EF COEF

7.3.4 リーケージ

AM0061では、リーケージをゼロとみなしている。

7.3.5 排出量の削減

年y における事業活動による排出削減量は、ベースラインによって異なる。排出削減量は以下の式で計

算できる。

y y

y BE PE

ER = − (22)

ここで、

ER y = 年y の排出削減量 (tCO2e/yr)

BE y = 年y のベースライン排出量 (tCO2e/yr) PE y = 年y の事業排出量 (tCO2e/yr)

7.3.6 排出量削減の試算(参考)

削減量の試算のため、次の条件を仮定する。

・事業実施発電所から電力グリッドへの電力供給量は、2,600,000MWh。これとは別に事業実施発電所で

・乾燥後の石炭の使用量(FC i,j,y)は、1,300,000t。

・乾燥後の石炭の高位発熱量は分析結果より 6,000kcal/kg 程度になるので、事業実施後の石炭は、亜 瀝青炭と瀝青炭の間の性状と仮定し、低位発熱量(NCV coal,y)は IPCC のデフォルト値、瀝青炭:

0.0258GJ/tと同亜瀝青:0.0189 GJ/tの平均をとり0.02235GJ/t。同様にCO2排出係数(EF CO2,i,y ) は、デフォルト値、瀝青炭:94.6tCO2/GJと同亜瀝青炭:96.1 tCO2/GJの平均として、95.35 tCO2/GJ を適用。

データと変数 データ/変数 CAPBL

単位: MW

説明 事業実施前の事業実施発電所の最大発電容量 情報源 PT Indonesia Power

値 371.5

データ/変数 CAPdesign 単位: MW

説明 事業実施発電所の発電容量(銘版)

情報源 PT Indonesia Power 値 400

データ/変数 HMRx 単位: Hours

説明 事業実施前の3(5)年間において、事業実施発電所で、メンテナンスや修理で 稼動しなかった時間数

情報源 PT Indonesia Power

値 2007 2008 2009

1,176 701 287

備考 等式(7)、(6)よりT BL=8,038 hours, EL BL MAX = 2,986,280 MWh

データ/変数 EL x

単位: MWh/year

説明 過去3(5)年間の事業実施発電所から電力グリッドに供給された電力量 情報源 PT Indonesia Power

値 2007 2008 2009

2,596,960 2,540,690 2,080,320 等式(8)より、EL BL AVR = 2,405,990 MWh

データ/変数 EL PAPP,total,x

単位: MWh/yr

説明 過去3(5)年間に事業実施発電所で発電した総電力量

情報源 PT Indonesia Power

値 2007 2008 2009

2,781,960 2,670,690 2,184,336 備考 よって、EL AVR,total =2,545,662

データ/変数 EF i,x 単位: tCO2/TJ

説明 事業実施前の、事業実施発電所の水分の多い石炭のCO2排出係数

情報源 IPCCの亜瀝青炭デフォルト値

値 94.6

データ/変数 NCV i,x 単位: GJ/t

説明 事業実施前の、事業実施発電所の水分の多い石炭の低位発熱量 情報源 PT Indonesia Power より実績値

値 2007 2008 2009

0.0184 0.0181 0.0190

データ/変数 F i,x 単位: t/year

説明 事業実施前の、事業実施発電所の水分の多い石炭の使用量 情報源 PT Indonesia Power より実績値

値 2007 2008 2009

1,509,228 1,658,187 1,517,109

データ/変数 η BL,optm

単位: -

説明 事業実施前の、事業実施発電所の最適エネルギー効率

保守的アプローチから、過去3(5)年間のエネルギー効率の最大値 情報源 PT Indonesia Power

2007年度の電力供給量と燃料消費量の実績値と発熱量より計算

値 33.6%

データ/変数 ∆ηreg

単位: -

説明 事業実施前3(5)年間の、定期メンテナンスによってもたらされたエネルギー効 率の改善。

情報源 PT Indonesia Power 値 0 (仮定)

データ/変数 ∆ηnon-add

単位: -

説明 プロジェクト事業といっしょに実施された追加性のない対策活動によってもたら されたエネルギー効率の改善

情報源 PT Indonesia Power 値 0 (仮定)

データ/変数 ηBL,adj

単位: -

説明 定期メンテナンスによる効率改善部分と、追加性の無い対策活動によってもた らされた改善部分を考慮し、事業実施前の、事業実施発電所の最適エネルギ ー効率 (ηBLoptm )を補正したもの

