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第 4 章 ブラジルにおける超電導導入に関する情報収集

4.1 ブラジルの中長期系統計画

MMEは、2014年に今後10年間のエネルギー見通しを示したPDE 2023(Plano Decenal de Expansão de Energia 2023)を発表している。PDEはMMEにより毎年改訂されており、

2015年12月に改定されている。

最新の情報において、ブ国の電力消費量は2023年に2014年の約 5割増の 690TWh となると予想されており、その需要を満たすためには、今後、電源開発と系統の整備 が必要とされている。

また、2014-2023年のGDP成長率を年平均4.3%とし、人口は2014年の約2億人から 年平均0.7%で増加し、2023年には約2億2千万人になると想定されている。また、エ ネルギー需要は2016年のリオデジャネイロ五輪による建設需要やサービス部門での需 要の増加によって2013-2023年は年平均4.1%で増加すると想定されている。

表 4.1 2014-2023年のGDP・人口および電力消費量の見通し

(出典:PDE2023) 電力消費量の内訳は、表 4.2 に示す通りである。最も消費量が多い分野は産業分野 となり、その割合は全体の約 4 割となる。また、各分野における増加率は、年平均

3.4-5.5%となり、中でも最も増加率の高い分野は商業分野で、2016年のリオデジャネイ

ロ五輪によりサービス部門が充実されることが一因と考えられる。

表 4.2 2014-2023年の電力消費量の内訳

電力消費量(TWh)

民生 産業 商業 その他 合計

2014 130 191 87 73 481

2018 155 222 108 83 568

2023 190 258 143 99 690

2014年 2018年 2023年 20142023

増加率(%) GDP

(10億USD) 1,083 1,286 1,602 4.3

人口

(100万人) 204 210 217 0.7

1人当たりGDP

(USD/人) 5,309 6,124 7,382 3.6

電力消費量

(TWh) 481 568 690 4.1

1人当たり電力消費量

(kWh) 2,358 2,705 3,180 3.4

4.1.2 電源開発計画

新規電源開発として、2013-2018年に4,230万kW、2018-2023年に2,878万kW相当 が増強される予定である。発電設備は依然として今後も水力発電が中心で、2013-2018 年に2,049万kW、2018-2023年に1,037万kW相当が増強される計画であるが、水力発 電の比率は68.9%(2013年)から59.7%(2023年)まで低下する見通し。一方で、再 生可能エネルギーは既存出力に加えて2013-2018 年に1,896 万kW、2018-2023 年には

1,091万kW相当拡充させる計画で、その内訳においては、風力、バイオマス、太陽光

の出力を特に大きく伸ばす計画であり、再生可能エネルギーの比率を13.9%(2013年)

から24.1%(2023年)に増やすことで、電源の多様化を促進する計画である。

また、火力・原子力発電においては、既存出力に加えて2013-2018年に285万kW、

2018-2023年には750万kW相当拡充される計画であり、その内訳は、2018年に原子力

発電140万kWおよびガス火力発電185万kWが運用開始予定、2018-2023年の間にガ ス火力発電が更に750万kW増強される計画である。一方、2013-2018年に石油火力発 電が40万kW相当が停止予定であり、全体に占める割合については、17.2%(2013年)

から16.2%(2023年)と低下する計画となっている。

表 4.3 2013-2023年における新規電源開発計画

(単位:万kW)

(出典:MME資料およびPDE2023から調査団作成)

電源 2013年 2018年 2023年

水力 8,603 10,652 11,689

水力 7,991 10,096 11,218

電力購入 612 558 472

再エネ 1,737 3,633 4,724

小水力 531 629 732

風力 219 1,744 2,244

バイオマス 987 1,160 1,398

太陽光 0 100 350

火力・原子力等 2,140 2,425 3,175

原子力 200 340 340

ガス火力 1,066 1,252 2,002

石炭火力 321 321 321

石油火力等 553 513 513

合 計 12,480 16,710 19,588

(出典:MME資料およびPDE2023から調査団作成)

図 4.1 2013-2023年の電源比率

ブ国における水力発電のポテンシャルは約260GWと見込まれており、未開発の水力 発電のポテンシャルは主として、アマゾン地域に存在している。

(出典:EPE)

図 4.2 水力発電ポテンシャルの分布

68.9% 63.7% 59.7%

15.6%

12.5% 14.5%

1.6% 2.0%

1.7%

13.9%

21.7% 24.1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

201320182023

再エネ 原子力 火力 水力

PDE2023においては、合計約15,000MWの水力発電の新規開発が計画されている。

特に2020年および2021年においては約12,000MW の水力発電の開発が予定されてお り、その主な開発地点は、ブ国北部のTapajos川であり、2020年に8,040MW、2021年

