2. 各知財庁・機関のインターネット上の発信
2.17. ロシア特許庁( ROSPATENT )
ROSPATENTのインターネット上の発信は、①年報(Annual Reports)、②プレスリリース(Press
Release)によって行われている。
ウェブサイトの構成を見てみると、ロシア語版の方が多様なページが設けられており、ロシア 語版のウェブサイトでは、CIS諸国含む国内措置や制度の構造が記載されている。
プレスリリースでは、欧州特許庁(EPO)やWIPOが登場するものの、発信数が合計4件と少 なく、知財庁による扱いの特徴は確認できない。他方、年報では、WIPOやその他国際機関と の協力関係、二国間の協力、CIS 諸国との協力、ユーラシア特許庁(EAPO)との協力や PPH 協力について言及されている。
ROSPATENTウェブサイトのプレスリリースでは、JPOのバイの取組のうち、実際に行われた
会合について紹介した記事は0件であり、JPOウェブサイトでは計6件であった。
(1) 政策動向や情報発信方針に影響しうる背景
ロシアは知的財産関連法の改正を 2008 年に行い、それ以降、関連規定や制度の整備が進められ
てきた。2010 年には、ロシアにおける知的財産を所管する政府機関である「連邦知的財産権・特
許・商標庁」(ROSPATENT: Federal Service for Intellectual Property, Patents & Trademarks of Russia)が 欧州特許庁(EPO)との制度近似化プロジェクトを通じ、審査ガイドラインを策定した 170。また、
2013 年7 月には、知的財産裁判所が稼働開始した他、2014 年10 月には、実用新案の実体審査が
導入されている。さらに、2016 年2 月からは、IT の情報共有や人材育成、普及啓発活動、特許分 類等の内容を含む欧州特許庁(EPO)との協力プランに合意し、国際連携の取組を進めている171。 (2) 調査項目に基づく調査結果
① 「調査対象の知財庁・機関による発信情報を掲載したソースの調査」
ロシアのウェブサイトにおいて、情報発信は以下の方法によって実施されている。発信言語は、
ロシアの公用語であるロシア語及び英語で行われているが、長の挨拶、またそれに関連する情報は
ROSPATENTのウェブサイトには設けられておらず、年報(Annual Report)とプレスリリース(News
releases/Press releases)が主な情報ソースとなっている。
年報は、英語とロシア語で掲載されており、年次が異なる掲載以外、内容は同一である。プレス リリースは英語のみの記事とロシア語のみの記事に分かれている。なお、2018 年 1 月より
ROSPATENTウェブサイトがリニューアルされている172が、本調査では2017年12月時点までのウ
ェブサイト173で掲載されていた情報を基に整理・分析を行っている。
170 特許庁『特許行政年次報告書2017年版』301頁。
171 特許庁『特許行政年次報告書2017年版』301頁。
172 リニューアル後のRospatentウェブサイトは以下のとおり。
http://www.rupto.ru/en
173 Rospatentの新しいウェブサイトは以下のとおり。
http://old.rupto.ru/
164
図表 177 ウェブサイトにおけるソース(英語・ロシア語)
英語 ロシア語
①年報
(Annual Report)
2001年版から2016年版までの年報が掲載 されている(2016年は見出しのみ)。
国際協力への言及は、第3章
「ROSPATENTの国際的取組について」
(Main directions of ROSPATENT’s International Activity)に収められている。
主な構成は以下のとおり。
3.1:WIPOとの協力 3.2:国際機関との協力 3.3:二国間協力 3.4:CIS諸国との協力 3.7: PPHプログラムへの参加
2000年版から2015年版までの年報がロ シア語で掲載されている(2016年は見出 しのみ)。
国際協力への言及は、第3章
「ROSPATENTの国際的取組について」
(Main directions of ROSPATENT’s International Activity)に収められてい る。
主な構成は英語と同一である。
3.1:WIPOとの協力 3.2:国際機関との協力 3.3:二国間協力 3.4:CIS諸国との協力 3.7: PPHプログラムへの参加
②長の挨拶
(Director greetings)
ROSPATENTのウェブサイトでは長の挨拶
に関連するページは設けられていない。
同左
③プレスリリース
(News releases/Press releases)
2013年から2017年までのプレスリリースが 掲載されている。
同左
② 「国際的な取組に関する情報(文章等)の調査」
1) 年報
年報は英語およびロシア語で作成され、掲載対象の年次が異なるのみで、内容は同一である。年 報の第3章「ROSPATENTの国際的取組について」(Main directions of ROSPATENT’s International Activity)
において、ROSPATENT による国際的な取組の活動や方向性に関する情報が掲載されている。具体 的には、以下の構成において、WIPO やその他国際機関との協力関係、二国間の協力、CIS 諸国と の協力、ユーラシア特許庁(EAPO)との協力やPPH協力について言及されている。
また、年報は、国名や知財庁名を章や節等の見出しにする構成となっていない。
【構成】
3.1:WIPOとの協力 3.2:国際機関との協力 3.3:二国間協力 3.4:CIS諸国との協力
3.7:PPHプログラムへの参加
2) 長の挨拶
国際的取組に関する言及はなされていない。
3) プレスリリース
2013年から2017年までで国際的取組に関連する記事は、計4件(英語の記事3件、ロシア語の 記事1件)であった。
図表 178 国際的な取組に関する記事件数
英語 ロシア語
2013年 2 1
2014年 0 0
2015年 0 0
2016年 1 0
2017年(~12/8) 0 0
5年間合計 3 1
出所:ROSPATENTウェブサイトより作成
165
マルチの国際的取組に関する記事に多く登場する機関は、WIPOである。
また、バイの国際的取組に関する記事に登場する国および機関は以下のとおりである。
欧州:EPO(欧州特許庁)
北米:なし
中南米:なし
オセアニア:なし
中東: なし
アジア:日本
アフリカ:なし
国際機関・その他:WIPO、BRICs
記事の内容は、会合や協働特許分類(CPC)や人材育成・交流に関する記事が掲載されている。
図表 179 記事の単語数に関する情報 英語 ロシア語 最大文字数 326 562 最小文字数 118 82 中央値 192 324 出所:ROSPATENTウェブサイトより作成
