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第 5 章 後期の活動 23

5.3 プロトタイピング

5.3.1 ネットワーク状の表示を考えた理由

我々の脳は、意味ネットワーク・モデルという概念モデルによって意味記憶を行っているとされ ている。階層的なネットワークを構成するこのモデルでは、個々の概念に対応するざまざまなノー ドが連結して記憶している5.1。人間の脳の働きをタッチパネル上で表示するものを開発すること で、認知的経済性の高い表示しシステムを作ることを考え、実装した。

5.1 意味ネットワークモデルの概念図

(※文責:山本貴文)

5.3.2 sly.js を用いた表示プロトタイプ制作

 d3.js以外にも,私達は別の表示方法の検討を行った.それがsly.jsである.sly.js,表示の形式 をネットワーク図にする決定を下す前に検討したフレームワークで,Appleが制作するソフトウェ アに含まれる,CoverFlowに似ている動きをWebブラウザ上で簡単に作成することが出来る.sly.js を利用したプロトタイプも制作したが,表示方法の変更に伴い,sly.jsの開発を取りやめた.

5.2 sly.jsのプロトタイプ

5.3.3 d3.js を用いた表示プロトタイプ制作

 本グループは,プロトタイプ制作の段階で,d3.jsの利用を試みた.

d3.js とはデータの可視化に特化した Javascript ライブラリの一つである. データを用いて

HTMLCSSを操作することが可能である.

 本を基にネットワーク図を描画することにより,本の検索や本の関連性を発見することを促す インタラクションを生むことが出来るのではないかと考えた.

そこで,制作したプロトタイプが以下である5.3.タッチディスプレイの左側部分は本,本に関す るキーワードを表示し,右側部分には本の詳細を表示している.本をタップすると,詳細部分に書名, 著者,キーワード,棚番号,貸出可否が表示される.表示されている本とキーワードのノードには, 力やノード同士の作用が設定されており,引っ張ると伸びるなどのインタラクションが実装されて いる. 本とキーワードを表示することは,人間の認知心理に基づいている.人間の認知過程同様[1]

キーワードから木構造のようにネットワークを構築することで,興味のある本との出会いを促進で きるのではないかと考えた.

(※文責:林貴洋)

5.3 d3.jsのウェブサイト

 本を基にネットワーク図を描画することにより,本の検索や本の関連性を発見することを促す インタラクションを生むことが出来るのではないかと考えた.そこで,制作したプロトタイプが以 下である5.4.

5.4 d3.jsのプロトタイプ

 タッチディスプレイの左側部分は本,本に関するキーワードを表示し,右側部分には本の詳細を 表示している.本をタップすると,詳細部分に書名,著者,キーワード,棚番号,貸出可否が表示され

る.表示されている本とキーワードのノードには,重力やノード同士の作用が設定されており,引っ 張ると伸びるなどのインタラクションが実装されている.

(※文責:林貴洋)

5.3.4 Django を用いた閲覧システム

今回開発したシステムは,Pythonを用いて開発された.また,PythonによるWebサイト構築の フレームワークとして「Django」を用いて作成した.Djangoを採択した理由として,入力フォーム を作成するコストが大幅に圧縮できること,本の纏まり等のデータを保持するデータベースとの連 携が行いやすいこと,フレームワークとして様々な場所で利用されているため,コードのサンプル や資料,書籍が豊富にあるため等があげられる.

(※文責:山本貴文)

5.5 Djangoのウェブサイト

入力フォーム

今回,図書館司書に実際に利用してもらうために,データの更新を極力図書館司書のみが行える システムづくりが必要であった.その為,データベースにSQL文を叩くなど,コンピュータ技術 者にしか扱えない方法ではなく,Webブラウザベースで本のグループ,返却情報を登録できる入力 フォームを開発した.

(※文責:山本貴文)

5.3.5 Wordnet を用いた本のキュレーションシステム

Djangoで表示するデータとして,本の借り主が返却棚に同時に返した本をひとつのグ ループ

とし,様々な本の借り主が返却した本のグルー プをネットワーク状に表示するものを考えた.

5.6 入力フォーム

た,本学図書館にある既存の検索システム「OPAC」 には,書籍ごとに書籍の関連キーワードが登 録されており,この関連キーワードを基に本のキュレーショ ンを行うことを私達は考えた.そこ

で,Wordnetとよばれる単語の概念を辞書にしたものを利用して,本のグループ同士の関連性を抽

出した.

Wordnet

Wordnetとは,意味辞書,概念辞書と呼ばれ,単語の物事の概括的な意味内容を保持する辞書

のことである.Wordnet は直感的に使うことのできる辞書と言語の語彙が組み合わされたデータ ベースを作ること,また自動的に行う文書解析やAIアプリケーションの実現を支援することであ

る.WordnetBSDライセンスによって全世界中に公開されており,自由にダウンロードして自由

に用いることが出来る.    

   

5.7 Wordnetのウェブサイト    

データマイニングの方法

データマイニング下記のように行った.

1. Wordnet に本グループのすべての本の関連キーワード入力し,返却棚にまとまって返された

本のグループの意味を分析できるデータとして抽出する.

2. 本のグループに含まれる,それぞれの本の関連キー ワードのすべての意味を抽出する.比較 対象とする別の本のグループに含まれる本の関 連キーワードからも意味を抽出した後,キー

ワード の意味を相互に計算して,得られた数値を用いて, 本のグループ同士の関連性を導き 出す.

3. 本のグループ同士の関連性を導き出す. 算出された数値が高ければ,比較したグループの関 連 度が高く, 数値が低ければグループ同士の関連度は低い といえるようになった.

私達が制作した表示システムで は,関連度の高い本のグループ同士を近づけ,ユーザー の意図を正 確に把握し,ユーザーのニーズにぴったり一 致するものを返すシステム開発を心がけてきた.

(※文責:山本貴文)

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