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レーダー法

ドキュメント内 小川, 篤生 (ページ 123-142)

第 5 章 コンクリート上部構造に関する各種劣化対策の開発

④ レーダー法

鉄筋周辺部の充填状況を確認するために電磁波レーダーを利用して調査を実施した。電磁 波レーダーは、電気的性質(比誘電率、導電率)の異なる物質により反射して戻ってくる ため、伝播時間から反射物体までの距離を計算し位置を特定することができる。調査で使 用した電磁波レーダーは複数のレーダーを搭載したものであり表層から一番上の鉄筋だけ でなく、深さ方向への探査が可能であるものを使用した。

レーダー法による調査結果を図-5.4.7 に示す。配力筋、主筋、補強筋が確認でき、また鉄 筋部周辺に空洞と思われる異常個所は確認されず、良好な施工状況であることが確認され た。品質確認手法としては鉄筋部周辺の状況も確認でき、鉄筋部周辺の空洞を確認するに は有力な調査手法であると考えられる。

図-5.4.7 レーダー法試験結果

主版端部(路肩側) 主版支承部周辺

全範囲 ポンチ絵

:主筋 :配力筋 :補強筋

配力筋 主筋 補強筋

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⑤ 赤外線法

補修箇所の浮きや空洞を調査するために赤外線法により調査を実施した。赤外線法による 調査は、健全部と内部空洞や浮き等の変状部の温度差を利用して異常部の特定を行うもの である。調査に使用した赤外線サーモグラフィを図-5.4.8に示す。

図-5.4.8 赤外線サーモグラフィ

赤外線法による調査結果を図-5.4.9 に示す。層間はく離は確認できない結果となった。な お、実施にあたっては、調査時の環境条件(1 日の気温変化:7℃以上等)や時間の影響も 受けるので、留意する必要がある。

図-5.4.9 赤外線法調査結果 (2) 品質確認方法の評価

品質確認試験において使用した各種手法による調査結果を基に、本工法の施工後の品質を 管理すべき調査項目と、それに適応する各種調査方法の望ましいと思われる組み合わせを 表-5.4.7に示す。

補修後の表面状況は狭隘部の確認のためファイバースコープを利用した目視調査を実施し、

層間の空洞や鉄筋周辺の空洞確認には超音波法、レーダー法を合わせて実施することが最適 であると考えられる。

表-5.4.7 桁端部補修工法における品質確認方法

調査項目 調査手法

新旧コンクリートの境界面、

およびと吹き付け層間のはくり

超音波法 または衝撃弾性波法 鉄筋周辺部の空洞 レーダー法

施工表面状況 目視調査、および ファイバースコープ

桁下面

桁側面

119 5.4.6 補修工法の評価と課題

特に損傷の著しいRC中空床版橋桁端部の補修システムを構築することを目的として、模 擬試験体および実橋での試験施工を実施した。

数回に及ぶ模擬試験体での試験施工の結果を基に、30年以上積雪寒冷地で管理されている 実橋にて試験施工を行った結果、良好なハツリ性能および湿式吹付工法による断面修復技術 を確立し、RC中空床版橋桁端部の補修システムを構築することができた。

今後は、他工法との評価比較を実施するとともに、現場施工の問題点・課題を抽出し、こ れを解決することで,橋梁桁端部の補修システムとして確立していく必要があると考えられ る。

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5.5 腐食性環境下におけるコンクリート構造物の長寿命化対策11) 5.5.1 研究概要

「道路橋の塩害対策指針(案)」12)が策定された昭和59年以前に建設された高速道路のコン クリート構造物は、塩害による劣化の進行が著しく、特に鋼橋のRC床版やRC中空床版橋 の断面補修や更新の事例が増えてきている。塩害による劣化のうち、飛来塩分に起因するも のは、海岸部で約300g/m2/年以上の飛来塩分がある沖縄地域と北陸から北海道までの日本海 側に集中している。さらに、平成2年にスパイクタイヤ粉じん防止法が制定された以後、海 岸部以外でも凍結防止剤の散布による塩害が生じ始めている。

本文で対象とする沖縄自動車道(図-5.5.1)は、高温多湿な亜熱帯地域に位置し、また、

台風の通過数も多く潮風が海岸部のみならず内陸部にも及ぶことなどから、構造物は厳しい 腐食性環境に置かれている。さらに、その北部区間は、建設当時の慢性的な水不足により十 分に脱塩処理がされていない海砂を細骨材として使用したため、コンクリート構造物の初期 内在塩分量も非常に高い場合がある。その結果、北部区間では、供用後数年で塩害によるコ ンクリート構造物の劣化が発生し始め、10年を経過した頃から劣化が著しくなったため、本 格的な補修・補強対策が必要となった。

この状況を受けて、南部区間の建設では、「道路橋の塩害対策指針(案)」に先駆けて昭和58 年に「沖縄自動車道コンクリート構造物の設計・施工指針(案)」13)を取りまとめ、塩害に対 する耐久性に配慮した設計・施工が実施された。一方、北部区間の劣化に対しては、部分補 修や全面補修が実施されてきたが、短期間で再劣化する場合も多く、耐久性に優れた抜本的 な補修対策が必要となっている。

本文では、まず沖縄自動車道における塩害の歴史と現状を紹介するとともに、実橋調査か ら得られた塩害の特徴を示す。次に、劣化状況に基づいた補修の優先順位付け事例と、過去 の補修対策の再劣化などから補修対策工法のライフサイクルコスト(以下 LCC という)を 検討した事例を示す。最後に、健全な維持管理のもとで100年以上の耐久性を保有する「高 耐久化100年橋梁」へ向けて、北部区間の億首川橋の改修工事で試行した長寿命化への取り 組みについて述べる13)

