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  から発送まで,ほぼ1週間かかるものと予定されたい。研究所から本人あて直接発送する。

   また,「日本言語地図を作る調査について」(調査のあらましを説明した印刷物)と「方言を話す人を御紹介   下さい」(紹介者に被調査者の条件を説明した印刷物)を用意したから,利用されたい。

 5.2 経歴表  項目の質問を始める前に,まず経歴表の記入に関する質問をする。

   最初から,個人的な立ち入ったことを聞くのはぐあいの悪いことだが,その」入が条件に合わないことをあ   とになって発見すると,それまでの調査がむだになってしまうので,ぜひ項目の質問を始める前に尋ねてお   きたい。

 経歴表の1枚は記入(調査者保存)用,もう1枚は調査センター(研究室)への報告用である。

 黒帯について説明(記入用)すると,

 a一眞コで囲んだ部分について,質問し記入する。項目の質問に先立って調べる必要のあるのはこの欄であ

る。

 b.[コで囲んだ部分は,調査者だけで記入できる。しかし,記憶・印象の薄れない5ちに書き入れておく必 要のあることは言うまでもない。

 c.調査地点番号は,正式には報告が集まってから,調査センターでつける。研究員は,書き入れない。

 d.調査地点(調査現在の地名)のふりがなは,町や村の字などにもつけること。チョウかマチか,ソンかムラ か(これは現地で被調査者に聞いておいた方がよい)。

 e.調査地点名は,集落(小字または丁目など)まで記入すること。

 f.調査地点のおもな産業は,農業とか工業など。細目についても,できれば記入する。

    例農業(米作・養蚕・りんご)

 9.調査した場所とは,被調査者宅とか,小学校・寺院などのこと。

 5.3 項目の質問を始める前に  それまでにいちおう説明し,納得してもらってあるはずだが,もう一度調 査の対象とする言語について念をおしておく。

 質問を始める直前に,開始時刻を記入する。調査開始の時刻は,このときと考える。なお,調査票の末尾にあ る終了時刻なども,その都度記入すること。

 5.4 質問の形式  項目を調査する欄は,次のようになっている。左に項目番号と付図の有無をあらわす記 号(絵)がある。次に,質問文・その注意書き(小さい字),質問文に対する答えを東京語の形(ローマ字)で示す。

余白は,答えの記入欄である。ところで,質問文には2つの形式がある。

 5.41なぞなぞ式質問 項目番号001〜018などの質問の形式を,なぞなぞ式の質問とよぶ。この調査では・

共通語形を与えて方言で翻訳させるという方法はとらない。日本における共通語化のめざましい現状から,翻訳 法はいろいろの点で不利と考えたことがその理由の1。共通語形と方言形との意味分野が必ずしも一致しない

(極端な例だが,九州などでアザを何と言うかと尋ねて「やはりアザと言います」と答えても,それが東京方言での ホクロに当たるものとして答えているという事態が起り5る)から,翻訳法のみによることは避けるべきだと考 えたことがその2。また,なぞなぞ式質問であれば,調査者相互の間の質問内容の差(たとえば,項目をミミ

〈耳〉とだけしておくと,ある調査者は聴覚器官としてのミミ〈耳がきこえないのミミ〉だけを聞きとり,ある調 査者はみみたぶ〈耳殼〉に当たるミミだけを聞きとることによって生ずる差)を小さくできると考えたことがその 3。要するに,このなぞなぞ式質問は,意味分野を一定の質問文によって説明し,それに当たる方言形を求める ことを原則としているわけである。

 5・42 S式質問  項目番号019,020,025,026などの質問の形式をS式(SemanticsのS)質問とよぶ。あ る語形を示し,方言での意味・用法を尋ねる質問である。

 S式質問には2種類ある。その1は「〜にはどういう意味・用法があるか」という質問である(たとえば025,

144など)。この類の質問は,その方言での意味・用法をすべて聞き出すことをめざしている。共通語と一致す るものも,一調煙毒の方言であればとりあげる。

   ある一定の語形に対する意味・用法は,他の方言と多かれ少かれずれがあるから一完全に一致すること   はほとんどないと言ってよい  特色があれぼ用例による説明などが必要である。

