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ランダムウォークとマルチンゲール

ドキュメント内 i (ページ 73-76)

練習4.14 同じような考え方を使って、対称な場合の最小値の分布を直接導き、非対称の場合で 求めた式のp0.5を入れた式と一致することを確かめなさい。

P(minZ1:n=k|Z0= 0) =(

m(n)k −m(n)1−k) 2−n

となるからである。2番目の等式はモーメント母関数の定義式を適用した。

特に、

MX(θ) =peθ+ (1−p)e−θ= 1⇔eθ=1−p

p (4.38)

となるようなθを選べば、

Zn= (1−p

p

)X1+X2+···+Xn

(4.39) が得られる。

命題4.6 パラメータpの非対称なランダムウォーク{Sn}(S0= 0)に対して S˜n=

(1−p p

)Sn

, n= 0,1,2, ... (4.40)

によって新たな確率過程{S˜n}を構成すると、{S˜n}{Sn}に関してマルチンゲールになる 実際、

E(

S˜n+1|S1, ..., Sn)

=E

((1−p p

)Sn+Xn+1

|S1, ...Sn )

= (1−p

p )Sn

E

((1−p p

)Xn+1)

= ˜Sn

(1−p

p ×p+ p

1−p×(1−p) )

= ˜Sn

となるからである。

4.4.1 任意抽出定理optional sampling theorem

マルチンゲールのモデル化の有効性は時間的な要因を無視できるという任意抽出定理によって 明らかになる。時間を表す確率変数T が停止時stopping timeであるとは、T =nかどうか を、nより先の情報を使わずに決定できることをいう。たとえば、初到達時刻は停止時になるが、

あと1回成功したら止める、と決めたときの止める直前、は停止時ではない。任意抽出定理は、

マルチンゲールならば、停止時における期待値は初期状態の期待値と同じ、ということを表した ものである。

命題4.7 {Xn}{Yn}に関してマルチンゲールであって、T は確率1で有界な停止時とする。

このとき、任意のn < T に対して E(

Xn2)

≤A, n= 1,2, ..., T (4.41)

となるAが存在するならば、次の式が成り立つ

E(XT) =E(X0) (4.42)

Xn2の有界条件は必須である。その条件を外すとE(XT) =E(X0)が成り立たない例を与え る。対称なランダムウォーク{Sn}はそれ自身に関してマルチンゲールであるが

E(S2n) = 1 + 2∑

i

E(Xi) +∑

i

E( Xi2)

+ 2∑

i<k

E(Xi)E(Xk) =n+ 1

で有界とならない。S0 = 1として、状態0への初到達時刻をT とすると、T は確率1で有限。

もちろん

E(ST) = 0̸= 1 =E(S0) これはSn2が有界にならないからである。

4.4(ギャンブラーの破産問題)任意抽出定理を使って問題を解く例として、ギャンブラーの 破産問題を取り上げる。A, B両者のチップの合計がNで、最初のAのチップの枚数をiとした とき、Aが先に破産する確率をriとする。破産した時点をTとすると、ri=P(ST = 0|S0=i) と書ける。T が有界な停止時であることを示すためには、ai =P(T <∞ |S0=i)として、す べてのaiが1になることを言えば良い。これは、最初の勝負の結果で層別した全確率の公式で 証明することができる。実際

ai=pai+1+ (1−p)ai−1⇒ai+1−ai= 1−p

p (ai−ai−1) = (1−p

p )i

(a11) (4.43) が成り立つ。i=N−1と置けば

01−aN−1= (1−p

p

)N−1

(a11)0

となり、aN−1= 1が導かれる。以下順番にaN−2=aN−3=· · · 1になる。

ST は0Nのいずれかで、求めたい確率はri=P(ST = 0|S0=i)である。命題4.5と命 題4.6より、{Sn}

S˜n= (1−p

p

)Sn−S0

によって変換すると、{S˜n}はマルチンゲールになるので、任意抽出定理よりE( ˜ST) =E( ˜S0) = 1 が成り立つ。

E( ˜ST) =ri

(1−p p

)−i

+ (1−ri) (1−p

p )N−i

= 1 これより、

ri=

(1−p p

)N−i

1 (1−p

p

)N−i

(

1−pp

)−i = (1−p

p

)N

(

1−pp

)i (1−p

p

)N

1 (4.44)

が得られる。

Q= 1の場合、すなわち対称なランダムウォークの場合は、riに関してaiと同じような漸化 式が成り立ち、

ri=pri+1+ (1−p)ri−1= ri+1+ri−1

2 (4.45)

これより、ri= 1ni が導かれる(確かめよ)。一方、非対称の場合の結果でQ= 1としたい場 合は、ロピタルの定理を使えばri = 1Ni を導くことができ、対称なランダムウォークの場合 の破産確率に一致する。

練習4.15 非対称な場合の破産確率の公式にQ= 1を代入して、ri= 1Ni となることを示し なさい。

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