第4章 炭素粉末を添加したモルタルの導電性
4.3 一般的なモルタル配合の導電性に関する検討
本研究において,炭素粉末を添加したモルタルの電気抵抗率は,概ね
V
W+VCPで推定できるこ とが明らかとなった。導電性の良好なモルタルを接地材料として利用する場合,設置場所は土中 となるため,モルタルは常時,湿潤状態にあると考えてよい。したがって,図-4.2.12の湿潤状 態におけるV
W+VCPと電気抵抗率の関係から任意の配合におけるモルタルの電気抵抗率の推定が 可能であると考える。4) 限界含水率
図-4.2.4~6に示した含水率と電気抵抗率の関係において,含水率のわずかな変化に対して急 激に電気抵抗率が増加し,絶縁体に近くなる含水率が存在することが明らかになった。本研究で は,このように電気抵抗率が急激に変化する含水率を限界含水率と称することにし,各配合要因 と限界含水率との関係を検討した。図-4.2.13に
V
W+VCPと限界含水率の関係を示す。単位水量 が一定の場合,ばらつきはあるものの,VW+VCPが増加すると限界含水率は小さくなる傾向にあ る。ただし,水セメント比の影響は明確でない。したがって,限界含水率はV
W+VCPに影響を受 け,V
W+VCPが500 ℓ
以上になると限界含水率が0%,すなわち,全く水分を含まない状態でもモ
ルタル中の炭素粉末で回路を構築し,導電性を保持できるモルタルの製造が可能となる。図-4.2.13 水と炭素粉末の体積(VW+VCP)と限界含水率の関係
4.3 一般的なモルタル配合の導電性に関する検討
表-4.3.1 実験計画
W/C
(%)
W/m
3(kg) (S+CP)/C 炭素粉末添加率
(%)
60
290 2.0
0,5,10,15,20 316 2.6
356 3.0
4.3.2 使用材料および示方配合
使用材料およびモルタルの配合は3.4と同一とした。
4.3.3 実験方法
実験方法は4.2と同一の方法を用いた。
4.3.4 実験結果および考察
表-4.3.2~4 に(S+CP)/C を変化させた配合の電気抵抗率測定結果を示す。また,図-4.3.1~3 に含水率と電気抵抗率の関係を示す。図より,含水率のわずかな変化に対して急激に電気抵抗率 が増加すること,また,同一含水率では炭素粉末添加率が大きいほど電気抵抗率は小さくなるこ とを示しており,
(S+CP)/C
の比率にかかわらず同じ傾向を示している。(S+CP)/C=3.0
の配合では,他の配合に比べてフレッシュ時の流動性が悪く,フレッシュ性状および圧縮強度,曲げ強度が低 下する傾向にあったが,電気抵抗率は他の配合との違いはなく,モルタルの(S+CP)/C が
2.0~3.0
の範囲で変化しても,電気抵抗率への影響は小さく,同様の導電性を確保できると考えられる。表-4.3.2 電気抵抗率測定結果 (S+CP)/C=2.0
乾燥 期間
(日)
(S+CP)/C=2.0 CP-0 (S+CP)/C=2.0 CP-5 (S+CP)/C=2.0 CP-10
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
0 13.2 2.0 0.16 12.7 2.0 0.16 13.2 5.2 0.06
(1h) 13.1 2.2 0.15 12.4 3.0 0.11 13.0 5.0 0.06 (3h) 13.0 1.7 0.19 12.2 2.9 0.11 12.9 4.2 0.08
1 12.4 0.3 1.23 11.4 1.4 0.23 12.0 1.6 0.20
4 11.2 0.0 1.45 10.4 1.2 0.27 10.8 2.0 0.16
7 10.5 0.1 ∞ 9.8 1.0 0.32 10.2 2.0 0.16
14 9.7 - ∞ 9.3 0.4 0.74 9.6 1.9 0.17
21 0.4 - ∞ 0.4 0.0 ∞ 0.3 0.0 ∞
28 0.0 - ∞ 0.2 0.0 ∞ 0.2 0.0 ∞
乾燥 期間
(日)
(S+CP)/C=2.0 CP-15 (S+CP)/C=2.0 CP-20
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
0 13.9 3.0 0.11 14.2 6.8 0.05 (1h) 13.6 4.0 0.08 13.9 6.8 0.05 (3h) 13.5 4.0 0.08 13.8 6.2 0.05 1 12.4 3.7 0.09 12.9 6.6 0.05 4 11.1 3.2 0.10 11.6 4.8 0.07 7 10.5 2.4 0.13 10.9 4.0 0.08 14 9.8 1.8 0.18 10.1 2.8 0.12
21 0.3 0.0 ∞ 0.3 0.0 ∞
28 0.0 0.0 ∞ 0.0 0.0 ∞
表-4.3.3 電気抵抗率測定結果 (S+CP)/C=2.6
乾燥 期間
(日)
(S+CP)/C=2.6 CP-0 (S+CP)/C=2.6 CP-5 (S+CP)/C=2.6 CP-10
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
0 10.8 1.5 0.21 11.2 2.7 0.12 9.9 2.7 0.12 (1h) 10.6 0.5 0.64 10.8 0.5 0.64 9.6 1.5 0.21 (3h) 10.6 0.5 0.64 10.6 0.5 0.64 9.4 1.1 0.29