に2,338MWの新規開発計画がある。従って、北部から最大需要地である南東部への送

電電力量が更に増加することが見込まれ、送電線増強の必要性が高まるものと考えら れる。

表 4.4 PDE2023における水力発電所の開発計画

運転開始予定 プロジェクト 河川名 出力(MW)

2019

2019年1月 UHE Itaocara I Paraiba di Sul 145

2019年1月 UHE Davinópolis Paranaíba 74

2019年7月 UHE Telêmaco Borba Tibagi 109

2020

2020年5月 UHE Comissário Piquiri 140

2020年4月 UHE Foz Piquiri Piquiri 96

2020年7月 UHE Paranhos Chopim 63

2020年8月 UHE São Luiz do Tapajos Tapajos 8,040

2020年8月 UHE Apertados Piquiri 139

2020年8月 UHE Ercilândia Piquiri 87

2021

2021年1月 UHE Tabajara Jiparaná 350

2021年1月 UHE Jatobá Tapajós 2,338

2021年4月 UHE Castanheira Arinos 192

2021年8月 UHE Itapiranga Uruguai 725

2022

2022年2月 UHE Arraias Palma 70

2022年7月 UHE Bem Querer Branco 708

2022年12月 UHE Prainha Aripuana 796

2023 2023年10月 UHE Paredao A Mucajai 199

2023年12月 UHE Torixoréu Araguaia 408

(太字はアマゾン地域のプロジェクト)

(出典:PDE2023)

4.1.3 系統開発計画

ブラジルの電力系統構成の現状 1)

ブ国の電力系統は、現在6つの大きなエリアで区分することができる。(図 4.3) ・エリア1:南東部/中西部

総電力需要の 60%以上が集中するエリアであり、大規模な水力発電所、火力発電 所が存在している。Parana川流域の水力発電ポテンシャルの大部分、天然ガスによる 火力発電所、原子力発電所は、このエリアに含まれる。

・エリア2:南部

総電力需要の約 16%が存在するエリアであり、一般炭による火力発電所と水力発 電所が存在する。

・エリア3:北東部

総電力需要の約15%が存在するエリアであり、Sao Francisco川の水力発電所が存在 する。ただし、Sao Francisco川の水力発電の開発はほぼ完了している状況である。

・エリア4:北部

総電力需要の約8%が存在するエリアであり、Tucurui水力発電所による電力供給が 行われている。

・エリア5:イタイプ

ブ国とパラグアイ国との共同運営であるイタイプ水力発電所(14GW)による大規 模な水力発電が行われている。同発電所に20基ある発電機は、両国が10基づつ所有 し、発電電力を均等に分けているが、パラグアイは自国分の大部分をブラジルに売電 しており、2015年に同発電所で発電された電力の88%はブラジルで消費されている。

発電した電力は、サンパウロ郊外まで送電されている。

・エリア6:マデイラ

Porto Velho水力発電所による大規模な水力発電が行われている。また、Madeira川

流域での水力発電ポテンシャルがこのエリアに含まれる。さらに、AcreとRondonia の孤立系統の全国電力系統への連系も計画されている。

2013年時点における基幹送電線の亘長は合計で116,768kmとなっており、230kVの 送電線が最も亘長が長く49,969km、次いで500kVの38,123kmとなっている。PDE2023 によれば2023年には、この基幹送電線に関して約70,000kmの延長が計画されており、

500kVの送電線拡張が53%であるが、XinguのDC±800kV送電線の建設等も計画され

ている。

また、上記に加えて、Xingu川におけるBelo Monte水力発電(11GW)の開発と、こ の水力発電を全国電力系統に統合すること、およびManausの系統を全国電力系統に連 系する計画が検討されている。

図 4.3 ブ国の送電線系統図(将来計画を含む)

(出典:ONS)

既設 計画

主な需要地

(出典:PNE2030)

図 4.4 電力系統拡張計画(2013年時点計画)

表 4.5 電圧毎の基幹送電線亘長の現状と将来計画

(単位:km)

230kV 345kV 440kV 500kV ±600kV 750kV ±800kV 合計

2013年実績 49,897 10,272 6,728 39,083 3,996 2,683 0 112,659

増強分 18,759 1,646 194 37,325 2,375 0 9,518 69,817

2023年想定 68,656 11,918 6,922 76,408 6,371 2,683 9,518 182,476

(出典:PDE2023)

表 4.6 主要な送電線建設計画(北部、北東部)

区間 電圧(kV) 距離(km) 運開予定(年)

