64
Southland 社,現在はセブン&アイ・ホールディングスの在米子会社)からのストレート
FCで参入した香港・広東省・マカオ市場の店舗である。究極的には日系CVSと言えるが,
その経営ノウハウは,フランチャイジーのJardine Matheson Holdings と,その子会社で1981 年から運営を始めていたDairy Farm社に由来する部分が多く,日本本社に由来するのでは ない。一方,SEJ が直接に関わる市場では,店舗数が伸び悩んでいる。日本本社からのマ スターFCに基づく部分ではファミリーマートの出店が相対的に順調であり,後発者にも関 わらず,店舗数ベースでは2009年にローソンを超えている。
65 す。
まず,香港,広東省,マカオにおけるセブン-イレブンは,前述のとおり SEJ との資本 関係がない。SEJが本格的に中国事業を始めたのは,2004年北京・天津市場における現地 会社との合弁 FC である。ただし,合弁相手が経営に関与しないため,北京・天津市場に おける事業展開は実質的に日本側の単独経営である(Sato[2009])。
店舗数の推移(図5-2)でみたように,SEJが運営する北京・天津市場における事業拡大 が遅いため,セブン-イレブンは2009年に台湾市場でのビジネスパートナーである統一グ ループにライセンスを与え,ストレートFCで上海市場に参入した。さらに,2011年には 子会社FCで成都市に進出したが,2012年に山東省,2013年に重慶市では,現地企業との 合弁FCを採用し,協業している。
● ● ● ● ● ●
出資比率 マスターFC エリアFC サブ ● 店舗FC 7-Eleven Inc.
香港,
広東,
マカオ
上海 成都 山東 重慶
天津
●
衆地陽光 集団有限
公司 南方希望 実業有限
公司 三井物産 株式会社
SEJ 柒一拾壹(中国)投資有限公司
統一超商香 港控股有限
公司 北京王府井
百貨(集 団)股份有
限公司 中国糖類酒 類集団公司 SEJ Asset
Management
& Investment Company
北京
0%
100%
65%
25%
10%
100%
0%
100%
100%
100%
100%
20% 15% 65%
10%
55%
35%
図5-3 中国におけるセブン-イレブンのFC展開
注)中国におけるセブン-イレブンについて,運営会社名は略して地名のみを記した。
出所)筆者作成。
国際フランチャイジングの視点からみれば,中国におけるセブン-イレブンの事業展開 は図5-3にまとめることができる。柒一拾壹(中国)投資有限公司はSEJの在中国投資会 社であるため,北京,上海,成都,山東,および重慶市場にある各運営会社は事実上,現 地において本部機能を果たすマスターフランチャイジーである。また,天津市場における 運営会社は北京セブン-イレブンのエリアフランチャイジーであり,香港,広東,マカオ市 場における運営会社は 7-Eleven Inc.社からのエリアフランチャイジーである。さらに,各 運営会社が現地で加盟店を募集している場合は,それらの加盟店がサブフランチャイジー
66 となる。
(2) ファミリーマート
表5-3 中国におけるファミリーマートの事業概要
地域 1号店 運営会社名 出資比率 FC類型
- - China CVS (Cayman Islands) Holding Corp.
