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2 教育活動 .1 概況

2.7 学際情報学府以外の教育活動

2.7.4 ベネッセ先端教育技術学講座(寄付講座)

ベネッセ先端教育技術学講座では、教育活動として以下の2点に力を入れた。

・学際情報学府の教育活動との有機的連携

ベネッセ先端教育技術学講座(BEAT)での研究プロジェクトおよび社会還元的教育活動(公開講座、

メールマガジン発行、webサイト運用)に対する学際情報学府の大学院生の参加を奨励し、研究プロジ ェクトおよび社会還元的教育活動がそのままプロジェクト学習の基盤になるような工夫をした。その中 で特に研究プロジェクトに関心を持った学生については、研究プロジェクトの中で修士研究を行うなど の配慮をすることにより、先端教育技術に関する教育活動の拠点として確立した。

・公開講座による社会還元的教育活動

一般社会に対して、先端教育技術に関する知見やノウハウの教育活動を行うため、3ヶ月に1回のペ ースで公開研究会 BEAT セミナーを開催した。2012年度に開催された公開研究会は、以下の通りであ る。

第1回:子どもとデジタル絵本(2012年6月2日)

第2回:安心して学べるソーシャルメディア環境(2012年9月1日)

第3回:スマートテレビが変える家庭学習(2012年12月1日)

第4回:変革期を迎えた学習プラットフォーム(2013年3月23日)

2012 年度はのべ 700名を超える参加者が公開研究会に参加した。この中には、学生・大学教員に加 え、教材開発を行っている社会人も数多く含まれており、デジタル時代の学習コンテンツ・システムに 関する最新の知見を伝える機能を果たした。

なお、ベネッセ先端教育技術学講座(BEAT)は2012年度をもって終了となる。2004年発足以来実 施されたプロジェクトにおける研究業績等については、情報学環・福武ホールwebサイトのもとでのア ーカイブ化を進めている。

2.7.5 「情報技術によるインフラ高度化」社会連携講座

「情報技術によるインフラ高度化」社会連携講座は平成 21年 4月1日に開設され、現在、首都高速 道路株式会社、東京地下鉄株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社日立製作所と東京大学大学院 学際情報学府総合分析情報学コースを中核として運営されている。また、日本電信電話株式会社、アビ ームコンサルティング株式会社及びユビキタス情報社会基盤研究センターも協力している。本講座は、

情報技術を活用した施設管理等に関するマネジメントを高度化するとともに、新たな情報基盤を活用し た新たなビジネスを創出し、インフラ・イノベーションの実現を目指す。また、こうした目的を達成す るため、シーズとニーズ、技術と運用、理論と実践といった様々な知識や経験を結合し、新しい価値を 生み出す実践的な研究プラットフォームの確立を目指す。設立された平成21 年度より、毎年4月に研 究成果を発表するシンポジウムを開催している。

2.7.6 「アジア・グローバリゼーション・スタディズ」若手研究者育成プログラ ム

本事業は、1)アジアのメディア環境がどのように歴史的に変化し、2)その変化に対してアジア諸 国はどのように対応しているのか、3)新たなメディア環境が政治・経済・文化にもたらす可能性と限 界は何かなど、グローバリゼーションに伴って生じるアジアの新たな情報社会のありようを探究する若 手研究者を養成することを目的としている。

具体的には教員のイニシアチブにより学生の海外経験値を高める国際共同プロジェクトと、学生自身 の提案・イニシアチブによる個人プロジェクトの2つを立ち上げ、前者については教員による意見の公 募と、後者については毎年、春と秋の2度学内公募を行い、これらの情報の管理を行うためにプログラ ム運営委員会を立ち上げ、プロジェクトの情報提供ならびに、個々のプロジェクトの実施状況について チェックする役割を担った。採択プロジェクトおよびその成果については、すべて以下のホームページ に収録されている。(http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/daikokai/)

