2.5 臨床に関する概括評価
2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論
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BP 系製剤の経口投与はバイオアベイラビリティーが低いため,患者によっては期待される 血中濃度が得られない場合が想定されるのに対し,本剤はボーラス投与で確実な血中濃度 の確保が可能となる。
(3) 1カ月に1回のボーラス投与であることから,確実な投与が可能で,高いコンプライアンス
が期待できる。また,患者及び医療従事者に対し利便性が高い。
1) 経口投与と異なり医療機関で投与されることから,確実に投与が行われ,投与状況を把握 できる。
2) 国内における骨粗鬆症患者の来院頻度は1カ月に1回が多く,来院に合わせて投与でき,患 者においても利便性が高い投与方法である。また,経口 BP 系製剤の服用時の煩雑な制約
(起床後空腹時服用,並びに服用後の30分間の立位保持及び飲食物摂取禁止)から解放さ れ,患者の負担が少なくなる。
これらのことから高いコンプライアンスの維持が期待できる31)。
(4) ボーラス投与であり,粘膜刺激による上部消化管障害の発現の可能性は低い。
経口 BP 系製剤では,投与時に上部消化管粘膜に接触し刺激性があるため,食道狭窄又は アカラシア等の食道通過障害のある患者は禁忌とされ,また,嚥下困難,食道炎,胃炎,
十二指腸炎又は潰瘍等の上部消化管障害のある患者に対して慎重投与とされている。本剤 はボーラス投与であることから,直接上部消化管粘膜に触れることはないため上部消化管 障害がある患者にも投与可能であると考える。
(5) 寝たきり,認知症,起床時の服用ができない等,経口 BP 系製剤の服用が困難な患者にも使 用できる。
経口 BP 系製剤では,起床時に服用し,服用後少なくとも30分は立位又は座位を保持しな ければならず,寝たきり,認知症,嚥下困難,起床時の服用ができない等の理由で服用が できない患者が存在する。注射剤である本剤は,このような患者にも投与が可能で効果が 期待できる31)。
(6) ボーラス投与であり,点滴投与と比べて患者及び医療従事者の負担が少ない。
(7) プレフィルドシリンジに充填されており,調剤の手間がなく,細菌汚染・異物混入,投薬 調整時の過誤の防止が期待できる。
(8) 男性骨粗鬆症患者に対しても有効性が期待できる。
男性においても,腰椎(L2-L4)BMD の変化率及び尿中補正 CTXで女性に匹敵する効果が 認められ,椎体骨折抑制効果も期待できる。安全性においても有害事象発現プロファイル は女性と大きく異ならなかった。
2.5.6.3 リスク
本剤1 mg投与は0.5 mg投与と同様に,プラセボ又はRISの連日投与に比しAPR様症状の発 現率は高いが,これら以外の有害事象の発現率については大きく異ならず,本剤に特有で何ら かの対処が必要な有害事象は認められなかった。
イバンドロン酸を含むすべての窒素含有 BP 系製剤の間欠投与の初回投与後に,一部の患者 において,集合的に APR と呼ばれる一過性の症状が発現することが知られている。第Ⅱ/Ⅲ相 臨床試験(JA19761)において,APR 様症状(注射剤投与後3日以内に発現し,発現期間が7日 以内)の発現率は初回投与後は1 mg群で6.6%とRIS群の1.7%より高かったが,1カ月目以降は
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RIS群と同程度に減少した。APR様症状はほとんどが軽度で高度に至ることはなく回復が確認 された。このように,APR については,2回目以降の投与時にはほとんど認められず軽度で一 過性の症状であり,管理可能であることから大きな問題となることはないと考える。
以下に,BP 系製剤の添付文書に共通して記載され,投与経路に依存しないことから本剤に も注意が必要と考える低カルシウム血症,顎骨壊死及び非定型大腿骨骨折について,また,
Roche 社の CDS において注意喚起されているアナフィラキシーに関連する有害事象について,
発現頻度及び対処法を記載する。
低カルシウム血症について,国内で実施した試験では,血清カルシウムの低い患者は除外し,
試験中はカルシウム及びビタミン D3製剤を併用補助薬として投与していたこともあり,低カ ルシウム血症は認められなかった。ただし,BP 系製剤の骨吸収抑制作用により血清カルシウ ムが低下することが考えられるため,低カルシウム血症の患者は禁忌とするとともに,添付文 書の「重要な基本的注意」の項に,事前の治療及び本剤投与中も必要に応じてカルシウム及び ビタミンDを適切に補給するよう注意を促す記載を行う。
顎骨壊死について,国内外ともに臨床試験では認められず,海外の市販後投与例を含めた発 現率は,約2.1例/1,000,000例と推定されている。非定型大腿骨骨折についても,国内外で実施 した臨床試験では発現はなく,海外の市販後投与例を含めた発現率は,0.3例/1,000,000例以下 と推定されている。また,顎骨壊死及び非定型大腿骨骨折とイバンドロン酸を含む BP 系製剤 との因果関係については結論がでていない。非定型大腿骨骨折については,国内で日本整形外 科学会により全国調査が行われたが,BP 系製剤との関連性については最終結論には至ってい ない32)。今後とも,顎骨壊死及び非定型大腿骨骨折については,情報収集に努め,適切に対応 していく。更に,本剤申請時点では,これらの事象はすべての BP 系製剤に発現する可能性は 否定できず,本剤の添付文書の「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項に,他剤と同 様の注意喚起を行う。
アナフィラキシーショック又はアナフィラキシー反応等のアナフィラキシーに関連する有害 事象は,国内の臨床試験では認められなかったが,海外の市販後の自発報告で46例(死亡4例 を含む)が報告され,その内注射剤は35例(死亡4例を含む)で発現頻度は2.7例/100,000例と 推定された。このように,イバンドロン酸投与例におけるアナフィラキシーに関連する有害事 象の発現頻度は非常に低く,また,海外では他の BP 系製剤においてもアナフィラキシーに関 連する有害事象の報告があり,イバンドロン酸に特徴的なものではないと考えられるが,イバ ンドロン酸との関連を完全には否定することができないため,「重大な副作用」にて注意喚起 を行う。
以上,本剤間欠ボーラス投与では,既存の窒素含有BP系製剤の連日経口投与に比しAPRが 多く発現する傾向があるものの軽度であり,その他の有害事象については既存の窒素含有 BP 系製剤と比べてリスクが増大することはないため,類薬と同様の注意喚起を行い,適切に対処 することにより臨床使用が可能であると考えられた。
2.5.6.4 結論
本剤は,月1回のボーラス投与で治療が可能な唯一の窒素含有 BP 系製剤であり,既存の BP 系製剤と比べ,臨床上問題となるようなリスクを増大させることなく,同等か又はそれ以上の 骨粗鬆症による骨折発現を抑制する効果が期待でき,骨粗鬆症に対する治療の幅を広げること に貢献できる新規の骨粗鬆症治療薬であると考える。
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