頂全(開曼島)控股有限公司:
59.65%
ファミリーマート・チャイナ・ホー ルディング(FMCH):40.35%
(FMCHの出資比率はファミリマー ト:54.61%,全家便利商店股份有限
公司:45.39%である。)
合弁
上海市 2004年 上海福満家便利有限公司 CCH:100%
広州市 2007年 広州市福満家連鎖便利店有限公
司 CCH:100%
蘇州市 2007年 蘇州福満家便利店有限公司 CCH:100%
杭州市 2011年 杭州頂全便利店有限公司 CCH:100%
成都市 2012年 成都福満家便利有限公司 CCH:100%
深圳市 2013年 深圳市頂全便利店有限公司 CCH:100%
無錫市 2014年 無錫福満家便利店有限公司 CCH:100%
北京市 2014年 北京頂全便利店有限公司 CCH:100%
東莞市 2014年 東莞市頂全便利店有限公司 CCH:100%
CCHか らのエ リアFC
(子会 社)
出所)ファミリーマートウェブサイト『アニュアルレポート2016』をもとに筆者作成。
表5-3のように,ファミリーマートは中国において,全家便利商店股份有限公司(台湾 ファミリーマート)と台湾の頂新グループとの三社合弁で China CVS (Cayman Islands)
Holdingを設立している。各進出市場における運営会社は,すべてその合弁会社の100%出
資によって設立されているため,事実上は合弁企業とみなしてよい。
ファミリーマートが中国事業を始めたのは,2004 年における上海市場への進出である。
2007 年に広州と蘇州市場にも展開し,その後は暫くこの三つの都市で地盤を固めていた。
2011年からは,毎年一つの新市場に進出するペースで,杭州,成都,深圳市場にまで事業 を拡大させ,さらに2014年には無錫,北京,東莞市場への進出を果たし,事業展開のスピ ードを上げている。台湾系のビジネスパートナーとの協業によって,中国におけるネット ワーク,商習慣や法規制に関する知見が得られ,安定した進出パターンも円滑な事業拡大 に貢献していると思われる。
67
上海 広州 蘇州 杭州 成都 深圳 無錫 北京 東莞
● ● ● ● ● ● ● ● ●
出資比率 マスターFC エリアFC サブFC ● 店舗 頂
全 ファミリー
マート China CVS (Cayman Islands) Holding Corp.
全家便利商 店股份有限
公司
FM
CH 100% 100%
40.35%
59.65%
54.61%
45.39%
47.44%
100%
100%
100%
100%
100%
100%
100%
図5-4 中国におけるファミリーマートのFC展開
注)「頂全」は頂全(開曼島)控股有限公司のことである。また,中国におけるファミリー マートについて,運営会社名は略して地名のみを記した。
出所)筆者作成。
中国におけるファミリーマートの事業展開を国際フランチャイジングの視点からみた のが図5-4である。FMCHがファミリーマートから付与されたフランチャイズ権利を,China
CVS (Cayman Islands) Holdingに再付与しているため,CCHは事実上のマスターフランチャ
イジーである。それに対し,上海,広州,蘇州,杭州,成都,深圳,無錫,北京および東 莞市場にある各運営会社がエリアフランチャイジーであり,さらに各市場における加盟店 がサブフランチャイジーである。
(3) ローソン
表5-4は,中国におけるローソンの事業概要をまとめたものである。羅森(中国)投資 有限公司はローソン 100%出資の在中国投資会社であるため,ここもローソンと一体とみ なす。
ローソンは1996年に合弁FCで上海市場に進出した。しかし,ビジネスパートナーであ る華聯/百聯グループとの経営理念と経営方針の違いから,出資比率と主導権が再三に変 わり,現在はほぼ日本側の独資となっている。上海市場での教訓を踏まえ,重慶と北京市 場では子会社FC,大連と杭州市場では合弁FCによって進出したが,いずれも日本側が主 導権を握っている。
一方,2014 年以降の江蘇省江陰市,無錫市,鎮江市,蘇州市,浙江省寧波市,嘉興市,
および湖北省武漢市における事業展開は,すべて上海ローソンが各市の現地企業と組み,
エリア FC によって進出したものである。上海ローソンでは各市の現地企業をエリアフラ ンチャイジーとし,それらに店舗開発を任せている86。また,上海ローソンは2016年に近