図-5.5.1 沖縄自動車道と開通年度

石 川 IC

北 中 城 I C 那 覇 I C

許 田 I C

許 田 高 架 橋 億 首 川 橋

太 平 洋 1975年 開 通

北 部 区 間 (25.9km )

南 部 区 間 (31.4km ) 1987年 開 通 沖 縄 自 動 車 道 (57.3km )

東 シ ナ 海

1987年   海 邦 国 体     1972年   沖 縄 返 還     1975年   沖 縄 海 洋 博  

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5.5.2 沖縄自動車道の塩害の歴史と現状

(1) 沖縄自動車道の概要と北部区間の塩害

沖縄自動車道(図-5.5.1)の北部区間(石川IC~許田IC間25.9km)は、沖縄返還後の復 興の象徴である沖縄海洋博覧会の開催に向けて建設がすすめられ、建設開始からわずか2年 後の昭和50年に開通している。また、南部区間(那覇IC~石川IC間31.4km)は、海邦国 体の開催に向けて、建設開始から5年後の昭和62年に開通している。現在は那覇IC~許田 IC間の57.3kmが供用しており、交通量は平均26,000台/日(南部区間31,600台/日、北

部区間20,700台/日)である。また、大型車混入率は6.6%と、本土の高速道路に比べ、大

型車通行量が少ない特徴を有している。

また、沖縄自動車道は、わが国では唯一亜熱帯地域に位置しており、年平均気温 22.7℃、

平均湿度75%という高温多湿な環境下に構造物が置かれている。さらに、台風や冬期の季節 風では強風が持続することから、沖合に発生するエアロゾル状の微細塩粒子が内陸部まで飛 来し、海岸から1km以上内陸でも構造物に比較的多くの付着塩分量が観測されている。

この沖縄自動車道の北部区間では、わずか2年間で建設する必要があったことから、橋梁 の82%に鋼橋が採用され、床版も短期施工が可能なI形鋼格子床版(ソリッドタイプ)が用 いられている。また、建設時の沖縄は慢性的な水不足であったことから、十分な脱塩処理を 行っていない海砂がコンクリートの細骨材として使用されたため、コンクリートの初期内在 塩分量は、最大で6kg/m3に及んでいた。

このような気候条件および建設材料の制約から、供用後3 年の昭和53 年には許田高架橋 の橋脚の表面に多大なひび割れが確認され、コンクリート構造物の「塩害」として認知され た。また、I形鋼格子床版やRC中空床版橋においても、初期内在塩分や飛来塩分が鉄筋やI 形鋼の腐食の要因となり(写真-5.5.1)、かぶりコンクリートの浮きや剥離を生じさせるとと もに(写真-5.5.2)、路面にはポットホール(写真-5.5.3)や抜け落ちなどを引き起こした。

写真-5.5.1 I形鋼格子床版の損傷状況

I形鋼

ハンチ鉄筋

写真-5.5.2 床版上面の層状剥離

鉄筋の全断面欠損

かぶりの層状剥離

写真-5.5.3 路面のポットホール

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一方、鋼構造物では、高温多湿な気候のために飛来塩分が隅角部に滞留し、そこに乾湿が 繰り返されることで鋼材の腐食が加速されている。また、応力下にある鋼材に飛来塩分が付 着して、乾湿を繰り返す場合に特有な腐食形態も確認されている。例えば、億首川橋のトラ ス橋では、格点部のプレートやボルトが著しく腐食している(写真-5.5.4)。また、使用部材 には錆代として両側0.75mmずつ厚くした肉厚の鋼材が使用されたが、斜材や添接板では腐 食が著しく、既に錆代を越えた腐食が生じている部位も存在する(写真-5.5.5)。

(2) 南部区間の塩害対策

北部区間の供用から7年後に開始した南部区間の建設では、北部区間の塩害による劣化状 況を考慮し、鋼橋よりもコンクリート橋が多く採用されている(PC橋50%、RC橋46%)。

さらに、その建設にあたっては、塩害に対して十分な耐久性を有するコンクリート構造物 を建設するために、昭和56年に塩害対策検討委員会が設置された14)

検討委員会では、沖縄のコンクリート構造物の塩害による劣化状況とその要因分析を踏ま えて、海岸より1km以上の内陸部に位置する南部区間に対して、耐用年数50年を確保する ことを目標とした塩害対策が策定された。塩害対策としては、コンクリートのかぶりで対処 する方法を基本とし、

①かぶり厚の確保(上部構造5cm、下部構造7cm)

②水密性の確保(W/Cは50%以下)

③コンクリートの均質性の確保(セメント量の増加)

④ひび割れ幅の制限(鉄筋の許容応力度の低減)

⑤スペーサーの改良(配置個数および材質)

⑥PC鋼材定着部後埋材の改良(膨張コンクリート等)

⑦細骨材の塩分管理(NaCleqで0.04%以下)

などが「沖縄自動車道(石川~那覇間)コンクリート構造物の設計・施工指針(案)」として 実施されている 14)。なお、かぶり厚の設定は、その後の「道路橋の塩害対策指針(案)」に比 べて1ランク厚くなっている12)

以上の対策により、初期内在塩分量は0.3kg/m3以下であり、また、北部区間に比べて内陸 部に位置していることから、供用後約 20 年の現時点では南部区間に塩害による劣化はほと んど生じていない。

写真-5.5.4トラス材格点狭隘部のボルトの腐食 写真-5.5.5ケレン後のトラス材フランジ端部

ケレン

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