1 10.1 - ∞ 9.6 - ∞ 8.7 1.5 0.21
4 9.5 - ∞ 8.8 - ∞ 7.7 1.5 0.21
7 9.2 - ∞ 8.4 - ∞ 7.3 1.0 0.32
14 8.7 - ∞ 7.9 - ∞ 6.7 0.5 0.32
21 0.2 - ∞ 0.0 - ∞ - - -
28 0.0 - ∞ 0.0 - ∞ - - -
乾燥 期間
(日)
(S+CP)/C=2.6 CP-15 (S+CP)/C=2.6 CP-20
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
0 11.3 4.7 0.07 11.6 6.5 0.05 (1h) 11.0 2.0 0.16 11.3 2.2 0.15 (3h) 10.8 3.0 0.11 11.1 2.5 0.13 1 10.2 2.5 0.13 10.4 2.5 0.13 4 9.2 0.7 0.46 9.3 2.0 0.16 7 8.9 1.2 0.27 8.8 3.0 0.11 14 8.3 1.0 0.32 7.8 3.0 0.11
21 0.0 - ∞ 0.0 0.5 0.64
28 0.0 - ∞ 0.0 0.5 0.64
表-4.3.4 電気抵抗率測定結果 (S+CP)/C=3.0
乾燥 期間
(日)
(S+CP)/C=3.0 CP-0 (S+CP)/C=3.0 CP-5 (S+CP)/C=3.0 CP-10
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
0 10.9 0.5 0.65 10.5 1.4 0.23 10.9 6.0 0.05 (1h) 10.8 0.5 0.60 10.2 2.4 0.13 10.2 4.2 0.08 (3h) 10.6 0.4 0.74 10.0 3.2 0.10 10.0 4.0 0.08 1 9.8 0.1 2.31 9.2 1.8 0.18 9.2 3.7 0.09 4 8.9 - ∞ 8.2 1.6 0.20 8.6 3.0 0.11 7 8.0 - ∞ 7.5 1.4 0.23 8.0 2.4 0.14 14 7.7 - ∞ 7.3 1.4 0.23 7.6 2.0 0.16
21 0.3 - ∞ 0.5 0.0 ∞ 0.1 0.0 ∞
28 0.0 - ∞ 0.0 0.0 ∞ 0.0 0.0 ∞
乾燥 期間
(日)
(S+CP)/C=3.0 CP-15
含水率
(%)
電流
(mA)
電気抵抗率
(kΩ・m)
0
11.0 6.4 0.05
(1h)10.8 7.4 0.04
(3h)10.6 6.8 0.05
19.8 6.0 0.05
48.9 4.6 0.07
78.0 3.6 0.09
147.8 2.9 0.11
210.3 0.0
∞ 280.1 0.0
∞(∞:電流値の読み取り不可)
図-4.3.1 含水率と電気抵抗率の関係 (S+CP)/C=2.0 0.0
0.3 0.6 0.9 1.2 1.5
0 2 4 6 8 10 12 14
電気抵抗率(kΩ・m)
含水率(%)
CP- 0-60 CP- 5-60 CP-10-60 CP-15-60 CP-20-60
(S+CP)/C =2.0
∞ ∞ ∞
0.0 0.3 0.6 0.9
8 10 12 14
電気抵抗率(kΩ・m)
含水率(%)
∞ ∞
(∞:電流値の読み取り不可)
図-4.3.2 含水率と電気抵抗率の関係 (S+CP)/C=2.6
(∞:電流値の読み取り不可)
図-4.3.3 含水率と電気抵抗率の関係 (S+CP)/C=3.0
(S+CP)/C
を変化させた場合,配合要因が電気抵抗率に及ぼす影響について検討を行った。前節 より,炭素粉末を添加したモルタルの電気抵抗率は水と炭素粉末の体積和が直接的に影響するた め,(S+CP)/Cを変化させた配合についてもV
W+VCPと電気抵抗率の関係で表すことにした。図 -4.3.4にV
W+VCPと電気抵抗率の関係を示す。図中には参考として,水セメント比を要因とした 測定結果もプロットしている。(S+CP)/Cを変化させた配合も湿潤状態においては,水セメント比 を要因とした配合と同様に,電気抵抗率とV
W+VCPの関係はほぼ同一の曲線上にプロットするこ とができる。したがって,(S+CP)/Cが2.0~3.0
の範囲にあるモルタルの電気抵抗率は,概ねV
W+VCPから推定することが可能である。
0.0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5
0 2 4 6 8 10 12 14
電気抵抗率(kΩ・m)
含水率(%) CP- 0-60
CP- 5-60 CP-10-60 CP-15-60 CP-20-60
(S+CP)/C =2.6
∞ ∞∞ ∞
0.0 0.3 0.6 0.9
6 8 10 12
電気抵抗率(kΩ・m)
含水率(%)
∞
∞ ∞
∞
0.0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5
0 2 4 6 8 10 12 14
電気抵抗率(kΩ・m)
含水率(%)
CP- 0-60 CP- 5-60 CP-10-60 CP-15-60
(S+CP)/C=3.0
∞
2.31∞ ∞
0.0 0.3 0.6 0.9
4 6 8 10 12
電気抵抗率(kΩ・m)
含水率(%)
∞
2.31∞ ∞
図-4.3.4