ここでは、簡単なプログラムを基礎から理解することを目的として説明する。
BIACORE のプログラムは基本的に1つの MAIN ボックスと1つあるいは複数個
のDEFINE APROGボックスから成り立っている。MAIN ボックスは、Methodの 諸条件を決め、DEFINE APROGボックスで実際の実験操作を行う。どちらのボッ クスも最後の行にENDを入力してボックスを括る。
ステップ1: MAIN ボックス
1つのプログラムには必ず 1つだけのMAIN ボックスが存在する。MAIN ボック スの内容は、上のコマンドから順次実行する。プログラムはMAINボックスだけ で動かすことができる。非常に簡単なMAINボックスのみのプログラムを示すと 次のようになる。
File New Method をクリックし、新しいMethodボックスを開き、プログラムを 入力する。
MAIN
DETECTION 1
END
Run Run Method… をクリックすると、プログラムを実行する。モニター画面
上の右下、 Status windowのDETECTIONが1に設定されすぐにプログラムが終 了する。このように、MAINボックス内のコマンドを実行する。
次に、このMAINを少しだけ複雑にする。以下のプログラムを入力する。
同様にRunさせる。
MAIN
DETECTION 1 DETECTION 2 DETECTION 3 DETECTION 4 END
RunさせるとDETECTION 1 → 2 → 3 → 4と切り替わり終了する。
このように、MAINボックスはコマンドを上から順番に実行していく。
(参考)
MAINボックスだけを使用し、便利な洗浄プログラムを組むことができる。プロ
グラムでWorking Tools中のメンテナンスコマンドを実行することができる。
MAIN
Prime Prime Rinse Rinse END
上記のように入力後、Runさせると、Primeを 2回、Rinse を 2回実行して終了 する。しばらくBIACOREを洗浄したいときに便利である。
このように、プログラム中にMAINボックスが1個あれば、プログラムは実行さ れる。また、MAINボックスがないとプログラムを実行させることができない。
ステップ2: APROGボックス
プログラムはMAINボックスがあればRunさせることができるが、MAINボック スだけではサンプルの添加等の実験操作を行うことはできない。そこで、APROG
(Analysis Programの略)ボックスを使用してこれらの操作を行う。
ここでは、サンプルを1回インジェクトするプログラムを作成してみる。
ラック1のR2A1にサンプルをセットする。このサンプルを1分間インジェクト するプログラムを作成する。
DEFINE APROG injection FLOW 5
INJECT R2A1 5 END
FLOWは流速の設定で、この場合5 μl/minになる。
DEFINE APROG injectionのinjectionとは、このAPROGボックスの名前になる。
このプログラムを入力し、Run → Prerun Methodを行うと以下のような“error”
が表示される。(Prerun Methodは、作成したプログラム言語が正しいかどうか検 索するものである。29ページ参照)。
>> Expecting keyword MAIN
これは、MAINボックスがないというメッセージである。
プログラムはAPROGボックスだけで実行することはできない。
.