申請段階では、4年の間に、若手研究者36名(うち長期派遣者30名)と大学院生96名、合計132 名の派遣を計画していた。しかし、実際には若手研究者の派遣は7名(うち長期派遣者は5名)、大学 院生の派遣は82名(うち長期派遣者は2名)、合計89名を送りだせたにすぎない。合計89名の学生派 遣の内訳は、個人プロジェクトが25名で、残り64名は国際共同プロジェクトの実施に伴う派遣であっ た。個人プロジェクトの応募者は採択者の3倍以上いたが、公的資金を利用して海外に行くことの意味 を十分に理解してもらいたいという趣旨から、特に大学院生たちから出された申請書は厳しくチェック したため、全体の派遣学生数が当初の予想より抑えられる結果になった。また、長期派遣に関しては、

若手研究者たちが他の業務で忙しく、2か月以上日本を開けることがきわめて難しかったことが大きな 原因と見ている。

国際共同プロジェクトでは吉見、林、園田、田中(秀幸)、石田、佐倉の6名が関わった。個人プロ ジェクトに関しては、多くが国際会議での報告を目的としていたが、訪問先での文献収集やフィールド ワークなどの活動も行われている。他方、国際共同プロジェクトに関しては、ソウル大学との共同プロ ジェクトが3件、台湾大学との共同プロジェクトが2件、清華大学との共同プロジェクトが1件、嶺南 大学での国際学会参加が2件と東アジア諸大学との関係を利用したものが多かった一方で、UC バーク レーやフランス・ポンピドゥーセンターとの共同プロジェクトもあった。

4年にわたる本事業を通じて、以下のような成果を得ることができた。

1) ソウル大学との定期的な交流を継続的に行うことによって、英語で報告することに躊躇を見せ ていた日本人学生たちも、以前よりは多くが交流活動に参加するようになった。

2) 学生たち、特に留学生たちに、国際学会や海外での報告機会を利用して知的刺激を得ようとす る態度が涵養された。

3) 個人プロジェクトの公募によって、学生たちは申請書を作成し、みずからの海外活動の必要性 を説得的に説かねばならない訓練を受けた。プログラム運営委員会は、相当数の学生の申請書を厳 しく評価したが、こうした機会を通じて、学生たちは外部資金を獲得することの必要性とむずかし さ、そして何よりどうすれば外部資金を得られるかを学習する機会を得た。

4) 国立台湾大学、Duisburg-Essen 大学などを皮切りに、制度的な交流に着手した。これらは今 後の国際展開力強化のための布石と位置付けたい。

5) 教員側において、国際交流を通した教育活動の意義と重要性を共有することができた。

6) 教員も学生も、大学院教育の国際化のための「ソフト・スキル」習得の重要性への認識を新た にした。学生たちは自ら主体的に学び取る「ラーニング」の態度を獲得し、さらにその学びを自ら 積極的に表現する「プレゼンテーション」能力も極めて重要であるという認識が、少なくとも一部 の教員や学生の間において確実に芽生えた。今後は、プレゼン能力を強化するアカデミック・コミ ュニケーション授業の一層の強化や、国際ワークショップを自ら企画、立案、開催することによっ て単位授与をする仕組みづくりなど、グローバルに活躍する若手研究者育成に欠かせない新たなカ リキュラムが構想されている。

3.研究活動 3.1 概況

研究組織としての情報学環は、異領域の出会いの場である。同じ学問領域の研究者が集まり、その集 積性によってその学問領域の体系化を図り、またそれまで解決できなかった問題に突破口を開こうとす る目標の立て方とやり方が存在する。しかし、情報学環は違う目標をもっており、違うアプローチを採 っている。情報学環は社会情報学の深化及び学際情報学の展開という新しいフロンティアを創出すると いう目標をもっており、異なった学問領域の研究者に出会いの場を提供し、異種交配と相互越境という やり方によって、それを達成しようとしている。そのような研究組織は規模においてそれほど大きいも のである必要はないが、しかし特有の研究組織論が必要とされる。

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