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中学2年生

ドキュメント内 STEP BULLETIN vol (ページ 98-102)

第18回 研究助成 A. 研究部門・報告Ⅵ

6.1 中学2年生

6.1.1

多読指導の効果

参加時期別に総読語数を図2にまとめた。

▼図2:参加時期別読語数のグラフ(中2)

図2より,後期参加者は前期の4倍以上読んだこ とがわかった。ただし,2年の前期と後期では授業 時間数に差がある。そのため,総読語数を授業時間 数で割って比較したのが図3である。図3によると,

後期は,前期の約2.5倍の量を読んでいる。やはり,

量はかなり増えていることがわかる。

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 25,038

語  2年前期 

2年後期 

6,144

Test Powers Spache Fry 平均値 語数

pretest 3.7 2.3 1 2.33 150

midtest 3.8 1.9 1 2.23 150 posttest 3.5 2.1 -(注8) 2.80 150

pretest 3.3 1.9 - 2.60 136

midtest 3.8 1.9 2 2.57 136

posttest 4 2.1 2 2.70 138

pretest 4.2 2.1 2 2.05 136

midtest 4.2 2.5 3 2.75 136

posttest 4.1 2.5 3 2.75 136

pretest 4.4 2.6 3 2.80 141 midtest 4.8 2.8 5 3.90 141

posttest 4.8 2.5 5 3.75 141

2年 前期

3年 前期

2年 後期

3年 後期 講座

■表8:テストのリーダビリティー

6 結果

(注)Powers = The Powers-Sumner-Kearl Formula;

Spache = The Spache Formula;

Fry = The Fry Graph

▼図3:1授業時間当たりの平均読語数(中2)

さらに,図2のデータを,通年参加者と半期参加 者に分けて,図4に総読語数をまとめた。

▼図4:参加期間別読語数のグラフ(中2)

図4から後期は参加期間にかかわりなく,2万語 以上読んだことがわかる。授業者の観察によると,

前期はほとんどの参加者が教科書以外の洋書を読ん だことがなかったため,自信がなく,量が読めなか ったが,後期は通年参加者が多量に読み,後期参加 者を引っ張っていたようである。また,通年参加者 と半期参加者では,読語数に7,000語の差がある。こ の語数は,中学校の英語教科書の3年間分の量(「1 はじめに」参照)に当たる。

さらに,クラス別に,多読を行った授業回数ごと の累積読語数の変遷を追った(図5)。

▼図5:クラス別累積読語数のグラフ

図5によると,どのグループにも共通する点とし て,4回目あたりまではほぼ横ばいだが,5,6回 目あたりから,読む語数が伸びている。また,前期 クラスに比べ,後期クラスは読語数が大きく伸びて いるのがわかる。前期クラスで授業回数の多かった

Class A と後期クラスの11回までを比べると,後期

は2倍,3倍の量を読んでいる。また,後期は,

Class C とD で読語数にかなりの差が出ている。ク

ラスごとに読語数の分布を調査したところ,図6及 び表9のような結果となった。

▼図6:クラス別読語数の割合(数値:人数)

図6より,前期は読語数1万語以下がほとんどだ ったが,後期は1万語以上がほとんどであったこと がわかる。特に,Class C は1万語以下の参加者は いなかったことが特徴的である。参加者の半数が前 期から継続して参加していたことが,初めて参加し た参加者にプラスに働き,クラス全体に多量に読も うとする雰囲気を作ったものと考えられる。Class C

2年前期 ClassA 2年前期 ClassB 2年前期 ClassC 2年前期 ClassD

〜 10,000語  〜 20,000語 

〜 50,000語   50,001語〜 

〜 30,000語 

〜 40,000語 

0% 20% 40% 60% 80% 100%

21 26

3

8

8 12 4 2 11

7 3 1 4

2年前期 

2年後期 

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 22,574 6,057

6,284

29,186 半期参加者  通年参加者 

語  647

1,615

語  2年前期 

2年後期 

0 500 1000 1,500 2,000

2年前期 Class A 2年前期 Class B 2年後期 Class C 2年後期 Class D 通年 参加者

参加者数(うち

通年参加者数) 最大値 平均値 最小値

24(10) 12,009 6,268 3,623

26(9) 8,690 6,029 3,607

23(12) 120,021 34,100 11,897

28(7) 64,620 17,594 4,626

19 131,869 35,471 17,092

■表9:クラス別読語数

40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0

2年後期クラスD 2年後期クラスC 2年前期クラスB 2年前期クラスA

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 多読回数

累積読語数の変遷

速読練習を取り入れた「多読」授業の効果 第18回 研究助成 A. 研究部門・報告Ⅵ

は最も多く読んだ参加者1名が12万語を超し(表 9),5万語以上読んだ参加者が他に3名いた。これ らの4名のうち,2名は後期のみの参加者で,通年 参加者に追随して頑張ったようである。

