4 リハビリテーション教育におけるコース開発
4.4 e ラーニングコース運用について
e ラーニングによる学習や、新研修管理システムを運用していくためには、さまざまな スタッフが必要になる。運用に必要なスタッフについて役割を明確にすることで、今後 の展開状況に合わせて体制を強化していくことが理想的である。
(1) 基本的な運用体制
一般的な企業における組織別役割分担例を参考に機能の過不足を検討いただきたい。
e ラーニングを運用するに当たり、次のようなスタッフでの運用が考えられる(図 4-4 参照)。
図 4-18 運用体制例
トップ
業務管理者
(LMS管理者)
マネージャ 学習者
統括責任者 推進リーダ
研修管理者 コース開発者
(コンテンツ開発者)
講師 チュータ
メンター
ヘルプデスク システム管理者
研修運用
LMS、システム運用
ヘルプデスク
(2) 運用体制例におけるスタッフの説明
運用体制例におけるスタッフがどのような役割を担うかを以下に説明する(表 4-4参照)。
スタッフ 役割
統括責任者 全体の責任者として、社内組織に働きかけて、eラーニングの導入を推進 する。
また、ビジョンを実現していくに当たり、LMSだけでなく、トップの視点 から方向性を検討する。
推進リーダ 統括責任者の下、実際の現場の状況を把握しながらeラーニングの導入を 推進する。
各担当の業務を把握し、各担当の仲介役として、導入を推進することが望 ましい。
導入プロジェクト全体の旗振り役。
LMS管理者 研修業務および研修そのものの実施について、LMS上での業務運用を推進
する。ユーザや教育コースの登録管理、LMS機能要件の検討など、よりよ い仕組みの構築を行う。
研修管理者 組織内において、人材育成の観点から研修を推進する。
受講状況の確認や受講者の成績管理などを行う。
システム管理者 LMSのインフラ部分の管理者。システムだけでなく、クライアント環境も 考慮する。また、サーバやネットワーク、セキュリティなども管理する。
LMSのアプリケーション部分の理解をしていることが望ましい。
講師 集合研修における講師。知識だけでなく、伝道師としてモチベーションを 与えることも心掛ける(研修の目的や意義を伝えることなど)。また、よ りよい研修手法などについて意見を出していく。
講義におけるテキストや補足資料を制作する。eラーニングの場合、シナ リオ制作を担当し、eラーニングの学習者からの質問への対応をする場合 もある。
コース開発者 教育コースの企画・制作を担当する。教育コース全体の設計やテキスト、
コンテンツの制作をする際の責任者となる。開発予算や品質、著作権など も考慮する。ID手法にも通じていることが望ましい。
(大規模なコンテンツ制作になると、プロデューサ、ディレクタ、インス トラクションデザイナ、開発者・・・のように、役割が分類される)
コンテンツ開発者 コンテンツ制作を担当する。オーサリングツールに関してのスキルがある ことが望ましい。制作に関しての実現性などを含めて、技術的な面から検 討する。また、品質や著作権などにも配慮する。ID手法にも通じているこ とが望ましい。
チュータ 学習内容についての細かい質問対応の担当。教育コース内容に熟知してい て、学習指導ができることが望ましい。講師との違いは、質問対応専門で あること。
トップ 組織としての将来ビジョンを表明し、学習者に意識付けをしていく。
マネージャ トップのビジョンや研修の意義を理解し、研修管理者とも協力しながら、
学習者の成長を支援する。
学習者 将来ビジョンを理解した上で、研修を通じて自己の成長を実現する。
表 4-9 基本的な運用体制におけるスタッフ一覧
上記のように体制が整っていない場合には、一人の人間がいくつかの役割を兼任する。
WBTでの学習というのは、一般的に集合研修よりも学習者のモチベーションが持続しに くい。学習者のモチベーションを維持するためには、フォローが不可欠である。コンテ ンツの作成・公開だけでなく、チュータやメンターによるフォロー体制を整備すること がeラーニングで成功する鍵となる。
モチベーションを維持するのに有効なツールとなるのが、掲示板などの機能である。掲 示板では学習者同士が活発に意見を交換し合い、集合研修のなかのグループ学習のよう な効果をもたらす。反面、ある学習者に対する誹謗中傷など意図しない使われ方をする 場合がある。この二つの側面のバランスを考慮しつつ、どのような運用の仕方がよいか をそれぞれの環境・状況に応じて考える必要がある。