Xingu – Parauapebas 500 410 2016

Parauapebas – Miracema 500 400 2016

Itacaiúnas – Colinas 500 304 2016

Itacaiúnas – Colinas 500 304 2016

Lechuga – Equador 500 400 2016

Equador – Boa Vista 230 315 2016

Teresina II – Sobral III 500 334 2016

Miracema - Gilbues II 500 410 2016

Miracema - Gilbues II 500 410 2016

Gilbués II – Barreiras 500 289 2016

Gilbués II – São João do Piauí 500 394 2016

São João do Piauí – Milagres 500 400 2016

Milagres II - Açu III 500 286 2016

Sobral III - Teresina II(C3) 500 334 2016

São João do Piauí - Milagres II (C2) 500 400 2016

Milagres II - Açu III, CS (C1) 500 286 2016

Luziânia - Rio das Éguas 500 373 2016

Barreiras II - Gilbués II 500 289 2016

Ibicoara – Sapeaçu 500 254 2016

Xingu – Terminal-MG DC±800 2140 2018

Gilbués II – Gentio do Ouro II 500 356 2018

Morro do Chapéu II 500 280 2018

Gilbués II – Gentio do Ouro II 500 356 2018

Xingu – Terminal-RJ DC±800 2439 2020

Tucuruí 2 – Marituba 500 380 2020

Barreiras II – Gentio do Ouro II 500 288 2021

(出典:PDE2023)

系統開発計画の概要 2)

a) 電力系統の経済運用

電力系統については信頼性の確保及び効率的な運用を原則としている。単一の 事故により送電を停止しないことが求められ、そのうえで、発電コストを低減す るよう、水力発電所および火力発電所それぞれの出力が決められる。EPE により 策定された系統開発計画は、ONS により、系統運用者の視点からレビューされ、

調整されることとなっている。

b) 水力開発に伴う送電線網拡張

現状、北部地域の電力需要は、そのほぼすべてがTurucuiの水力発電により供給 されており、雨季には、この北部の発電電力が、北東部、中部/南東部および南 部に送電される一方で、乾季には、中部/南東部および南部から北部に電力が送 電される。

中部/南東部および南部の水力開発はほぼ完了しており、今後の水力開発は北 部での開発が中心となる計画である。中部/南西部および南部での雨季の時期と、

北部での雨季の時期は異なっており、北部での水力開発を進めることにより、年 間を通じて水力発電を活用することが可能となる。

現状、北部地域の主幹系統は 500kV送電線 12,000km と230kV 送電線3,200km から構成されている。今後の水力開発(電源開発)は、Tapajos 川の水力開発(出

力約8,000MW)など、Para州が中心となる計画である一方、北部地域における主

要な電力需要地はSao Luis(Maranhao州)、Belem(Para州)およびManaus(Amaszonas 州)などである。したがって、北部から中部/南東部への送電線網拡張が必要と なるほか、これらの都市部への送電線網拡張も同時に必要となる。

これらの送電線の亘長は200~400kmに及ぶため、交流送電線の場合、安定度を 考慮する必要がある。現状の北部から中部/南東部への主要送電ルートは、Xingu

-Tucurui-Maraba-Itacaiunas-Colinas-Miracemaと連系されている500kV送電線 であるが、北部地域での発電容量の増加に伴い、この送電線の潮流が増加するこ とが想定されるため、Xinguから1つの新設変電所(Parauapebas)を経由して直接

Miracemaに連系される500kV送電線の建設が計画されている。

c) 風力開発に伴う送電線網拡張

風力発電は、現状、Bahia州およびAlagoas州に設備容量合計約2,000MWが導入 されている。今後、Piaui州、Bahia州、Ceara州、Rio Grande do Norte州等に風力 発電が新設される計画であり(2030年時点で4,700MWを想定している)、これら 風力発電による発電電力を送電するための送電線網拡充が必要となり、沿岸部の 風力発電所から内陸部の送電線に連系するための 500kV 送電線の増強が計画され ている。

また、風力発電による発電電力についても、前述した、北部地域の水力発電に よる発電電力と同様に、Xingu-Tucurui-Maraba-Itacaiunas-Colinas-Miracema と連系されている 500kV 送電線により、東北部から中部/南東部に送電されるこ とになるが、風力発電量の増加により、この送電線の潮流が増加し、安定度およ び送電損失で問題が出てくる懸念がある。したがって、東北部から直接中部/南 東部に送電するための500kVまたは230kV送電線の建設、およびそれに伴う変電所 の新設が計画されている。これらの送電線は Piaui 州の南部から Bahia 州を経て

Goias州を連系する送電線として計画されている。