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中国における外食産業の雇用労働条件

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Ⅰ.中国現地スタッフの雇用 

1.雇用形態 

  中国では、飲食企業の現地雇用形態は主に2つに分けている。ひとつは外食企業所在地の戸 籍または居住証を持つ従業員である。もう一つは外食企業所在地の戸籍、または居住証を持た ない、中国のその他地域からの出稼ぎ従業員である。 

なお、中国では改革開放後、雇用形態は従来の「固定工」(日本の正社員に相当する、現在 一部の国有企業しか存在していない)から、「合同工」(契約社員)へシフトした。特に北京、上海、

広州などの沿海都市では、特に飲食店は出稼ぎの従業員を使用することが多い。 

 

2.雇用方法 

外資系飲食企業の従業員募集において、主に以下の方法で行っている。 

 

① 民間人材コンサルタント会社への委託 

② メディア(新聞、テレビ及びラジオ)を通した募集   

③ インターネットの人材データベースから検索 

④ 専門学校及び職業学校からの卒業生推薦 

⑤ 人材仲介会社紹介(ヘッドハンター)   

⑥ 従業員による紹介 

⑦ 教育訓練機構と連合で人材育成   

⑧ 政府系の人材派遣会社(対外服務公司) 

現地法人資格をもつ外資系企業11は直接従業員を雇用することができる。雇用によって従業 員管理、社会保険など福利厚生などの義務が生じるため、以下のような手続を行わなければな らない(表2−1)。 

(表2−1)従業員雇用にあたっての手続 

雇用対象者  雇用側の手続 

企業所在地の戸 籍 ま た は 居 住 証 を持つ従業員 

 

・ 雇用側は地域の労働局への採用登録手続を行わなければならない。(労働 局は中国労働者を管理する政府機関であり、各地域の各行政レベルに設け られている) 

・  労働局への採用登録手続と同時に、雇用側は社会保険管理センター又は 住宅積立金管理センターへ法定福利厚生の手続きを行わなければならな い。(法定の福利厚生とは養老保険、失業保険、医療保険、労災保険、生育 保険及び住宅積み立て金である。詳細は「法定福祉厚生」の節を参照された い。) 

外食企業所在地 の戸籍、または居 住証を持たない、

中 国 の そ の 他 地 域 か ら の 出 稼 ぎ 従業員 

・ 外来従業員の使用認可を取得してから 30 日内に総合保険登録手続を行う ことが義務付けられている。 

・ 労働局の仲介が必要となる。 

・ 総合保険の加入が義務付けられている。 

 

 

  雇用管理は外資系企業にとって非常に面倒な業務であるため、多くの日系外食企業は直接雇 用せず、間接雇用を行う。この場合は政府系人材派遣会社(たとえば対外服務公司、労働局)を 通じて雇用を行う。間接雇用の場合は、雇用側は個人履歴情報管理(档案という)の管理にとど まり、福利厚生などの業務、労使交渉はアウトソーシングすることになる。 

11 雇用者が現地法人でなく、駐在員事務所形態の場合は、直接雇用はできない。この場合、政府指定の人材派

遣会社(たとえば対外服務公司)を通じて間接雇用を行うことになる。間接雇用はいわゆる福利厚生のアウ

3.労働時間 

中国「労働法」の第 36 条、41 条、44 条は、すべての労働者に対して労働時間について以下の ように規定している。 

①  労働者の労働時間は毎日 8 時間以内、週平均労働時間は 44 時間以内 

②  雇用者は、労働者に対して毎週少なくとも 1 日の休暇を保証する 

③  雇用者が生産経営上の理由から、労働時間を延長する場合は、組合と労働者との協議後 延長できるが、一般的には毎日 1 時間を超えてはならない。ただし、特別な理由で更に延 長が必要なとき及び労働者の健康状態が保障される前提で延長した場合は、1 日の延長 時間は 3 時間を超えてはならない。また、ひと月の合計は、36 時間を超えてはならない。 

④  以下の 3 種の法定基準労働時間以外の延長時間については、雇用者は労働者に対して 正常時間の賃金より高い報酬を支払わなければならない。もし、雇用者がこの規定を遵守 できなかった場合は、規定とおりに未払い分を労働者に支払った後、法的処罰として、更に 未払い分の 25%を補償金として支払わなければならない 

• 通常時期に労働時間を延長した場合は、労働者本人の賃金の 150%を支払うこと。   

• 休日出勤で、代替休暇がとれない場合は、労働者本人の賃金の 200%を支払うこと。   

• 法定休日出勤の場合は、労働者本人賃金の 300%を支払うこと。  

4.法定福利厚生 

中国では、近年、都市部をはじめとする法定福利厚生の整備を進めている。法定福利厚生の 内容は以下のものとなる。雇用側は従業員のために加入しなければならない。 

◆社会保険 

①養老保険、②失業保険、③医療保険である。 

◆企業保険 

①労災保険、②生育保険、③住宅積立金の3種類がある。 

保険業務は、各地の労働行政部門に所属する社会保険機構が担当しており、登録、保険料

の徴収、保険金の支給などを行なう。各地区において取扱細則が制定されているが、現在では これらの保険窓口を一本化している地区が多くなっている。実際の加入手続きについては各地 区に問い合わせる必要がある。 

