• 検索結果がありません。

アットマーク国際高等学校視察

ドキュメント内 untitled (ページ 186-200)

4 リハビリテーション教育におけるコース開発

5.1 アットマーク国際高等学校視察

図 5-1  美川特区アットマーク国際高等学校美川本校がある校舎

5.1.3 視察概要

美川特区アットマーク国際高等学校は、国の特区制度を利用して運営されているインター ネットによる通信制高校である。美川特区アットマーク国際高等学校の本校は、石川県白 山市美川の美川中学校内に設置されており、インターネットによる通信制・単位制の男女 共学の総合学科として認定を受けている。

授業は主にインターネットやメールを通して教師と生徒の間で一対一で行われる。生徒は 自宅でパソコンを使っていつでも授業を受けられる仕組みになっている。

美川特区アットマーク国際高等学校は通信制過程の高校とはいえ、学校教育法第一条に定 められた高等学校として認定を受けているため、この学校の卒業資格は大学受験や各種国 家試験受験の際に全日制の高校卒業資格と同等に扱われている。

美川特区アットマーク国際高等学校は、2004年3月に内閣府より構造改革特区に認定され、

美川教育特区学校審議会の審議を経て、特別区における日本初の高等学校として認定され た高校である(図5-3参照)。図5-2は、内閣府より構造改革特区の認定を受けた時の写真 であり、図5-3は、特別区における日本初の高等学校として認定された時の写真である。

図 5-2  内閣府からの構造改革特区認定

図 5-3  美川教育特区学校審議会の認定式

美川特区アットマーク国際高等学校は、石川県白山市美川の美川中学校内に設置されてい

るが、学校運営は東京の品川区にあるアットマークラーニング社が行っている。

図 5-4  アットマーク国際高等学校美川本校がある校舎

同校は通信制ではあるが、広域通信制で登録しているため、全国から生徒を募集している。

対象としている生徒は、主に従来の学校では適応しなかった生徒であるが、中には目的意 識を持って入学してくる生徒もいる。

生徒は毎日通学して学ぶ通学型の学習スタイルを取ることも可能である。実際、通学パタ ーンを採用している生徒もいるとのことである。つまり、学校の学習スタイルに合わせる のではなく、学校を自分のスタイルに合わせることができる高校ということができる。

同校のカリキュラムには、通常の高校に劣らない多くの基礎学習科目以外に個性的なカリ キュラムがあり、それらの講座は個性豊かな生徒を養成するのに役立ちそうである。

5.1.4 視察内容

ここでは、美川特区アットマーク国際高等学校がどのようにして開校に至ったか、そして 同校の特徴は何か、同校の教育カリキュラムを通してどのような人材育成を目指している かなどを記述する。また、今回の視察のテーマであるインストラクショナルデザインと e ラーニングが同校の教育カリキュラムや教育手法の中にどのように取り入れられているか 見てみる。

5.1.4.1 アットマーク国際高等学校設立の経緯

美川特区アットマーク国際高等学校の日野校長は、1982年岡山大学卒業後にリクルートに 入社し、広告事業部で住宅情報の DB 構築などを通してオンラインサービスの基礎を習得

ハイスクールと事業提携を行った。

2004年に国の構造改革特区認可を受け、「美川特区アットマーク国際高等学校」が石川県美 川で開校するに至った。図5-5は美川特区アットマーク国際高等学校のロゴである。

図 5-5  美川特区アットマーク国際高等学校のロゴ

美川特区アットマーク国際高等学校が設立された経緯はすでに述べたとおりであるが、日 野校長がインターネットによる通信制・単位制の高等学校設立に至ったのは、日野校長を 取り巻く学校教育に関わるいくつかの出来事が彼を学校設立の方向に導いたと思われる。

日野校長によると、彼自身不登校の時期があり、また、彼の子供が自閉症アスペルガー症 候群であったことなどにより、不登校と学校教育ということを考えていた時期があったよ うである。また、どんどんやせ衰えて行うち最後はパソコンに口入力をしていた余命幾ば くもない筋ジストロフィーの女の子に出会ったことなども学校設立の重要な要素になって いると思われる。

そのような中で、米国には不登校生などのためのホームスクールやネットスクールがある ことを知るとともに、その種の教育環境が日本の社会的ニーズとしてあることを感じたよ うである。そして、サービス業として遅れている学校分野に民間の発想を生かそうと考え、