読書レベルはどのように変化したかについて,そ の調査結果を,図7に示した(注11。図7によると,

読む本のレベルが変わった節目が,第4時,第7時,

第9時に見られる。第4時は,レベル2に移行した 参加者が大きく増え,第7時は,レベル2がレベル 1より増えた。第9時には,レベル3がレベル2よ り増えていることがわかる。

▼図7:読書レベルの変化

6.1.2 速読指導の効果

6.1.2.1

読むスピード

pretest,midtest,posttest の3テストのwpm の平均を一元配置分散分析した結果を表10に示した。

表10によると,2年生はClass A,B,D の3クラ スでは,テスト間で有意な得点差が確認された。こ れら3クラスは開始時70〜80wpm だったが,半期 の授業終了時にいずれのクラスも100wpm を超え,

読むスピードが統計的に有意に速くなったことがわ かった。一方,Class C は開始時に既に100wpm を 超えており,その後の伸びは緩く,結果的には,最 初は20wpm 遅かったClass D と最終的にはほぼ同

じwpm で終わっている。Class C は最も読語数の

多いクラスであるのに,読む速さは有意に伸びてい ないのである。このことは,高橋・高梨(1993)の 中学校の目標値は100wpm であるという主張を再確 認するもので,100wpm あたりで天井効果が見られ たものと考える(注12

6.1.2.2

理解度

次に,pretest,midtest,posttest の3テストの理 解度を一元配置分散分析にかけた結果を表11に示す。

0% 20%  40%  60%  80%  100% 

第1時  第2時  第3時  第4時  第5時  第6時  第7時  第8時  第9時  第10時 

レベル1  レベル2  レベル3  レベル4  レベル5  絵本  その他 

*p < .05, **p < .01

*p < .05, **p < .01

■表10:読むスピード(wpm)の一元配置分散分析の結果(中2)

■表11:理解度の一元配置分散分析の結果(中2)

速読テスト

Class An = 24 Class Bn = 26 Class Cn = 23 Class Dn = 28

Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD

pretest 77.7 31.7 72.7 35.3 103.3 33.6 85.4 27.6

midtest 95.6 28.6 89.7 45.0 105.2 41.2 103.6 29.6 posttest 103.5 36.5 105.8 41.4 115.0 34.4 114.2 20.6

F 値 10.5** 13.0** 2.1n.s .20.2**

多重比較 pre < post** pre < mid* pre < mid**

pre < post** pre < post**

mid < post*

前期 後期

理解テスト Class An = 24 Class Bn = 26 Class Cn = 23 Class Dn = 28

(5点満点) Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD

pretest 4.2 0.7 3.7 1.0 3.5 1.1 3.4 1.4

midtest 4.4 0.6 4.2 0.7 3.7 1.3 3.6 1.3

posttest 4.2 1.0 4.1 0.9 4.0 1.1 3.5 1.1

F 値 0.8n.s. 3.3* 1.9n.s. 0.3n.s.

多重比較 pre < mid*

表11より,有意な差が見られたのはClass B のみ であった。Class B はもともと読むスピードもClass

A に比べると遅く(表10),理解度も低かったが,

posttest では速さも理解度もClass A と同じレベル に達している。このことより,中学2年生の前期と いう,英語の学習の経験が浅い参加者でも,もとも との読むスピードや理解度にかかわらず,本指導に より理解が伴った速読力がつく可能性があることが わかった。

また,Class A,B,C はposttest で理解度が8 割に達しているが,Class D は理解度が最初からほ とんど変動がない。同じテストを行った,Class C とD を表10,11で比較すると,Class C は,理解度 は8割まで伸びたがスピードはあまり伸びず,Class D は,速さは有意に伸びたものの,理解度がほぼ横 ばい状態である。つまり,スピードの向上が見られ