情報源 等式(10)より

値 33.6%

データ/変数 EF CO2,i,y

単位: tCO2/TJ

説明 事業実施後の、事業実施発電所の燃料のCO2 排出係数

情報源 IPCC亜瀝青炭と瀝青炭のデフォルト値の平均と仮定

値 95.35

データ/変数 EF BL,plant,y

単位: tCO2/MWh

説明 事業実施発電所のベースラインCO2 排出係数 情報源 等式(9)より

値 1.0134

データ/変数 EFBL,non-plant,y

単位: tCO2/MWh

説明 年yにおける、事業実施発電所の接続する電力グリッドの排出係数 情報源 インドネシア国家CDM委員会より、Jamaliグリッドの規定値。

コンバインドマージン0.891、ビルドマージン0.933。

最も起こりうるベースラインシナリオにおける排出係数 1.137。

上記、3つの値の最小値。

値 0.891 (Ex-ante)

等式(22)より

y y

y BE PE

ER = −

={EL BI,AVR × EF BL,plant,y + (EL PJ,adj,y – EL BL,AVR) × min (EFBL,plant,y ; EFnon-plant,y)

+ ELaux,y ×EFBL,plant-gross,y

× ×

i

FC

i jy

NCV

iy

EF

CO iyiy , , , 2 ,

,

,

= 2,405,990 × 1.0134 + (2,600,000 - 2,405,990) × 0.891 + 135,256 × 1.0129 } - ( 1,300,000 × 0.02235 × 95.35 )

= 2,748,094 tCO2 - 2,770,394 tCO2 = △22,300 tCO2

よって、AM0061ベースの排出削減量は△22,300tCO2と試算できる

7.4 方法論の検討結果、方法論策定の課題

ACM0011と、AM0061の二つの方法論について、スララヤ発電所2号機での排出削減量を、同じ条件(年間 電力供給量2,600,000MWh、年間石炭使用量130,000トン)で試算すると、前者の排出削減量は123,262ト ン、後者はマイナス22,300トンと、大きな違いが生じた。これは、発電所のエネルギー効率の設定にあ たり、ACM0011は過去3年間の実績の平均値を用い(本調査では、29.96%)、AM0061はより保守的に、過 去5年間のエネルギー効率の実績値のなかの最も高い値(同33.60%)を、ベースラインの計算に適用し ていることが主因である。

現在のCDM方法論は、環境への十全性やクレジットとしての信頼性を高めるために、非常に保守的、つ まり厳格な考え方で、排出量を算定している。それゆえに、そもそも僅か数パーセントの削減をめざす 本件のような事業では、現実には削減していても、その方法論が持つ基準の取り方ひとつで、削減量が 認められないこともありうる。

国内クレジット制度では、高効率の照明設備への更新事業等、省エネ効果、すなわち省CO2効果が明ら かということで、比較的簡易な考え方で、排出削減を認めている方法論もある。本事業は、現在使用し ている水分の高い石炭を乾燥させれば、単位発熱量が上がり、その結果石炭の使用量が減り、CO2も減 るという明快な削減事業である。しかも、火力発電所なので石炭の使用量は膨大で、CO2の削減量も大 きい。二国間制度という枠組みの中では、このような事業には既存方法論の柔軟な適用、あるいは、よ り簡易な方法論の新規開発が求められていると考える。

「石炭性状総合評価システム」を使った試算では、上記方法論の試算と同程度の時間(8,400時間)発 電所を稼動させた場合、削減量が5,040トンとなる結果がでている。このシステムは、石炭の性状と発 電施設の性能から、CO2の排出量をシミュレーションできる。スチームドライヤーを使った乾燥前後の 石炭性状データがあれば、過去の数年分のデータを準備する必要がないし、過去に使った石炭の排出係 数をデフォルト値で推定するよりも正確な結果を得ることも可能になる。データがそろわないことの多 い途上国での事業では、有用な排出量削減算定ツールになる。

をクレジット化するためには、より高い精度が望ましい。該当発電所を含めたインドネシアの発電所を 広く調査し、性能・実績データを集めることで、シミュレーションの精度は改善できる。もう一つの課 題は、石炭の炭素排出係数や、電力グリッドのCO2排出係数など、既存の方法論の排出量計算過程で重 要な指標を、システムの入/出力項目として追加、明示できること。そうすれば、CDMの方法論計算方法 との比較も容易になり、CDMに代わる二国間制度のツールとしての評価を得易い。事業実施後の実績デ ータをあわせて、入出力できるようになれば、計測・報告・検証までが容易になり、スチームドライヤ ーを導入した石炭火力発電所での排出削減事業の強力なMRVツールになる。この評価システムの改良に 取り組むことは、二国間制度の推進にとっても重要と考える。

