10.1 はじめに
以下には、mXT641TD-ATを使った回路のプリント基板レイアウトを設計する際の注意事項を記載しています。中で も、電源およびグランドトレースに関する注意事項が非常に重要です。
以下の設計規則に従って注意深くプリント基板をレイアウトする事で、製品が正しく機能する可能性が大幅に高まり ます。
10.2 プリント基板
Microchip
社は、mXT641TD-AT
アプリケーション向けに4
層のプリント基板を推奨します。これを慎重にレイアウト する事で、各国の規格および国際的な規格が定めるノイズ放射とノイズ耐性の両方のEMC
要件を確実に満たす事が できます。10.2.1
プリント基板の清浄度一般的に、静電容量式センシング回路には、最新の無洗浄フラックスが使えます。
10.3 電源
10.3.1
電源の品質本デバイスは良好な電源電圧除去比を備えていますが、電圧変動の大きな電源やノイズの多い電源を使うと、性能は 大幅に低下する可能性があります。
デバイス内の繊細なアナログ段に電源を供給しているため、AVdd電源には特に注意が必要です。
10.3.2
電源レールとグランドの配線電源とクロックの配線は、全ての基板レイアウトにおいて最も重要な部分です。このため、これらの配線を済ませた 後に他の部分
(
電源のデカップリング、アナログ信号、高速デジタル信号)
を配線する事を推奨します。インダクタ ンスを低減するため、全ての信号の配線(
特に電源レール)
は可能な限り太くします。電源およびグランドプレーンは有益なコンデンサを形成する事ができます。従って、これらの電源レールの片方もし くは両方を可能な限り銅ベタにします。基板上に孤立した銅箔領域を残さない事が重要です。そのような領域は全て グランドプレーンに接続する必要があります。銅ベタは、基板の最上層と最下層に設ける必要があります。
10.3.3
電源のデカップリングデカップリング コンデンサは、2.3「回路図の注釈」の指定に従って配置する必要があります。
デカップリングコンデンサはできるだけ対応するピンの近くに配置する必要があります。これらのコンデンサから各 デバイスピンへの配線には、太くて直線
(
最短)
のトレースを使う必要があります。また、それらのトレースは、で きるだけグランドプレーンと重なるように配置します。さらに、コンデンサのグランドピンはグランドプレーンに直 接接続します。ESR
とESL
の低さから、リード付きよりも表面実装型のコンデンサを推奨します。多くの場合、これらのデカップ リング コンデンサは、デジタルIC
の真下(IC
実装面とは反対側の基板面)
に配置できます。これにより、トレースを 最短にしてデカップリング効果を最大限に高める事ができます。10.3.4
昇圧回路EXTCAP0
とEXTCAP1
間の昇圧回路コンデンサ(2.0
「回路図」に記載した回路図内のCd)
は、EXTCAPn
ピンにで きるだけ近付けます。最良の昇圧回路性能を得るため、2
本のトレースはできるだけ太く/
短くします。また、エミッ ションを低減するため、それらのトレースは可能な限り互いに近付けて平行に配置します。また、同じ長さにすると 注意! プリント基板上のデバイスまたは関連するトレースおよび部品のはんだ付けを修正するためのリワーク作業を行う場合、使用フラックスの特性を完全に理解する必要があります。吸湿性およびイオ ン性の残渣によるリーク電流は、静電容量式センサの機能を阻害する可能性があります。そのような 疑いがある場合、リワーク後の完全な洗浄が唯一の安全な対策です。
MXT641TD-AT/MXT641TD-AB 1.0
10.4 電圧レギュレータ
各電源レールには低ドロップアウト
(LDO)
電圧レギュレータが必要です。同じ電圧レベルの電源レールは1
つのLDO
を共有できます。図10-1に、LDOの回路例を示します。
図
10-1: LDO
回路例LDO
レギュレータには適切な出力能力、低ノイズ、良好な負荷制御とステップ応答を備えた製品を選定する必要があ ります。表10-1に記載した電圧レギュレータは、maXTouchデバイスに対して良好に機能する事を検証済みです。他 のLDO
を使う場合、以下の性能基準を満たしている事をあらかじめ検証する必要があります。•
大容量積層セラミック コンデンサを使って出力が安定している事• 10 Hz
〜1 MHz
の周波数レンジで出力ノイズが100 µV RMS
未満である事•
