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6. 郷土史家からみた勝川の歴史資源に対する意識

8.2 世界会議の成果としての「あいち・なごや宣言」 3) にみる女性の役割

国連「持続可能な発展のための教育(ESD)の 10年」の最終年会合「ESD」に関す るユネスコ世界会議が 2014年11月に愛知県・名古屋市で開催された。11月4日から 8日までは,岡山において,ステークホルダー会議が開催され,10日から 12日は,あ いち名古屋において閣僚級会議「持続可能な開発のための教育(ESD)世界会議」が 開催された。

会議には,150 の国,地域から 76名の大臣など政府代表が参加したほか,ユネスコ 関係者,国際機関,教育関係者,市民,NGO など広範なステークホルダーが出席した。

愛知・三重・岐阜で ESD を推進している中部ESD拠点協議会は,国連大学が推進・

認定している世界129拠点の1つである。世界会議では,「あいち・なごや宣言」とユ

ネスコが採択した 2020年までの「グローバルアクションプログラム(GAP)」に関し て地域活動,国際連携などの分野で貢献していく旨の「コミットメント」を明らかに している。

ユネスコが提唱している ESD とは,本来教育現場から批判的,複眼的,総合的な考 え方をやしない,変革的社会を実現することをめざしている。例えば,採択された「あ いち・なごや宣言」には,考え方として「批判的思考,システム思考,分析的問題解決,

創造性,協働,不確実なことに直面し決断,また国際課題がつながっていることの理 解およびこの自覚から生じる責任のような,地球市民そして地域の文脈における現在 および未来の課題に取り組むために必要な知識,スキル,態度,能力,価値を発達させ ることで,学習者自身および学習者が暮らす社会を変容させる力を与える ESD の可 能性」を強調している。また実践活動については,「ESD の実践は,持続可能な開発 への文化の貢献,平和の尊重,非暴力,文化の多様性,地域と伝統的な知識,土着の英 知と実践,さらに,人権,男女の平等,民主主義,社会正義のような普遍的原則の必要 性と同様に地元,国内,地域,世界の文脈を十分に考慮するべきであることを強調し…」

とある。このように,ESD は,おのずと地域を単位とした地域おこし,まちづくりの 中で活かされることが期待され,とくに日本列島の各地域においては,少子高齢化や 外国籍女性市民の問題がクローズアップされるようになっている。

8. 3 「中部生命流域ESDモデル」の中の「勝川スタイル」における女性の役割

そこで,本報告の課題は,「中部生命流域ESD モデル」4)のひとつの典型として春 日井市における応用である「勝川スタイル」を取り上げ,その中のジェンダー的な側 面として,「輝く女性」の役割をとらえることである。しかも,この役割を,抽象的な 理想としてではなく,今日の日本のまちづくりが直面している問題を解決するため に,女性が具体的に,母親,祖母として,あるいは介護者,また消費者として,地域の 再生産を担当する固有の役割を果たすことで,「輝く」必要があることを,「中部生命 流域ESD モデル」の提示する「地域おこし」のスタイルの中での女性の役割を具体的 に示すという課題を課せられているのである。

図表1.中部 ESD 拠点の「地域」

       作成:中部ESD拠点事務局

2007年ESD の中部地域拠点大学として国連大学に認定され,中部大学に地域拠点 の事務局を置くことになった。認定されたのは,中部ESD拠点協議会であるが,こ の「拠点」は伊勢三河湾に流れ込む諸河川の「生命流域」の RCE(Regional Centre of Expertise),つまり,もろもろの専門家を統合した地域センターのいろいろな ESD の専門家の拠点としての中部大学がまとめるということになったのである。ここで,

国連大学が「専門家」をかなり常識とは違った形で定義していることが大事である。

ESD を担当する専門のなかには,もちろん大学や初等・中等・高等学校もふくまれる し,図書館・博物館などの教育機関や企業などの職員教育もふくまれる。しかし,特 に大事な専門家は,市民自身である,ということが専門家をまとめる地域拠点の特徴 である。したがって地域おこしの市民活動が,地域の ESD,つまり多様な関係者(ス テークホルダーと呼ばれている)の中でも,地域おこしの活動に参加している女性た ちが,ESD教育の一番大事な「専門家」になっているのである。ここで一番大事な点 は,明治以来の近代日本では,「開発」と「開発教育」の中心は日本国家であり,東京 を中心とする開発専門の官僚であったけれども,専門家をまとめる「拠点」は,国家で はなく,地域共同体,中部地方では,伊勢三河湾に流れ込む諸河川の「生命流域」つま り同じ水の循環のなかではぐくまれた「持続可能な開発」の「生命流域」の中で生活し ている市民である。「生命流域」ということを中部拠点の「地域」としたのは,生態系 の持続可能性が近代工業化によって,いろいろ分断されていることにかんがみ,水循 環をふたたび潤滑化する,中部地方の諸河川における上流・中流・下流の「地域おこし」

の市民・企業・行政・教育機関などをまとめていくということになったのである。中 部地方は古来,日本列島のなかでも,「ものづくり」に優れていた。また「ものづくり」

のために多くの外国人移住労働者をうけいれてきている中部地方の特色をも生かした 河川の上流から伊勢三河湾にいたる水循環の中で,自然の「生きとし生けるもの」と,

また海を越えた諸地域の人々に開かれた「未来づくり」を進める「ひとづくり」のモデ ルを構築してきた。

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