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4.4 実験結果および考察

4.4.9 ラマン分光測定

Fig. 4.14に、Pd触媒で作製した多孔質コラムのサンプルの一次ストークスラマンスペク

トルを示す。作製条件は、前述のTable. 4.3の通りである。比較のため、バルクSiから得ら れたラマンスペクトルを示す。バルクSiのラマンスペクトルは、波数に関してほぼ左右対 称であり、それゆえ、Lorentzian線形でフィッティングできる。(4.3)式にLorentzianの式を 示す。

2 2

TO S

) 2 / ( ) ) (

(    

  I

I

(4.3) ここで、ISは特有のラマンの強さ、TOは1次光学フォノン振動数、はローレンツ広がり のパラメータである。Fig. 4.14 で最もよいフィッティングはTO=519.4 cm1、 =3.5 cm1 を得られた。

Fig. 4.14 に示すSiナノワイヤのラマンスペクトルは、低波数のすそがやや広く、左右非

対称である。このような結果は、陽極化成で作製したPSiでときどき観測されていて、そ の原因は、多孔質成分のナノ結晶サイズの大きな勾配によるもの36-38であると解釈されて いる。CVD法で作製されたSiナノ構造39,40のラマンスペクトルは、低波数のすそで非対 称線形を示した。これらのピークは結晶Si、結晶粒界、アモルファスSi(a-Si)の3つの 個々の成分から逆畳み込みしている可能性がある。次に、本研究で観測された非対称のラ マンスペクトルを説明するため、修正されたLorentzianの式41を(4.4)式に提案する。

 

1

TO TO 2

2 TO

S

1 exp

) 2 / ( ) ) (

(

 

 

 

 

  

 

 

 

  I

I

(4.4)

ここで、は非対称要素で、は周波数シフトである。

Fig. 4.14の太い実線は、 (4.4) 式にTO=519.4 cm1、 =4.5 cm1、 = 60、 = 1.0 cm1を代入してフィッティングした結果である。触媒エッチしたサンプルのラマンスペク トルは、(4.4)式に4.5 cm1とわずかに値の増えたと異方性要因の = 60を導入すること によって、うまくフィッティングできる。

Siナノワイヤの非対称なラマンスペクトルは、ナノ構造が引き起こす運動量保存則の緩 和による量子閉じ込め効果35によって解釈することができる。ナノスケール空間のフォノ ン閉じ込めは、限られたフォノン(ħk)の運動量における不確実性を生み、フォノンエ ネルギーにおけるシフト(ħq)を引き起こす場合があります。その結果、ナノ構造物質 のラマンスペクトルを左右対称からピークエネルギーがわずかにレッドシフトした非対称 線形に変えることができる。

91

505 510 515 520 525 530 535

Bulk Si

Raman shift (cm –1 )

Int e ns it y (a rb. uni ts )

×5 0.003 mol/L

Fig. 4.14

92

ラマン強度 PdCl

2

濃度依存性

ラマン強度のPdCl2濃度依存性を調べるため、以下の条件で作製を行う。

Pd体積条件…メッキ溶液:PdCl2/HF溶液 HF濃度:5%

PdCl2濃度(M):0.001~0.04 mol/L 溶液の温度:20℃(室温)

メッキ時間:10 min

エッチング溶液…NH4HF2:H2O2(12.5%)=3 g:50 ml エッチング時間:30 min

溶液の温度:30℃

Fig. 4.15aにPdCl2濃度を変えて作製した多孔質コラムのサンプルのラマンスペクトル、

Fig. 4.15bにラマン積分強度PdCl2依存性について示す。ラマン強度は、PdCl2濃度(M)に

強い依存性があり、M ≦ 0.006 mol/Lで作製したサンプルでラマンスペクトルの最も強い 増大を示した。バルクSiと比較すると、約10倍のラマンスペクトルの増大を得られた。

93

500 510 520 530 540

SiNWs

0.001 mol/L 0.003 mol/L 0.006 mol/L 0.02 mol/L 0.04 mol/L

0.01 mol/L Bulk Si

0.03 mol/L

(a)

Raman shift (cm

-1

)

In te n si ty ( a rb . u n it s)

519.4 cm-1

0 0.01 0.02 0.03 0.04

M (mol/L)

(b)

0.5 1.0

R a m a n i n te n si ty ( a rb . u n it s)

Fig. 4.15

94

ラマン強度 H

2

O

2

濃度依存性

ラマン強度のH2O2濃度依存性を調べるため、以下の条件で作製を行う。

Pd体積条件…メッキ溶液:PdCl2/HF溶液 HF濃度:5%

PdCl2濃度:0.003 mol/L 溶液の温度:20℃(室温)

メッキ時間:10 min

エッチング溶液…NH4HF2:H2O2(N)=3 g:50 ml H2O2濃度(N):1~17.5%

エッチング時間:30 min 溶液の温度:30℃

Fig. 4.16aにH2O2濃度を変えて作製した多孔質コラムのサンプルのラマンスペクト

ル、Fig. 4.16bにラマン積分強度H2O2依存性について示す。ラマン強度は、H2O2濃度

(N)の増加に伴い、徐々に増大していくことがわかった。このタイプのラマン強度の増 大は、Siナノワイヤで起こる部分的な光閉じ込めによる励起光の強い散乱9,18,19によって 引き起こされる。

95

500 510 520 530 540

Raman Shift (cm

-1

)

In te n si ty ( a rb . u n it s)

Bulk Si SiNWs

1%

2.5%

5%

7.5%

10%

12.5%

15%

519.4 cm-1

(a)

0 5 10 15 20

N (%)

R a ma n i n te n si ty ( a rb . u n it s) (b)

0.5 1.0

Fig. 4.16

96

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