(完全気中工法想定時) 415 322
燃料デブリ 周辺拡大図 PCV
温度分布
2021 年
PCV 温度分布
2031 年
崩壊熱 燃料デブリ Cs-134,137
2021年 44.0kW 4.10kW
2031年 32.9kW 2.40kW
4-40
図4.3.1-5 PCV水位と燃料デブリへのアクセス方向の組合せによる絞り込み
上記の検討結果から、図4.3.1-5の下段枠内の工法に絞り込まれ、燃料デブリ取り出しの工法と して、「冠水-上アクセス工法」、「気中-上アクセス工法」及び「気中-横アクセス工法」を重点的 に検討する。
図4.3.1-6に、これら3つの重点的に検討を進める燃料デブリ取り出し工法の概要図を示す。
図4.3.1-6 重点的に検討を進める燃料デブリ取り出しの概要図
冠水-上アクセス工法 気中-上アクセス工法 気中-横アクセス工法 これらを踏まえて、工法を絞り込み
重点的に検討する工法 と 呼称
a. 上からアクセスする完全冠水、冠水工法 ⇒ 「冠水-上アクセス工法」
b. 上からアクセスする気中工法 ⇒ 「気中-上アクセス工法」
c. 横からアクセスする気中工法 ⇒ 「気中-横アクセス工法」
上 横 下
完全冠水 冠水 気中 完全気中 水
位
アクセス方向 PCV水位とアクセス方向の組合せ
a.
b. c.
4-41
実際の燃料デブリ取り出しは、これらの3工法から一つを選択するというような単純なもので はなく、各号機の炉内を含むプラント状況や技術開発の状況に応じて、詳細なエンジニアリング を進めて、PCV水位やアクセスルートを細かく設定する、あるいは、組み合わせる等様々なバリ エーションが存在する。
燃料デブリ取り出し工法において、PCV内部からの放射性物質の放出防止の考え方は、作業の 安全を確立するために特に重要である。燃料デブリ取り出し作業における放射性物質閉じ込めの 方法について検討を進めているが、以降の議論の参考として、重点的に開発を進めている3工法 における現状の概念を紹介する。冠水-上アクセス工法の検討案を、図4.3.1-7に示す。閉じ込め に関しては、PCVを補修して、一次のバウンダリを構築、建屋又は建屋を覆う二次のバウンダリ を構築し、それぞれ外部よりも負圧として管理する概念である。補修により完璧に漏れをなくす ことが難しい可能性があるが、負圧管理や水位差管理により閉じ込めることを含めて考える必要 がある。気中-上アクセス、気中-横アクセスに関する閉じ込めバウンダリの概念を図4.3.1-8に示 す。基本的に同様の考え方であり、二重の閉じ込めバウンダリを構築して、負圧管理により放射 性物質の放出を防止する。
あわせて、以降の議論の参考とするため、燃料デブリ取り出し時の燃料デブリの動線について、
図4.3.1-9に、検討中の気中-横アクセス工法の例を示す。
4-42
図4.3.1-7 冠水-上アクセス工法の放射性物質閉じ込めバウンダリ検討案
気中-上アクセス工法 気中-横アクセス工法
図4.3.1-8 気中工法における閉じ込めバウンダリのイメージ
地下水位 地表
PCVを補修して、一次のバウンダリを構築(赤枠)、建屋又は 建屋を覆う二次のバウンダリ(青枠)を構築し、それぞれ外 部よりも負圧として管理する
一次のバウンダリ(赤枠)の中をエリア区分し、汚染レベルの 高いエリアから順次汚染レベルの低いエリアに向けて動くこと とし、外部への汚染拡大を防止する
;汚染レベル 高のエリア
;汚染レベル 中のエリア
;汚染レベル 低のエリア
;一次の閉じ込めバウンダリ
;二次の閉じ込めバウンダリ
4-43
図4.3.1-9 気中-横アクセス工法における燃料デブリの動線
(2) 取り出し工法の燃料デブリ位置への適合性検討
燃料デブリは、RPV内(炉心部、炉底部)だけではなく、D/W底部のRPVペデスタル内側、
更にはRPVペデスタル外側にも存在するものと推定されている。また、炉底部の燃料デブリの一 部はCRDハウジングに付着しているものと推定される。
この燃料デブリの推定分布状況を模式的に図4.3.1-10に示す。
図4.3.1-10 燃料デブリの推定分布状況の模式図
3つの工法について、これらの燃料デブリ位置ごとの燃料デブリ取り出しの適合性を実現難度 の観点から検討した評価結果のまとめを表4.3.1-1に示す。(詳細は添付4.18表A4.18-1を参照)
工法の適合性として、基本的に以下が言える。
・RPV内のデブリは、上アクセスの適合性が高い。
・RPVペデスタル外は、横アクセスの適合性が高い。
・RPVペデスタル内は、上、横アクセスとも適合する。
CRDハウジング 炉心部
炉底部