次のプログラムのようにMAIN ボックスを使用してAPROGボックスを行う命令 を入力する。
DEFINE APROG injection FLOW 5 INJECT R1A1 5 END
MAIN
DETECTION 1
APROG injection END
まず MAIN ボックスを順番に実行し、APROG injection で上記の DEFINE APROG
injectionが実行される。APROG ボックスが終了するとMAIN ボックスのENDと
なりプログラムが終了する。
DEFINE APROG(名前)と MAIN ボックスの APROG (名前)の名前が一致し ていないとプログラムは実行されない。
APROGを数回繰り返したい場合には、MAINボックスのAPROG injectionを繰り 返したい回数入力する。以下の場合にはAPROGを2回繰り返して実行する。
DEFINE APROG injection FLOW 5
INJECT R1A1 5
END
MAIN
DETECTION 1
APROG injection APROG injection END
これを少し変形すると、APROG injection をフローセルを変えて実行することが できる。
DEFINE APROG injection FLOW 5
INJECT R1A1 5 END
MAIN
DETECTION 1
APROG injection
DETECTION 2
APROG injection
DETECTION 3
APROG injection
DETECTION 4
APROG injection
END
ステップ3: レポートポイント
レポートポイントをとることで、センサーグラムの任意の時間における測定値
(RU)をセンサーグラムの下のレポートポイントテーブルに表示させることが できる。(14ページ参照)
この表がレポートポイントテーブルである。
このようなレポートポイントをプログラムでとることができる。
DEFINE APROG Injection
FLOW 5 0:10 RPOINT 10 sec 0:20 RPOINT 20 sec
0:30 RPOINT 30 sec END
MAIN
DETECTION 1
APROG injection
END
センサーグラムをスタートさせた後、任意の時間でレポートポイントをとりこ む。プログラム中のRPOINTの前の時間がレポートポイントをとりこむ時間とな る。
0:20 RPOINT 20 sec
この場合には、センサーグラム測定開始から20秒後にレポートポイントを作成 することになる。
プログラム中のRPOINTの右側に入力したもの(例えば10 sec、20 sec、30 sec) はコメントなり、表中に表示される。レポートポイントテーブルの AbsResp は グラフ上の値(絶対値)、RelResp は設定したベースラインとの差(相対値)に なる。レポートポイントは設定した時間を中心とした 5 秒間の平均値として計 算される(Window 5)。
(アスタリスクマーク(*)を使用した時間設定の仕方)
レポートポイントの時間をセンサーグラム開始からの時間の設定では紛らわし いので、コマンドの実行開始時間からの設定にすることができる。
DEFINE APROG assay
FLOW 5
* INJECT R1A1 5 0:10 RPOINT 10 sec 0:20 RPOINT 20 sec 0:30 RPOINT 30 sec
* INJECT R1A1 5 0:10 RPOINT 10 sec 0:20 RPOINT 20 sec 0:30 RPOINT 30 sec END
MAIN
DETECTION 1 APROG assay END
例えば、上のプログラムの、
0:10 RPOINT 10 sec は、その直前の
* INJECT R1A1 5
の*印からの時間、つまり R1A1 のサンプルのインジェクション開始時間から 10 秒後にレポートポイントを作成することになる。上のプログラムでは、さら に20秒後、30秒後にレポートポイントをとるようになっている。
(ベースラインの取り方)
サンプルの結合量を表示させる場合には、インジェクトする前の値をベースラ インとし、結合量をベースラインとの相対値で表示させる。
プログラム中のRPOINTコマンドの後に-bと入力すると、
0:10 RPOINT 10 sec -b
そのときの値がベースライン(相対値0)となり、それ以後の値がベースライン との差として表示される。
DEFINE APROG assay FLOW 5
* INJECT R1A1 5 0:10 RPOINT 10 sec -b 0:20 RPOINT 20 sec 0:30 RPOINT 30 sec END
ステップ4: DETECTIONとFLOWPATH
BIACORE 3000 の場合には、4つのフローセルをそれぞれ単独に使用する以外に、
いろいろな組み合わせで直列に流して分析を行うことができる。これを設定す るには以下の2つのパラメーターを設定する。
DETECTION :検出のモード FLOWPATH :流路の設定
DETECTIONは検出のモードのことである(MAINボックスで設定)。 FLOWPATHは流路への流し方である(APROGボックスで設定)。
それぞれは、以下の組み合わせの中から設定できる。
FLOWPATH (APROG) DETECTION (MAIN)
1 1
2 2
3 3
4 4
1,2 1,2 1,2(フローセル1をコントロールとする場合) 2-1
3,4 3,4
3,4(フローセル3をコントロールとする場合) 4-3
1,2,3,4 1,2,3,4 1,2,3,4(フローセル1をコントロールとする場合) 2-1,3-1,4-1 1,2,3,4(フローセル1および3をコントロールとする場合) 2-1,4-3
実験の途中でFLOWPATHを変更することができる。
FLOWPATH 1 FLOWPATH 2