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ドキュメント内 自閉症状の発達的推移に関する事例研究 (ページ 53-64)

以下参考までにCLACH、知能テスト、SMテストの結果をあげておく。

 貧。

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8.事例の全般的考察

生後24カ月まで

 周知のように自閉は症候群である。そのため事例ごとにバラエティある自閉 症状を示すほか、発達的年齢によってさまざまな症状の変化をみせる。

 しかし、いずれの事例も出生前、周生期に何らかの既往のハッキリしている もの、そうでないものにかかわらず、出生後、非常に早い時期で⑦まわりへの 関心の乏しさ、②最早期からの母子相互関係のまずさ、は共通的な特徴である。

 本研究での事例をみると、事例1、2、3、5、6、7、はす べて多かれす くなかれ上記①、②を認める。ただ、事例4は生後7カ二時の高熱(40℃×

1週間)の後に、無欲、無関心となり、その後、同じような状態を呈するにい たった。

 ①については、W. Heron、D.Hebbらの感覚遮断実験の結果にみ られるように、外部刺激を極度に遮断すると、被験者らの主観的刺激が急増し、

外部への関心の乏しさが著しく、個人的・主観的でひとりよがりの世界に陥ら ざるを得なくなる。自閉児の場合も何らかの生物因により、これら感覚遮断と 同じようになるのではなかろうか。

 この結果、②の母子相互関係によって保障され、おおかたの乳児が何なく習 得する社会学習、そのものの不全が極端になる、といえる。この具体的な現れ が、自閉児の乳児期に比較的共通した「笑わない」、「楠語が少ない」、「視 線があわない」、「抱かれるポーズがとれない」、「表情が乏しい」、「人見 知りをしない」、「芸当を憶えない」、f指差しをしない」、「言葉がでない」

、「基本的生活習慣の自立の遅れと歪み」、「集団に入れない」などが、社会 学習の不全として、具体化されるようである。

 次に、特徴的なことは、③身体の運動そのものが、感覚運動を踏まえた動作 にまで止揚しえない、ということである。全事例ともに、歩きはじめると急に 多動となり、「危なくて、目が離せない」、「事故をおこす」、f迷子になる」

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ことが、これを裏付けする。これは自閉児が自分だけのひとりよがりの気持ち で、まわりに頓着せず動きまわること、また、自分がひきつけられたものに向 ってのめり込みとりつかれていくこと、によるものである。

 同時に、これゆえに母子、家族との間で、互いに共有し合うもののないこと、

いいかえると言葉の発達をみないことも多血の原因となる。少なくとも、この 時点での言葉のなさは、自閉児と家族内の関係のあり方を推察させるにたるも のである。そして、これは七時に自閉児のもつ象徴化の程度、および行動のコ ントロールの程度を示すものでもあるが、いずれにせよ、この欠如は、ともか く上記の3機能の不全を示唆する、といえる。ただ、まわりの者が、これらを 表面的にしか理解しえないところに、自閉児は「目的なく、動きまわる」とい う表現をとらせるわけである。

 加えて、多動の中には、何かにひきつけられて、のめり込むタイプ(事例3、

6、7>と、ひとりよがりに、転々と動きまわるタイプ(事例2、5>がある。

 しかし、後者のタイプの申には、加齢とともに、前者のタイプに移行するこ とがある。

 前者の何かにひきつけられてのめりこむような多動は、個々の自閉児の認知、

ことにその方向付の障害により、文字、数字、絵、機器などの、いわゆる「も の」にのめり込むのであり、これが狭い興味の偏りとも関係するようである。

これは自閉児に共通する、まわりの「ひと」への関係付の障害が年齢相応の社 会認知、社会感情、社会ルール、社会役割、社会的責任、等を不能、不全とす るほどに、自閉児は上述「もの」への偏ったとりつかれ行動に固執せざるをえ ないのではなかろうか。

一方、後者の無方向な一直線歩き、理由のない多動、リズム、回るもの、回 すこと、肌触りなどへのとりつかれは器質的脳障害にみられる望潮に類似した ものかもしれない。

 今一つ、この「もの」や「しぐさ」へのとりつかれ行動の関係で考えられる ことは、逆説的ではあるが、たとえ、自閉児の認知、興味が狭くて、その方向 が一般の同年齢の子どもとは、つれたものであっても、一種の社会学習という か、外部とのかかわりを自閉児らもひとりよがりではあるが、保っている証と もいえる。