(表2−2)2006 年上海社会保険費支払い標準  法定福利厚生  納付費の計算

基準金額 

項目  個人負担  企業負担 

養老保険  8%  22% 

失業保険  1%  2% 

機 関 、 事 業 単 位 、 企業、社会団体 

1,220 元〜6,099 元 

医療保険  2%  12% 

養老保険  8%  22% 

失業保険  1%  2% 

個人事業者   

1,220 元〜6,099 元 

医療保険  1%または 2%  7%または 12% 

養老保険  30% 

失業保険  3% 

労働組織の正規人 員でない者 

635 元 〜 6,099 元 

医療保険  14% 

養老保険  30% 

失業保険  −  自由業者  1,220 元〜6,099

元 

医療保険  8%または 14% 

社会保 険 

           

外来従業員が納付 する総合保険費 

  152.5 元(2005 年 4 月水準) 

出所:2006 年上海市城鎮社会保険費標準   

5.退職及び退職金規定 

近年、中国政府は中国の退職及び退職金制度の設立に力を注いでいる。 

1997 年、中国政府は全国の都市部における企業労働者の退職及び退職金、年金(基本養老 保険制度という)を統一した。その内容について以下のようにまとめてみた。 

• 企業の労働者は法定の退職年齢(男性労働者 60 歳、女性幹部 55 歳、女性労働者 50 歳)

である。 

• 年金について、個人での納付が満 15 年以上あれば退職後に年金(基本養老金という)を毎 月貰える。 

• 基本年金の主なものは、基礎年金と個人口座からの養老金で構成されており、基礎年金の一 カ月あたりの納付額基準は前年度の平均収入の 20%程度であり、個人口座養老金の一カ月 あたりの納付額基準は本人の口座(割合は収入の 11%)の累計貯蓄額の 120 分の 1 である。 

• 国家は都市住民の生活費用価格指数と労働者の収入増加比率を参照にして、基本年金の 程度を調整する。 

退職金は、法律的に定めていないが、一般的には会社での勤続年数よって金額が決まってく る。通常は 1 年につき 1 ヶ月分の給与となる。下記の場合、会社は退職金を支払う必要はない。 

①  会社の規則制度に大きく違反した場合や、法を犯して拘留された場合、判決を受けた場合 

②  自己都合退職の場合 

③  労働契約が満了した場合   

6.解雇 

「労働法」では、書面によって労働契約書を締結することを規定している。また、契約書では、「労 働契約期限」等の条項を明確にすることは必要である。通常の場合は、労働契約期限満了後、契 約を中止することができる。ただし、連続 10 年以上経った労働契約を延長する場合に、被雇用者 が無期限の労働契約を要求した時は、無期限の労働契約を締結しなければならないことが義務 付けられている。 

  従業員を解雇しようとする場合は、まず解雇の理由を明確にしたうえで、現在の労働契約内容 及び就業規則と照らし、同従業員が社内規定に抵触しているか否かを確認する必要がある。ま

た抵触している可能性がある場合は、その行為の裏づけをしておくべきである。そして、その社 内規定に抵触している場合、どのような法的手段で解雇できるかを検証すべきである。解雇につ いては地域の条例がある。例えば、上海市においては、従業員を解雇するにあたって、大きく分 けて以下の3つがある(表2−3)。 

(表2−3)上海市における解雇規定 

解雇方式  内容 

協議解雇  「協議解雇」とは、基本的には話し合うことである。会社側が経済補償金(最大で給 与の 12 カ月分)を支払う必要がある。 

予告解雇 

不正に限らず、以下のようなときに労働契約を解除できる。 

・ 従業員が病気にかかり、あるいは業務外で負傷し医療期間が満了した後にお いても元の業務に就けない、企業が別途用意した業務にも就けないとき 

・ 従業員が任務に就けず、訓練または職場の調整を行なった後にもその任務に 耐えられないとき 

・ 労働契約締結時に依拠した客観的な状況に重大な変化が生じ、契約を履行でき ないとき、また当事者が協議を行なっても契約の変更について合意に達しない 

・ 経営状況に基づき人員削減をしなければならないとき 

過失解雇 

(上海の場合) 

会社側は“労働条例を根拠として”過失を犯した従業員を解雇できる。解雇の際、

以下が会社側に許される。 

・ 30 日前をもって通知する義務がない 

・ 経済補償金を支払う必要がない 

・ 不正行為により損害があった場合、損害賠償を請求できる(不正行為証拠の 保管が大事) 

出所:上海市労働条例 32 条(予告解雇)、35 条(人員削減)を根拠として   

   

Ⅱ.日本人スタッフの雇用・就業規制 

中国では、外資企業が外国人を雇用するときは、各地域の労働行政主管部門から『中華人民 共和国外国人就業許可証書』を取得することが義務付けられている。外食企業も含め、企業は 外国人雇用にあたって各地方政府の労働行政部門に、対象外国人の就業許可を申請する。外 資企業の場合は、比較的容易に許可される。 

また、雇用対象となる外国人は、就労ビザを取得する必要があり、雇用企業の『中華人民共 和国外国人就業許可証書』など必要書類を準備した上、在日本の中国大使館・領事館にて就労

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