2 教育活動 .1 概況
2.3 カリキュラム支援体制
大学院学際情報学府では、上記のカリキュラムを大学院教育の基軸に据えながら、以下のような教育 上の支援体制を組織し、運営している。
2.3.1 主指導教員・副指導教員の配置
学際情報学府では、指導教員の個別研究指導に加え、副指導教員による側面からの研究指導という複 眼的な指導体制を整えている。情報に関する研究は、専門的であると同時に学際的な性格をもつため、
既存の単一の学問分野の知識だけでは適切に対応できないことが多い。学際情報学府では、既存分野の 専門的な知識や方法を十分に身につけつつ、それらを複眼的に結びつけて新しい情報研究に挑む若手研 究者を効果的に育てるために、従来の指導教員による指導だけでなく、副指導教員を加えた指導体制を 採用している。この体制は、学生の視野を広げ、より柔軟な学問的展開を可能にするといった効果を挙 げてきた。
2.3.2 修士・博士 研究計画書の作成
学際情報学府の大学院生は、修士1年及び博士2年の段階で、自分の研究計画書を作成する。このう ち修士1年の段階での研究計画書は、修士論文に向けての対象設定、およその研究視角を示す概要的な ものであり、提出された計画書は、修士1年生全員がお互いの研究テーマについての認識を共有するた めの冊子にまとめられる。博士2年での研究計画書は、その学生が博士論文を執筆していくための第一
歩となる。
2.3.3 修士課程研究構想発表会
研究構想発表は、学際情報学府修士2年生が新年度の最初におこなう教育行事である。修士1年生の 間に進めてきた学習や研究の成果をまとめ、約1年後に提出する修士論文の構想や進捗状況について発 表する。この発表は、学際情報学府に所属する教員と学生に対して行われるもので、各自が研究の内容・
計画をポスター発表(バザール)形式で行う。
1日を数セッションに分けて実施され、教員や在学生の他、発表者も自分の発表のないセッションでは 聞き役に回り、コメントシートを提出する。
発表者は、このような中間総括と相互評価のプロセスを経ることで、修士論文に向けた残り1年間の 研究をより一層充実させるための手がかりを得ることとなる。また、学際情報学府の新入生もオンライ ン発表を閲覧し、オフライン発表会の聞き役となることで、学府における研究の内容や修士論文に向け たプロセスについて具体的なイメージをつかむことができる。
2.3.4 修士論文中間発表会
学際情報学府では、多くの修士2年の学生が修士論文執筆に本格的に取りかかる7月上旬に修士論文 中間発表会を開催している。この発表会では、その年度に修士論文を提出するすべての学生が自分の研 究の進捗状況を発表しなければならないことになっており、指導教員や福指導教員だけでなく、関連分 野の教員や他の学府の大学院生が発表会に参加する。教務委員会は、それぞれの教員のスケジュールを 調整して、90名超に及ぶ発表者の全体の進行表を作成し、中間発表会全体を組織する。この発表会には、
学府の院生は誰でも参加することができるので、修士1年の院生たちにとっては、先輩たちがどのよう な研究を進めているのかについて広く知る貴重な機会となっている。
2.3.5 博士課程コロキウム
学際情報学府では、博士課程に在籍している学生を対象に、毎年 11 月上旬に博士課程コロキウムを 開催している。このコロキウムでは、博士課程3年までに在籍しているすべての学生が、博士論文執筆 に向けての研究の進捗状況を発表しなければならない。教務委員会は、それぞれの教員のスケジュール を調整して、90名超に及ぶ発表者の全体の進行表を作成し、博士課程コロキウム全体を組織する。この コロキウムには、学府の院生は誰でも参加することができるので、博士課程の学生たちにとっては、他 の学生たちがどのような研究を進めているのかについて広く知る貴重な機会となっている。
2.3.6 E-learning授業(iiionline)
2.3.6.1 iii online の目標
iii onlineは2002年4月に始まった学際情報学府のeラーニングサイトである。iii onlineは、学部・
研究科レベルでは東京大学初のeラーニングサービスである。
eラーニングを開始した最大の理由が、社会人大学院生の学習機会の確保である。
学際情報学府は独立大学院であるために、多種多様な学生が集まっている。2003 年度までは、実践
情報学コースという社会人学生をターゲットとしたコースが設けられており(現在は、社会人特別選抜 枠に変更)、マスコミ関係者やシステムエンジニアなど、学生の2割程度が社会人という状況であった。