86 2016年2月に実施した現地調査(上海ローソンのFC加盟説明会)におけるヒアリングによる。
68 隣の江蘇省常州市にも出店を開始した。
表5-4 中国におけるローソンの事業概要
地域 1号店 運営会社名 出資比率 FC類型
- - 羅森(中国)投資有限公司 ローソン:100% 子会社
上海市 1996年 上海華聯羅森有限公司 羅森(中国)投資有限公司:94.0%
百聯集団有限公司:6.0% 合弁
重慶市 2010年 重慶羅森便利店有限公司 羅森(中国)投資有限公司:100% 子会社
大連市 2011年 大連羅森便利店有限公司 羅森(中国)投資有限公司:98.3%
大連亜恵快餐有限公司:1.7% 合弁
杭州市 2012年 浙江羅森百貨有限公司 上海華聯羅森有限公司:83.3%
羅森(中国)投資有限公司:16.7% 合弁
北京市 2013年 羅森(北京)有限公司 羅森(中国)投資有限公司:100% 子会社
江陰市 2014年 江陰華聯商厦有限公司
-寧波市 2015年 寧波甬鑫世紀貿易有限公司
-無錫市 2015年 江陰華聯商厦有限公司
-鎮江市 2015年 鎮江九森商貿有限公司
-蘇州市 2015年 江蘇中能匯宏経済発展有限公司
-嘉興市 2015年 嘉興市友的貿易有限公司
-武漢市 2016年 中百超市有限公司 中百控股集団股份有限公司:100%
常州市 2016年 上海華聯羅森有限公司 羅森(中国)投資有限公司:94.0%
百聯集団有限公司:6.0% 合弁 上海華聯羅 森有限公司 からのエリ アFC(スト レート)
出所)ローソンウェブサイト『統合報告書2015』,上海羅森ウェブサイト
(http://www.lawson.com.cn/),国家企業信用信息公示系統(www.gsxt.gov.cn/)のデータ,
および2016年2月実施の現地調査(上海ローソンのFC加盟説明会)で得られた情報をも とに筆者作成。
重慶 北京 大連
寧波 鎮江 蘇州 嘉興 武漢
● ● ● ● ● ● ● ● ●
出資比率 マスターFC エリアFC サブFC ● 店舗
● 江陰,
無錫
上海
大連 亜恵 快餐 有限 公司
●
ローソン 羅森(中国)投資有限公司
杭州 百聯
集団 有限 公司 100%
6%
0%
94% 100% 100% 98.3%
1.7%
83.3% 16.7%
0%
0%
0%
0%
0%
図5-5 中国におけるローソンのFC展開
注)中国におけるローソンについて,運営会社名は略して地名のみを記した。
出所)筆者作成。
図5-5
は,中国におけるローソンの国際フランチャイジングを表すものである。セブン-69
イレブンと同じく,羅森(中国)投資有限公司は投資会社であるため,上海,重慶,大連 および北京市場において本部機能を果たしている各運営会社が事実上のマスターフランチ ャイジーである。また,江蘇省江陰市,無錫市,鎮江市,蘇州市,浙江省寧波市,嘉興市,
および湖北省武漢市における各運営会社は,上海ローソンからのエリアフランチャイジー である。さらに,各市場における加盟店がサブフランチャイジーである。
(4) ミニストップ
表5-5 中国におけるミニストップの事業概要
地域 1号店 運営会社名 出資比率 FC類型
青島市 2009年 青島迷你島便利店有限公司
ミニストップ:60.0%
青島永旺東泰商業有限公司(青島イ オン):40.0%
合弁 出所)ミニストップウェブサイト2009年4月2日付リリースをもとに筆者作成。
表5-5のように,ミニストップの中国事業は現在,イオンが進出している山東省青島市 のみである。それは,ミニストップと青島イオンとの合弁で展開されているものであり,
事業規模がまだ小さい。また,図5-6 のように,中国においては青島迷你島便利店有限公 司がマスターフランチャイジーであり,青島市場の加盟店がサブフランチャイジーである。
● ● ●
出資比率 マスターFC サブFC ● 店舗 ミニストップ 青島迷你島便利店有限公司
イオン株式会社
青島永旺東泰商業 有限公司 青島市供銷社資産 運営(集団)中心
40% 40%
48.11%
60%
60%
図5-6 中国におけるミニストップのFC展開
出所)ミニストップウェブサイト(http://www.ministop.co.jp/),イオン株式会社の 2016年 2月期『有価証券報告書』,および国家企業信用信息公示系統(www.gsxt.gov.cn/)のデータ 筆者作成。
(5) 小括
日系CVSの中国事業は基本的にマスターFC で展開されており,一部ではエリアFC が