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 しかし、いずれにしても自閉児の持つ決定的な「ひと」への関係付けの障害 は個々の自閉児の自己世界において、自分だけしか通用しない自分本位の行動 基準を自生するものと思われる。しかも、これに自閉児はのめりこむように、

とりつかれて始めて安心できるのである。したがって、この基準が何らかの理 由で、阻止されたり、ぐらついたりすると、自閉児は不安でパニックに陥らざ るを得ないのである。

 ともかく、自閉児の基本特徴は生後24カ月までに、次第にあらわになる。

 しかし、Kannerの指摘した自閉症の特徴は互いに未分化状態に絡みあ っており、そのため生後24カ月以前ではハッキリしないが、少なくとも「ま わりへの関心のなさ」「対人関係付のまずさ」と「とりつかれ行動jなどは何 となく、その片鱗を示し始めている。

1のタイプは、自分の興味あるものに吸込まれるようにひきつけられ、これに 類似した刺激以外のまわりに対しては、まったく関心がない。しかも、それが 阻止されても、阻害されても、それをスルリとふりきってでも近づいていこう

とする。また、阻止されると、一時的に不機嫌、不安になるが、奇声を発し、

自傷、パニック状態をあまり示さない。しかし、ともかく1タイプは上記のよ うにスり抜けては、再び近づいていこうとする(事例3、事例7>。

 llタイプは飢触り、砂いじり、水遊び、音をきく、物を回す、回るものをみ る、指をかざして指遊びに熱中する、などが目立ち、それらが中断されると、

興奮の極に達し、パニック状態に陥る。しかし、子どもの目前で子どもがとり つかれたようにしていること自身の真似を繰返していると、何故かそれを止め てしまうことが多い(事例2、5)。

幼児期

 その後、乳児後半から幼児時期にかけ、自閉児の示す特徴には、大きく2つ のタイプにけられる。

 その一つは、言葉の発生に関してである。始語の遅れや少なさはどの自閉児 にも共通的なものであるが、あるタイプを1タイプと仮定すると、1タイプの どの自閉児も言葉は貧弱、稚劣ではあるが、少しずつ伸びていくようである

(事例3、4、6、7)。

 それに対して、2のタイプ(皿のタイプ)は始語が極度に遅れる。中には、

「児童期まで、始語をみないもの」、「極度に遅れて評語は出るが、何時とは なしに消えていくもの」、「標準よりやや遅く始語をみるが、その数は極少な

くてやがてきえ、2〜3年おいて再び一語文をみるもの」、などある(事例1、

2N 5)o

 また、1のタイプは絵、文字、テレビなどに、強くひきつけられる。いわば、

とりつかれ行動の対象が比較的に年齢より高いものであることが多い。しかも、

 ともかく、1タイプには生物的な「ヒト」から社会学習を経て「ひと」へ至 る過程、そのものをまずくするような生物要因が作用しているようであるが、

それが何であるかはわからない。しかし、多くの臨床家は、その要因として徴 細脳損傷の存在を考えているが、今日の臨床検査や技術のレベルでのその実証 では不可能である。

 五タイプは中枢神経系に関してハッキリした既往、ことに周生期障害の既往 をもち、臨床症状とかソフトサインにその示唆をみるものが多い。

 いずれにしても、1個日プの認知障害は「認知の方向づけ」の障害が目立つ といえる。例えば、他の子どもが、たいして関心を払わないようなものにひど く敏感でさとい。おまけに、それに吸込まれるように引付けられ、対象への認 知のし方が極めて微細、緻密で精彩にとむものである。しかし、これらの対象 物には、自閉児の人間らしい感情が込められていない。むしろ、それは冷静で 冷え冷えとした科学者の鋭い観察を思わせるもののようでもある。この「もの」

へのタレント性と「ひと」らしさのなさは際だっている。1タイプの子どもに とって興味あり、関心のある「もの」自体を治療の手掛かりにすると、案外と 知的偏りは拡がってくる。それと同時に言葉も拡がりをみせる。ただし、言葉 の喋り方は文法を無視しており、言葉のやりとり、ことにコミュニケーション

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としての基礎をなす表情、まなざし、身振り、言葉使い(例えば、イントネー ション、リズム、アクセント)などが特異で、ロボット様、ドナルド.ダック 式のものではある。また、このタイプにはオーム返しは少ない。むしろ、これ らの子どもでは、嫌な思い出や否定的なことを内容とする遅延反響の方が多い。