なかったClass C は理解力が向上し,スピードが有

意に速くなったClass D は,理解力は変わらなかっ た。

6.1.2.3

読むスピード×理解度

すべてのテストで,70%以上の理解度を示した参 加者の,読むスピードの変化について,その分析結 果を表12に示す。ただし,本研究では80%以上の正 解率(5点満点中4点以上)の解答者を対象とする。

表12より,Class A,B,D の3クラスは,理解の伴 っ た 速 読 力 が 統 計 的 に 有 意 に 向 上 し た 。 ま た, pretest の平均が他より高いClass C も有意傾向(p

= 0.076)だったことがわかる。

6.1.2.4

参加期間の差

参加期間の差により,効果に差は出るのであろう か。2年生の通年参加者と後期のみの参加者の間で

読むスピードの伸びを比較した。

後期総参加者の平均読語数25,038語に近い25,000 語を基準とし,参加期間終了時に基準以上読んだ参 加者を多読群,基準未満の参加者を少読群とし,参 加期間ごとに比較したのが表13である。

表13によると,多読群は半年後は少読群より伸び は少ないが,1年後は逆転することがわかった。多 読は短い期間で多く読んで効果が出るのではなく,

1年間かけて読み続けていくことで効果が出るらし いことがわかった。

6.1.3

情意面の変化

本授業の参加者の意識はどのように変わったので あろうか。英語力,速読力,正確に読む力など情意 面での成就感について質問したアンケートの結果を 表14に示す。

表14によると,全体平均は3.9で,情意面がどちら かというと向上したと言えよう。項目別では,「1 英語力」と「2 速読力」が高い。また,後期(C と

D)の方が前期(A とB)より情意面での向上感が

高い。読むことへの「4 自信」,「5 意欲」,「6 慣 れ」については,他の項目と比べると低くなってい る(各項目の番号は表14の番号に対応)。

授業評価については,表15のとおりである。授業 評価はどのクラスも高かったと言えよう。

*p < .05, **p < .01

■表1280%以上の理解度の参加者のwpm の変化

■表13:読書量と読むスピードの伸び(wpm)

速読テスト

Class An = 16 Class Bn = 12 Class Cn = 9 Class Dn = 7

Mean SD Mean SD Mean SD Mean SD

pretest 77.1 35.9 82.7 30.3 114.1 45.1 80.7 14.6 midtest 99.0 29.9 106.0 48.9 106.9 34.9 102.7 36.2

posttest 102.8 38.7 114.9 41.8 127.9 40.5 108.6 20.8

F 値 10.3** 5.1* 3.0有意傾向 4.5*

多重比較 pre < mid** pre < post* pre < post*

pre < post**

参加期間 半年後 1年後

後期のみ 多読群(n = 9) 9 少読群(n = 24) 31

通年 多読群(n = 9) 25 52 少読群(n = 10) 34 39

速読練習を取り入れた「多読」授業の効果 第18回 研究助成 A. 研究部門・報告Ⅵ

また,学習したリーディングスキルのうち「役に 立ったもの」,「実際に使ってみているもの」を尋ね たアンケート結果を図8に示す。

▼図8:リーディングスキルに関するアンケート結果

図8によると,最も「役に立ったリーディングス キル」として“Previewing” が挙げられ,その後を

“Guessing Word Meaning” が追っている。実践し てみたというリーディングスキルは少ないが,中で

は“Previewing” と“Guessing Word Meaning” がや はり,他のリーディングスキルから抜きん出ている。

生徒の感想の一部を次に挙げる。

・授業は楽しく,だけどしっかりと自分の力になっ ている感じがして,とても自分に合っていた。

・今まで英語が嫌いだったのですが,英語が大好き になりました。

・英語の本を読む機会がないのでよい経験になった。

・英語力も上がったし,友達とも協力できてよかっ た。

・英語の本は面白くて,わからないことがあっても 自分なりに考えられてとても面白かった。

・英検3級に合格しました。この授業のお陰です。

・1年間で英文を読むのに慣れた。

・とてもよい授業でした。最高でした。

・もっと本を読む時間が欲しい。

・雰囲気が重い。

・わかる人全員に答えてもらい,得点を入れるよう にした方がよい。

ドキュメント内 STEP BULLETIN vol (ページ 98-102)