RPVペデスタル内側 RPVペデスタル外側
:燃料デブリ位置
4-44
また、想定される燃料デブリの位置(RPV内(炉心部、炉底部、CRDハウジング)、RPVペデ スタル内側、RPVペデスタル外側)がいずれの場合であっても、3つの燃料デブリ取り出し工法 オプションのいずれかによって取り出しが実現可能である。各号機ごとの燃料デブリ分布状況に 応じて、これらの工法を組み合わせて燃料デブリ取り出しを行っていくことが必要となることが あり得る。
表4.3.1-1 取り出し工法の燃料デブリ位置への適合性
燃料デブリ 取り出し
工法
燃料デブリ位置
RPV内
(炉心部、炉底 部、CRDハウジ ング)
RPVペデスタル 内側
RPVペデスタル 外側
冠水-
上アクセス工法 ○ ○ △
気中-
上アクセス工法 ○ ○ △
気中-
横アクセス工法 △ ○ ○
注)図中△で示す箇所の燃料デブリは、工法として本質的に適合性が大きくない部位 であるが、存在する燃料デブリの詳細位置、量によっては、また、取り出し工法全 体としての合理性を判断した上で、実施する可能性があり得るものと考える。
(3) 取り出し工法のその他条件への適合性について
燃料デブリ取り出し工法を現場へ適用するに当たっては、種々の制約条件への適合性を検討し て、判断していくことが今後必要となる。
例えば、以下の項目が考えられる。
・今後求められる可能性のあるPCV水位に対する制約への適合性
・燃料デブリ取り出し作業と取り合いを考慮する必要のある他の現場作業との適合性
・燃料デブリ取り出し開始時期に得られる、部位による炉内状況推定の精度との適合性
号機ごとの燃料デブリ取り出し方針の検討に当たっては、号機の現場状況と、(2)項、(3)項に示 した工法ごとの特徴を考え合せた上で、技術的観点から検討を行い、さらに5つの基本的な考え 方と合せて判断していく。
○:適合性大 △:適合性小
4-45 4.3.2 燃料デブリ取り出しにおける重要課題への取組
燃料デブリ取り出し方法の実現に必要な重要課題としては、以下の9項目の技術要件が挙げら れる。本項では、それぞれの技術要件に対し、その目的及び主な要求事項を明確にするとともに、
その要求事項を満足させるために必要な取組、その成否を判断するために必要な検討について、
研究開発プロジェクト等における取組の現状(実績、計画)と評価を踏まえ、新たに検討すべき 事項と今後の対応方針をまとめる。
さらに、これら 9項目の技術要件ごとのまとめに加え、燃料デブリ取り出し方針の検討に向け て、今後進めていく工法ごとの詳細検討において、留意すべき観点を整理する。
燃料デブリ取り出しの安全確保に、特に関連の深い重要課題として、以下の技術要件がある。
(1) PCV・建屋の構造健全性の確保 (2) 臨界管理
(3) 冷却機能の維持 (4) 閉じ込め機能の確保 (5) 作業時の被ばく低減 (6) 労働安全の確保
燃料デブリ取り出しの作業に直接関連する重要課題として、以下の技術要件がある。
(7) 燃料デブリへのアクセスルートの構築 (8) 燃料デブリ取り出し機器・装置の開発 (9) 系統設備、エリアの構築
燃料デブリ取り出しの安全確保に関連する技術要件として(1)~(6)に整理している。「安全」に 関しては、特定原子力施設である福島第一原子力発電所の廃炉に通常の原子力発電所と同じ安全 基準を当てはめて考えることは適切ではない。原子力規制委員会は「核原料物質、核燃料物質及 び原子炉の規制に関する法律」に基づき、福島第一原子力発電所に対して「特定原子力事業者が 措置を講ずべき事項」を提示している。これを受け、東京電力は「特定原子力施設に係る実施計 画」を策定し、安全を確保しながら事故炉のリスク低減作業を進めているところである。
以下に燃料デブリ取り出し作業に当たって考慮すべき安全確保の考え方について記載する。
安全確保の目的は、①住民と環境、②作業者を放射性物質の影響から守ることである。
過酷事故が発生した後の現存状態を前提として、燃料デブリ取り出し完了による現状レベル からのリスク低減が目標である。各号機とも、事故時の揮発性 FP 放出及び崩壊熱は減衰し たものの、原子炉建屋、PCV等の施設は事故により損傷した状態であり、高放射線環境とな っている。
事故後のプラントパラメータを監視し、原子力安全の基本である「止める」、「冷やす」、「閉 じ込める」機能が安定していることが引き続き管理される必要がある。
燃料デブリ取り出し作業(定常作業時及び想定される異常時)中において、現存状態からの リスクの増加を極力小さくして、ある限度以下に抑える。限度については、住民と環境への