岡田 裕枝、金崎 春彦、TuvshintugsTumurbaatar、
ZolzayaTumurgan、折出 亜希、京 哲 島根大学.医学部.産科婦人科
【目的】げっ歯類では視床下部の前腹側室周囲核(AVPV)領域と弓状核
(ARC)領域にキスペプチン(Kiss-1)ニューロンが局在し、それぞれGnRH のサージ状分泌とパルス状分泌(基礎分泌)を制御していると考えられてい る。うちパルス状分泌に関与するARC領域のKiss-1ニューロンはNeurokinin.
B.(NKB)とDynorphin.A.(Dyn.A)を共発現しておりKNDyニューロンとも呼 ばれている。今回、マウスのKNDyニューロン細胞株mHypoA-55細胞を用い て、同細胞に対するテストステロンの影響について検討した。
【方法】mHypoA-55細胞をテストステロンで刺激し、Kiss-1、NKB、Dyn.A の発現量をリアルタイムPCR及びウェスタンブロッティング法にて検討した。
【結果】mHypoA-55細胞をテストステロンで刺激すると、細胞内のKiss-1遺 伝子及キスペプチン蛋白量が増加した。テストステロンはNKB遺伝子及び蛋 白発現も増加させた。テストステロン刺激でDyn.A遺伝子発現に有意な変化 はなかったが、Dyn.A蛋白発現は有意に減少した。ジヒドロテストステロン による刺激でも、キスペプチン、NKBは増加し、Dyn.Aは減少した。
【結論】高テストステロン状態は視床下部KNDyニューロンにおけるKiss-1、
NKB発現を増加させ、Dyn.A発現を減少させる結果、視床下部-下垂体-性腺 軸の不調を来している可能性がある。
高 躍1、村田 和貴1、堀口 健太郎2、永野 秀和1、橋本 直子1、 中山 哲俊1、樋口 誠一郎1、山形 一行1、横山 真隆1、 岩立 康男2、田中 知明1
1千葉大学.大学院医学研究院.分子病態解析学、2千葉大学.大学院医学研究院.
脳神経外科学
【背景】下垂体腺腫は、ホルモン産生と腫瘍性の接点で病態が規定される。
従って、Pit1やTpitなど正常下垂体の発生分化の鍵となる転写制御因子群 (TFs)が病態に重要な役割を果たし、WHO新基準にもTFs発現が用いられ る。そこで、新技術であるmultiOMC解析を施行し、TFsネットワークの腫 瘍病態とフェノタイプにおける役割を調べた。【方法】千葉大と虎ノ門病院で 手術した下垂体腺腫150例:GH.60、ACTH.15、TSH.15、PRL.15、NF.45例の 腫瘍を用い、約9000種タンパクを定量検出可能なmultiOMC解析(non-target.
proteomics.+.RNAseq)を施行。tSNE/Network解析等から、臨床所見と病態 特性を転写ネットワークの観点で検討した。【結果】tSNE解析では分化系譜的 なクラスター化を認めた。GHやACTHの中に系譜を飛び越えたり、NF中に も高い機能的特性を持つ症例が存在し、薬剤感受性を規定する分子群(SSTRx 発現)も従来の枠組みを超えていた。下垂体はプラコード原基を介して発生分 化する。従来の下垂体分化TFs(Tpit/NeuD/Pit1/GATA2/SF1)に加え、プラ コードマーカー (Six1/LHX3.etc.)も発現し、遺伝子発現profileやsignature構 成とネットワーク形成していた。また、SSTRx/腫瘍径や硬さなどと関連し、
NF中の硬い腺腫ではplasma.membrane.partの上昇など、新たな特性が判明 した。【考察】multiOMC解析は下垂体腺腫発生と分化の接点における病態メ カニズム解明に有用で、分化系譜から視る新たな分類、診断治療に結びつく可 能性が考えられた。
P1-1-3
ラット内因性オキシトシンニューロンの活性化は疼痛閾値を上昇させる
吉村 充弘1、西村 春来2、川崎 展2、園田 里美3、丸山 崇1、 酒井 昭典2、上田 陽一1
1産業医科大学.医学部.第1生理学、2産業医科大学.医学部.整形外科学、3産 業医科大学.医学部.第一内科学
視床下部の視索上核(supraoptic.nucleus:.SON)および室傍核(paraventricular.