③ 「調査対象の知財庁・機関からみた海外知財庁・機関等の位置づけの比較調査」
以下の表は、プレスリリースにおける二国間の取組(バイ)に関する発信状況(海外知財庁の登 場する記事件数)を示している(英語及びロシア語)。調査対象期間中、登場する海外知財庁は、
EPO(欧州特許庁)と日本(JPO)、WIPOのみであり、その他はBRICsや国名だけの登場のみとな っている。
166
図表 180 二国間(バイ)に関する情報における海外知財庁・機関等名が登場する記事件数(プレス リリース)
2017年
(~12/8) 2016年 2015年 2014年 2013年 5年間合計
米国(USPTO) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
欧州(EPO) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 1 0 0 0 1
欧州(EUIPO、OHIM) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
ドイツ(DPMA) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
カナダ(CIPO) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
オーストラリア(IP Australia)
ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
韓国(KIPO) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
台湾(TIPO) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
シンガポール(IPOS) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
タイ(DIP) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
インドネシア(DGIP) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
マレーシア(MyIPO) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
インド(CGPDTM) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
中国(SIPO) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
ブラジル(INPI) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
GCC ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
アフリカ(OAPI) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
アフリカ(ARIPO) ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 0 0
JPO(日本) ロシア語 0 0 0 0 1 1
英語 0 0 0 0 0 0
WIPO ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 1 1
その他合計 ロシア語 0 0 0 0 0 0
英語 0 0 0 0 1 1
出所:ROSPATENTウェブサイトより作成。
④ 「調査対象の知財庁・機関からみた海外知財庁・機関等の位置づけの推移調査」
2013年からの5年間における二国間の取組(バイ)に関する発信状況(海外知財庁の登場する記 事件数)の推移は以下のとおりである。EPOが2016年に1件、WIPOが2013年に1件登場してい る。
167
図表 181 二国間(バイ)に関する情報における海外知財庁・機関等名が登場する記事件数(英語及 びロシア語)(5年間の推移)
2017年(~12/8) 2016年 2015年 2014年 2013年 合計
EPO(欧州特許庁) 0 1 0 0 0 1
WIPO 0 0 0 0 1 1
その他 0 0 0 0 2 2
出所:ROSPATENTウェブサイトより作成
⑤ 「国際的な取組に関する情報(写真等)からの上記③,④の位置づけの調査」
ウェブサイトにおけるソースのうち、年報(Annual Report)のみ、国際的な取組に関する写真が 掲載されている。
年報の第3章「ROSPATENTの国際的取組について」(Main directions of ROSPATENT’s International
Activity)の表紙では、人物や出来事の写真が掲載され、この表紙は毎年継続して掲載されている。
なお、掲載されている写真の説明(キャプション)は含まれていない。
また、この表紙に続き、他の写真が時間順に並べて表示されており、具体的にはROSPATENTの 代表者と各代表団との会合風景が掲載されている。ロシア語版と英語版の両方で同じ写真が使用さ れており、言語の違いによる内容の差はない。他方、写真の説明(キャプション)は記載されてお らず、人物や出来事等の背景情報は不明である。
⑥ 「国際的な取組(マルチ)に関する情報に関する調査」
1) 年報
2013年版~2016年版までの年報では、第3章「ROSPATENTの国際的取組について」(Main directions of ROSPATENT’s International Activity)の中でも、特に「3.1:WIPOとの協力」と「3.2:国際機関との 協力」で、国際的な取組(マルチ)に関する情報が記載されている。
WIPO及びBRICsについては、2013年版~2016年版の4 年間全てにおいて登場しており、それ
以外の国際機関としては APEC、EU、欧州特許庁(EPO)、欧州共同体(OHIM)、ユーラシア特許 庁(EAPO)、WTOが登場する。
また、2013 年版~2016 年版までの年報において言及される国際連携の形態としては、以下のと おりである。(言及されている形態については○としている。)
図表 182 年別の国際連携の形態
会合 PPH 協働調査 人材育成・交流 2016年 ロシア語 ○ ○ ○ ○
英語 ○ ○ ○ ○
2015年 ロシア語 ○ ○ ○ ○
英語 ○ ○ ○ ○
2014年 ロシア語 ○ ○ - -
英語 ○ ○ - -
2013年 ロシア語 ○ ○ ○ ○
英語 ○ ○ ○ ○
出所:ROSPATENTウェブサイトより作成。
注:一記事に複数の項目が含まれていることがある。
2) 長の挨拶
2013年から2017年において、ROSPATENTのウェブサイトでは長の挨拶に関連するページは設 けられておらず、国際的な取組(マルチ)に関する記述はない。