その思想が現在の美川特区アットマーク国際高等学校の設立に至っていると考えられる。

インターネットを使った通信制教育の学校は、美川特区アットマーク国際高等学校が全国 で始めてであるが、現在その数は10校を超えるということである。今後この種のIT技術 を使った通信制学校は、社会的なニーズを背景にその数を増す可能性がある。

5.1.4.2 学校の運営理念

ここでは、日野校長が美川特区アットマーク国際高等学校を設立した背景にある考え方と 現在の学校運営における基本的な考え方を紹介する。

学校の基本理念として、「学校はインディペンダント・ラーナーをはぐくむ場である」と述 べている。ここでいう「インディペンダント・ラーナー」とは、次の内容を満たす人を指 している。

自分の興味を見つけられる人

自分の成長を感じられ、学ぶことのすばらしさを人に伝えたくなる人 自ら学ぶ人

疑問を持ち、人に質問ができる人

自分の意思で生涯を通じて学び続けられる人

「インディペンダント・ラーナー」を育て、輩出するのが学校であり、学ぶことの本質を 体験するきっかけとして存在するのが美川特区アットマーク国際高等学校であると日野校 長は述べている。

この学校理念に基づき、学校運営における4原則が提案されている。

学習コーチの配置を義務化原則

ひとりひとりの生徒にプライベートコーチを置き、対話を通した学習指導を 行う。

1人が受け持つ生徒は25人以内

1人のプライベートコーチは26名以上の生徒を担当しない。

生徒の自己目標による学習計画作成の義務化 ひとりひとりの添削指導にあたる時間と回数の増加 インターネット利用の義務化(ログを残す)

学習計画、学習時間、学習記録のデジタル保存

美川特区アットマーク国際高等学校は、これらの原則に基づき「インディペンダント・ラ ーナー」を育てることを目指している。

の状況について見てみる。

(1)  在籍状況

次の図は入学者数の推移を示したものである。2004年9月に開校して以来、累計入学生 徒数は255名である。入学者数の推移で顕著な変化は、2004年10月と2005年4月であ る。2004 年 10 月は、全国で始めてのインターネットを使った通信教育ということで、

既存の高校に馴染めない生徒が入学を希望したものと思われる。2005年4月における一 時的な入学者の増加は、4 月にフジテレビの朝の「とくダネ」で放映された美川特区ア ットマーク国際高等学校の紹介番組が影響したのではないかと考えられる。

図 5-6 入学生の推移

(2)  学校に関する問い合わせ状況

次に、美川特区アットマーク国際高等学校に関する問い合わせに関して、地域的な分布 とどのようなルートを使用して同校を知り得たかを見てみる。

次の地図は問い合わせの分布を示したものであるが、関東からの問い合わせが707名と 圧倒的に多い。これは関東地域の総人口と不登校生の比率によるものと思われる。また、

中部地域の374名は、本校が石川県にあることに影響していると思われる。

図 5-7  問い合わせの全国地図・分布

次のグラフは、いまの時代を反映しているとも思えるような側面を示している。つまり、

美川特区アットマーク国際高等学校に関しての情報を得た人の1/4は、インターネットを介 してその情報を入手したとグラフは語っている。また、テレビの影響力も大きいように思 われる。

ることも見逃せない。

図 5-9  年齢別問い合わせ状況

(3)  10月開講、入学式

美川特区アットマーク国際高等学校の開校は10月で、通信教育とはいえ入学式を行う。次 の写真は、2005年10月に行われた入学式に様子である。

図 5-10  美川特区アットマーク国際高等学校の入学式

(4)  標準服

美川特区アットマーク国際高等学校は通信教育とはいえ、通常の高校と同様に標準服が あるが、購入に関して義務付けられているわけではない。通信制とはいえ通学する生徒 もいるので、標準服を設定している。

図 5-11  標準服

5.1.4.4 インターネットを使っての学習

ここでは、生徒が先生と設定したカリキュラムの中の各科目の授業をどのようにして学習 するのかを見てみる。

通信制高等学校であるが、通学している生徒も 3 割くらいいるということである。インタ ーネットを使用して学習を行う生徒は、学校側からアカウントを入手することにより、My Page(マイページ)という自分専用のページを取得する。そのMy Pageを使用して精神的

ドキュメント内 untitled (ページ 186-200)