また、この言葉によって、対人関係もあまのじゃく的なかかわりであったり、

第三者としてのオモチャや動物などを介しての閤接的なやりとりが少しずつ可 能となってくる。同時に、集団行動では、ひとりよがりさが目立ち、それゆえ に集団に入りきれない。しかし、ある程度の強制には従えるようになる。

  Hタイプでは、いわゆる知的障害を主にするような認知障害が強い。そのた  めに、まわりのものとの関係づけができなくて、非社会的なひとりよがりの気

・持ちで転々とすることに終始する。自閉児はこのように馬鐸で転々とすればす  るほど、自己内から自生してくる行動基準にとりつかれ、固執し続けるのであ  る。これは何か外界の特徴的なものにとりつかれたというよりは、徹底したこ  だわりであり、執着でもある。より具体的にいうならば、器質性脳障害にみら  れる保続症状というべきものでもある。そのため、その行動が阻止されると、

 前述のように極度のパニック状態に陥る。なお、このタイプでは言葉は依然と  して出ない。そして、単発的な感情音やオーム返し、他人の手を介しての要求  表現などが目立つ。また、遅くには単発的な言葉を習得する。しかし、これは  言葉でのやりとりにはなりえない。ただ、興奮時には知っている限りの単語が  口をついて出てくることがある。また、興味あるコマーシャル、天気予報など  が出てくるだけである。しかし、それは言葉のやりとりには結びつかない。

小学校低.中学年期

 1タイプは少しずつ社会学習が進んでくる。しかも、この中には2種類の社 会学習が混在している、ように思われる。1つは輝輝で遅々としたものではあ るが、他の健常児に比べ、遅れながらも同じ歩みで、準じ方向を思考した社会 学習を習得していくものである。これは平入関係が少しずつ拡がり、社会認知、

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社会感情、社会ルールが理解でき集団行動は細部的には、不完全、不十分なと ころは多いが、大枠の範囲内ではどうにかおさまる、といえる。言葉は依然と して、その基礎となる非言語性領域の欠陥した状態はあるが、自閉児自身の 興味を手掛かりに指導していく中で、徐々に言葉が増え、その使い方にもひど い不自然さはみられない。しかし、新造語造り、わざとらしい言葉使い、あま のじゃく様の喋り方、語呂あわせ、などにその子どもらしい特徴が目立つので

ある。

 今一つは、1タイプでは社会的に孤立した自閉児が自我防量的に自己流の方 法での社会学習することである。これは、上記のように自己防衛的という目標

を志向するものではあるが、あまりにも自己本位的なやり方であるが故に、奇 抜な行動として、まわりのものにとられやすい。例えば、人への接触がその人 の目がね、指輪、時計であったり、ヘアスタイルであったり、体型であったり することが少なくない。また、人への相性がハッキリしており、ニコヤカな人 より早くちゃな老人、妹の笑った顔よりも泣いた顔などに関心を持ち、わざと 老人に近付いたり、妹の顔の正面をパチンとたたいて泣く顔に関心をもったり、

自分の影に関心をもち影を追って何百メートルも走ったり、「何が好き?」→

「レヒク(レタス)」「この自動車は?」→「ボロクソワーゲン(ホルクスワ ーゲン)」「このこはどうしているの?」→ボールペンを持って「49497 94864(シクシク泣く弱虫)」「ちょっと休もうか?」→必ず「ごろりと 横になる」などのユニークな行動特徴がでてくる。これらは、いずれもひとり よがりの社会学習であって、わざと奇をてらったものでも、異常なものともい えない。

 ともあれ、多くの事例では社会学習が進むにつれ多動は次第に治まり、がむ しゃらな吸込まれる行動も少なくなる。そして、絵、文字、機器などにいろい ろな工夫が加えられ、次第にそれにこだわっていく過程の中で行動は堅くなさ がとれてくる(事例3、6、7)。そして、こだわり行動、多少ひねった文字 の使い方、動作がみられるようになる。

 それに対しllタイプもやはり少しずつ社会学習は進んでくる。興味があった り危機的な怖い場面では「怖い」「嫌」「助けて」など感情音や言葉が思わず でたり、友達に近付いたり、しがみついたりするなど、低次元の対人関係も出

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