フ ラン ス生命 倫理の展 開 (上野芳 久 ) 外に適 用される
.
・
手 術に際して摘 出さ れ る もの : 事 後の利用の ため に保 存さ れ る と き は,
同意 不要 (L672−
1).
っ ま り, 手 術 残 余物は, 科 学 的ま た は治 療 的 目的に提供さ れ る場 合 (一
般原 則に服 する)以 外は,
患者の知ら ぬ とこ ろで 製薬 業 者に売 却さ れ た りする とい うこと (北村・
展望 170頁 )
.
・
人の組 織の摘 出・
保 存:臓 器に準 じた規 制.
・
細 胞 産 物の提 供・
利用 :同 意・
無 償・
匿 名の原 則薬 剤と して規制されない もの は別に デ クレで許 可制に して管理 する
. C ,
生 殖医療(←1989.2
)…
実 施を広げな い よ う に条 件づ けて い る (檻 島).
・
依 頼 者;法 律 上。
事 実 上 (2年 以 上の共 同 生 活 )の夫 婦で,
生 殖 年 齢に あ る生きて い る 1組の男女 (公衆 衛生法
L152 − 3
条 ) (→
独身者,
閉 経 後の高 齢 女 性,
寡夫・
寡 婦,
同性愛者は 不可.
死 後 生 殖 も否定 )・方法 ;
IAC
もIAD も可.
し か し,
少な く と も配偶子の一
方が 当 事 者の もの でな け れ ば な ら ない(
Ll52 −3
条).
・
ド ナー
二生 殖 経験の あ る有配偶者か有 伴 侶者.
書 面によ る同 意が必 要 (L673−
2条 ).
近 親 交 配の 危険を避 ける ため,
同一
ド ナー
か らの配 偶 子利用は 5人 まで (L673−
4 条 )
・
配 偶 子 (gam さte):精 子 と卵 母 細 胞との区 別な し (L673 −1
条 )だ が,
フ ラン ス で は卵 母 細 胞の提 供は,
冷凍 保存技 術へ の不適 合とコ ン セ ンサ ス未 成立の た め, ま だ 行 わ れて い ない. ・
胚(embryon ):胎児にな る以 前,
受 精 後8
週 間 まで の受精 卵.
原 則と して禁 止.
例 外 的に 2つ の場 合に胚の利 用を承認→ 余剰胚 (embryon surnumeraires )の再 利 用 (
L152 −4
条 ) (い わ ば 受精卵の 養 子縁組),
カ ッ プル の男 女が承 諾した胚の医 学 目 的 検 査 (L152−8
条 項 )
・
当 事 者の同 意 (consentement )の確保1 カ ッ プル の 場 合→
医 師 団と事 前 面 談の後,
夫 婦が書 面で請 求し た場 合に, 医師 団が同 意 をと る (Ll52
−10
条 ).
ド ナー
が い る場 合→ 判 事また は公 証 人が同意 を とる
.
親 子 関 係の 問 題が関 係 すること か ら非訟裁判の形を と る (民311
条の20,
新 民 訴 1157 条).
(以上,
北 村・
ジュ リ123 頁)D .
生 命・
保 健科 学の倫理 に関 する国 家諮 問委 員会 (CCNE )(橢 島・
人 体 実 験39
頁 )
・
本 委 員 会は,
設 置 後10
年を経て,
本法23
条に よ り初め て法律で (← 1989.
2月 )そ の地 位が確 認 さ れた が,
位 置づけと して は,
公 論を促す常 設の討議 場とい う役割に と ど め ら れ てい る.
これ は ヨー
ロ ッ パ 諸 国の 国家倫 理 委 員 会に共 通 した位 置づ けで あ る.
E.
見 直し規定 (21 条)(檻 島・
人 体 実 験 36 頁 )・
凍 結 保 存 胚の ほかの カッ プル へ の譲 渡や, 着 床 前診 断な どの規 制の あ り方に つ い て は な お論議 が分か れて い る た め, 本 法だけ は, 施行 5 年後に見 直 しを 行 うとい う規 定が設 けら れ た.