負荷過渡応答が良い事 - 100 mAの負荷ステップを与えた時、デバイスの出力端子で35 mV
ピークより小さい事•
無負荷で安定している事LDO
によっては、出力電流が特定の最小レベルを下回わった時に不安定になる事があります。その場合、その最小 レベルはmXT641TD-AT
の最小消費電流(
例:
ディープスリープ中の電流)
より小さい事が必要です。SUPPLY FROM HOST
GND
GND GND
VIN
SHDN VOUT SENSE/ADI
GND
BYP
SUPPLY TO MAXTOUCH DEVICE
表
10-1: 検証済みの LDOレ ギュレータ
メーカー デバイス 電流定格(mA)
Microchip Technology Inc. MCP1824 300
Microchip Technology Inc. MCP1824S 300
Microchip Technology Inc. MAQ5300 300
Microchip Technology Inc. MCP1725 500
Analog Devices ADP122/ADP123 300
Diodes Inc. AP2125 300
Diodes Inc. AP7335 300
Linear Technology LT1763CS8-3.3 500
NXP LD6836 300
Texas Instruments LP3981 300
Note: 一部のメーカーは、非常に小さなコンデンサ(またはコンデンサなし)で正常なレギュレータ動作が得られると主張
しています。しかし、全てのケースにおいて、1.0µF以上の低ESRセラミック コンデンサをそれらのLDOデバイ スの入力と出力で使う必要があります。これらのLODデバイス向けにコンデンサを選定する際は、常にメーカーの データシートに記載されている推奨値、タイプ、誘電率に従う必要があります。
MXT641TD-AT/MXT641TD-AB 1.0
10.4.1
単一電源での動作LDO
を1
つだけ使うアプリケーションのプリント基板を設計する際は、電源とタッチコントローラ電源入力ピンの 間のトレースが短くて低インダクタンスになるよう、特に注意を払う必要があります。理想的には、各電源のトレー スを星形に配置し、LDO
を星形の中心に配置します。これにより、1
つの電源レールの電流変動またはノイズが他の 電源に与える影響を最小にできます。グランドプレーンが現実的ではないアプリケーションでは、この星形配置を電 源のグランド戻り経路にも適用します。単一レギュレータ回路では、定格が
300 mA
を超えるレギュレータを使う必要があります。単一
LDO
を使う場合の配線に関する詳細は、以下のアプリケーション ノートを参照してください。•
アプリケーション ノート:MXTAN0208 – Design Guide for PCB Layouts for maXTouch Touch Controllers
10.4.2
複数のレギュレータを使った電源AVdd
電源はアナログ フロントエンドに直接作用するため、この電源の安定性は本デバイスにとって非常に重要です。LDO
レギュレータを1
個だけ使った場合にノイズの問題が生じる場合、Microchip社はデジタル電源とは別のレギュ レータをAVdd
電源用に使う事を推奨します。そうする事で、影響を受けやすい低信号レベル部に注入されるノイズ の量を削減できます。10.5 アナログ I/O
一般的に、デバイスからのアナログ
I/O
信号配線は、できるだけ短くする必要があります。通常、これらの配線はタッ チスクリーンを接続するためのコネクタへ配線します。適切なグランドプレーンを使う必要があります。デジタル グランドプレーンに加えてアナログ グランドプレーンを 使います。両方のグランドプレーンは分離し、
1
点(
プリント基板への電源入力点)
だけで互いに接続されるよう注意 を払います。通常、これは電源入力コネクタで接続します。10.6 部品配置と配線
重要な信号
(
電源、クロック等)
の配線が最短となるように全てのデバイスを配置する事が重要です。10.6.1
デジタル信号一般的にデジタル信号を配線する際は、アナログ
I/O
など繊細な信号配線、クロックや水晶振動子配線が鋭角に曲が らないように配慮します。不連続部がない事を確実にするために、可能な限り全ての信号には良好なグランドへのリターンパスを用意する必要 があります。
10.7 EMC 等への準拠
以下の推奨事項は必須ではありませんが、