第8章 ファイナンス検討

二国間オフセットメカニズムに係るインドネシアの石炭火力発電所の低品位炭を事前に乾燥して熱効 率を向上することによる燃費改善とそれによる炭酸ガス発生を削減するための低品位炭乾燥機導入に 係るファイナンスを検討した。まず、CDM 事業に関する既存の金融ツールを確認し、これを基礎に低品 位炭乾燥機導入に係るファイナンスを検討した。

8.1 国際協力銀行(JBIC)の金融ツール

CDM/JI事業に対して、国際協力銀行の有する輸出金融、投資金融、事業開発等の金融ツールを利用する

ことが出来る。

8.1.1 輸出金融

CDM/JI事業の関連で、我が国から技術・設備等の輸出を行う場合には、輸出金融の利用が可能。輸出金

融には、日本の輸出者に対する融資(サプライヤーズ・クレジット)、外国の輸入者(または外国の金 融機関)に対する融資(バイヤーズ・クレジット(バンク・ローン))がある。図 8-1-1-1 に輸出金融 スキームを示す。

図8-1-1-1輸出金融スキーム

JBIC は、通常一般の金融機関(通常は申込み企業の取引先金融機関)と協調して必要な資金を融資する。

融資金額は

金額、技術提供契約金額の範囲内で、頭金部分を除いた金額となる。ローカル・コストは、原則、融資 対象に含めることは出来ないが、頭金(最大30%)の範囲内で融資対象に含めることは可能。原則として、

CDM/JI事業 輸出者

(本邦企業)

輸出

国際協力銀行

輸入者

プロジェクト実施

外国の 金融機関

輸出金融 融資

融資割合の上限は6割。金利は 成約時の市場貸出基準金利(Commercial Interest Reference Rate CIRR)は償還期間5年以下で1.35%、償還期間5年超8.5年以下が1.58%、償還期間8.5年超で 1.87%

となる。成約前固定の場合は金利固定時CIRR+0.2%となる。

注:CIRRはOECD

異なる。返済方法は、原則として分割返済となる。元本均等半年賦が一般的な条件になる。担保と保証 は、借入人または保証人の信用力等を個別案件毎に審査のうえ、JBICが判断して決定する。

輸出金融の概要 1)融資方法

輸出金融におけるJBICからの融資方法は下記2通り

(1)JBICが輸入者に直接貸し付けるBuyers Credit(”B-cre”)

(2)現地金融機関に貸し付け、当該金融機関が輸入者に転貸するBank Loan

2)融資要件(条件)

(1)融資比率

・輸出契約金額及び技術提供契約金額の85%を融資金額の上限とし、融資金額の6割をJBIC、4割を民 間金融機関が拠出。

・民間金融機関は、自行のポーションにつき NEXI のB-cre 保険(貿易代金貸付保険)を付保するのが 通常。

(2)日本製品のポーション

・入金額の30%以上が日本製品(3割ルール)、かつ主機が日本製であることが条件。

・OECD ガイドラインでは、OECD 加盟国が自国から輸出することを想定したものであるため、現状、第 三国で日系企業が製造した製品は原則輸出金融適用対象外とされている。

(3)償還期間/返済方法

・輸出先、輸出する製品によって償還期間は異なる。(OECD ガイドライン及びベルンユニオンに準拠)

例)プラント輸出 … 通常 10 年償還 (原子力、再生可能エネルギー、水セクターについては最大 18 年)

・償還期間の起算点も輸出する製品によって異なり、プラント輸出ではCommissioning責任を本邦企業 が負っているか否かによってさらに細かく区分がなされる。起算点の区分は下記の通り

・本邦企業がCommissioning責任を負っていない場合

①MS(Major Shipment、おおよそ過半数の船積終了時点)

②LMS(Last Major Shipment、80-90%の船積終了時点)

・本邦企業がCommissioning責任を負っている場合

①Commissioning(通常、完工証明が出る時点)

のいずれかで決まるのが一般的。

・通常、元本均等返済半年賦だが、PJからのキャッシュフローが均等でない等の説明が付く場合は、元 本の不均等返済、金利の年賦も許容されることがある。

ドキュメント内 平成22年度地球温暖化対策技術普及等推進事業,インドネシアにおける火力発電所における低品位炭利用の高効率化調査 (Page 148-176)