(3} 記 名デ
ー
タ法…
別項(←7.1
)〔刑 法の改 正 〕
…
次の条 文が新 設 され た.
(条 文 訳= 「フ ラ ン ス新刑法典』 法 曹 会,
1995 )・
最初の政府案で は,
刑 事 罰は,
重 大な違 反に のみ, 各個別法で科さ れ てい た.
だが議会 審 議 を 経 る にっ れて,
まず 罰 金 を 中 心に量 刑が厳 しくさ れて い っ た.
・
国民議 会第二読会は,公衆 衛生 法 典に個 別 的に規 定 されて い た刑事罰の うち, 同 意 ・無 償 原 則違 反な ど重大なもの だけを,
刑法典に独立の編を設けて まとめる改正案を出した.
・
これを 受 けて 元 老 院 第二読 会は,
公 衆 衛 生 法 典の よ り細かい刑 事 罰も ほ ぼ すべ て 刑法 典 に 取 り込 む修正 を行っ た
.
さらに民法 典で の優 生学の組 織 的 実 践の禁 止 規 定に刑事罰 を新たに設 ける 追加も行 っ た.
・
生 命 倫 理 関 連 法の設 けた刑 事 罰で刑 法 典に入れ ら れな か っ た の は, 出生前診断の結果に よ っ て一 187一
湘 南 工 科 大 学 紀 要 第
31
巻 第1
号中 絶を行う際の規 則 違 反 (公衆 衛生法
162−19
条 ),
被験 者保護 法の弱 者 保 護 違 反,
その他の細 かい手 続 違 反 だ け.
(以 上,
構 島・
構 造51
頁, 同所の表3
, 表4
参 照)(
1
) 情 報の不 正 収 集 罪 (第 5節 個 人カー
ド又は情 報処 理に よっ て 生ずる人の権 利に対する侵 害 ) (226 −18
に追加 ) (記 名デー
タ法 4 条)人 格に対する侵 害罪
A
.
第6
節 遺 伝 子 検査,DNA
鑑定によ る人格 侵害 (226 −25
条〜 同一 30
条 ) (人 体 尊 重 法 8条 ) B.
代 理 出 産 仲 介の 罪 (227 −
12 条 ) (人体尊 重法 4 条)(3) 生 命 医 学 倫 理に関 する罪 (第
5
部その他の重罪お よ び軽 罪,
第1
編 公 衆衛生に関する罪)(511−
1 条
〜
同一
28 条) (人 体 尊 重 法 9条 )A
.
人の種の保 護 (第一
節 );優 生 政 策に対 する罰 則. 1
条の み.
生 命 倫理法中で最 重 罰 (懲 役 20 年 ).
B
.
人体の保護 (第二節 )C .
人の胚の保 護 (第三 節 )*上 記
B ,C
はすべ て 「移 植・生殖法 」の条項へ の違 反で,
同 法に設 け られた罰 則 を まと め たもの
.
人 体 尊 重 法の定め た同意・無 償 ・匿名原 則へ の違 反を中心に, 禁 固 1 年, 罰金 10 万 フ ランか ら禁 固7
年,
罰 金70
万フ ラ ンまで の刑 罰が科せ ら れ る.
人の胚の扱い に対する違 反 (51H5 条〜
同一
19条 ),
生きた人か らの臓器摘 出に関 する違 反 (511−2
条〜
同一3
条)が最 重刑の
7
年,70
万フ ランで罰せ られる (棚島・
全体像 2頁 ).
D.
その他の規定な ら びに 目然 人に適用される補充刑お よ び 法 人の罪 (第 四 節 )〔死の認 定 〕 (北 村
・
ジュ リ125
頁 ) (←1993,7.2
) (cf. 1994.5,4
)
・
本 法 も,
死の認 定に つ い て は,76
年法の趣 旨を再 録す る に と ど ま る (公衆 衛生 法 典 L671−
7条,
同
一
10 条 )(← 1978,
3.
