(経常収入−消費支出)+(社会保障給付−(直接税+社会保険料))+(−借り入れ返済金)
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経常収支'
税・給付収支)
借り入れ収支+(預貯金引き出し−預貯金)+その他収支(その他収入−その他支出)=0
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預貯金収支*
その他収支!
特に経常収支が大きい層,すなわち消費支出を抑制して他の支出に充てようとしている年齢層 は,35〜39歳の層,その前後の30〜34歳,40〜44歳の層である。それだけ消費支出を抑制し,その収支プラス分を他の大きな支出である税負担,住宅ローンなど借入金返済に充てていくパ ターンである。1989年から2004年にかけて全体に経常収支額が次第に大きくなっていることは,
それだけ,経常収入が伸びない中で,消費支出を抑え,他の強まってくる税負担,借入金返済 を賄う状況になっていることと予想される。
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フローベースでの家計収支の余力は,ストックベースの純資産に反映されていくと考えられる。ストックベースの純資産(貯蓄−負債)では,貯蓄額が1989年を除けば,どの年齢層でも概ね 同様の曲線であるのに対して,負債額は様相が異なる。ほとんどの年齢が1989年から調査年を 追うごとに負債額が増加している。特に30〜34,35〜39,40〜44歳代の層は,いずれも概ね倍 以上の負債額になっている。
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以上より,純資産(貯蓄−負債)ではさらに厳しい状況になっている。2004年では,30〜34歳−193万円,35〜39歳−179万円,40〜44歳−3万円とマイナスとなっている。この状況は50歳 以上から回復し,75〜79歳代では1916万円の水準になっている。
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各世代がこの15年間にどういう経路を辿ってきたか見ると,例えば2004年時点で35〜39歳代の 人は1989年時点では20〜24歳代であり,1989年97万円から,2004年では−179万円というよう に,厳しい経路を辿っている。[就業状況の変化]
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各家計の就業状況は,特に1989年から年間収入が減少している局面では,世帯主(就業)×世 帯員2(非就業)の場合 1989年では世帯主就業43.7%,世帯員246.1%だったのが,2004年 では各々38.7%,32.7%と,世帯主の就業割合が減少すると同時に,世帯員2の非就業が増え ている。有業者数の減少と関連し,年収減少につながっていると考えられる。以上の分析に関連して,さらに確認したい点として,重回帰分析による年間収入,消費支出の要 因分析など,第三編および次号で明らかにしたい。
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表3―1 変数基本統計量(1989年)表3―2 変数基本統計量(1994年)
1.データ説明
「全国消費実態調査」のデータは,年間収入2500万円以上,貯蓄現在高9500万円以上,負債現在 高4500万円以上のいずれかに該当する世帯はトップコーディングの対象になるため,第三編の分析 ではこれらのサンプルを除外した。また,2人以上の世帯を分析対象とする。
また,分析では,持家の帰属家賃を除く総合消費者物価指数を使い,収入や支出のデータを実質 化した(2015年価格)。1989〜2004年に,年間収入変化があるか否かを推計する時に,実質値を使 う。ただし,支出弾力性および必需支出を推計する時に,名目値を使う。
表3−1〜表3−4には,変数の基本統計量を示している。
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表3―3 変数基本統計量(1999年)表3―4 変数基本統計量(2004年)
2.1989〜2004年間収入の変化
本節では,世帯主の年齢,産業,職業などの属性をコントロールした上で,1989〜2004年,世帯 の年間収入は変化したか否かを推計する。
(1)変数説明
1989〜2004年に,世帯の年間収入の変化がある否か,各要因がどう影響を与えているかを推計す る。以下の式(1)を用いて推計する。
logincome= α
+β 1
・labor+ β 2
・area
+β 3
・age+ β 4
・age2+ β 5
・year
+β 6
・industry+ β 7
・occupation
式(1)ここで,被説明変数
logincome
は世帯の年間収入の対数である。説明変数labor
は世帯の有業者 数,areaは三大都市圏のダミー変数である。三大都市圏の世帯の方が年間収入は高いと考えられる。三大都市圏に立地する世帯であれば,1となり,三大都市圏以外に立地する世帯であれば,0 となる。本来であれば,世帯が立地する都道府県の
GDP
成長率などの変数を式に加えたいところ だが,全国消費実態調査の個票データでは三大都市圏であるか否かしか公開していない。age
は世帯主の年齢である。元データは年齢ではなく,「30〜34歳」のような5歳毎の年齢階級 である。ここでは,各年齢階級の階級値を世帯主の年齢とする。定年年齢に近づくと,収入が減少 すると考えられるので,世帯主の年齢の2乗age2を推計式に加える。year
は年のダミー変数であ る。第二編の世帯の年間収入の分布図によると,1989〜1994年にかけて,世帯の年間収入は増加す る傾向にあり,1994年以降減少する傾向にある。そのため,1994年をベースにする。industryは世 帯主の産業ダミー変数であり,農業・林業・漁業はベースである。occupationは世帯主の職業ダミ ー変数であり,常用労務作業者はベースである。ここでは,1989〜2004年にかけて,世帯年間収入 が調査年によって変化しているかを検証することが本節の目的であるので,年のダミー変数year
のパラメーターに注目する。(2)推計結果
表3−5は全サンプルの推計結果を示したものである。世帯の就業人員人数のパラメーターは 0.0883と推計され,1%水準で有意となった。三大都市圏ダミー変数,世帯主性別の男性ダミー,
世帯主年齢は正で,1%水準で有意である。世帯主年齢の2乗のパラメーターは−0.0002と推計さ れ,1%水準で有意となった。これは予想と同じ結果である。全体に,年間収入は,世帯の就業人 員数の大きさ,三大都市圏に居住しているか否か,世帯主が男性か否か,さらに世帯主年齢の高さ により説明できることが分かる。
年のダミー変数に関しては,1989年のダミー変数のパラメーターは−0.0226となり,つまり1994 年と比べて,1989年の世帯年間収入は低かった。1999年のダミー変数のパラメーターは−0.003と 推計され,5%水準で有意である。また,2004年のダミー変数のパラメーターは−0.0227と推計さ れ,1%水準で有意である。すなわち,1994年と比べ,1999年と2004の世帯年間収入は減少してい る。また,2004年のパラメーターは1999年のパラメーターよりも小さいので,2004年の年間収入の 減少幅はより大きいことが分かる。
表3―5(続き
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)と表3―5(続き"
)はそれぞれ上記推計(1)の世帯主産業ダミーの推計結果 および世帯主職業ダミーの推計結果を示している。全サンプルに関して,農業・林業・漁業と比べ,その他(非就業を含む)を除き,他の産業の世帯の年間収入は高い。特に,電気・ガス・熱供給・
水道業,金融・保険業,不動産業のパラメーターが大きく,年収の違いが生じている。
また,職業間の年間収入の差異も確認できた。法人経営者,官公職員,民間職員,個人経営者の パラメーターが正で1%の水準で有意であり,臨時及び日々雇労務作業者,商人及び職人,農林漁 業従業者のパラメーターが負で1%の水準で有意である。後述する世帯主年齢層別の推計結果(表 3−6)も同じ傾向にある。