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第 8 章  その他

CQ 8- 3 非腫瘍性大腸ポリープの診断と取り扱いは?

ステートメント 推奨の強さ

(合意率) エビデンス レベル

● 非腫瘍性大腸ポリープは,過誤腫性ポリープ,炎症性ポリープおよ び過形成性ポリープに分類される.それらの多くは摘除の必要はな いが,出血や腸重積の原因となる場合や,腺腫や癌などと鑑別が困 難な場合,内視鏡的摘除を行うことを提案する.

2

(100%) D

解説

腫瘍性ポリポーシスには,家族性大腸腺腫症(Gardner症候群を含む),Turcot症候群があり,

過誤腫性ポリポーシスには

Peutz-Jeghers

症候群,若年性ポリポーシス,Cowden病がある.非 遺伝性の非腫瘍性ポリポーシスには炎症性ポリポーシス,過形成性ポリポーシス,リンパ濾胞 性ポリポーシス,Cronkhite-Canada 症候群がある(表 1).

主要な大腸ポリポーシスである家族性大腸腺腫症や

Peutz-Jeghers

症候群,若年性ポリポーシ ス,Cowden病などの遺伝性腫瘍においては,特徴的な臨床病理学的な特徴を有しており,疾 患概念が確立している1~11)

一方,有病率の低い疾患や非腫瘍性疾患は概念が確立していないものや分類の困難な場合が ある.また,極めて稀少な疾患については,症例の集積が低くエビデンスの質は低い.さらに,

multiple lymphomatous polyposis

や結節性硬化症など全身性疾患の一分症として大腸病変を有 するため,個体差により,典型的な大腸病変を有さない場合があり,分類が困難な場合がある.

孤在性の

Peutz-Jeghers 症候群や若年性ポリポーシスはポリープ数が少なく,大腸ポリポーシス

と診断が困難な場合がある.さらに最近では分子生物学的な分類も試みられており,疾患概念,

用語が変わる可能性がある.

大腸ポリポーシスにはどのようなものがあるか?

CQ 8-4 大腸ポリポーシスにはどのようなものがあるか?

ステートメント

● 大腸ポリポーシスは遺伝性の有無,および,腫瘍性か否かにより大きく分類される.遺伝性ポ リポーシスには腫瘍性ポリポーシスと過誤腫性ポリポーシスがある.

 表 1 大腸ポリポーシスの分類

遺伝性 腫瘍性 家族性大腸腺腫症

(Gardner 症候群)

Turcot 症候群

attenuated FAP / MUTYH 関連ポリポーシス 過誤腫性 Peutz-Jeghers 症候群

若年性ポリポーシス症候群

Cowden 症候群 / Bannayan-Riey-Ruvalcaba 症候群

(hereditary mixed polyposis 症候群)

非遺伝性 非腫瘍性 Cronkhite-Canada 症候群 炎症性ポリポーシス 過形成性ポリポーシス リンパ濾胞性ポリポーシス

文献

1) 桑木光太郎,唐原 健,河野弘志,ほか.小腸疾患 2008―全身性疾患の部分症としての小腸病変―ポリ ポーシス症候群.胃と腸 2008; 43: 679-685(ケースシリーズ)

2) Sweet K, Willis J, Zhou XP, et al. Molecular classification of patients with unexplained hamartomatous and hyperplastic polyposis. JAMA 2005; 294: 2465-2473(横断)

3) 小西文雄,武藤徹一郎,沢田俊夫,ほか.大腸ポリポーシス―大腸ポリポーシスの分類と診断.外科 1986;

48: 669-678(ケースシリーズ)

4) 三木義男,宇都宮譲二.腸とその病変 今日の進展―大腸ポリポーシスの分類―合併症とその新しい展開.

医学のあゆみ 1988; 147: 482-486

5) Tops CM, Vasen HF, van Berge Henegouwen G, et al. Genetic evidence that Turcot syndrome is not allelic to familial adenomatous polyposis. Am J Med Genet 1992; 43: 888-893(ケースシリーズ)

6) Rubio CA, Jaramillo E, Lindblom A, et al. Classification of colorectal polyps: guidelines for the endo-scopist. Endoscopy 2002; 34: 226-236(ガイドライン)

7) Jass JR. Colorectal polyposes: from phenotype to diagnosis. Pathol Res Pract 2008; 204: 431-447(ケースシ 8) リーズ)Haggitt RC, Reid BJ. Hereditary gastrointestinal polyposis syndromes. Am J Surg Pathol 1986; 10: 871-887

(ケースシリーズ)

9) Carvajal-Carmona LG, Howarth KM, Lockett M, et al. Molecular classification and genetic pathways in hyperplastic polyposis syndrome. J Pathol 2007; 212: 378-385(ケースシリーズ)

10) 宇都宮譲二,黒木輝幸,三木義男.[大腸疾患の臨床]大腸ポリープ,ポリポーシスの概念定義,分類,疫 学.日本臨牀 1988; 46: 314-325(ケースシリーズ)

11) 宇都宮譲二,松本正道.大腸ポリープとポリポーシス―大腸ポリポーシスの概念と分類.臨牀消化器内科 1987; 2: 1717-1735(横断)

解説

家族性大腸腺腫症(FAP)では,APC遺伝子変異の有無や変異の部位によって病態が異なるこ とがケースシリーズとして報告されている.

FAP

のなかでAPC遺伝子変異陽性の群では,遺伝子変異陰性の群と比較して,大腸ポリープ の診断年齢が若く,ポリープ数が 1,000 以上の症例や胃十二指腸ポリープを認める症例が有意に

多い1, 2).また,APC遺伝子変異の部位による影響としては,codon1250 よりも 5’側に変異があ

る群と比較して,codon1250 よりも 3’側に変異がある群で残存直腸の再手術率が高いこと3),十 二指腸腺腫の有病率がAPC遺伝子の変異が

exon1-9 にある群と比較して,exon10-15 に変異が

ある群で有意に高いことが報告されている4)

FAP

の腸管外病変は,APC遺伝子変異陽性の患者で頻度が高いとされている.逆に,消化管 外の癌や類表皮囊胞のある症例ではAPC遺伝子の変異陽性率が有意に高い5).また,網膜色素 上皮過形成はAPC遺伝子の

exon9 に変異がある群と比較して,exon15 に変異がある群で有意

に有病率が高いと報告されている6)(CQ8-7 参照).

その他のポリポーシスに関しては,遺伝子変異の有無と病状との関連に対する十分な臨床研 究はない.

文献

1)Chiang JM, Chen HW, Tang RP, et al. Mutation analysis of the APC gene in Taiwanese FAP families: low incidence of APC germline mutation in a distinct subgroup of FAP families. Fam Cancer 2010; 9: 117-124

(ケースシリーズ)

2)Heinimann K, Müllhaupt B, Weber W, et al. Phenotypic differences in familial adenomatous polyposis based on APC gene mutation status. Gut 1998; 43: 675-679(ケースシリーズ)

大腸ポリポーシスにおける遺伝子診断の臨床的意義は何か?

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