 ただし,この類の質問は,被調査者とのやりとりだけで完全な答えを期待することはむずかしいだろう。今回 の調査では,被調査者の答える範囲で満足しなければなるまい。なお,この類の質問にはたいていそれに伴うい くつかの質問があるから,それらと関連させて効果をあげることが望ましい(たとえぼ,203,204,205,206 と進んできて,ふたたび203にもどってみるなど)。

 S式質問の第2は「〜にはこれこれの意味・用法があるか」という質問である(たとえば,019・026・027など)。こ の類の質問では「使ら」か「使わない」かのどちらかの答えしかない。例で説明しよう。たとえば,項目番号202の質 問で,その方言でスチルに「失弓」の意味があるなら,答えは「使う」である。別の方言で,スチルとい5形がなく,

それに対してフテルと言い,そのフテルに「失う」の意味があるなら,フテルは語形としてスチルに当たると言える から(詳しくは後述),これも答えは「使う」である。しかし,スチル(あるいはフテルなど)という形がなく,拾てる

とい5意味にはウブチャールという形しかない方言では,たとえウブチャールに「失う」の意味があるにしても,語 形がスチルに当たるとは言えないから,答えは「使わない」である。どれをその語形に当たると認めるか,他の語形

とするかについては,実際の揚ではいろいろの問題が出てくるであろう。これについては,次のように決める。

 a.示した語形と極めて類似した形は,その語形に当たると認める。たとえばスチルに対してフテル,アカイ に対してアキャーなど。また,語幹が同根の用言は,その形に当たると認める。たとえばアカイに対してアカカ など。これらは,記入のときに,その形を「使う」の次に示しておく必要がある。

 b.接頭語・接尾語を除けば,同根の形は,その語形に当たると認める。たとえばニワに対してオニワ,スチ ルに対してウッスル(<ウチスッル)など。これらの二合も,その形を「使5」の次に示す必要がある。

 c.示した語形がその一部になっている複合語は,その形に当たるとは認めない。たとえばニワに対してウス ニワ,カドに対してカドグチなど。この二合は,その形を「使わない」の次に示す必要がある。

 d.以上の基準で決めることのできない二合は,調査者の判断にまかせる。この二合も,その語形を「使う」ま たは「使わない」の次に示しておく必要がある。

 なお,蛇足ながら,このS式質問では共通語的場面でなら使う,方言的二面でなら使わないという揚合が多い から,調査の際に注意する必要がある(2調査することば参照)。

 5・43※印は,次の質問への導入文である(001の前,014の前など)。

 5・5 質問のしかた  調査は,注意書きを参照しながら質問文を読んで(付図のある揚合はそれを示して,

さらに必要なときは,質問の求めるところを指さし),それに対する答えを求めながら進めて行く。

 調査は質問文によって行い,ほかのことは発言しないことを原則とする。ただし,質問文を自然な話しことば に言いかえること,適当に方言文脈を加味することはさしつかえない。なお〔 〕内の語形についてはすでに方 言形を得てあるはずだから,その語形に言い直してよい。

 項目は質問しやすいよう,また答えやすいように考えて並べたが,調査者の考えで順序を変えることはさしつ かえない。

 場合によっては,付図のかわりに実物を使ってもよい(たとえば指の名を問う二合など)。

 5・51質間中に起こるいろいろの場合の処理  これについては,次のように決めておく。

 a.答えがなかなか出ないとき  質問文をくりかえし,また,質問文の範囲内で解説してみる。

 b.共通語で答え,あるはずの方言が出ないとき  別の言い方はありませんか,方言(土地のことば)ではど 5言いますかなどと聞いてみる。共通語や予想される方言を与え,答えを誘導してはならない。答えが被調査者 自身のことばであることが確かめられない限り(誘導の方法によって得た答えは,被調査者の聞いたことのある ことばであって,自分では使ったことのないことばである話合が多い。その区別がはっきりしない限り),あと で解釈にさしつかえこすそれ,一般に役に立たない。なお5・52,5・62参照。