nucleus:.PVN)で産生されるオキシトシン(oxytocin:.OXT)は、末梢における 射乳や子宮収縮作用の他、様々な中枢作用を持つ。“鎮痛作用”は現在考えられ ているOXTの中枢作用の一つである。これまで、OXTニューロンを特異的に 活性化させる手法が限られていたため、内因性OXTと鎮痛を直接関連付けて考 察することが困難であった。そこで我々は、薬剤興奮性受容体であるhM3Dqを OXTニューロン特異的に発現させたOXT-hM3Dq-mCherryトランスジェニッ クラットを作出した。このラットに、hM3Dqのアゴニストであるclozapine-N-oxide(CNO,.1mg/kg)を皮下投与し、90分後に灌流固定を行った。神経興 奮性マーカーであるFosタンパクに対する免疫組織化学的染色法を行ったとこ ろ、SONおよびPVNにおける赤色蛍光(mCherry)で標識されたOXTニュー ロンにFosタンパクが発現することを確認できた。これらは人工的に導入した hM3Dqが機能していることを示唆する。また、このラットにCNOを皮下投与 し、機械刺激閾値の指標であるvon.Freyテスト、温覚刺激閾値の指標である Hot.Plateテストを用いて内因性OXTニューロン活性化の影響を観察した。von.
FreyテストにおいてCNO皮下投与30分後、Hot.PlateテストにおいてCNO皮下 投与60分後に、有意な感覚閾値の上昇を認めた。現在、CNO皮下投与後の脳内 および血中のOXT動態や疼痛モデルラットにおける感覚閾値の変化を検討中で ある。本研究は、これまで不明瞭であった疼痛受容・調節におけるOXTの直接 的な役割を証明できる点においてブレイクスルーとなり得る。
P1-1-4
エネルギー代謝におけるGATAの機能の基礎的検討
光谷 真奈1、松下 翠1、増田 奈菜子1、梶谷 美佳1、二若 久美1、 田上 哲也2、森山 賢治1,2
1武庫川女子大学.薬学部、2国立病院機構京都医療セ臨床研究セ
【目的】造血系転写因子であるGATAは1~6のアイソフォームが存在する。
既報より脂肪前駆細胞が脂肪細胞に分化する過程にGATAが関与しているこ とが報告されている。またミトコンドリア脱共役タンパク質(UCPs)は、エ ネルギー代謝機能を有する分子であり、UCPの発現には、成長ホルモン(GH) が関与していることが当研究室の研究結果から判明している。以上のことか ら、GATAとUCP遺伝子との関係性について検討を行った。【方法】UCPsプ ロモーター領域を挿入したレポータープラスミドと、GATA1~3発現プラス ミドを、ヒト胎児腎細胞HEK293由来TSA201細胞に導入後、転写活性を測定 した。次にUCPsプロモーターのカットコンストラクトを構築し、レポーター アッセイを用いてコンセンサス配列の推察を行った。マウスの脂肪組織での GATAの発現をPCR法にて確認した。3T3-L1細胞をGHで刺激し、GATAの.