31).
・
法 制度と して の死: フ ラ ン ス には現 在 次の2
つ の (少な く と も黙示の) 法 制度が存 在 する、
共 通 法 上の制 度:伝 統 的な死の認 定一
呼 吸・
循 環・
反 射の不 可逆的な停 止一
に基づ いて24
時噫
間以上後の埋 葬が許 可される 「ペ ッ ド の上の死 」
例外的な制度:「医学 的に正確な !」臓 器提供候 補者の死 こ の場合
,
死 体か らの臓 器 摘 出は,本 人が生 前に拒 絶の意 思表 示を してお か な け れ ば原則と して医 師の判断 次 第で可能なので あ
る か ら, こ こ に は
,
「死 体の社 会 化,
公 益のた めの 国 有化」を語 り得る余地さ え あ る.
・
この よ うな わ けで,
死の認 定の 問 題 は,
ひとえに医 師の専 門 的判断 と責任に委ね ら れ てい る よ うに見え る が, それに関する議 論自体は
,
世 論 や 法 律 論の前 面に は必 ずしも現れず (反対?檻 島・
人 体 実 験36
頁 ), し か も, 本 法 (94 年法)立法に際して は, こ の 「死体の社 会 化 」 状 況が世論 に定 着 したもの とさえ判断さ れて い る.
(cf. 1993.7.2
の コ・
デ タ判決,1994.
5月の被 験 者 保 護 法の改 正 時の議 論 )
。
その背 景に は,
キ リス ト教 的な精 神の 優 位か ら す れ ば死体自体に は さ し た る意味は残 ら ない,
臓 器 提 供 とい う犠 牲 が 「慈 悲 深い慈善の輝 きに包ま れて い る」(ピ オ12
世 )との見 方が あると して も,
日本 人に は理 解の難しい或る種 ド ラ イ な考え方の存 在を窺い知るこ と もで きるの か も しれ な い (北 村 ).
・76
年 法は94
年法で改正され ま した が,
後 者 も脳 死 を 認めて お り,
しか し他 方で , 家族の意見を聞 くよう 医 師に義 務づ け る こ と に よっ て臓器 移 植 を 少 し難 し くしてい ま す
.
世論に変 化が あっ て,
実 務 を 制 限 すべ きだ と考え ら れ た の です.
近 年になっ て, 人体の利 用に対 す る意 義 申 立があ り,
臓 器 提 供の数 も相当減っ たの です.
法律は,
それ故,一
っ の妥協で もっ て問 題 を 解 決 した わけ で,原 則は相 変わらず 黙 示の同意で は あ り ま す が
,
異 議 を 述べ る権 利が家 族に与え ら れ た わ けです
.
し か し全体と して は,
脳 死 は,
相対的に良く受入れ ら れ て い ます.
(ル ノワー
ル女 史,
ジュ一 188一
フ ラン ス生 命 倫 理の展 開 (上 野 芳 久 )
1994
.
9.27
11、
4
リ 1092 号 82 頁 )
〔フ ラ ン ス の先 端 医 療技 術 政 策の特 徴〕 (概 島
・
全 体 像 4頁 )包 括 的な倫理原 則 体 系の法 制 化 公 益の 重 視の人 権 原 理
商 業 化の徹 底 的 排 除 普遍 性の追 求
人 権 保護 と科 学 技 術の両 立 議会 審 議の入念さ
〔思想 的背 景〕(構 島
。
思 想 59 頁以下 )・
本 法の思 想 的背 景に は,
フ ラ ン ス社 会を支え る近 代主義 的価値観が あ る.
そ れ は次の 3 っ であ る.
それらの 上に,
フ ランス伝 統の人 権 保 護の大 原 則が示 され,
個 人の 目由と社会の秩 序にっ い て の フ ラ ン ス独 特の 哲 学が表現 さ れて い る.
