第 5 章 超電導送電導入に関する検討
5.5 情報発信(セミナー)
5.5.1 セミナー概要
日本における超電導送電技術の開発などについて紹介するとともに、その技術のブラジル への適用に関して、これまで調査してきた結果を報告し、各関係機関から広く意見を伺うこ とを目的に、2016年5月19(木)、Eletrobrasの研究機関であるCEPELにて、セミナーを開 催した。概要は、以下のとおり。
(1) 開催日時 2016年5月19日(木) 9:30~17:00 (2) 場所 CEPEL内 講堂
(3) 出席者 110名(添付5.5.1-8参照)
・Eletrobras、CEPEL、Eletrobras傘下の送電会社、配電会社の他、MME、EPE、ONSなどの 政府関係機関およびCIGREや大学からの参加もあった。
(4) 挨拶・講演・質疑応答概要(プログラムは表 5.41参照)
【挨拶】
・JICA 小林氏
ANEELによると、将来的には電力が不足する。また、発電、送電、配電設備の増設や
近代化が必要であると言われている。その様な背景のもと、EletrobrasおよびCEPELとと もに、日本の超電導技術がブラジルに展開できないかという検討を進めている。日本の超 電導技術は実用化に近い段階となっており、ブラジルへの展開は、ブラジルの送電や配電 分野において、大きなメリットがあるものと考えている。
・Eletrobras Guenka氏
これまでのJICA調査団とブラジル側の検討で、超電導送電の実験用設備に関する議 論はほぼ完了した。今後は、その応用として、送電および配電を対象に、実用化に向け た検討を行っていきたいと考えている。超電導は、新しい技術であり、挑戦的な課題で ある。しかしながら、ロスを減らす等、収益の改善に繋がる技術だと考えている。
・CEPEL Ary氏
CEPELでは、既に、超電導の線材や、超電導の試験に必要な設備も一部有している。
また、この超電導技術を、電流の制限に使えないかという検討も行っている。この様に、
超電導技術に携わっていたことから、ブラジルへの超電導の適用に関する検討に協力す ることとなった。CEPELでは、超電導送電のパイロットプロジェクトを行う前段階と して、5m程度の超電導ケーブルを使って色々な試験を行うことで、超電導送電技術の 評価を行うための知識・ノウハウを蓄積したいと考えている。
【講演】
・Energy Sector in Brazil and the Role of Transmission Lines(添付5.5.1-1参照)
・R&D of Applied Superconductivity at CEPEL(添付5.5.1-3参照)
発表者:Alexander Polasek (CEPEL)
・JICA Project of Introducing the Superconducting Technology in Brazil(添付5.5.1-4参照)
発表者:Koki Watanabe (YONDEN)
・R&D of Superconducting Cable in Japan(添付5.5.1-5参照)
発表者:Keiichi Yamamoto (MAYEKAWA)
・Benefits of Superconducting Power Lines and the Roadmap for the Practical Use
(添付5.5.1-6参照)
発表者:Shinichi Mukoyama (FURUKAWA)
・Laboratory Facilities (Adrianopolis Laboratories) (添付5.5.1-7参照)
発表者:Flávio Bittencourt Barbosa (CEPEL)
【質疑応答(概要)】
各発表者からの講演後の質疑応答では、
a. 30年ほど前の超電導の発見から、現在に至っても実用化に至っていない技術的な背景
b. 超電導送電においても通常の送電線と同様に分岐して送電することの可否
c. 超電導ケーブルを冷却するための窒素について、既に病院等へ供給しているネットワ ークを活用することの可否
d. 超電導ケーブルを繋ぎなしで送電できる長さ e. 超電導ケーブルの温度のモニタリング方法 f. 超電導ケーブルを曲げる際の最低半径 g. 超電導ケーブルと通常の電力設備の接続方法
など、電力設備を建設・運用する立場などから、多くの質問があった。なお、これらに対 する調査団およびCEPELからの回答は、以下のとおり。
a. その当時は、見本程度のものの発見・開発であり実用化に至らなかったが、現在は、
関連する技術も進んでおり、色々な材料も開発され、5年ほど前には、超電導の線 材が商業化された。このため、今後10年での実用化というのは、かなり実現性が 高い。
b. 超電導送電においても、極力、熱の侵入が無い様な設計にする必要があるものの、分 岐用の端末を作ることで、送電線から分岐して送電することができる。
c. 超電導送電の冷却に使う窒素として、病院等へ供給しているネットワークからの窒素 を活用することもできる。日本でも、この様なシステムについて提案したことがある。
d. ケーブルをドラムに巻いて輸送する関係で長さが制限される。その長さは500mであ る。
e. 光ファイバーの温度センサーを使用する。
f. 現用ケーブルと同じ25D (D はケーブル直径) はクリアする。ケーブルのサイズにも
以上の他、都市部で超電導送電を適用する場合は、敷地の面積も小さくて済む。これは、
トータルコストの検討において考慮すべき点であるという超電導送電のメリットに係る意 見もあった。
表 5.41 セミナープログラム
Horário / Time Tema / Presentation Title Palestrante / Speaker 9:00-9:30 Recepção/ Reception
9:30-10:00 Abertura/ Opening Remarks
Chiaki Kobayashi ( J I C A ) Luis Yoshihiro Guenka (Eletrobras)
Diretoria do CEPEL
10:00-10:20
O Setor Energético no Brasil e o Papel das Linhas de Transmissão Energy Sector in Brazil and the Role of
Transmission Lines
Cristiano Augusto Trein (MME)
10:20-10:40
Linhas de Transmissão Subterrâneas em Alta Tensão no Brasil
High Voltage Transmission Underground Lines in Brazil
Carla Damasceno Peixoto
(Comitê de Estudos B1 do CIGRÉ-Brasil )
10:40-11:00
P&D em Superconduvidade Aplicada no CEPEL
R&D of Applied Superconductivity at CEPEL
Alexander Polasek (CEPEL)
11:00-11:20 Coffee-break
11:20-11:40 JICA Project of Introducing the
Superconducting Technology in Brazil Koki Watanabe (YONDEN) 11:40-12:20 R&D of Superconducting Cable in Japan Keiichi Yamamoto (MAYEKAWA)
12:20-13:00 Benefits of Superconducting Power Lines
and the Roadmap for the Practical Use Shinichi Mukoyama (FURUKAWA)
13:00-13:20
Laboratório George Zabludowski (CEPEL – Adrianópolis)
Laboratory Facilities (Adrianopolis Laboratory)
Flávio Bittencourt Barbosa (CEPEL)
13:30-15:00 Almoço
(5) セミナー風景
(6) まとめ
今回のセミナーを通じて、ブラジルにおける電力事情・課題や、超電導送電に係る基礎的な 技術内容、また、日本での超電導送電の開発状況などについて、理解して頂くことができた。
これにより、今後、Eletrobras傘下の送電会社に検討を進めて頂きたいと考えている、超電 導送電パイロットプラントの候補地検討のための素地作りができた。
添付5.5.1-1
添付5.5.1-2