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 c・質問の末尾に示した共通語形と違う品詞で答えたとき  同じ品詞での答えはないか迫究してみる。適当 な答えがない場合は,別の品詞でもとりあげる(その揚合は,品詞名を注記する)。用言については終止形を答え としてとりあげる(終止形の用法がない場合は,代りの形にそのむね解説をつける)。

 d・答えが2つ以上出たとき  それぞれ答えの間の,意味上・用法上の違いをかならず確かめて注記する。

これはぜひ必要なことである。民間語原説も一見無意味のようであっても記入しておく。これらの注記は,地図 の解釈にとって大切な資料となる。

 e.質聞の対象となっている事物が被調査者の生活圏内にない(と思われる)とき  それを確かめて注記す る。たとえば,馬を飼わない地方があり,さつまいものとれないところがある。都市では農業関係の項目の答え が得られないことが考えられる。

 f.質問の末尾に示した共通語とかけ離れた見当違いの答えをしたとき  質問文をくりかえし質問文の範囲 内で解説し,誤解を解くようにつとめる。

 9.以上いずれの方法でも適当な答えが得られないとき  別の質問によって尋ねる(この揚合は,その質問 を注記する必要がある)。誘導法を避けるべきであることはb・で述べた。

 5・52被調査者をなれさせるには  被調査者はこのよ5な言語調査になれていないから,はじめのうちは質 問にぴったりした答えをなかなかしてくれないかもしれない。また,その方があたりまえとも言える。誘導法を 用いない調査法はむだな努力のように思えることもあろう。しかし,調査を進めて行くに従って,はじめはてこ ずつた月忌査者も,だんだんなれてくるはずのものと考えられる。能率よく調査を進めるためには,調査のごく 初期のうちに,調査をどういうふうに進めるか,質問はどんな形式でなされるか,被調査者はそれに対してど5 いう答えをすべきかをじゅぶん納得させ,なれさせ,いわぼ積極的に訓練して行く必要がある。最初の部分に たっぷり時間をかけた方が,かえってあとへ行ってスピードがあがるとも考えられる。5・51の方法を230項目 すべてに使うこ之は,考えてもわずらわしいことだが,多くの揚合は,調査の初期にだけ用いればじゅぶんであ ろう。第1調査票30項目をすませたころにも,まだこの調査になれてこない人は,この調査に適当な長調尋者 とは考えられない。

 5・6記入の方法  経歴表の記入については,すでに5・2で述べた。項目の質問に対する記入欄には,被調 査者の答えを忠実に記入する。参考となる発言もその都度記入しておく。

 5・61表記法 音声の表記法は,原則として国際音声字母とし,都合によってカタカナを用いることも妨げな いこととする。音声表記は簡略表記でよいから,国際音声字母の使える研究員はできるだけ使うことが望まし い。国際音声字母は,岩波全書「音声学」(第3刷以後)の巻末などに出ている。なお,補助記号も国際音声字母表 のを使う。

   音声記号としてカタカナを使5ときは,次のきまりに従うこと。次に示す音以外の特殊な表記は,適当に   くふうしてさしつかえないが,その説明を必ず添えること。

   (1)よう音・つまる音・長音を表わすときは,次のように(の印を使う。

           例 オタマジャクシ                 シアサッテ

       

      トオモロコシ     1        

   長音を表わすのに,トウモロコシのように,かなづかい式に書かないよう注意する。

       

   また, 卜一モロコシのよ5に一の印も使わない。

   ② はねる音は(の印を使わない。

       

    例サクバン   (サクバンとしない)

   〈3)方言によっては,共通語のアイ,カイ,サイに当たるところに,アよりは狭く,エよりは広い母音を     含む音節(シラブル)が出る。英語のmanのaに以た母音で,国際音声字母で〔ae〕〔kεe〕〔s鋤……

    のように書く音節である。これらを,

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