学際情報学府に入学する社会人は、銀行や製造業につとめている一般的な社会人に比べ、比較的時間に 自由がきく代わりに、忙しくなる時期とそうでない時期が交互にやってくる。たとえば、広告代理店に 勤めている場合、コマーシャルの撮影などで1ヶ月間は仕事が超過密スケジュールで入るが、企画段階 ではそれほど時間に制約がないという状態である。
このような状況では、講義に毎回出席することは難しくなる。iii onlineが始まる前は、出席しなけれ ば自動的に欠席になり、全く講義の情報が手に入らない状態であった。2 回、3 回と欠席が続けば、当 然講義の理解に影響が現れてくるので、教育水準の確保上、大きな問題となっていた。
通常社会人向けの大学院では授業を夜間に開講することによって、この問題を解決している。しかし、
フルタイムの学生は昼間に授業が開講されることを望んでおり、学際情報学府で授業を夜間に持ってく ることは、非現実的であった。
2.3.6.2 iii online の概要
iii onlineはこのような問題を解決するために、ビデオのストリーミングと掲示板を組み合わせたサー
ビスを提供している。ビデオのアイコンを押すと、およそ 15 分 6 つにカットされた授業の映像を見 ることができる。ストリーミングは FlashVideo 形式 500kbps エンコーディングで行っている。
FlashVideo形式を選んだのは、利用者としてWindowsユーザー、Macユーザー、Linuxユーザーが混
在しているからであり、エンコーディングレートは、ブロードバンドで十分スピードがでない場合でも 対応できるという観点から設定してある。
15分にカットしたのは、90分の映像を一気に見るのは大変だからである。利用者アンケートからも、
朝30分、会社の休憩時間に30分、夜帰ってから30分見ると行ったような分割視聴が日常的に行われ ていることが明らかになっている。
ビデオは、パワーポイント連動型ではなく、カメラで撮影したものをそのまま流している。理由はパ ワーポイントを使う授業スタイルを教員に押しつけるのは良くないと判断したからである。OHP を使 う人もいれば、ホワイトボードの方がインタラクティブにできるという教員もいる。そういう多様な授 業スタイルを認めなければ、e ラーニングを導入すると、かえって授業がやりにくくなるということに なりかねない。日常的にeラーニングを展開する場合には、「eラーニングだから」といった制約条件を 減らすことが重要である。
データのアイコンを押すと、授業の資料を見ることができる。資料はすべて PDF ファイル形式にし てある。これも前述の通りユーザー側が多様な環境にいるためである。
アンケート調査では、実際に利用するときには、この PDF ファイルを印刷し、それをノートとして 使いながら授業を聞いている。
図 2-3-6-2-1:iiionline の画面
表 2-3-6-2-2:iiionline で閲覧可能な授業の一覧
配信年 講義名 授業者
2002 自然言語処理論 辻井潤一
コミュニケーション・システム 原島博
メディア表現論 水越伸
情報政策論 浜田純一
学際情報学概論 オムニバス
2003 情報リテラシー論 山内祐平
情報記号論 石田英敬
情報進化論 佐倉統
シミュレーション・システム 荒川忠一
2004 学際情報学概論 オムニバス
文化・人間情報学基礎 水越伸・山内祐平
医療福祉情報学 山本隆一
社会情報システム 松浦幹太
2005 学際情報学概論 オムニバス
ネットワーク経済論II 田中秀幸 学際理数情報学概論VI 鈴木高宏
2006 学際情報学概論 オムニバス
身体行動情報論 深代千之
能動情報論 奈良高明
2007 学際情報学概論 オムニバス
学習環境デザイン論 山内祐平
歴史情報論 本郷和人
2008 学際情報学概論 オムニバス
学際理数情報学特論IX 大島まり 文化・人間情報学特論V 前田幸男
2009 学際情報学概論 オムニバス
組織学習システム論Ⅱ 中原淳
科学技術コミュニケーション論 鈴木高宏・大島まり 佐倉統 ・丹羽美之
2010 学際情報学概論 オムニバス
総合分析情報学特論 XI 堀 里子 ネットワーク経済論 (2010) 田中 秀幸
2011 学際情報学概論 オムニバス
ネットワーク経済論 (2011) 田中 秀幸
歴史情報論 本郷 和人
2012 学際情報学概論Ⅰ オムニバス
学際情報学概論Ⅱ オムニバス