一 一
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(2)電気伝導度
錯体
lCIお
よび2CIの
ジクロロメタン中での電気伝導度 を測定 した。その結果 、モル伝導 率はそれぞれ 0.0045 μS cm2 m011お よび0.0017 μS cm2 m01・ であつた。す なわち、錯体 lCI お よび2Clの
ジクロロメタン溶液 はほ とん ど非電解質であ り、ジクロロメタン中で錯体の電 離 は起 こってない と考 え られ る。(3)lH NMRス
ペ ク トル錯体lClの重 ジク ロロメタン溶液 中の
lH NMRス
ペ ク トル を図4‐
24に
示 した。常磁性化合物の
lH NMRは
常磁性 シフ トのため帰属が困難であるが、この錯体 は3,4,5¨ トリ重エ トキシ安 息香酸配位子 をもち、プ ロ トンは安息香酸部位 のオル ト位 のみ に存在す る(図 2‐
13下
)。 この ο…Hの
シグナル は25°Cに
おいて、お よそ23 ppmか
ら32 ppmの
範 囲にブ ロー ドなシグナル と して観測 され た(図 4‑24a)。 このブ ロー ドなシグナル は、過剰 量のTBACを
加 えると、30 ppm のシャープなシグナルヘ と変化 した(図 4‑24b)。 この現象 は電子 スペ ク トルお よび電気伝導度 の結果 を踏 まえて、以下の よ うに説明 され る。錯体lCIは
、 ジクロロメタン溶液 中で1次
元 鎖状構造 を保持 してい るが、TBACが
力日え られ、系内に塩化物イオ ンが供給 され る と、塩化 物イオ ンの架橋 が分断 され 、塩化物イオ ンが両軸位 に配位 した二核錯体が形成 され る(式4‑1)。[Ru2{3,4,5‑(C2D50)3C6H2C02}4Cl]″ +″(C4H9)4NCl
==二
″(C4H9)4N++″
[Ru2{3,4,5‐(C2D50)3C6H2C02}4C12] (4‑1)この よ うな挙動 は、錯体[Ru2{02C(CH2)7CH3}4(SCN)]″5oぉょび[Ru2{02C(CH2)6CH3}4(pz)]″2つに も 観測 されてお り、酸化還元研 究 を通 して[Ru2(02CCH2CH3)4Cl]″ について も見出 されている28ゝ 塩化物イオ ンが両軸位 に配位 した二核錯体の形成は、錯体6Clた
2C2H50H中
に も見 られ るよ うに十分 に起 こ り得 る。
また、錯体
lClに
ついて室温 で見 られた θ―Hの
シグナル のブ ロー ドなシグナル は、温度が 低 くなるに従 つて さらにブ ロー ドに変化 し、多数のシグナルヘ と分裂 した。‑80°Cで
は、お よそ‑50 ppmか ら50 ppmと い う広範囲にわたつて 10以 上のシグナルが観測 された(図 4¨24c)。 さ らにTBACを
加 えた場合 、低温 において も45 ppmに1本
のシャープなシグナル として現れた(図 4‑24d)。 これは、安息香酸配位子のベンゼン環 とカルボキシル基の結合の回転運動に由来する
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と考えられる。このベ ンゼン環平面 とカルボキシル基平面の成す角度によつてπ電子系の広が りが 大きく変化す るが、 これによつて金属中心の不対電子の影響が大きく変化 し、それ とともにベン ゼン環上にある θ―
Hの
シグナル の常磁性 シフ トの度合いが大きく変化す ると考えられる。錯体lClは
鎖状構造のため隣 り合 う二核ユニ ッ ト同士が近接 してお り、立体的干渉によつて回転運動 が阻害 される。このため ο‐Hの
シグナル はブロー ドなシグナル として現れ、低温においては、ベ ンゼン環平面 とカルボキシル基平面の成す角度が様々になった状態で回転運動が停止す るために、ο
̲Hの
シグナル は広い範囲に渡つて多数に分裂 して現れると考えられ る。TBACが
加 え られた場 合 には鎖状構造が分断 され るため、隣接二核ユニ ッ ト間の立体障害が緩和 され、θ‐Hの
シグナ ル はシャープなシグナル として観測 されると説明す ることができる。但 し、その鎖状構造の長 さ については、ポ リマーではな くオ リゴマー程度のものである可能性 も十分に考えられる。軽エ トキシ基 を有す る錯体
2Clに
おいて も、同様 な挙動 が観測 され た(図 4…25)。 25℃ にお け る錯体2CIの
重 ジクロロメタン溶液お よびTBACを
過剰量加 えた時ののlH NMRシ
グナル の帰属 を図4‑26および表4‑20に、錯体
2Clの
重 ジクロロメタン溶液 にTBACを
過剰量カロえた 時のケ ミカル シフ ト値の温度依存 を図 4‑27に 示 した。ο―H、″―CH2、 〃CH3、ルCH2お
よび ルCH3
のケ ミカル シフ ト値 はそれぞれ 1/Tに比例 し、25°Cか
ら‑80°Cの
温度範 囲で金属 中心のス ピ ン量子数 に変化 はない と考 え られ る。148
ドキュメント内
3,4,5-トリアルコキシ安息香酸ルテニウム(II,III)二核を用いた鎖状錯体の合成と性質
(ページ 148-151)