mRNAの発現量を、qRT-PCR法により評価した。【結果】GATAの濃度依存 的にUCP遺伝子の転写量が増加したことより、UCPsプロモーター上の下流に コンセンサス配列が存在することが推測された。脂肪細胞のGH刺激では、ろ GATAsのmRNA発現量は増加した。【考察】当研究室の先行研究より、GH の直接作用としてUCP2,3遺伝子の発現増加による抗肥満作用を見出した。本 検討では、GHはGATAの発現亢進を介してもUCPsの転写を増加させるこ とが示唆された。GATAsはエネルギー代謝にも影響を及ぼすことが示唆され た。
P1-1-5
家族性中枢性尿崩症(FNDI)ヒトiPS細胞からの バソプレシン(AVP)ニューロンの分化誘導 尾崎 創、三輪田 勤、光本 一樹、須賀 英隆、有馬 寛 名古屋大学大学院.医学系研究科.糖尿病・内分泌内科学【背景】FNDIのヒト剖検での病理報告は存在せず、その病態には未だ解明さ れていない点も多い。そこで、ヒト疾患特異的な人工多能性幹細胞(iPS細胞) から視床下部AVPニューロンを分化させ、病態解明や創薬に利用できるモデ ルを作る必要があった。
マウス胚性幹細胞(ES細胞)からの視床下部AVPニューロンへの分化法では、
成長因子等の添加物を最小限にする方法で視床下部を誘導する。一方で、ヒ トES細胞では細胞を生存させるために血清代替物(KSR)の添加が必須であり、
結果的に誘導効率を下げてしまっていた。
【目的】ヒトiPS細胞の基底状態を改変してマウスES細胞に似た状態にするこ と(ナイーブ化)で、FNDIヒトiPS細胞からAVPニューロンへの効率的な分化 法を開発する。
【方法】FNDI家系よりヒト疾患特異的iPS細胞を樹立した後、ナイーブ化を 行った。コロニー形態およびマーカー発現にてナイーブ化を確認した。
ナイーブ化したFNDIヒトiPS細胞を無血清浮遊培養(SFEBq法)で立体的に 培養し、分化誘導を行った。分化の各段階の特徴的なマーカーとして、Crx、
Pax6、Otp、Brn2を蛍光免疫染色にて評価し、分化条件の最適化を行った。
【結果】ナイーブ化によってiPS細胞のコロニー形状は平坦からドーム状へと 変化し、ナイーブマーカーであるTFCP2L1の発現を認めた。SFEBq法におい て従来のヒトES細胞では5%濃度のKSRが必要だったが、ナイーブ化した細 胞では0.7%で安定した凝集体の形成が可能であった。
分化開始30日目の早期からBrn2の発現の有意な上昇を認めた。分化開始150 日時点で正常NPII、変異NPIIの発現を認め、AVPニューロンの分化を確認し
【結論】FNDIヒトiPS細胞からAVPニューロンへの分化法を確立した。た。
P1-1-6
S-equol投与ラットにおける視床下部オキシトシ ンニューロン動態の検討上田 陽一1、西村 和朗1,2、吉野 潔2
1産業医科大学.医学部.第1生理学、2産業医科大学.医学部.産科婦人科学
【目的】我々は、これまでにオキシトシン-mRFP1トランスジェニックラット を用いてエストラジオール投与によって視床下部視索上核(SON)および室 傍核(PVN)に局在するオキシトシンニューロンでのオキシトシン-mRFP1 赤色蛍光が変化することを明らかにした。大豆イソフラボンの最終代謝産物 であるS-equal(エクオール)は高いエストロゲン活性がある。そこで、オ キシトシン-mRFP1トランスジェニックラットを用いてエクオールの投与 が視床下部オキシトシンニューロンに与える影響について検討した。【方法】
雄・雌オキシトシン-mRFP1トランスジェニックラットを用いた。性周期の 確立した10週齢の雌ラットに両側卵巣摘出術(OVX)、雄ラットには偽手術
(Sham)を施行した。14週齢の雄雌ラットに大豆成分のない食餌投与(コン トロール)群とエクオール(80mg/kg)混合食餌投与(エクオール)群に分 けて摂餌を開始し、体重変化、摂餌量を測定した。19週齢に脳を摘出、SON・
PVNおよび下垂体(PP)におけるmRFP1赤色蛍光輝度を定量評価した。【結 果】雄・雌ラットのコントロール群とエクオール群で食餌量に有意差はなかっ たが、雌OVXラットのエクオール群で有意に体重が減少した。SON・PVN およびPPにおけるmRFP1赤色蛍光輝度は雌OVXのエクオール群で有意に高 かった。【結語】エクオールはラット視床下部におけるオキシトシン産生を増 加させることが示唆された。