(
1
) 人間主義: これ が 本 法の 「人 体の人権」保護の理念を支え てい る.
人の体や遺伝 子を保護す るの は (自然の一
部だ か らで はな く)人 間の一
部だ か らで あ る.
人の受 精卵は人に近い存 在だか ら特別に保護さ れ るの である
.
フ ラン ス で は, 人の受 精 卵の保 護は, 単 純な生命保 護 〔ネ ズ ミ の受 精 卵は売 買 さ れ,
実 験 材 料に も さ れ てい る !〕と イ コー
ルで は ない(
2
) 科 学 技 術 振 興:本 法 は,一
定の人権保 護の枠 内で,
生命 科 学 技 術の発 展 を 最 大 限 促 すた め に作 ら れ た
.
あ くま で人の生命の保 護と科学技 術 振 興の両 立 を 目 的と して い る,
こ の 立法に環境 保 護 思 想や 自然保 護の 風潮 を 読み取るの は,
まっ た くの誤 りで あ る.
(31 世俗 主 義:〔 で述べ た両立 を図る 上で 〕い ち ば ん 困難な議 論の対 象に なっ た の が胚 保 護の
問題 だっ た が
,
い か な る 宗 教 理 念に も偏 らな い 「世 俗 性」が共 和 国の基本理 念である.
本 法 をカ ト リ ッ クな どの特定 の宗 教 的 価 値 観と ス トレ
ー
ト に結び付け るの は誤 りで ある.
フ ラ ン スの 政 策 決 定 者た ち は常に
,
自 分の 宗教 的 信 条と公 共 政 策を形づくる根 拠を分けて 考えて い る. ・
生 命倫理法の基 本 原 則 は,
フ ラン ス 独特の,
公共の秩 序と し て の人権思 想であ る.
先 端 医療 技 術の実 施に際 して
,
人 権の 公共面を重視し, 個 人の 自 由に タガ を は めて い る.
人体の保 護 を 通 じて 人 権 を 保 護 する こ と は重 要な社 会の利益であり,
その た め に は個 人の 自 由 も制 限 され る こと があ る
.
公 共の 秩 序が守 られ なけれ ば個 人の 自由と権 利も守 ら れない.
そ れ が フ ラ ン ス の人 権思想の根本で あ る (当事 者が同意 してい る な らい い で は ないか とい うア メ リカ式の 自己決定 権 万 能 主 義は と ら ない)
.
共 和 国 司法院, HIV 汚 染 血 液 事 件にっ き
,
当時の エ ル ベ 厚 生 担 当 副 大 臣デ ュ フ ォ ア社 会 問題相
,
フ ァ ビウ ス首 相の
3
人に対 し,
毒 殺 罪の容 疑で予審の取り調べ を開始 (←
1993.
7.
27,
1994. 6.23
)(高 山
・
補 償39
頁,
堀田・
解 説 178,
181 頁)政 府 血 友 病 患 者
,
輸 血で エ イズ感 染した患 者に対 し,
総 額 50 億フ ラ ン (約 950 億 円 )の賠 償 金を 支 払 うこ と を 決 定 (←1991.12.31
エ イズ補 償基 金 法,
1992.
11.
9) (堀 田。
解説186
頁)・
対象:輸血に よ る感 染 者,
その 感 染 者 との性 交 渉に よ る感 染 者,
家 族か らの感 染 者約4000
名・1
人当た りの賠 償 額:30
万〜250
万フ ラン・
最終 的に は10 億 フ ラ ン (190 億 円 )の上乗せ が必要と も伝え られる (毎 日新 聞 ).
戦 後第
3
期 (1995
年〜
)〔保守党 政 権 時 代 〕1995,
4,12HIV
感 染 事 件に関する破 棄 院の判 決 (←1991、7。1
,同 lL28 ) (高 山 ・補 償37
頁 )〔私 立 病 院の責任〕