつながっていて相互補完的であることを示しています。

*4 ESG:Environment(環境)、Society(社会)、Governance(企業統治) CSR:Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)

 エーザイでは「ROE経営」への取り組みだけでなく、PERの向上にも取り組んでおり、明確な資本政策の提示による株主資本コス トの低減およびタイムリーかつフェアなIR活動に努めています。この点について、2014年6月19日付のSMBC日興証券株式会社の 中沢安弘アナリストのレポートにて、「エーザイのPERは業界平均を10%以上上回る。その理由は、明確な資本政策や巧みなIR活 動が投資家に高く評価されているからであり、これをIRプレミアムと呼ぶ」と報告されています。

 引き続き、財務資本の健全性を高めながら、非財務資本の市場付加価値を高め、投資家の皆様から高い評価をいただける、ひ いては持続的な株主価値向上につなげることができるIR活動をめざしていきます。

持続的な株主価値向上に向けて

企業理念に基づき“資本効率”と“非財務資本”の 価値関連性を追究して企業価値向上をめざします

■非財務資本とエクイティ・スプレッドの価値関連性モデル*1

図表

図表1

図表3 図表2

   Intrinsic Value モデル*2 エーザイの PBRモデル

オールソンモデル*3

( )

サステナビリティ価値

(ESG/CSR の価値)

顧客の価値 人の価値 組織の価値

知的資本 人的資本 製造資本 社会・関係資本

自然資本

財務資本 残余利益

(IIRC のフレームワーク)

市場付加価値(MVA)

株主資本簿価(BV)

株主価値

エクイティ・スプレッド×BV

(  ROE - CoE  )×BV

(株主資本利益率) (株主資本コスト)

株主価値 = BV +

エクイティ・スプレッドの現在価値の総和(MVA)

当期利益(1+CoE)t - CoE × BVt t1

図表1 図表2

図表3

*1 『インベスター・リレーションズ』No.9 日本IR学会(2015) *2 『企業価値最大化の財務戦略』同友館(2009) *3 Ohlson(1995)

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詳しくはこちら▶ http://www.eisai.co.jp/ir/index.html 詳しくはこちら▶ http://www.eisai.co.jp/ir/stock/meeting.html

株主還元

財務資本

 エーザイは、剰余金の配当等に関しては取締役会決議とすることを定款に定めています。取締役会では剰余金の配当等に関する 基本方針は、「当社の株主還元に関する考え方」として、以下の通り決議しています。

 2014年度の期末配当金は、株主の皆様への継続的・安定的な配当をめざす上記の基本方針に基づき、1株当たり80円とし、1株 当たり中間配当金70円と合わせ、年間配当金は1株当たり150円(前期と同額)となり、DOEは7.6%となりました。

 株主総会において充分な説明を行うことを旨とし、議長自らが事業報告や経営方針について説明を行います。また、株主の皆様 からの活発なご発言を頂戴し、質疑応答に努めています。すべての株主の皆様が適切に議決権を行使できる環境を整備するため、

株主名簿管理人の議決権行使サイトや議決権電子行使プラットフォームを採用するとともに、内容を充実させた招集ご通知を、日 本語版、英訳版ともにエーザイのコーポレートサイトに掲載しています。

 IR担当執行役のもとにIR部を設置し、IR専任担当者を配置しています。四半期決算を実施しており、それに合わせてアナリスト・

機関投資家向けの決算説明会を年4回実施しています。さらに、エーザイの戦略について説明するために、決算説明会とは別に毎 年1回インフォメーション・ミーティングを開催しています。また、投資家の皆様との対話の機会も積極的に設け、国内だけでなく、

海外の投資家にも定期的に個別訪問をしています。その他、個人投資家の皆様を対象とした説明会も適宜実施しています。

 エーザイのコーポレートサイトには株主・投資家の皆様向けのコンテンツを設けています。定款をはじめ決算短信・参考資料、

アナリスト・機関投資家向け説明会資料を掲載するとともに、説明会の動画も日本語および英語にて発表後すみやかに配信してい ます。また、業績や研究開発の概況を取りまとめた業績ハイライト・研究開発状況、統合報告書、年間IRスケジュール、株式諸手 続き・株価状況、決算公告・電子公告なども掲載しています。

剰余金の配当等に関する基本方針

配当について

株主総会

IRに関する活動状況

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000

0 50 100 150 200

0 50

0 2 4 6 8 10

アメリカス 医薬品事業

0.0%

セグメント別 売上収益

その他

0.0%

日本 医薬品事業

0.0%

薬粧 - 日本

0.0%

配当性向(%)

ROE(%)

4,195

5.3 6.4 7.4 9.1 10.1 10.4 10.4

9.4 8.5

90 120 130 140 150 150 150 150 150

68% 69% 69% 70%

40% 37% 38%

39%

0.38 0.27

0.14 0.00 00%

54%

0.64 0.63 0.62

0.49

41% 47%

4,596

5,192 5,525 4,489

2,889 2,696 2,564 1,982 1,571 1,266

725 000 4,280 4,159 4,042 4,168

4,694 5,068 0,000

7.6

2005年度 2006

年度 2007

年度 2008

年度 2009

年度 2010

年度 2011

年度 2012

年度 2013

年度 2014 年度 40.6 48.4 83.7 105.9 63.4 73.1 82.7 118.8 99.0 13.0 13.2 △3.4 10.9 9.6 16.4 14.3 11.4 7.6 7.7

(%)

(円)

EMEA 医薬品事業

0.0%

アジア 医薬品事業

0.0%

中国 医薬品事業

0.0%

0.00 00%

150 150

*2007年度はMGIファーマ社買収に伴い発生したインプロセス研究開発費の影響等により当期純損失となったため、配当性向は表示していません。

**2011年度実績までは日本基準(J-GAAP)、2012年度、2013年度および2014年度実績は国際会計基準(IFRS)

■配当金および親会社所有者帰属持分配当率(DOE)

■ 1株当たりの配当金(左軸)

DOE(右軸)

 配当については、健全なバランスシートをベースとして、連結業績、DOEおよびフリー・キャッシュ・フロー等を勘 案し、継続的・安定的に実施する。自己株式の取得については、市場環境、資本効率等に鑑み、適宜実施する可能性 がある。

 DOEは、株主様への利益配分を示す配当性向と、資本効率を示すROEの2つの要素から構成され、エーザイの掲げ る株主価値の創造に資する指標である。また、株主資本に対する配当の比率を示すことから、バランスシートマネジ メントを反映する指標となっている。

* 親会社所有者帰属持分配当率(DOE)=配当性向(DPR)×親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)

<当社の株主還元に関する考え方>

ドキュメント内 統合報告書2015 (ページ 56-60)

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